
日産との違いは「赤字の中身」にある。ホンダに期待できる点、注意すべき点、投資するなら何を確認すべきかを丁寧に整理する
はじめに
ホンダが巨額赤字になった、というニュースを見て、不安になった投資家はかなり多いと思います。
ホンダは日本を代表する自動車メーカーであり、四輪だけでなく二輪でも世界的に強い存在感を持っています。
そのホンダが、2026年3月期に4143億円の営業赤字、4239億円の最終赤字を計上しました。
AP通信は、ホンダが1957年に上場して以来で初の通期赤字になったと報じています。これは数字の大きさだけでなく、会社の歴史的にもかなり重い出来事です。
ただし、ここでいきなり
「ホンダは危ない」
「日産と同じように深刻なのでは」
と考えるのは早いです。
今回のホンダの赤字は、見出しのインパクトに対して、中身をかなり丁寧に分けて見ないと本質を取り違えます。
というのも、ホンダの赤字のかなり大きな部分は、EV事業の見直しに伴う巨額の損失処理だからです。
ホンダの決算説明資料では、2026年3月期のEV関連損失は合計1兆5778億円に達し、そのうち営業利益ベースでのマイナスが1兆4536億円、さらに第4四半期だけで北米EVモデルに関する追加損失が1兆3106億円発生したと説明されています。つまり今回の営業赤字は、「今の日々の商売がそのまま4143億円の赤字だった」というより、将来前提を見直して一気に費用を計上した結果の赤字という性格がかなり強いです。
一方で、だから安心とも言い切れません。
なぜなら、その巨額損失が必要になった背景には、EV市場の拡大が想定より遅いこと、米国での政策支援後退、中国を含む競争環境の激化、そしてホンダのEV戦略そのものの現実修正があるからです。
Reutersは、ホンダが2030年時点のEV比率目標を30%から20%へ引き下げ、カナダの大型EV・電池プロジェクトを無期限凍結したと報じています。
つまり、今回の赤字は会計上は一時的でも、その原因はかなり構造的です。
この点が、日産との比較でも重要になります。
日産も再建のための費用や赤字を抱えていますが、日産はより明確に販売不振、固定費の重さ、工場と人員の過剰が前面に出ています。
一方のホンダは、もちろん本業側の逆風もありますが、今回の大赤字の中心はEV戦略の前倒し損失処理です。
つまり、同じ「巨額赤字」でも、ホンダは“戦略修正型の赤字”の色が濃く、日産は“事業再建型の赤字”の色が強いと考えると整理しやすいです。
この違いは投資家にとってかなり重要です。
では、投資家はホンダをどう見るべきでしょうか。
今回の赤字でホンダは終わりなのか。
それとも、むしろ一度大きな痛みを出したことで、次のフェーズへ進みやすくなったのか。
投資対象として考えるなら、何を確認すればよいのか。
この記事では、
ホンダの巨額赤字の中身
ホンダと日産の違い
ホンダに期待できる点
ホンダで注意すべき点
投資するなら何がどうなってからがよいのか
を、投資家目線でできるだけ具体的に解説します。
結論を先に言えば、ホンダは今、**日産のような典型的な再建株として見るより、「EV戦略を大きく修正したうえで、本業の稼ぐ力を再確認すべき局面にある会社」**として見るのが自然です。
投資家としては、赤字の大きさだけで悲観するより、EV損失を除いた本業の収益力、二輪・ハイブリッドの競争力、新しい戦略の実効性を見極めることが重要です。
その意味でホンダは、「今すぐ無条件で安心して買える優良株」ではないものの、「条件がそろえば十分に再評価され得る銘柄」でもあります。
第1章 まず、ホンダに何が起きたのかをわかりやすく解説
最初に、事実関係をきちんと整理します。
ホンダは2026年3月期決算で、売上収益2兆1796億円、営業損失4143億円、親会社の所有者に帰属する当期損失4239億円を計上しました。
ホンダの決算説明資料では、この営業赤字の最大要因として、EV関連損失1兆5778億円が示されています。
同社は、EV関連損失を除いたベースの営業利益を1兆393億円と説明しており、少なくとも会社の見方では、「本業そのものが全面的に崩れた結果の赤字ではない」という位置づけです。
ここは投資家にとって非常に重要です。
普通、営業赤字というと「本業が稼げていない」と理解されます。
もちろんその理解は大きくは間違っていません。
しかし今回のホンダでは、営業赤字の大半がEVモデル開発中止や投資見直しに伴う費用で構成されています。
