
ランサムウェアの脅威が拡大!企業を守るセキュリティ最前線と注目銘柄
企業のシステムを停止させ、顧客情報や機密データを人質に取るランサムウェア。アサヒグループホールディングスやアスクルなど、大手企業もサイバー攻撃の被害を受け、個人情報の漏えいや受注・出荷の停止が企業経営に深刻な影響を与えている。こうした脅威に対抗するため、侵入防止だけでなく、攻撃の早期検知や被害の封じ込め、データ復旧までを含めた多層的なセキュリティ対策が重要になっている。ランサムウェアの仕組みや企業の被害事例を整理するとともに、トレンドマイクロ、FFRIセキュリティ、Palo Alto Networks、CrowdStrikeといった国内外のセキュリティ関連企業を紹介する。サイバー攻撃が高度化する時代に、企業を守る技術と成長が期待される関連銘柄について考えていこう。
日本の上場企業
| 会社名 | 証券コード・市場 | 直近通期の売上高 | 主なサービス | ランサムウェア対策での特徴 |
|---|---|---|---|---|
| トレンドマイクロ | 4704・東証プライム | 約2,760億円(2025年12月期) | TrendAI Vision One、ウイルス対策、EDR・XDR | 端末・クラウド・メールなど複数の領域を保護。 |
| FFRIセキュリティ | 3692・東証グロース | 約43.5億円(2026年3月期) | FFRI yarai、マルウェア解析、セキュリティ研究開発 | 標的型攻撃や未知のマルウェアへの防御技術に注力。 |
| デジタルアーツ | 2326・東証プライム | 要確認 | i-FILTER、m-FILTER | Webやメールを経由した不正プログラムの侵入リスクを低減 |
| ソリトンシステムズ | 3040・東証プライム | 要確認 | 認証、ネットワークセキュリティ、情報漏えい対策 | 不正アクセス対策や安全なリモートアクセスを支援 |
| グローバルセキュリティエキスパート | 4417・東証グロース | 要確認 | セキュリティ診断、コンサルティング、教育 | 企業の脆弱性対策やセキュリティ体制の整備を支援 |
| サイバーセキュリティクラウド | 4493・東証グロース | 約50.8億円(2025年12月期) | 攻撃遮断くん、WafCharm | WebサイトやWebアプリケーションを狙う攻撃を防御。 |
米国の上場企業
| 会社名 | 証券コード・市場 | 直近通期の売上高 | 主なサービス | ランサムウェア対策での特徴 |
|---|---|---|---|---|
| CrowdStrike | CRWD・NASDAQ | 約48.1億ドル(2026年1月期) | Falcon、EDR、MDR | 端末の挙動を監視し、攻撃の検知や封じ込めを支援。 |
| Palo Alto Networks | PANW・NASDAQ | 約114.8億ドル(2026年7月期) | Cortex XDR、Prisma、ネットワーク防御 | 端末・ネットワーク・クラウドを横断した防御を展開。 |
| SentinelOne | S・NYSE | 約10.0億ドル(2026年1月期) | Singularity、EDR、XDR | AIを活用した脅威検知と端末対応に強み。 |
| Rubrik | RBRK・NYSE | 約13.2億ドル(2026年1月期) | Rubrik Security Cloud、データ保護・復旧 | バックアップやデータ保護を通じて、攻撃後の復旧と事業継続を支援。 |
ランサムウェアとは何か?相次ぐ企業の情報流出とセキュリティ最前線
企業のシステムを突然停止させ、顧客情報や社内データを人質に取る「ランサムウェア」。近年は大企業も被害に遭い、商品の受注や出荷が止まるなど、経営そのものを揺るがす問題となっている。2025年にはアサヒグループホールディングスやアスクルがサイバー攻撃を受け、事業活動への影響と情報漏えいが大きな注目を集めた。サイバー攻撃はもはやIT部門だけの問題ではなく、企業価値や顧客の信頼を左右する経営課題となっている。
ランサムウェアとは、パソコンやサーバー内のファイルを暗号化し、利用できない状態にしたうえで、復旧と引き換えに金銭を要求する悪意あるプログラムのことだ。「ランサム」は身代金、「ウェア」はソフトウェアに由来する。近年は、データを暗号化するだけでなく、事前に盗み出した情報を公開すると脅迫する「二重恐喝」も広がっている。身代金を支払わなければ機密情報を公開すると迫り、支払ってもデータが確実に復旧する保証はない。
