【最新】脱毛市場の今がわかる!メンズ・レディース脱毛と注目の上場企業3社

脱毛市場が変わる!医療・美容・保証から見る関連上場企業

脱毛はかつて、女性向けのエステサービスというイメージが強かった。しかし現在では、医療機関で施術する医療脱毛、美容サロンで行う美容脱毛、セルフ脱毛、家庭用脱毛器など選択肢が多様化し、男性のヒゲ脱毛や全身脱毛の需要も広がっている。一方、脱毛サロンの閉店や経営破綻などを背景に、長期契約や前払い料金に対する消費者の意識も変化している。こうした市場環境の変化は、脱毛サービスを直接提供する企業だけでなく、美容医療や保証、商品開発など周辺領域にも新たなビジネス機会を生み出している。

今回は、脱毛市場と接点を持つ上場企業として、SBCメディカルグループホールディングス、ジェイ・トラスト、Waqooの3社に注目した。SBCメディカルグループホールディングスは、リゼクリニックやゴリラクリニックなどをグループに擁し、医療脱毛を含む美容医療を幅広く展開する。ジェイ・トラストは、子会社の日本保証を通じて脱毛サロンや医療脱毛クリニックの前払金保証に参入。Waqooは脱毛専業ではないものの、美容・医療領域を事業基盤とし、SBCメディカルグループとの資本業務提携を通じて美容医療市場との接点を深めている。3社を比較することで、現在の脱毛市場が「施術を提供する企業」だけで成り立っているわけではないことが見えてくる。

会社名証券コード上場市場脱毛との関係
SBCメディカルグループホールディングスSBCNASDAQリゼクリニック、ゴリラクリニックなどをグループに擁し、医療脱毛を展開。男性向けヒゲ脱毛にも注力
ジェイ・トラスト8508東証スタンダード子会社の日本保証が、メンズクリアやSTLASSH、医療脱毛クリニックなどを対象に前払金保証を展開
Waqoo4937東証グロース脱毛専業ではないが、美容・医療関連事業を展開。SBCメディカルグループとの資本業務提携を通じて美容医療との接点を持つ

脱毛市場は「医療・サロン・セルフ」へ多様化 メンズ需要が存在感を高める2026年の最新動向

脱毛市場は、かつての「女性が脱毛サロンに長期間通う」というイメージから大きく変化している。2026年現在は、医療機関でレーザー脱毛を受ける「医療脱毛」、エステサロンで光脱毛を受ける「美容脱毛」、利用者自身が機器を操作する「セルフ脱毛」、さらに家庭用脱毛器を使うホームケアまで、選択肢が細分化している。一方で、市場全体を見ると決して右肩上がりではない。むしろ、脱毛サロンでは店舗閉鎖や事業者の経営問題などを背景に、市場の再編が進んでいる。

矢野経済研究所によると、2025年度の国内エステティックサロン市場は2,797億円の見込みで、前年度比7.9%減。6期連続のマイナスとなった。特にレディース施術市場の落ち込みが大きく、脱毛サロンの大量店舗閉鎖などが市場縮小の要因となっている。同研究所は2026年度について2,803億円、前年度比100.2%とほぼ横ばいを予測しており、急速な成長よりも市場の安定化が焦点になっている。

なかでも注目されるのが、女性と男性の市場構造の変化だ。ホットペッパービューティーアカデミーの「美容センサス2026年上期<エステサロン編>」によると、サロン脱毛市場は960億円で前年比14.4%減。2022年の1,790億円から4年連続で縮小している。女性の市場規模は2022年の1,241億円から2026年には479億円まで減少した一方、男性は500億円前後で推移し、2026年には男性市場が女性市場を上回った。

ただし、「女性が脱毛をしなくなった」と単純に考えるのは早い。女性のサロン脱毛利用率は2026年に5.1%で、前年比では0.1ポイント低下した程度だ。大きく変わったのは利用回数で、年間利用回数は3.94回から3.19回へ19.0%減少している。1回当たりの利用金額も7,433円と4.3%減った。つまり、女性では新規需要だけでなく、「長期間、高頻度で通い続ける」という従来型の利用スタイルが弱まっているとみられる。