決算説明スクリプトでは、第4四半期に北米向けEVモデルの計画見直しによって1兆3106億円の追加損失が出たと明記されています。
つまり、会計上は営業赤字でも、中身は「既存事業の日々の赤字」より、将来の前提変更による一括処理の意味合いが強いのです。
Reutersも、ホンダの今回の損失を約90億ドル規模のEV関連評価損・戦略見直しコストと表現しています。
AP通信も、米国でのEV補助縮小や政策変更、インフラ支援の後退、輸入部品への関税などが重なり、ホンダがEV事業見直しを迫られたと説明しています。
つまり、今回の赤字は「売れなくて困った」というより、EV時代を前提に作っていた戦略が、今の市場環境に合わなくなったために出した赤字と理解したほうが近いです。
ただし、ここで「特殊要因だから無視できる」と考えるのも危険です。
なぜなら、ホンダがこれだけ大きな損失を出してまで戦略を修正したということは、それまでの前提がかなり大きく崩れたことを意味するからです。
言い換えれば、損失は一時的でも、その損失を必要とした背景には構造的な変化があります。
投資家はこの二層構造を分けて考えなければなりません。
第2章 ホンダと日産の違いはどこにあるのかをわかりやすく解説
今回のテーマでは日産を比較対象として扱いますが、あくまでホンダ理解の補助線として使います。
結論から言うと、同じ「巨額赤字」でも、ホンダと日産では赤字の性質がかなり違います。
日産は、前回整理した通り、営業段階では黒字を確保していても、販売不振、固定費過剰、工場・人員削減費用が重くのしかかる、典型的な再建企業に近い状況です。
つまり、日産の問題はかなりストレートに、売れない、組織が重い、利益率が低いというところにあります。
もちろん電動化や中国競争もありますが、投資家が一番気にするのは、まず既存事業の体質改善ができるのかという点です。
一方、ホンダは今回、営業赤字そのもののインパクトは大きいものの、その中心はEV関連の評価損やプロジェクト整理です。
しかもホンダは、EV損失を除いたベースでは1兆円超の営業利益を確保していたと説明しています。
さらに、AP通信はホンダの二輪販売が2210万台に達し、二輪事業が強く会社全体を下支えしていると報じています。
つまりホンダは、会社全体のエンジンまで壊れているというより、未来の賭け方を修正した結果として現在の決算が大きく悪化した会社と見るほうが自然です。
この違いは、投資家目線で非常に大きいです。
日産を見るときは、まず「再建できるのか」が中心です。
ホンダを見るときは、「戦略見直し後も本業の競争力が十分あるのか」が中心になります。
つまり日産は再建株として見る要素が強く、ホンダは戦略修正後の再評価候補株として見る余地がある、ということです。
もちろん、これはホンダのほうが簡単だと言っているわけではありません。
ホンダにも、後で詳しく触れるように、競争力や製品戦略、EV目標の後退、財務負担など多くの論点があります。
ただ、少なくとも「赤字の中身がまったく違う」ということを理解するだけで、ホンダの見え方はかなり変わります。
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第3章 なぜホンダはここまで大きな損失を出したのかをわかりやすく解説
次に、なぜホンダがここまで大きな損失を出す必要があったのかを掘り下げます。
ここで重要なのは、ホンダが単にEV市場の鈍化に驚いただけではない、という点です。
むしろ、EV投資の前提と、自社の競争条件の両方を見直した結果だと考えたほうがよいです。
Reutersは、ホンダがカナダで計画していた約110億ドル規模のEV・電池プロジェクトを無期限凍結したと報じています。
また、北米向けEV3モデルを中止し、2030年のEV比率目標を30%から20%へ引き下げたとも伝えています。
さらにFTは、ホンダが以前掲げていた「2040年までに新車販売をすべてEVまたは燃料電池車へ」という長期コミットメントも事実上後退させたと伝えています。
これはかなり大きな方針転換です。
では、なぜここまで引き返したのか。
背景には、やはり需要の読み違いがあります。
ホンダ自身の決算説明でも、EV需要の伸びが想定より弱いことが明確に示されています。
AP通信は、米国での政策支援縮小や、EV規制の緩和、補助金・インフラ投資の後退などがホンダの想定を崩したと報じています。