侵入経路には、脆弱性が放置されたネットワーク機器、盗まれたIDやパスワード、フィッシングメール、外部委託先のシステムなどがある。攻撃者は侵入後すぐに暗号化するとは限らない。ネットワーク内部を探索し、管理者権限を奪い、重要な情報を盗み出してから一斉に攻撃することもある。そのため、ウイルス対策ソフトを導入するだけでは十分とはいえない。
実際に、国内では事業停止や個人情報の漏えいにつながる被害が続いている。
| 企業・発表時期 | 被害の概要 | 個人情報・影響 |
|---|---|---|
| アサヒグループホールディングス(2025年9月に発生、2026年7月に追加公表) | ランサムウェア攻撃でサーバーや一部端末のデータが暗号化され、受注・出荷などに影響 | 2026年7月の公表では、漏えいのおそれがある個人情報は計約228.9万件。対象には顧客相談窓口の利用者、従業員、取引先関係者などが含まれる |
| アスクル(2025年10月) | ランサムウェア感染により受注・出荷業務が停止。物流を通じて関連企業にも影響 | 情報漏えいが確認され、ネット通販や物流への影響が広がった |
| SBI損害保険の業務委託先・審調社(2025年6月に発生、同年12月に最終報告) | 委託先のネットワークに不正侵入され、端末やサーバーのファイルが暗号化・窃取された | SBI損保の顧客情報について漏えいが確認された。要配慮個人情報を含む情報の漏えいも報告されている |
| ニデックグループ(2024年5月) | グループ会社などのサーバーやファイルが暗号化され、一部情報が外部に漏えいした可能性 | 株主優待の当選者に関する個人データなどについて、漏えい等のおそれが公表された |
| KADOKAWA・ドワンゴ(2024年6月) | ランサムウェア攻撃で複数のサービスや業務が停止 | 従業員、取引先、学校関連の情報など、計25万4,241人分の情報漏えいが確認されたと公表された |
※各社の公表資料に基づく。発生時期と公表時期は異なる場合がある。「漏えいのおそれ」と「漏えい確認」は区別している。
これらの事例が示すのは、攻撃の影響がシステムの停止だけにとどまらないことだ。商品の注文が受けられなくなれば売上機会を失い、工場や物流が止まれば取引先にも損害が及ぶ。さらに、顧客情報が流出すれば、詐欺メールやなりすましなどの二次被害につながる可能性がある。被害の調査、システムの再構築、問い合わせ対応、再発防止策にも多額の費用と時間が必要になる。
注目すべきなのは、攻撃者が大企業だけを狙っているわけではない点だ。セキュリティ対策が比較的手薄な中小企業や外部委託先を足掛かりにし、取引関係を通じて大企業へ影響を広げるケースもある。自社のシステムを守るだけでなく、委託先や取引先の管理体制まで確認することが重要になっている。
セキュリティの最前線では、複数の技術やサービスを組み合わせる「多層防御」が重視されている。代表的なのがEDRだ。パソコンなどの端末の挙動を監視し、不審な動きを検知して調査や隔離を支援する。さらに、ネットワークやクラウドなどの情報も横断して分析するXDR、専門家が24時間体制などで監視・対応を支援するMDRといったサービスも普及している。
こうした領域では、トレンドマイクロ、CrowdStrike、Palo Alto Networks、SentinelOneなどのセキュリティ企業が製品・サービスを展開している。日本企業ではFFRIセキュリティが国産の防御技術を開発するほか、グローバルセキュリティエキスパートが診断やコンサルティングを手がける。サイバーセキュリティクラウドは、Webサイトやアプリケーションへの攻撃対策を提供している。攻撃を完全に防ぐことが難しい時代だからこそ、侵入を防ぐ技術に加え、侵入を早期に発見し、被害を封じ込める技術への需要が高まっている。
一方、技術だけで万全の対策を実現できるわけではない。多要素認証の導入、ソフトウェアやネットワーク機器の更新、従業員への教育、アクセス権限の最小化に加え、ネットワークから切り離したバックアップの確保と復旧訓練が欠かせない。バックアップは保存するだけでなく、実際に復元できるか定期的に確かめる必要がある。感染が疑われる際は、被害拡大を防ぐためネットワークを隔離し、専門家や関係機関と連携して対応することが求められる。