一方、男性脱毛は異なる動きを見せている。2026年の男性サロン脱毛利用率は5.4%で、女性と大きく変わらないものの、年間利用回数は3.38回で前年比4.3%増、1回当たり利用金額も6,879円で1.4%増となった。特にヒゲ、顔、VIO、全身など、男性の脱毛ニーズが細分化していることが特徴だ。さらに美容医療でも男性需要は強く、GMOビューティーの「キレイパス byGMO」における2026年上半期の男性人気施術では「医療脱毛(全身)」が1位、「医療脱毛(ヒゲ)」が8位となっている。脱毛をきっかけに、肌質改善など別の美容医療へ関心を広げる動きも確認されている。

医療脱毛と美容脱毛の違いも、改めて重要になっている。医療脱毛は医療機関で行われるため、医療レーザーなどを使った施術が中心。一方、エステサロンの美容脱毛は、医療機関とは異なる範囲で光脱毛などを提供する。J-Net21も、脱毛サロンについて「医療行為に当たらない方法」でサービスを提供する必要があると説明している。

近年は、こうした違いを理解したうえで「多少費用が高くても医療機関で受けたい」という層と、「料金を抑えながら気軽に利用したい」という層に分かれやすくなっている。特に男性では、医療脱毛が美容医療への入り口になるケースもみられる。医療脱毛を受けた後、肌質改善やニキビ、シミなど別の施術へ移行するという「美容医療の入口としての脱毛」という位置付けも出てきている。

その一方で、店舗型の美容脱毛には大きな課題も浮上している。近年、脱毛サロンの経営破綻や大量閉店が相次いだことで、利用者が「長期契約で大きな金額を前払いすること」に慎重になっている。矢野経済研究所も、こうしたトラブルを背景に、施術ごとに料金を支払う「都度払い」を導入・明示するサロンやクリニックが増えていると指摘する。

この流れは、脱毛業界のビジネスモデルにも変化をもたらしている。従来は「数十回のコースを契約してもらい、まとまった料金を前払いしてもらう」モデルが目立ったが、現在は月額制、都度払い、短期コースなど、消費者がリスクを抑えやすい料金体系が重視されている。消費者にとっては選択肢が増える一方、事業者側には安定したキャッシュフローを確保しながら店舗運営を続けることが求められる。

そして、新しい選択肢として存在感を高めているのが「セルフ脱毛」だ。セルフ脱毛サロンでは、スタッフに施術してもらうのではなく、利用者自身が専用スペースで機器を操作する。有人型サロンに比べて人件費を抑えやすく、低価格化や無人店舗化との相性が良い。J-Net21も、現在の脱毛市場を「医療脱毛クリニック」「サロン脱毛(有人エステ型)」「セルフ脱毛サロン(無人型)」という3業態に分類している。

セルフ型では、男性が人目を気にせず利用できることもメリットの一つだ。ヒゲや脚、腕などを自分のペースで処理したい男性に加え、女性でもスタッフに施術されることに抵抗がある部位を自分でケアしたいという需要が考えられる。さらに、フィットネスジムなどにセルフ脱毛機器を設置するケースもあり、「脱毛専門店に行く」という行動そのものが変わりつつある。実際、2026年にはchocoZAPのように、ジム内でセルフ脱毛を利用できるサービスも選択肢となっている。(マイベスト)

ただし、セルフ脱毛は医療脱毛とは目的や仕組みが異なるため、単純な代替関係ではない。専門家による施術を求める人、肌や毛質について相談したい人、自己処理の手間を減らしたい人など、利用者の目的によって選択肢が分かれていく。今後は「医療かサロンか」という二択ではなく、医療脱毛、有人サロン、セルフサロン、家庭用機器を組み合わせる時代になっていく可能性がある。

2026年の脱毛市場をまとめると、市場規模そのものは縮小しているものの、需要が消えたわけではなく、利用方法と顧客層が大きく変化していることがポイントだ。女性中心だった市場は男性の存在感が高まり、男性では医療脱毛が美容医療への入口となっている。一方、女性では長期契約・高頻度利用から、必要な部位を必要なタイミングで施術するスタイルへの変化がみられる。店舗型サロンは信頼性や料金の透明性がより重要になり、セルフ脱毛やホームケアは「手軽さ・低価格・プライバシー」を武器に選択肢を広げている。脱毛業界は現在、単純な「脱毛ブーム」から、医療・美容・セルフ・ホームケアが共存する成熟市場への転換期にあるといえる。

