
【2026年TOPIX再編】新規組み入れ35社&除外683銘柄の全貌!初心者向け完全攻略ガイド
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
第1章:TOPIX再編の全体像と市場改革のねらい
1. TOPIX(東証株価指数)とは何か?
TOPIXは、日本の株式市場全体の値動きを示す代表的な株価指数です。「日経平均株価」が日本の代表的な225銘柄の株価を単純平均した指標であるのに対し、TOPIXは「対象銘柄の浮動株時価総額(実際に市場で流通している株式の価値の合計)」をもとに算出される時価総額加重型の指数です。
日本の公的年金(GPIF)をはじめとする機関投資家や、国内外のインデックスファンドは、日本株運用の基準(ベンチマーク)としてTOPIXを広く採用しています。TOPIXに組み入れられるということは、世界中の巨額なパッシブ運用資金から自動的かつ継続的に買われる対象になることを意味します。
2. なぜ今、TOPIXの大改革が行われているのか?
従来のTOPIXには「旧・東証1部(現プライム市場)に上場していれば、企業の規模や取引のしやすさ(流動性)に関わらず原則として全銘柄が組み入れられる」という構造的課題がありました。その結果、取引があまり行われない低流動性銘柄や成長が停滞している企業までが指数に含まれ、日本市場全体の資本効率や魅力を低下させているとの批判が国内外の投資家から寄せられていました。
そこで東京証券取引所およびJPX総研は、以下の2点を柱とした大規模な再編(第2段階改革)に着手しました。
指数の質の向上(機能性強化): 規模や流動性が高く、日本市場を代表するにふさわしい企業を厳選する。
市場区分の枠組み撤廃: プライム市場だけでなく、スタンダード市場やグロース市場からも成長性の高い優れた企業を公平に評価・組み入れる。
第2章:新規組み入れ35銘柄の分類と詳細分析
今回の定期入替において、プライム以外の市場(スタンダード23銘柄・グロース12銘柄)から実力派の35銘柄が新たにTOPIXへ採用されました(2026年10月30日反映)。
新規組み入れにあたっては、需給の過度な偏りを抑えるため一律「調整係数0.75」を乗じて指数に算出されます。これらの企業はビジネスモデルや産業分野ごとに5つのカテゴリーに分けられます。
1. 新規組み入れ35銘柄の全体一覧
| 証券コード | 銘柄名 | 市場 | 時価総額規模 | 主な事業内容・選定のポイント |
| 2702 | 日本マクドナルドHD | スタンダード | 1兆円超 | 外食チェーン最大手。圧倒的な店舗網と不動産・FC基盤。 |
| 6890 | フェローテックHD | スタンダード | 6,000億円台 | 半導体製造装置向け真空シールやマテリアル大手。 |
| 4816 | 東映アニメーション | スタンダード | 6,000億円台 | ドラゴンボールやONE PIECE等、強力なグローバルIP保有。 |
| 141A | トライアルHD | グロース | 4,000億円台 | IT・リテールAIを活用したディスカウントストア展開。 |
| 6960 | フクダ電子 | スタンダード | 4,000億円台 | AEDや在宅医療機器・医療電子機器の大手。 |
| 7564 | ワークマン | スタンダード | 4,000億円台 | 機能性カジュアルウェア「ワークマンプラス」等の展開。 |
| 4966 | 上村工業 | スタンダード | 4,000億円台 | プリント基板・半導体用めっき薬品および装置大手。 |
| 9436 | 沖縄セルラー電話 | スタンダード | 3,000億円台 | 沖縄県内で高いシェアを保持する通信事業者(KDDI系)。 |
| 7806 | MTG | グロース | 3,000億円台 | 「ReFa」「SIXPAD」など美容・健康機器ブランド展開。 |
| 6834 | 精工技研 | スタンダード | 3,000億円台 | 光ファイバ用コネクタ研磨機や精密成形金型。 |
| 2782 | セリア | スタンダード | 3,000億円台 | デザイン性の高い100円ショップを展開。高い収益性。 |
| 581A | GO | グロース | 3,000億円台 | 国内最大手タクシー配車アプリ「GO」の運営。 |
| 6777 | santec HD | スタンダード | 3,000億円台 | 光通信用測定器や医療用OCT光源の専門メーカー。 |
| 7716 | ナカニシ | スタンダード | 2,000億円台 | 歯科用ハンドピース(治療用ドリル)で世界高シェア。 |
| 485A | パワーエックス | グロース | 2,000億円台 | 産業用大型蓄電池の製造・EV急速充電インフラ展開。 |