つまりホンダは、かなり積極的にEVへ舵を切っていたものの、肝心の市場側がそこまでのスピードで伸びなかったのです。
ここでさらに重要なのは、ホンダの経営陣が今回の失敗を「外部環境のせいだけ」とは言っていないことです。
FTによると、三部社長は、問題は単なる市場鈍化だけでなく、コスト競争力や製品競争力にも課題があることを認めています。
つまり、ホンダの赤字は「政策が悪かった」「トランプ政権が悪かった」だけではない。
自社のEV戦略や商品設計、競争ポジションそのものにも見直しが必要だった、ということです。
投資家にとって、この認識はかなり重要です。
もし外部要因だけなら、環境が戻れば回復しやすい。
しかし、内部競争力にも問題があるなら、回復には時間がかかります。
今回のホンダは、この両方が混ざっています。
だからこそ、「一時的な赤字」とだけ言うのも、「完全に構造崩壊」とだけ言うのも、どちらも不十分です。
第4章 ホンダに期待できるところを投資家目線でわかりやすく解説
ここからは、投資家がホンダに対してどこを前向きに見られるのかを整理します。
赤字ニュースばかり追っていると悲観一色になりやすいですが、ホンダにははっきりした強みがあります。
1. EV損失を除けば、本業の収益力はまだ大きい
まず、これは非常に大きいです。
決算説明資料でホンダは、2026年3月期の営業損失4143億円に対して、EV関連損失を除いたベースの営業利益は1兆393億円だったと説明しています。
これは、ホンダの通常事業が完全に壊れているわけではないことを示しています。
もちろん、この「除けば」は会計上の仮定ですし、EVを除外してよいわけではありません。
それでも、投資家目線では、会社全体の基礎体力がまだ残っていることを確認できるのは大きいです。
2. 二輪事業が非常に強い
AP通信は、ホンダの二輪販売が2210万台と非常に高水準で、インドやブラジルなどを中心に強い収益源になっていると報じています。
Reutersも、ホンダの今期黒字回復見通しの背景として、二輪事業の強さを明確に挙げています。
四輪だけで苦しむ自動車会社と違い、ホンダは二輪という世界的な収益基盤を持っています。
これは、投資家がホンダを日産より高く評価しやすい大きな理由の一つです。
3. ハイブリッドへ軸足を戻せる柔軟性がある
Reutersは、ホンダが今後15の新しいハイブリッドモデルを2030年までに投入する計画を示し、完全EV一本足ではなく、ハイブリッド、ガソリン、EVのバランス戦略へ戻ると報じています。
これは投資家にとって前向きです。
なぜなら、EV市場が想定ほど伸びない中で、ハイブリッドは現実的に利益を取りやすい移行技術だからです。
トヨタが強い理由の一つも、まさにこの「いきなり全部EVにしなかった柔軟性」にありました。
ホンダがここへ戻るなら、収益の安定度はかなり改善余地があります。
4. 会社が問題を先送りせず、大きく損失処理した
これは意外と大事です。
ホンダは今回、かなり大きな損失を出してでも、北米EV計画やカナダ案件を見直しました。
これは短期的には痛いですが、投資家目線では「悪いものを引きずらない」という評価もできます。
将来の見通しが崩れているのに、会計上のきれいさを優先して損失処理を遅らせる企業より、前倒しで出す企業のほうが、その後の数字は読みやすくなります。
今回はその意味で、「非常に痛いが、必要な膿出しだった」と前向きに見る余地があります。
5. 株主還元姿勢を維持している
Reutersによると、ホンダは今回の大赤字でも年間70円配当を維持し、さらに3年間で8000億円以上の株主還元方針を維持するとしています。
株価が決算発表後に上昇した背景の一つも、まさにこの還元姿勢でした。
もちろん、還元を維持すること自体がすべて正しいとは限りません。
ただ、投資家にとっては「会社が資本市場との約束を重視している」という意味で安心材料になります。
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投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
第5章 ホンダで注意すべきところを投資家目線でわかりやすく解説
一方で、ホンダに対してはかなりはっきりした注意点もあります。
投資家が今後確認しなければならないのは、むしろこちらです。
