ドローン革命の最前線!物流・点検・ショー・防衛で広がる巨大市場

ドローンは「空撮」から社会インフラ・防衛へ

ドローンは、空撮や趣味で使われる小型無人航空機から、産業や社会を支える重要な技術へと進化している。測量やインフラ点検、農業、物流、防災、警備に加え、多数の機体を飛ばすドローンショーや、防衛分野での偵察・監視・迎撃など、用途は急速に広がっている。日本でも国産ドローンや運航管理システムへの関心が高まり、海外では防衛用無人機の需要が拡大している。今回は、こうしたドローン市場の最新動向を整理しながら、日本のTerra Droneと米国のAeroVironmentという2社を取り上げ、ドローン産業の現在地を探る。

順位会社名国・地域上場直近通期売上高主なドローン事業
1AeroVironment米国NASDAQ約19.8億ドル(2026年4月期)軍事用無人機、Switchbladeなど
2Parrotフランス非上場約2億ユーロ規模産業用・防衛用ドローン
3EHang中国NASDAQ約4.18億元(2025年12月期)自律飛行型UAV、eVTOL
4Terra Drone日本東証グロース・278A47.8億円(2026年1月期)産業用ドローン、測量・点検
5ideaForge TechnologyインドNSE/BSE約400億ルピー規模(2026年3月期)防衛・監視用UAV

ドローンは「空飛ぶ機械」から社会インフラへ 産業・ショー・防衛で広がる最新市場

かつてドローンといえば、空撮を楽しむための小型無人航空機というイメージが強かった。しかし現在、その用途は大きく広がっている。測量やインフラ点検、農業、物流、防災、映像制作に加え、夜空を彩るドローンショー、さらに安全保障分野で利用される防衛用ドローンまで、用途によって機体の形状や性能、必要とされる技術は大きく異なる。

国内市場も拡大している。インプレス総合研究所によると、2025年度の国内ドローンビジネス市場は前年度比13.8%増の4,973億円と推計され、2030年度には9,544億円まで拡大すると予測されている。特に注目したいのは、機体を販売する「機体市場」だけではなく、ドローンを使って測量や点検などの業務を行う「サービス市場」が大きな市場を形成している点だ。2025年度のサービス市場は2,711億円、機体市場は1,227億円とされている。

産業用ドローンの代表的な用途が、建設現場やインフラの点検、測量だ。人が高所や危険な場所へ直接行く代わりに、カメラやセンサーを搭載したドローンを飛ばし、画像やデータを収集する。橋梁、送電線、工場、プラント、太陽光発電設備など、これまで人手に頼っていた作業を効率化できる可能性がある。災害現場でも、道路が寸断された地域や立ち入りが難しい場所を上空から確認する用途が期待される。

農業も重要な市場だ。農薬散布や生育状況の確認などにドローンが利用されており、農業従事者の高齢化や人手不足への対応という面でも注目されている。物流分野では、離島や山間部などへの配送を念頭に、ドローンによる無人配送の実証が進められている。ドローンは単に「飛ぶ機械」ではなく、人手不足を補うための業務インフラとして位置付けられ始めている。

さらに近年存在感を増しているのが、ドローンショーだ。多数のドローンを夜空に飛ばし、それぞれの位置や光をコンピューターで制御することで、巨大な文字やキャラクター、企業ロゴ、立体的な演出などを描く。花火とは異なり、繰り返し同じ演出を行ったり、音楽と組み合わせたりできる点も特徴だ。イベント、観光、スポーツ、企業プロモーションなど活用範囲は広い。

ドローンショーでは、単純に機体を大量に用意するだけでは成立しない。飛行制御、通信、位置情報、LED、バッテリー、群制御など複数の技術を組み合わせる必要がある。そのため、ドローン市場を見る際には「機体メーカー」だけでなく、運航管理システムやソフトウエア、通信技術を持つ企業にも目を向ける必要がある。

そして2026年に特に大きな変化が起きているのが、防衛分野だ。ドローンは戦場での偵察、監視、通信、攻撃などに使われるようになり、ウクライナなどでの戦闘を通じて、その存在感が高まっている。日本でも防衛装備庁が2026年6月に「迎撃ドローン早期取得プログラム」を開始しており、無人航空機を防衛装備として迅速に導入する動きが進んでいる。防衛装備庁の公式サイトでも同プログラムが掲載されている。