資産運用に興味がある方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 初心者向け無料講座:お金のプロが教える「毎月収入を得る投資の始め方」

SBCメディカルグループHD、脱毛市場で存在感を高める「男性専門」と多ブランド戦略

脱毛市場は、女性を中心とした美容サービスから、男性も含めた美容医療市場へと裾野を広げている。そうした中で注目されるのが、NASDAQに上場するSBCメディカルグループホールディングスだ。同社は美容医療を中心に国内外の医療機関に経営支援を行うMedical Services Organization(MSO)で、湘南美容クリニックをはじめ、リゼクリニックやゴリラクリニックなど複数のブランドを展開している。2026年には男性のヒゲ脱毛に特化した新業態にも乗り出しており、脱毛を単独のサービスとして捉えるだけではなく、美容医療の入り口として取り込む戦略が鮮明になっている。

SBCメディカルグループHDの特徴は、脱毛専業企業ではないことにある。美容外科や美容皮膚科を中心として、皮膚科、歯科、AGA、眼科など幅広い診療領域をカバーしている。そのため、脱毛で来院した顧客に対して、肌治療や美容医療など別のサービスを提供できることが事業モデルの特徴となる。特に医療脱毛は、単にムダ毛を減らすだけでなく、自己処理の負担を減らしたい、肌をきれいに見せたいといった美容ニーズと結びつきやすい。脱毛を起点に美容医療との接点を増やせる点は、総合的な医療サービスネットワークを持つSBCにとって重要なポイントといえる。

同社が2026年に打ち出した新たな取り組みが、「SBC MEN’S FLASH CLINIC 池袋院」だ。2026年8月6日に開院した同院は、グループ初の男性ヒゲ脱毛専門の新業態クリニック。SBCは、男性による美容医療の利用が拡大する一方、総合美容医療ブランドでは男性専用の環境を求めるニーズに十分対応できないケースがあると説明している。そこで市場分析や競合調査などを行い、「男性専門×ヒゲ脱毛特化」という形に事業を絞り込んだ。

同クリニックの狙いは、単純に新店舗を増やすことだけではない。ヒゲ脱毛に施術内容を集中させることで、予約や診療オペレーションを効率化し、男性が通いやすい環境をつくることを目指している。SBCによれば、同院ではヒゲ脱毛に適したYAGレーザーを採用し、自動受付機や事前のクレジットカード登録による完全キャッシュレス会計を導入。さらに院内セールスを行わないシンプルな診療体制を掲げ、来院から帰宅まで最短30分というスムーズな通院体験を目指している。

この動きは、男性脱毛市場の変化とも重なる。近年は男性が美容医療を利用することが珍しくなくなり、ヒゲ脱毛はその代表的な施術の一つになっている。SBC自身も、ヒゲ脱毛を男性美容医療の入り口として捉えている。ヒゲは毎日の自己処理が必要になりやすく、時間や手間を減らしたいという実用的なニーズが存在するため、単なる美容目的だけではなく生活上の利便性を求める層にも訴求しやすい。SBCが専門クリニックという形態を採用したことは、こうした男性需要を明確に取り込む狙いがあると考えられる。

一方、女性向けの脱毛についてもSBCの事業基盤は大きい。グループにはリゼクリニックがあり、医療脱毛を中心としたサービスを展開している。また、SBCの2026年第2四半期決算資料では、同社が支援・提携するネットワークにSBCブランドのクリニックだけでなく、リゼクリニックやゴリラクリニックなどが含まれていることが示されている。2026年6月末時点のネットワーク拠点数は287カ所で、前年同期から34カ所増加した。

さらに2026年8月には、「NEO Skin Clinic 名古屋」を開院した。同院は韓国で話題となるスキンケアを取り入れた美容皮膚科ブランドで、レーザー脱毛も提供する。SBCは同ブランドを「Accessible Trend Beauty」をコンセプトとする美容皮膚科ブランドと位置付けており、東京の恵比寿・銀座に続く3院目となった。脱毛専門ブランドだけでなく、美容皮膚科の中に脱毛を組み込むという展開も進めている点が特徴だ。