| 6736 | サン電子 | スタンダード | 2,000億円台 | パチンコホール機器および捜査支援ツール(Cellebrite)。 |
| 2160 | ジーエヌアイグループ | グロース | 2,000億円台 | 米中に展開する特発性肺線維症(IPF)治療薬創薬バイオ。 |
| 7906 | ヨネックス | スタンダード | 2,000億円台 | バドミントン・テニス用品。世界的なブランド力。 |
| 4478 | フリー | グロース | 2,000億円台 | クラウド会計ソフト「freee」等のSaaS提供。 |
| 290A | Synspective | グロース | 2,000億円台 | 小型SAR衛星による地球観測・データ解析ソリューション。 |
| 4107 | 伊勢化学工業 | スタンダード | 2,000億円台 | ヨウ素生産で世界有数規模(AGCグループ)。 |
| 4588 | オンコリスバイオ | グロース | 1,000億円台 | がん治療ウイルス製剤「テロメライシン」開発。 |
| 2805 | ヱスビー食品 | スタンダード | 1,000億円台 | カレー粉、各種スパイス、生わさびの国内大手。 |
| 6366 | 千代田化工建設 | スタンダード | 1,000億円台 | 総合プラント大手。LNGプラントや水素・脱炭素分野。 |
| 186A | アストロスケールHD | グロース | 1,000億円台 | 宇宙ゴミ(デブリ)除去サービスや軌道上サービス。 |
| 7287 | 日本精機 | スタンダード | 1,000億円台 | 自動車用計器(スピードメーター等)の大手。 |
| 6227 | AIメカテック | スタンダード | 1,000億円台 | 半導体パッケージおよびディスプレイ製造装置。 |
| 1723 | 日本電技 | スタンダード | 1,000億円台 | ビル・工場の自動制御(計装工事)最大手クラス。 |
| 1965 | テクノ菱和 | スタンダード | 1,000億円台 | 空調設備工事大手。クリーンルーム施工に強み。 |
| 215A | タイミー | グロース | 1,000億円台 | スキマバイトアプリ「タイミー」による人手不足解消。 |
| 593A | ティアフォー | グロース | 1,000億円台 | 自動運転OS「Autoware」開発を主導するディープテック。 |
| 8117 | 中央自動車工業 | スタンダード | 1,000億円台 | 新車向けボディコーティング剤およびカー用品。 |
| 5161 | 西川ゴム工業 | スタンダード | 1,000億円台 | 自動車用ドアシール(ウエザーストリップ)大手。 |
| 8508 | Jトラスト | スタンダード | 1,000億円台 | 日本・韓国・東南アジアでの銀行・金融事業。 |
| 6613 | QDレーザ | グロース | 1,000億円未満 | 量子ドットレーザー技術および網膜走査型アイウェア。 |
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2. カテゴリー別の特徴と強み
① 知名度の高い外食・消費財・大手サービス(6社)
生活に密着したサービスを展開し、強いブランド力と安定したキャッシュフローを誇る企業群です。
日本マクドナルドHD (2702): 国内外食チェーンの頂点。不動産管理とFC展開による安定した高収益構造に加え、アプリを通じたデジタル施策が奏功。
ワークマン (7564): 作業服専門店から一般向け高機能ウェアへと領域を拡張。データ駆動型の在庫管理と高コスパ製品群が強み。
セリア (2782): 100円ショップ大手。徹底したデータ管理による需要予測とデザイン性の高さで独自の客層を確立。
ヨネックス (7906): バドミントンラケットで世界トップシェア。カーボン成形技術と海外スポーツ市場でのブランド確立が特徴。
ヱスビー食品 (2805): スパイス・調味料の老舗。高いシェアと強い顧客ロイヤルティを背景に価格転嫁力を発揮。
MTG (7806): 「ReFa」「SIXPAD」など、美容・健康の分野で独自のブランドとダイレクトマーケティングモデルを展開。
② 次世代プラットフォーム・新領域(7社)
テクノロジーで社会課題を解決し、今後の日本市場の成長を牽引するスタートアップ・ディープテック企業群です。
GO (581A): 国内最大級のモビリティプラットフォーム。配車アプリのネットワーク効果に加え、GX・DX領域へ拡張。
タイミー (215A): スキマバイト市場を急速開拓。人手不足に悩む事業者とギグワーカーを即時に結びつけるマッチング技術。