ランサムウェア対策は、もはや一部の専門家だけに任せるものではない。企業にとっては事業継続と信用を守るための投資であり、セキュリティ関連企業にとっては継続的な需要が期待される市場でもある。ただし、関連企業への投資を考える際は、セキュリティ事業の成長率、収益性、競争環境、株価水準を見極めることが重要だ。サイバー攻撃が高度化するなか、企業がどれだけ迅速に侵入を検知し、被害を抑え、事業を復旧できるか。その能力が、これからの企業経営とセキュリティ産業を左右していくだろう。
ランサムウェア対策の最前線!トレンドマイクロとFFRIセキュリティに注目
企業のシステムを停止させ、顧客情報や機密データを人質に取るランサムウェア。サイバー攻撃による被害は、個人情報の漏えいだけでなく、受注・出荷の停止や取引先への影響など、企業活動全体に及ぶようになっている。こうした脅威に対抗するため、企業のセキュリティ投資は重要性を増している。日本の上場企業では、世界規模でセキュリティ事業を展開するトレンドマイクロと、国産の防御技術を開発するFFRIセキュリティが注目される存在だ。
ランサムウェアとは、パソコンやサーバーのファイルを暗号化して利用できなくし、復旧と引き換えに身代金を要求する不正プログラムのことだ。近年は、データを暗号化するだけでなく、事前に盗み出した情報を公開すると脅す「二重恐喝」も広がっている。仮にシステムを復旧できても、顧客情報や社内の機密データが流出すれば、信用の低下や損害賠償、取引停止などの問題が残る。
2025年にはアサヒグループホールディングスやアスクルがサイバー攻撃を受け、受注・出荷などの業務に影響が生じた。こうした事件は、セキュリティ対策が単なるIT機器の保護ではなく、事業継続を左右する経営課題であることを示している。攻撃者は大企業だけを狙うわけではなく、対策が手薄な取引先や委託先を侵入口にする場合もある。そのため、企業には侵入を防ぐだけでなく、異常を早期に発見し、被害を最小限に抑える体制が求められる。
この分野で幅広い製品・サービスを展開するのがトレンドマイクロ(証券コード4704)だ。同社は1989年設立のセキュリティ企業で、個人向けのウイルス対策から法人向けの高度な脅威検知まで、幅広い領域を手がけている。法人向けでは、セキュリティ情報を横断的に分析するプラットフォーム「Trend Vision One」を展開。端末、ネットワーク、クラウドなどの情報を組み合わせて脅威を把握し、組織全体のリスク管理やインシデント対応を支援する。
従来型のウイルス対策は、既知の不正プログラムを検出して排除することが中心だった。しかし、攻撃手法が高度化するなかでは、未知の脅威や正規のツールを悪用する攻撃にも対応しなければならない。トレンドマイクロは、単一の端末を守るだけでなく、組織内の複数のシステムから情報を集めて分析する方向へ事業を広げている。企業のクラウド利用やAI導入が進むことも、セキュリティ需要を支える要因となる。
業績面では、2025年12月期の連結売上高は2,759億8,400万円で、前期比1.2%増となった。営業利益は577億7,700万円と、前期の481億500万円から20.1%増加している。売上高の伸びは比較的緩やかだったものの、営業利益は大きく増加した。会社側は法人向けプラットフォーム事業やAI活用型のセキュリティ関連事業の成長を説明している。今後は継続的なサービス収入の拡大や、法人向け製品の競争力を維持できるかが注目点となる。
一方、FFRIセキュリティ(証券コード3692)は、国産のサイバーセキュリティ技術を強みとする企業だ。代表的な製品「FFRI yarai」は、パターンファイルだけに依存せず、プログラムの挙動などを分析してマルウェアや脆弱性攻撃を検知・防御するエンドポイントセキュリティ製品である。パターンファイルとは、既知のウイルスなどを識別するための情報をまとめたものだ。これだけに依存しない防御技術は、未知の攻撃や従来とは異なる手口への対応を目指すうえで重要となる。
FFRIセキュリティは、製品の開発・販売に加え、サイバー攻撃の調査・分析や安全保障関連のサービスも手がける。政府機関や防衛産業などに関わるサイバー安全保障分野では、高度な技術力や専門人材が必要になる。海外製品が大きなシェアを持つセキュリティ市場において、国産技術の研究開発を続ける同社には、国内の安全保障や重要インフラを守る観点からも関心が集まる。