こうした複数ブランドによる展開は、SBCの「多ブランド戦略」ともつながる。同じ脱毛でも、女性向けの総合美容医療、医療脱毛専門、男性のヒゲ脱毛専門、美容皮膚科の一施術というように、顧客層や目的に応じてブランドを分けることができる。これは、脱毛市場の成熟に対応する一つの方法といえる。脱毛だけを売るのではなく、「誰に、どのような環境で、どの施術を提供するか」を細分化することで、異なる需要を取り込む余地が生まれる。

事業面でも、SBCは2026年に回復局面を示している。2026年第2四半期の売上高は4900万ドルで前年同期比13%増、SBC株主帰属純利益は1100万ドルで前年同期比335%増、調整後EBITDAは2000万ドルで同32%増となった。会社側は、AIを活用したサービス強化やサービスフィーの拡大などを成長要因として挙げている。また、今後は国内の美容皮膚科における多ブランド戦略を深掘りするとしている。

もちろん、脱毛事業だけでSBCの業績全体を評価することはできない。同社は美容医療以外にも複数の医療分野を扱っており、脱毛はグループ事業の一部に位置付けられる。そのため、SBCへの投資を考える際には、脱毛市場だけでなく、美容医療全体の需要、クリニックネットワークの拡大、経営支援事業の収益性、海外展開などを合わせて確認する必要がある。

また、脱毛サービスでは価格だけでなく、医療機関としての安全性や説明、通いやすさ、予約の取りやすさなども重要になる。SBCが男性ヒゲ脱毛専門院で効率的なオペレーションを追求しているのも、こうした利用者の利便性と事業効率を両立させる狙いがある。特に脱毛は複数回の施術が必要になるケースがあるため、継続して通える仕組みをつくれるかどうかは、顧客満足度だけでなく事業の継続性にも関係してくる。

SBCメディカルグループホールディングスの脱毛事業を見るうえで重要なのは、「脱毛専業企業」ではなく「総合美容医療グループの中で脱毛を成長領域の一つとして取り込んでいる企業」という点だろう。女性向けの医療脱毛に加えて、男性のヒゲ脱毛専門院、美容皮膚科におけるレーザー脱毛など、複数のアプローチを展開している。2026年の男性専門ブランドの開院は、その方向性を象徴する動きといえる。

脱毛市場は、かつての大型チェーン型サロンを中心とした市場から、医療脱毛、男性専門、セルフ型、家庭用機器などへと選択肢が広がっている。その中でSBCは、全国規模のクリニックネットワークと複数ブランドを組み合わせながら、顧客層ごとにサービスを最適化する方向へ進んでいる。今後は男性美容のさらなる浸透に加え、女性向け医療脱毛や美容皮膚科との相乗効果をどこまで高められるかが、脱毛分野を見るうえでのポイントになりそうだ。

資産運用で失敗したくない方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 無料講座:お金のプロが教える「初心者が毎月収入を得る投資の始め方」

脱毛業界の「安心」を支えるジェイ・トラスト 前払金保証で広がる新たな事業領域

脱毛業界では近年、サロンやクリニックの閉店・経営不振によって、契約した施術を受けられなくなったり、前払いした料金の返金を受けられなくなったりする問題が注目されている。こうした中、脱毛そのものを提供するのではなく、利用者が支払った料金を保証するという立場から脱毛業界に参入しているのが、東証スタンダード市場に上場するジェイ・トラストだ。同社の脱毛関連事業を担うのは、100%子会社の日本保証。2025年には脱毛サロンを対象とした「前払金保証」サービスを開始し、金融・保証という本業のノウハウを美容サービスの領域へ展開している。

ジェイ・トラストは、金融事業を中心に、国内外で保証、ファイナンスなどの事業を展開する企業だ。その中核的なグループ会社の一つが日本保証で、同社は1970年設立、2010年にジェイ・トラストの連結子会社となり、現在はジェイ・トラストが100%保有している。日本保証の主力は信用保証事業で、銀行や信用金庫などの金融機関と提携し、個人・法人向けローンの債務を保証するビジネスを展開している。そこに新たな領域として加わったのが、脱毛サロンやクリニックの契約に付帯する前払金保証である。