2026年8月には、防衛装備庁がテラドローンと国産迎撃ドローン「Terra B1」の量産調達契約を締結したことが明らかになった。7月から8月にかけて実証試験が行われ、その結果を踏まえて量産段階へ進んだという。これは、日本のドローン産業にとっても大きな転換点となり得る動きだ。

さらに9月には、テラドローンが防衛ドローン向けの飛行制御装置「Terra DFC」を自社開発し、国産化すると発表した。防衛装備庁から受注した汎用型防衛ドローンへの搭載を前提としたもので、ドローンの「頭脳」にあたる中核部品まで国内で生産する体制の構築を目指している。ドローン本体だけではなく、制御装置や電池などサプライチェーン全体の国産化が重要なテーマになっている。

日本政府も無人機の重要性を高めている。2026年9月には、年末に予定される安全保障関連3文書の改定に向け、長距離攻撃用を含む多様な無人機を配備する構想を政府が検討しているとロイターが報じた。今後、攻撃用だけでなく情報収集、水上、水中など、無人システムの領域が広がる可能性がある。

一方で、ドローンの普及には課題もある。安全な飛行のための制度整備、通信障害やGPSなど測位環境への対応、バッテリー性能、悪天候への対応、操縦者や運航管理人材の確保などだ。防衛用途ではサイバーセキュリティや通信の秘匿性、電子妨害への対応も重要になる。ドローンが社会に深く入り込むほど、「飛ばせること」だけでなく「安全かつ安定して運用できること」が重要になる。

投資という視点から見る場合も、ドローン関連企業を一括りにするのは難しい。機体を製造する企業、飛行制御技術を提供する企業、測量・点検などのサービス企業、通信インフラ企業、防衛関連企業、ドローンショーを手掛ける企業など、ビジネスモデルはさまざまだ。国内上場企業では、ACSL、Terra Drone、Liberaware、ブルーイノベーションなどがドローン関連企業として知られている。

ドローン市場の現在地を理解するうえで重要なのは、「ドローンが売れるか」だけを見ることではない。ドローンを使ってどのような仕事が置き換わるのか、どのようなデータが生まれるのか、そしてそのデータを誰が処理するのかまで見る必要がある。産業用、物流、農業、ドローンショー、防災、防衛――用途が広がるほど、関連する企業や技術も増えていく。

ドローンは、空撮用の小型機から、社会インフラ、防災、エンターテインメント、安全保障を支える無人システムへと姿を変えつつある。2026年は日本でも国産機の量産や防衛用途の導入が具体化し始めた年であり、今後は「どんなドローンが作られるか」だけでなく、「どの産業で、どのように使われるか」に注目することが、ドローン市場を理解する鍵になりそうだ。

用途主な使い方特徴・メリット主な需要先
産業・インフラ点検橋梁、トンネル、送電線、工場、プラントなどを撮影・点検高所・危険箇所の作業を効率化建設、電力、製造、インフラ
測量・建設建設現場の測量、3Dデータ作成、進捗確認人手による測量の効率化建設会社、測量会社、不動産
農業農薬・肥料散布、生育状況の確認人手不足・作業負担を軽減農家、農業法人
物流・配送医薬品、食品、日用品などを無人配送山間部・離島などへの配送に活用物流会社、通販、自治体
防災・災害対応被災地の撮影、捜索、状況確認人が入れない場所を迅速に調査自治体、消防、警察、防災機関
空撮・映像制作映画、テレビ、CM、スポーツなどの撮影ヘリコプターより低コストで空撮可能映像会社、広告会社、メディア
ドローンショー多数のドローンを夜空で編隊飛行させ演出花火とは異なるデジタル演出が可能イベント、観光、企業、自治体
警備・監視施設、工場、発電所などの巡回・監視広いエリアを効率的に監視警備会社、工場、インフラ
防衛・偵察偵察、監視、情報収集人員を危険地域に投入せず情報収集防衛・軍事機関
戦闘・攻撃攻撃用無人機、迎撃ドローンなど無人化による作戦能力の拡大防衛・軍事機関
水上・水中海洋調査、水中点検、監視船舶・潜水作業の代替・補完海運、漁業、エネルギー、防衛
通信・基地局上空から通信環境を提供災害時などの通信確保に活用通信会社、自治体、防災機関
環境・自然調査森林、野生動物、火山などの調査広範囲を効率的に調査研究機関、自治体、環境関連企業
レジャー・ホビー個人による空撮、操縦、競技民生用ドローン市場を形成個人、愛好家、競技団体
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AeroVironmentとは? 戦場を変えるドローンから対ドローン兵器まで手掛ける米国防衛企業