2026年3月期の売上高は43億4,879万円で、前期比43.1%増となった。営業利益は14億5,200万円で、前期比6.5%増だった。売上高の伸びが大きかった一方、利益の伸びはそれを下回っている。製品販売に加え、ナショナルセキュリティ関連のサービス需要も業績を押し上げた。今後は、製品の契約増加や専門人材の確保、研究開発費と人件費の管理が成長を左右するポイントになる。
両社は同じセキュリティ分野に属するものの、事業の方向性には違いがある。トレンドマイクロは、幅広い顧客層と総合的なセキュリティプラットフォームを武器に、世界市場で事業を展開する。一方、FFRIセキュリティは、国産の防御技術や専門性の高い調査・研究を特徴とする。前者は事業規模や国際競争力、後者は技術開発力や特定分野での需要拡大が注目材料となる。
もっとも、サイバー攻撃が増えるからといって、関連企業の業績や株価が必ず上昇するわけではない。競合企業との価格競争、技術革新への対応、研究開発費、人材採用、顧客の投資動向などが収益に影響する。また、株価には将来の成長期待がすでに織り込まれている可能性もある。投資判断では、売上高や利益の推移に加え、セキュリティ事業の成長性、利益率、キャッシュフロー、株価水準を確認したい。
ランサムウェアを完全に防ぐことは容易ではない。だからこそ、侵入防止、早期検知、被害の封じ込め、データ復旧を組み合わせた多層防御が不可欠だ。企業のデジタル化が進むなか、セキュリティは一度導入すれば終わりという設備ではなく、継続的な運用と改善が求められる分野となっている。トレンドマイクロとFFRIセキュリティは、それぞれ異なる強みを持つ日本の上場企業として、サイバーセキュリティ市場の成長を考えるうえで注目したい存在だ。
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ランサムウェア対策の世界大手!Palo Alto NetworksとCrowdStrikeの実力に迫る
企業のシステムを停止させ、顧客情報や機密データを人質に取るランサムウェア。サイバー攻撃の手口が高度化するなか、企業にとって情報セキュリティへの投資は、事業継続を左右する重要な経営課題となっている。こうした市場で世界的に注目されるのが、米国の上場企業であるPalo Alto Networks(パロアルトネットワークス)とCrowdStrike(クラウドストライク)だ。両社はサイバー攻撃から企業を守るサービスを提供しているが、その強みや事業戦略には違いがある。
ランサムウェアは、パソコンやサーバー内のファイルを暗号化して使用できなくし、復旧と引き換えに金銭を要求する不正プログラムだ。近年は、暗号化する前に情報を盗み出し、支払わなければ公開すると脅す「二重恐喝」も広がっている。2025年にはアサヒグループホールディングスやアスクルがサイバー攻撃を受け、受注・出荷などの業務に大きな影響が生じた。被害はシステムの復旧だけで済まず、個人情報の漏えい、取引先への影響、信用の低下など、企業経営全体に及ぶ可能性がある。
従来のウイルス対策ソフトだけでは、こうした高度な攻撃を完全に防ぐことは難しい。侵入を防ぐだけでなく、攻撃者の不審な行動を早期に検知し、被害を封じ込め、システムを復旧する多層的な対策が必要だ。そこで重要になるのが、端末を監視するEDR、複数のシステムの情報を横断的に分析するXDR、専門家が監視や対応を支援するMDRなどのサービスである。
この分野で総合的なセキュリティ事業を展開するのが、Palo Alto Networks(NASDAQ:PANW)だ。同社はネットワークセキュリティを基盤に成長し、現在はクラウド、端末、AI関連のセキュリティまで幅広く手がけている。代表的な製品・サービスには、ネットワークへの不正侵入を防ぐ次世代ファイアウォールや、脅威を分析する「Cortex XDR」、クラウド環境を保護する「Prisma」などがある。
同社の特徴は、企業のセキュリティ対策を複数の製品に分散させるのではなく、できるだけ統合して管理できる環境を提供している点だ。企業では、社内ネットワーク、クラウドサービス、従業員の端末など、守るべき領域が増えている。個別に対策を導入すると管理が複雑になり、異なるシステムにまたがる攻撃を見逃すおそれもある。複数の防御機能を連携させることで、企業の管理負担を軽減しながら、攻撃の検知や対応を迅速化することを目指している。