フリー (4478): クラウド会計・人事労務SaaSのパイオニア。スモールビジネスのバックオフィス業務デジタル化を一手に担う。
アストロスケールHD (186A): 宇宙ゴミ(デブリ)除去や人工衛星の寿命延長を行う軌道上サービスを開拓する宇宙ベンチャー。
Synspective (290A): 小型SAR衛星(合成開口レーダー)の製造・運用により、天候に左右されない地球観測データ解析を提供。
パワーエックス (485A): 大型蓄電池の製造・販売とEV急速充電インフラの構築を手掛け、再生可能エネルギーの普及を支援。
ティアフォー (593A): オープンソースの自動運転OS「Autoware」の開発を主導する、世界の自動運転プラットフォームの有力企業。
③ グローバルニッチトップ&ハイテク製造業(10社)
世界市場や最先端分野で高い市場占有率と技術力を保持するBtoBメーカー群です。
フェローテックHD (6890): 半導体製造装置向けの真空シールやマテリアルで世界高シェア。半導体市場の拡大が追い風。
ナカニシ (7716): 歯科用ハンドピース(治療用ドリル)で世界トップクラス。超精密加工技術が生む高利益率が強み。
伊勢化学工業 (4107): 天然ガス副生水から世界のヨウ素市場の大部分を供給。ペロブスカイト太陽電池材料としての期待も高い。
santec HD (6777): 光通信用測定器や医療用断層撮影(OCT)用光源の専門メーカー。データセンター需要が拡大。
QDレーザ (6613): 量子ドットレーザー技術を実用化。高速通信から網膜走査型の医療・アイウェア領域まで展開。
上村工業 (4966): プリント基板・半導体パッケージ用めっき薬品と装着用機器を一括提供する電子材料メーカー。
精工技研 (6834): 光ファイバ用コネクタ研磨機や精密金型を手掛け、次世代通信インフラ構築を支える。
AIメカテック (6227): 先端半導体パッケージ(CoWoS等)や次世代ディスプレイ向けの微細接合装置を展開。
西川ゴム工業 (5161): 自動車のドア部分のシール部材(ウエザーストリップ)専門。高い耐久性と成形技術。
中央自動車工業 (8117): 自動車用ボディコーティング剤の開発・販売。高粗利益率のストック型ビジネスを展開。
④ エンタメ・通信・ヘルスケア・小売(6社)
東映アニメーション (4816): 『ドラゴンボール』『ONE PIECE』等の世界的大ヒットIPを活用した二次利用・ライセンス事業。
トライアルHD (141A): 九州を起点とするディスカウントストア。AIカメラやスマートショッピングカートによる店舗DX。
沖縄セルラー電話 (9436): 沖縄県内でauブランドを展開し圧倒的なシェアを保持。安定したキャッシュフローと高配当。
サン電子 (6736): パチンコ周辺機器に加え、子会社Cellebriteを通じた世界の捜査機関向けフォレンジック(デジタル鑑識)ツール展開。
ジーエヌアイグループ (2160): 中国・米国で特発性肺線維症(IPF)治療薬などを開発・販売するパイプライン豊富な創薬バイオ。
オンコリスバイオファーマ (4588): がん治療ウイルス製剤「テロメライシン」など、先端がん領域の創薬パイプラインを開発。
⑤ 設備・プラント・金融インフラ(4社)
テクノ菱和 (1965): 空調設備工事大手。特に半導体や医薬品工場向けの精密クリーンルーム施工に強み。
日本電技 (1723): 計装(ビルや工場の自動制御システム)施工の最大手クラス。スマートビルの省エネ需要を獲得。
千代田化工建設 (6366): 総合プラント大手。LNGプラント建設の実績に加え、水素やアンモニアなど次世代エネルギー分野へ注力。
Jトラスト (8508): 日本、韓国、東南アジア(インドネシア・カンボジア)で銀行業や小口金融事業を展開。
第3章:移行措置683銘柄の構造と除外スケジュール
一方で、流通株式時価総額や売買代金(流動性)の継続基準を満たせなかった683銘柄は「段階的減量・除外(移行措置)」の対象となりました。
市場のパニック売り(急激な株価落落)を回避するため、東証は2026年10月から約2年をかけて全8回(四半期ごと)に分け、機械的に指数ウェイトを低減していきます。
1. 減量・除外のタイムライン
2. 移行措置(683銘柄)に含まれる主な企業例
旧プライム市場やスタンダード市場に上場しているものの、流動性や時価総額の基準から移行措置に指定された代表的な企業です。
極洋 (1301): 水産・食品大手(旧プライム)
雪国まいたけ (1375): 舞茸・キノコ栽培大手(旧プライム)
カネコ種苗 (1376): 農産種苗・農業資材(スタンダード)