ドローンという言葉から、空撮や測量、農薬散布などに使われる民生用の小型無人航空機を思い浮かべる人は多いだろう。しかし、ドローンは今や安全保障の分野でも重要な存在になっている。その代表的な企業の一つが、米国のAeroVironment(エアロバイロンメント)だ。NASDAQに上場する同社は、無人航空システムを中心とした防衛関連企業として知られ、代表製品の「Switchblade」は、従来の偵察用ドローンとは異なる「徘徊型弾薬」と呼ばれるカテゴリーに属する。

AeroVironmentの歴史は1971年にまでさかのぼる。同社は長年にわたって小型無人航空機の開発に取り組んできたが、現在は事業領域を大きく広げている。2026年時点では、自律システム、精密攻撃システム、対ドローンシステム、宇宙、指向性エネルギー、サイバー・電子戦などを手掛ける防衛テクノロジー企業へと変貌している。つまり「ドローンメーカー」というだけでは、現在のAeroVironmentの事業を十分に表現できない。

同社を代表する製品がSwitchbladeだ。一般的な偵察用ドローンは、カメラなどを搭載して情報収集を行い、必要に応じて帰還する。一方、Switchbladeは標的を探索し、必要なタイミングで攻撃することを想定した徘徊型弾薬である。操縦者が遠隔から運用できることに加え、比較的小型のシステムによって部隊の作戦を支援できることが特徴だ。

特に世界的な注目を集めたのが、ウクライナを巡る戦争だ。無人機が偵察、監視、攻撃などさまざまな用途で使われる状況が報じられ、戦場における無人システムの重要性が広く認識されるようになった。AeroVironmentにとっても、Switchbladeを含む無人システムへの需要は事業を支える重要な要素になっている。2026年8月には、同社が米陸軍からSwitchblade 600について5,100万ドルの追加受注を獲得したと発表している。

ただし、AeroVironmentの成長を語るうえで、Switchbladeだけを見るのは不十分だ。2025年5月には、防衛技術企業BlueHaloの買収を完了した。これによって同社は、宇宙、サイバー、電子戦、指向性エネルギーなどへ事業領域を拡大した。さらに2026年3月にはEmpirical Systems Aerospace(ESAero)も買収している。こうしたM&Aによって、AeroVironmentは「無人機メーカー」から複数の防衛技術を組み合わせて提供する企業へと変化している。

業績にもその変化が表れている。2026年4月期の売上高は19億7,680万ドルとなり、前期の8億2,063万ドルから141%増加した。大幅な増収にはBlueHaloやESAeroの買収による寄与に加え、既存事業における需要増加も影響している。同社の「Autonomous Systems(AxS)」部門の2026年4月期売上高は13億5,810万ドル、「Space, Cyber and Directed Energy(SCDE)」部門は6億1,880万ドルだった。

さらに最新の2027年4月期第1四半期では、売上高が4億8,050万ドルとなり、前年同期比6%増だった。Autonomous Systems部門が3億4,600万ドル、Space, Cyber and Directed Energy部門が1億3,450万ドルを占めている。受注残を示すfunded backlogも15億ドルと、前年同期から37%増加した。

こうした数字から分かるのは、同社がドローン本体を販売するだけのビジネスから、複数の防衛システムを組み合わせる方向へ進んでいることだ。例えば敵のドローンを攻撃する「ドローン」と、そのドローンを探知・迎撃する「対ドローンシステム」は表裏一体の市場である。ドローンが普及すれば、それを防ぐ技術への需要も生まれる。AeroVironmentはこうした両方の領域に事業を広げている。

実際、2026年8月には同社のレーザー兵器システム「LOCUST」が、米陸軍のE-HEL(Enduring-High Energy Laser)プログラムにおける約5億ドル規模の契約に選定されたと発表された。さらに9月には、LOCUSTについて5,000万ドル超の海外初受注を獲得したと発表している。ドローンそのものだけではなく、ドローンを迎撃する技術も同社の重要な事業になりつつある。