日本保証が脱毛業界に目を向けた背景には、長期契約・前払い型サービスが抱える消費者側のリスクがある。脱毛は1回の施術だけで完了するとは限らず、複数回の施術をまとめて契約するケースも多い。利用者にとっては、契約時に料金を支払った後、事業者が営業を続けることが前提となる。しかし、事業者の経営状態を一般の消費者が正確に把握することは難しい。仮に契約期間の途中で店舗が閉鎖されれば、まだ受けていない施術に相当する金額が問題になる。

日本保証は2025年5月、脱毛サロン「メンズクリア」「STLASSH」を運営する株式会社クリアとの間で、顧客向け契約付帯型保証サービスの提供に向けた基本合意を締結した。同社は、脱毛サロンや医療脱毛クリニックの経営不振が報道され、施術を受けられなくなったり、未消化分の施術料金が返金されなかったりする事例があることを背景として説明している。つまり、日本保証にとって脱毛業界は、従来の金融保証のノウハウを活用できる新しい市場として位置付けられたわけだ。

その後、2025年7月には株式会社クリアとの「前払金保証」サービスが実際にスタートした。日本保証の公式サイトによると、現在の提携パートナーにはメンズクリア、ストラッシュに加えて、レジーナクリニック、レジーナクリニックオム、エトワールレジーナクリニック、フレイアクリニック、フレイアクリニックメンズなどが掲載されている。脱毛サロンだけではなく医療脱毛クリニックにも対象を広げている点は、この事業の特徴といえる。

仕組みは比較的シンプルだ。利用者が提携する脱毛サロンやクリニックと契約して前払いを行った場合、万が一、事業者側の都合によってサービスの提供ができなくなったときに、契約内容に基づいた返金を保証する。日本保証によれば、利用者自身が別途申し込みや登録をする必要はなく、前払金保証サービスの提携開始後に対象企業と契約した場合、自動的に保証が付帯する仕組みとなっている。また、クレジットカードで支払った場合でも、前払金として支払った施術料金は保証対象になるとしている。

この仕組みが興味深いのは、ジェイ・トラストが脱毛サロンを運営しているわけではないという点だ。ジェイ・トラストを「脱毛企業」と考えると実態を見誤る。正確には、グループ会社の日本保証が、脱毛サービスの提供企業と利用者の間に保証という仕組みを組み込むことで、消費者が抱える「契約した後に店舗がなくなったらどうなるのか」という不安を軽減する役割を担っている。

これは脱毛市場の変化とも関係している。脱毛業界では、低価格を前面に打ち出した店舗が増えた一方、事業者の経営破綻などを背景に、消費者が長期・高額契約に慎重になる動きもみられる。そうした市場環境では、単に「安い」「通いやすい」といった価格や利便性だけでなく、「契約後も安心して通えるか」がサービスを選ぶ際の重要な要素になる。前払金保証は、こうした消費者の不安に対する一つの回答となる。

また、脱毛市場では女性向けサービスだけでなく、男性向け市場も存在感を高めている。日本保証の提携先に「メンズクリア」や「レジーナクリニックオム」「フレイアクリニックメンズ」が含まれていることからも、男性向け脱毛サービスが保証事業の対象となっていることが分かる。特に男性の場合、ヒゲ脱毛や全身脱毛など、複数回の施術を前提とするサービスもあり、前払い契約に対する安心感は事業者側にとっても重要な訴求材料となり得る。

女性向けでも同様だ。ストラッシュやレジーナクリニック、フレイアクリニックなど、サロン脱毛と医療脱毛の双方が保証対象に含まれている。つまり、日本保証のサービスは「美容脱毛か医療脱毛か」という施術方法そのものではなく、「前払い契約にどのような保証を付けるか」という金融・保証の観点から脱毛市場を捉えている。

日本保証にとっても、これは既存の保証事業の延長線上にある。同行はこれまで、銀行などの金融機関と提携したローン保証や、不動産関連の保証などを手掛けてきた。保証対象を脱毛サービスへ広げることで、金融機関を介した従来型の保証だけでなく、一般消費者が直接利用するサービスに付随した保証へと事業領域を広げることができる。日本保証自身も、保証事業をメインビジネスと位置付け、その中に前払金保証を掲げている。