DM三井製糖HD (2109): 砂糖製造最大手(旧プライム)
アルペン (3028): スポーツ用品店チェーン大手(旧プライム)
エクセディ (7278): 自動車用駆動系部品(マニュアルクラッチ等)大手(旧プライム)
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第4章:投資戦略における「重要な見極めポイント」
TOPIX再編は、単なる指数の入れ替えにとどまらず、個別の株式投資や資産運用に大きな売買チャンスとリスクをもたらします。見極めるべきポイントは以下の3点です。
1. 需給インパクト(インデックス買い/売りの影響)
新規組み入れ銘柄: 2026年10月末に向けて、TOPIX連動ファンドからの買い注文が集まります。特に時価総額が大きく浮動株比率が高い企業(マクドナルドHD、フェローテックHD、東映アニメーションなど)には巨額の資金が流入します。ただし、組み入れ完了直後は「材料出尽くし」による反落リスクに注意が必要です。
移行措置銘柄: 四半期ごとに機械的な売り圧力がかかります。ファンダメンタルズ(業績)が良好であっても、資金流出によって株価が軟調に推移する場面が生じます。
2. 2027年10月「中間評価」での逆転劇(見直し買い)
移行措置に指定された683銘柄の中でも、キャッシュを潤沢に保有する企業や上場維持への意欲が高い企業は、2027年10月の中間評価に向けて以下の株主還元策・構造改革を集中して打ち出す可能性が高まります。
大規模な自社株買い・消却(流通株式比率および株価の引き上げ)
大幅増配・配当方針の変更(DOE基準の導入など)
親会社による完全子会社化(TOB)やMBO(株式非公開化)
市場の売り圧力によって過度に割安(PBR1倍割れや高配当利回り)放置された銘柄が、こうした施策によって「TOPIX残留決定」となった場合、強力な買い戻し(リバウンド)が発生する局面が考えられます。
3. バリュエーションとファンダメンタルズの精査(注目割安銘柄の例)
指数組み入れ・除外といった「イベント」だけに目を奪われず、企業本来の稼ぐ力(PER)や解散価値(PBR)、配当利回りを精査することが重要です。
例えば、新規組み入れ銘柄の中にも、以下のように優れたファンダメンタルズと割安感を兼ね備えた企業が存在します。
| 証券コード | 銘柄名 | PBR | PER | 予想配当利回り | 分析・注目ポイント |
| 5161 | 西川ゴム工業 | 0.5倍割れ | 約9〜11倍 | 約3.5〜4.0% | 極めて高い資産解散価値。PBR1倍割れ改善策への期待。 |
| 1965 | テクノ菱和 | 約0.8〜0.9倍 | 約10〜12倍 | 約3.8〜4.2% | 半導体クリーンルーム需要で業績好調。解散価値以下で高配当。 |
| 8117 | 中央自動車工業 | 約0.9〜1.0倍 | 約11〜13倍 | 約3.5〜3.8% | 高粗利率コーティング事業。無負債で潤沢な手元資金。 |
| 9436 | 沖縄セルラー電話 | 約1.2〜1.3倍 | 約11〜12倍 | 約3.8〜4.0% | 長期の連続増配実績。沖縄市場で圧倒的シェアを誇るディフェンシブ株。 |
| 2805 | ヱスビー食品 | 約0.8〜0.9倍 | 約12〜14倍 | 約2.0〜2.5% | 強いブランド力を持つ老舗食品。価格転嫁による収益向上期待。 |
第5章:金融・投資知識の重要性
今回のTOPIX再編という巨大な市場の動きは、私たち個人に「金融・投資の知識を持つことの重要性」を強く示唆しています。
1. 制度の仕組みを知る者が有利になる
株式市場の値動きは、企業の業績だけで決まるわけではありません。「インデックスファンドがルールに従って機械的に売買する」といった構造や制度の仕組み(需給ダイナミクス)を知っている投資家は、無用な動揺を避け、割安に放置された優良企業を見つけ出すことができます。
2. インデックス投資(つみたてNISA等)への理解が深まる
世界中・日本中の投資家が利用している「TOPIX連動型の投資信託」を購入している場合、自分の資金がどのような基準で企業へ投資され、どのような銘柄が入れ替わっているのかを理解することは、長期投資を安心して継続するための揺るぎない土台となります。
3. 主体的な資産形成への第一歩
ニュースやSNSの情報に流されるのではなく、「なぜその株が買われているのか」「なぜ売られているのか」を論理的に解釈できる知識(金融リテラシー)こそが、不確実な経済環境の中で自分自身と資産を守り、着実に増やしていくための最大の武器となります。
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