1. EV戦略の後退が「柔軟な修正」で終わるのか、「競争力不足の露呈」なのか
これは最大の論点です。
EV目標を下げ、カナダ案件を凍結し、北米EV3モデルを中止したことは、一見すると合理的な見直しに見えます。
しかしFTが報じたように、経営陣自身がコスト競争力や製品競争力の問題に言及している以上、これは単なる市場環境対応だけでは済みません。
もしホンダが「EV市場が遅いから後ろに下がった」だけなら再起はしやすい。
でも、「ホンダのEV商品自体が強くなかった」のであれば、問題はもっと深いです。
2. 四輪事業単体の競争力をまだ楽観できない
APは、ホンダの自動車販売台数が370万台から340万台へ減少したと報じています。
つまり二輪は強くても、四輪は明確に逆風を受けています。
投資家がホンダに期待するのは、最終的にはやはり四輪の再成長です。
二輪だけで会社全体の高評価を支えるには限界があります。
したがって、四輪販売の下げ止まり、新型車の競争力、北米・中国での商品ポジションは引き続き注視が必要です。
3. EV損失が「今回で終わり」とはまだ言い切れない
今回の損失は大きかったですが、それで全て終わった保証はありません。
もし今後もEV需要の伸びがさらに弱ければ、追加的な見直しや投資抑制が必要になる可能性があります。
また、凍結したカナダ案件をどう扱うのか、北米の電動化をどこまで続けるのかも不透明です。
一回大きく損失を出したからすぐ安心、というのは少し危険です。
4. ホンダが「何で将来稼ぐか」が再定義の途中にある
これも大きいです。
今後ホンダは、ハイブリッド、二輪、ソフトウェア、電動化のどこに重心を置くのか。
方向性としては見え始めていますが、まだ数字での裏付けは十分ではありません。
投資家が本当に安心したいのは、
EVを縮小したあと、何が新しい利益ドライバーになるのか
です。
そこがまだ過渡期なので、決算が良かったからといってすぐに安心して長期保有できる状態とは言えません。
5. 日産との比較で「マシだから買い」という発想は危険
比較すると、たしかにホンダのほうが日産より基礎体力があり、二輪やハイブリッドの余地もあります。
しかし、それはあくまで比較の話です。
「日産よりましだからホンダを買う」という投資判断は危険です。
本来見るべきは、ホンダ単体での収益力、戦略の実効性、四輪の回復力です。
比較は補助線であって、投資理由の中心にはできません。
第6章 投資するなら、ホンダは何がどうなってからがよいのかを具体的に解説
ここからは、かなり実践的にいきます。
ホンダに投資するなら、私は少なくとも次の5つの条件のうち複数が確認できてからのほうがよいと考えます。
条件1 EV損失を除いた本業の利益が、複数四半期連続で安定していること
まず、これが最優先です。
ホンダは今回、EV損失を除けば1兆円超の営業利益水準があったと説明しています。
ならば投資家としては、その「除いたベース」の強さが本当に続くのかを確認したいです。
単発の四半期だけでなく、複数四半期連続で本業利益が安定していることが重要です。
とくに、EV関連損失が縮小する中で営業利益率がどの程度改善するかを見たいです。
条件2 四輪販売の下げ止まりが見えること
二輪が強いのは安心材料ですが、四輪が弱いままではホンダ株の本格再評価には限界があります。
投資するなら、
北米・日本・アジアでの四輪販売台数が下げ止まり、できれば主要モデルが販売回復すること
を確認したいです。
新型ハイブリッド車やSUVなどの販売が数字で改善してくるなら、再評価しやすくなります。
条件3 ハイブリッド戦略の具体策が数字で見えること
「ハイブリッド重視へ戻る」と言うだけでは不十分です。
投資家は、
どの地域で、どのモデルを、どれくらい売るのか
それによって利益率がどれくらい改善するのか
を見たいです。
もしホンダが15の新ハイブリッドモデル投入を着実に進め、北米などで収益回復が見えてくるなら、それはかなり強いプラス材料です。
条件4 新しい中長期戦略に説得力があること
Reutersは、ホンダが今後、新しい長期戦略を示す考えだと伝えています。
投資するなら、この内容はかなり重要です。
ポイントは、
EVを減らしたあとの成長ストーリーがあるか
二輪・ハイブリッド・ソフトウェアをどう組み合わせるか
それが単なる言葉ではなく、投資額や販売計画に落ちているか
です。