一方で、AeroVironmentへの投資を考える際には注意点もある。同社の売上高は政府、とりわけ米国の防衛予算や契約動向に大きく影響される。また、買収によって事業規模が急拡大したため、統合コストや無形資産の償却などが利益に影響する。2026年4月期は大幅増収となった一方、BlueHalo買収に伴う影響などから、単純に売上高の伸びだけで企業価値を判断することはできない。会社側も、政府契約の取得時期や防衛予算、競争環境、買収統合などを業績のリスク要因として挙げている。

また、同社は2027年4月期の通期売上高について21億2,500万~22億2,500万ドルを見込んでいる。ただし、これは会社側の予想であり、政府支出や契約時期、買収統合などによって実績が変動する可能性がある。

ドローン市場を見るとき、民生用と防衛用ではビジネスモデルが大きく異なる。DJIのような企業が空撮・測量など幅広い民生用途で存在感を持つ一方、AeroVironmentは防衛・安全保障という別の市場で成長している。さらに現在は、ドローン、対ドローン、レーザー兵器、宇宙、サイバー、電子戦を組み合わせることで、無人システムを中心とした総合防衛企業へ変化している。

AeroVironmentは、「ドローンを作る会社」という入口から見ると分かりやすい企業だが、その実態はそれ以上に幅広い。無人機の普及によって戦場や安全保障のあり方が変化するなか、同社は攻撃用無人システムだけでなく、対ドローンや宇宙・サイバー領域まで取り込もうとしている。2026年は大規模買収後の事業拡大が本格的に数字へ反映され始めた年でもあり、今後はドローンの生産能力だけでなく、こうした複合的な防衛技術をどこまで事業として統合できるかが、同社を見るうえで重要なポイントになりそうだ。

Terra Droneは、産業用ドローンだけでなく、運航管理システム(UTM)、防衛用ドローン、ドローン向けバッテリーまで事業領域を広げています。2026年の最新動向を中心に、投資コラムとしてまとめます。

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Terra Droneとは? 産業用ドローンから国産迎撃ドローンまで広がる成長戦略

ドローンといえば、空撮や趣味向けの小型機をイメージする人も多い。しかし現在、ドローンは測量、インフラ点検、農業、物流、防災、警備など、さまざまな産業を支える存在へと変わりつつある。そんなドローン市場で、日本発の企業として存在感を高めているのがTerra Drone(テラドローン)だ。東京証券取引所グロース市場に上場する同社は、2024年11月に上場し、証券コードは278A。ドローンを活用した測量・点検サービスだけでなく、ドローンの運航管理システムを手掛け、2026年には防衛分野にも本格参入している。

Terra Droneの特徴は、単純な「ドローンメーカー」ではないことにある。同社はドローンを活用したソリューション事業と、無人航空機の運航管理システム(UTM)を事業の柱としている。UTMとは、複数のドローンを安全かつ効率的に運航するための管理システムだ。ドローンが普及し、目視できない場所を飛行するBVLOS(目視外飛行)や、空を飛ぶ機体が増えていけば、航空機との衝突を避けたり、飛行状況を把握したりする仕組みが不可欠になる。

この分野でTerra Droneが展開する重要な子会社が、ベルギーのUniflyだ。UniflyはUTMを手掛ける企業で、2026年1月には米連邦航空局(FAA)が支援する研究プロジェクトにおいて、ドローンの「検知・回避(DAA)」に関する安全基準の検証を完了した。ドローンが増えれば増えるほど、機体そのものだけでなく「空の交通整理」が重要になるため、UTMはドローン産業のインフラともいえる領域だ。

産業用途では、測量や点検などが中心となる。建設現場の測量、橋梁や設備の点検、インフラの調査などでドローンを活用することで、人が高所や危険な場所へ行く必要性を減らしたり、大量の画像・データを効率的に取得したりできる。ドローンを飛ばすだけではなく、取得したデータを業務に利用できる形にすることが重要であり、こうした「ドローン×データ」の領域がTerra Droneの従来からの事業基盤となっている。

そして2026年、同社を取り巻く環境を大きく変えたのが防衛事業への本格参入だ。Terra Droneは2026年3月、防衛装備品市場への本格参入を発表。その後、ウクライナの防衛テック企業との連携を相次いで進めている。6月にはウクライナのAmazing DronesとWinnyLabを連結子会社化し、短距離・即応型の迎撃ドローン「Terra A1」と、広域・長距離型の固定翼迎撃ドローン「Terra A2」を展開する体制を構築した。さらに、偵察用ドローン「Terra C1」の展開に向け、ウクライナのUAVメーカーBesomarとの合弁会社設立準備も進めている。