業績も拡大している。2026年7月期の売上高は114億8,000万ドルで、前期比24%増となった。一方、米国会計基準による営業利益は6億9,500万ドルで、前期の12億4,300万ドルから減少した。売上高の成長が続く一方、買収や事業投資なども含めた費用構造を確認する必要がある。今後は、継続課金型のサービスの拡大や、統合型セキュリティへの需要が成長を支えられるかが注目される。
もう一つの有力企業が、CrowdStrike(NASDAQ:CRWD)だ。同社はクラウド型のエンドポイントセキュリティを主力とし、「Falcon」プラットフォームを展開している。エンドポイントとは、パソコン、サーバー、スマートフォンなど、ネットワークに接続される端末のことだ。Falconは端末上の不審な動きを監視し、攻撃の兆候を検知・分析することで、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃への対応を支援する。
CrowdStrikeの強みは、クラウドを活用した端末防御と、脅威情報の分析を組み合わせていることだ。攻撃者は正規のソフトウェアや盗み出した認証情報を悪用することもあり、既知のウイルスを検出するだけでは対処できない場合がある。同社は端末の挙動や脅威に関する情報を活用し、攻撃の検知と対応を高度化する。また、顧客が必要な機能を追加しやすいプラットフォーム型のビジネスモデルを採用し、複数のセキュリティ機能をまとめて提供することで、顧客当たりの契約拡大を目指している。
2026年1月期の売上高は48億1,200万ドルで、前期比22%増だった。年間経常収益(ARR)は52億5,000万ドルに達し、前年から24%増加した。ARRは、契約中のサービスから年間換算で得られる継続収益を示す指標で、サブスクリプション型ビジネスの成長を測る際に役立つ。一方、同年度の米国会計基準による純損失は1億6,250万ドルだった。調整後利益が黒字であっても、株式報酬などを含む会計基準上の利益と区別して評価することが大切だ。
両社を比較すると、Palo Alto Networksはネットワーク、クラウド、端末などを幅広くカバーする総合型、CrowdStrikeは端末防御を出発点とするクラウド型プラットフォームに強みを持つ企業と整理できる。ただし、両社の事業領域は重なっており、どちらも製品やサービスの統合を進めている。企業がセキュリティ製品を選ぶ際には、検知能力だけでなく、既存システムとの相性、運用コスト、導入後のサポートも重要になる。
投資対象として考える場合、両社ともサイバーセキュリティ需要の拡大を背景に成長が期待される一方、株価には将来の成長期待が織り込まれている可能性がある。売上高やARRの伸び、利益率、キャッシュフロー、株式報酬を含む費用、競合環境、株価収益率などを総合的に確認したい。特に、売上高の成長だけでなく、その成長が持続的な利益やキャッシュフローにつながっているかが重要だ。
企業のデジタル化やクラウド利用、AIの普及が進むほど、守るべきデータやシステムは増えていく。サイバー攻撃を完全に防ぐことが難しい時代には、侵入を防ぎ、異常を検知し、被害を抑え、迅速に復旧する仕組みが欠かせない。Palo Alto NetworksとCrowdStrikeは、それぞれ異なる強みを持ちながら、企業のデジタル資産を守る市場で存在感を高めている。今後の成長を見極めるうえでは、セキュリティ需要の拡大だけでなく、技術革新への対応力と収益性の両面に注目したい。
まとめ:サイバーセキュリティは企業経営の要に!成長市場の注目企業を見極める
ランサムウェアによる被害は、システム障害だけでなく、個人情報の流出、信用の低下、取引先への影響など、企業活動全体に広がるリスクとなっている。対策の最前線では、端末を監視するEDR、複数のシステムを横断して脅威を分析するXDR、専門家が監視・対応を支援するMDR、そして安全なバックアップや復旧体制などを組み合わせる多層防御が重視されている。トレンドマイクロは総合的なセキュリティ基盤、FFRIセキュリティは国産の防御技術、Palo Alto Networksはネットワークからクラウドまでの統合防御、CrowdStrikeはクラウド型の端末防御にそれぞれ強みを持つ。企業のデジタル化やAI活用が進むなか、セキュリティ需要の拡大は関連企業にとって追い風となり得る。ただし、需要の増加が必ずしも株価上昇につながるわけではない。投資にあたっては、売上高や利益の成長、競争力、財務状況、株価水準を総合的に確認し、各社の強みとリスクを見極めることが大切だ。