つまり、会社が「次に何で勝つのか」を明確に示せるかどうかが分岐点になります。
条件5 黒字予想の根拠が納得できること
Reutersによると、ホンダは2027年3月期に2600億円の純利益を見込んでいます。
これはかなりの回復です。
ただし、投資するなら「黒字予想が出たから」ではなく、
なぜ黒字になれるのか
の中身を確認する必要があります。
コスト削減なのか。
四輪回復なのか。
二輪の増益なのか。
為替前提はどうか。
関税リスクはどこまで織り込んでいるのか。
これらが納得できて初めて、予想は投資判断に値します。
要するに、投資するなら
「赤字の底打ち」ではなく、「修正後戦略の成功が数字で見え始めた段階」
からのほうが現実的です。
一番安いところを狙う必要はありません。
ホンダのような大型株では、確度の高い改善を確認してからでも投資妙味は十分あります。
第7章 逆に、まだ投資を急がないほうがよいケースをわかりやすく解説
では、どんな状態ならまだ投資を急がないほうがよいのでしょうか。
これも整理しておきます。
一つ目は、黒字予想が出ていても、その大半がコスト削減だけに依存している場合です。
コスト削減は大事ですが、売れる商品が伴わないと長続きしません。
営業黒字回復の中身が、単なる「縮小均衡の成果」なら、株価の持続的な再評価にはつながりにくいです。
二つ目は、四輪販売がなお減り続けている場合です。
二輪が支えても、四輪が弱いままだと、ホンダ全体の投資ストーリーは細くなります。
新型車が出てもシェア回復が見えないなら、慎重であるべきです。
三つ目は、EV縮小後の新戦略が曖昧な場合です。
「EVはやめる」「ハイブリッドを増やす」だけでは足りません。
それをどの地域・どの価格帯・どの利益率で実現するのかまで見えないなら、まだ投資を急がなくてよいです。
四つ目は、政策や関税など外部環境への前提が楽観的すぎる場合です。
ホンダは外部環境の影響をかなり受けています。
今後の見通しが、米国政策や関税を甘く見ているなら、予想は簡単に崩れます。
第8章 今回のニュースから投資初心者が学ぶべきことをわかりやすく解説
最後に、このホンダのニュースから学べることを整理します。
一つ目は、同じ巨額赤字でも中身が違えば投資判断は変わるということです。
ホンダと日産はどちらも赤字ですが、ホンダはEV戦略見直しによる大型損失、日産は再建費用と本業の弱さがより前面に出ています。
この違いを見ずに「赤字企業は全部危険」とまとめるのは雑すぎます。
二つ目は、営業赤字でも“本業の体力”は別途見る必要があるということです。
ホンダはEV損失を除けば営業利益1兆円規模の力があったと説明しています。
この情報をどう見るかで、ニュースの印象はかなり変わります。
三つ目は、大きな損失処理は、危機のサインでもあり、再出発の前提でもあるということです。
今回のホンダは、その両方です。
赤字だけ見れば危険。
でも損失を出して戦略を修正したこと自体は、前向きにも読めます。
この二面性を理解することが大切です。
四つ目は、投資するなら“今が安いか”より“改善条件がそろったか”を確認すべきということです。
ホンダのような銘柄では、最安値を当てにいくより、
- 本業利益の安定
- 四輪販売の下げ止まり
- ハイブリッド戦略の具体化
- 黒字回復の根拠の明確化
を確認してからのほうが失敗しにくいです。
おわりに
ホンダの巨額赤字は、見出しだけ見ればかなり衝撃的です。
しかし中身を見ると、その中心はEV戦略見直しに伴う巨額の損失処理であり、日産のように「まず本業の再建が急務」というタイプとは少し違います。
ホンダには、二輪の強さ、ハイブリッドへの現実的な修正余地、EV損失を除いた本業の収益力といった期待材料があります。
一方で、四輪競争力の再確認、EV後の成長戦略の再定義、新しい中長期方針の説得力といった注意点もはっきりしています。
今回の結論を一言でまとめると、
ホンダは今、日産のような再建株として見るより、「EV戦略の失速で大きな痛みを出したあとに、本業の強さを再評価できるかが問われる銘柄」として見るべき
です。
そして投資するなら、
EV損失を除いた本業の利益安定、四輪販売の下げ止まり、ハイブリッド戦略の具体化、新しい長期戦略の説得力
が見えてからのほうが、かなり現実的です。
【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長