防衛分野への進出で特に注目されるのが「迎撃ドローン」だ。近年は低コストの攻撃型無人航空機が安全保障上の脅威となっており、それに対して高価なミサイルだけで対応するのではなく、比較的低コストで運用できる無人機を組み合わせる考え方が広がっている。Terra Droneはこうした市場を背景に、偵察・監視と迎撃を組み合わせた「多層型無人防衛ソリューション」を構築しようとしている。

国内でも大きな進展があった。2026年7月、防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」において、Terra Droneの機体が実証試験の供試器材として選定された。同プログラムには38社から提案があり、国産であることや国内生産基盤があることなどが要件とされた。さらに8月25日には、同社の国産迎撃ドローン「Terra B1」が実証試験を単独で通過し、量産段階へ進んだと発表された。

ここで重要なのは、Terra Droneが「ドローンを売る会社」から「ドローンを中心としたシステム企業」へ変化していることだ。産業用では測量・点検、防衛では偵察・監視・迎撃、さらにUTMによる運航管理まで、異なる用途を横断して事業を展開している。2026年9月には、JAXAの「災害・緊急時等に活用可能な小型無人機を含めた運航管理技術」に関する開発業務を落札したことも公表された。

さらに9月には、防衛分野で高速攻撃型無人機への対応を念頭に、ジェットエンジン搭載のシャヘド向け迎撃ドローンの製品化について検討を本格化すると発表した。これまでの短距離・長距離迎撃ドローンに加えて、高速な脅威に対応するレイヤーを加える構想であり、防衛事業の製品ポートフォリオを広げる動きといえる。

一方、同社は機体だけに依存しない事業構造を目指している。2026年にはドローン向け国産バッテリー事業への本格参入も発表した。ドローンの普及に伴って、機体だけでなくバッテリーなど重要部品の安定調達も課題となる。Terra Droneは、機体メーカーからドローン産業のサプライチェーンを担う企業へ事業領域を広げる方針を示している。

もちろん、事業拡大にはリスクもある。防衛事業はまだ新しい領域であり、同社自身も2026年6月時点では、ウクライナ企業の子会社化などによる2027年1月期の連結業績への影響は限定的と説明している。また、ドローン産業では各国の飛行規制や安全基準、通信環境、機体の信頼性などが事業拡大の条件となる。UTMについても、国や地域によって制度や運用ルールが異なるため、海外展開には規制対応が欠かせない。

Terra Droneを見るうえで興味深いのは、ドローンという一つの技術を「産業」「空域管理」「防衛」「部品」という複数の市場へ展開している点だ。ドローンの用途が空撮だけだった時代には、機体性能や価格が競争力を左右した。しかし、産業利用が進み、さらに防衛用途が拡大すると、機体、ソフトウエア、通信、データ、運航管理、部品供給など、幅広い技術が必要になる。

Terra Droneは2024年11月の上場からまだ日が浅い企業だが、2026年には防衛分野への本格参入、ウクライナ企業との連携、国産迎撃ドローンの実証通過、JAXA関連案件、国産バッテリー事業など、事業領域を急速に広げている。

ドローン市場を考える際には、単純に「ドローンが何台売れるか」だけではなく、誰が機体を作り、誰が空を管理し、誰が取得したデータを活用し、どのような産業で運用するのかを見る必要がある。Terra Droneは、その複数の領域にまたがって事業を展開する日本企業の一つだ。産業用ドローンから防衛用ドローン、そしてドローンが安全に飛び交うための運航管理まで、同社の今後の展開は、日本のドローン産業が「機体」から「社会インフラ」へ進化していく過程を映す存在として注目される。

まとめ:ドローン市場の成長を支える「機体以外」の技術にも注目

ドローン市場では、機体そのものの性能だけでなく、飛行を制御するシステム、通信、バッテリー、運航管理、データ解析、さらには対ドローン技術まで、関連する領域が広がっている。Terra Droneは産業用ドローンやUTMを基盤に防衛分野へ進出し、AeroVironmentは防衛用無人機から対ドローン、レーザー、宇宙・サイバー分野へ事業を拡大している。ドローンが社会に普及するほど、関連する企業や技術の裾野も広がる。今後は「どんなドローンが売れるのか」だけでなく、「どの分野で、どのように使われるのか」に注目することが、ドローン市場を理解するポイントになりそうだ。

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