今後のポイントは、このモデルが脱毛以外の業界にも広がるかどうかだろう。日本保証は2025年に脱毛業界でサービスを開始した後、同年8月には医療法人おきまる会、医療法人誠崇会との顧客向け契約付帯型の前払金保証も開始している。日本保証のニュースリリースには、脱毛業界に続く医療分野への展開が記録されている。前払いが発生し、契約期間が長く、消費者がサービス提供者の経営状態を把握しにくい業界では、保証サービスへの需要が生まれる可能性がある。

投資家から見れば、ジェイ・トラストの脱毛関連事業は、同社の業績を左右する単独の主力事業というより、保証ビジネスの新しい顧客・市場として捉える必要がある。脱毛市場が拡大すれば必ずジェイ・トラストの業績が拡大する、という単純な関係ではない。重要なのは、保証サービスの契約先がどれだけ増えるのか、保証残高や保証収益がどのように推移するのか、そして脱毛以外のサービスへ展開できるのかという点になる。

脱毛業界では、価格競争から「安心して契約できるか」という競争へと軸が広がりつつある。日本保証の前払金保証は、その変化を象徴するサービスの一つといえる。脱毛サロンや医療脱毛クリニックを直接運営する企業とは異なり、ジェイ・トラストは金融・保証という立場から市場に関わる。美容と金融という一見すると異なる二つの業界をつなぐことで、利用者の契約リスクを軽減しながら、新たな保証市場を開拓する。脱毛市場を見る際には、施術を提供する企業だけでなく、その周辺で「安心」を支える金融サービスにも目を向けることで、業界の新しい構造が見えてくる。

資産運用で失敗したくない方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 無料講座:お金のプロが教える「初心者が毎月収入を得る投資の始め方」

Waqooと脱毛、美容医療市場で広がる「脱毛周辺ビジネス」の可能性

脱毛市場を調べる際、まず押さえておきたいのが、脱毛サービスを直接提供する企業だけが関連銘柄ではないという点だ。医療脱毛を提供するクリニック、そのクリニックに商品やサービスを供給する企業、さらには美容医療を支える技術や化粧品を手掛ける企業まで、脱毛市場にはさまざまな企業が関わっている。その中で東証グロース市場に上場するWaqoo(4937)は、脱毛専業企業ではないものの、美容・医療領域との接点を持つ企業として注目できる存在だ。

Waqooは2005年に設立され、化粧品などのD2C・サブスクリプション事業を成長させてきた企業だ。現在の事業内容は「D2C×サブスクリプション事業」と「メディカルサポート事業」の2本柱。会社自身も現在は美容医療や再生医療などを含むメディカル分野へ事業領域を広げていると説明している。つまり、かつての化粧品EC企業というイメージだけでは、現在のWaqooを捉えきれない。

特に大きな転機となったのが、SBCメディカルグループとの関係強化だ。Waqooは2025年12月、SBCメディカルグループによる公開買付けが成立したことを発表しており、SBCメディカルグループとの資本業務提携を通じて、両社の事業シナジーを追求する方針を示している。Waqooは上場を維持しながら、SBCグループが持つクリニックネットワークと、Waqooグループが持つ商品開発・製造・販売などの機能を組み合わせる構想を掲げている。

ここで脱毛との接点が生まれてくる。SBCメディカルグループは、湘南美容クリニックを中心に、リゼクリニックやゴリラクリニックなどの美容医療ブランドを展開している。これらのクリニックでは医療脱毛も重要なサービスの一つとなっている。そのため、Waqoo自身が脱毛クリニックを運営するわけではないものの、SBCグループの美容医療ネットワークと事業上の関係を持つ企業として、脱毛市場の周辺領域に位置付けることができる。

実際、WaqooはSBCグループのクリニックネットワークに対して、さまざまな商品・サービスを提供してきた。過去の開示資料では、美容皮膚科を中心とするSBCのクリニックに対して、原料、化粧品、食品などを提供してきたことが示されている。2024年7月時点では、SBCの展開院数は220院・216拠点とされ、そのうち美容皮膚科が173院、AGAが31院などとなっていた。

つまり、Waqooと脱毛の関係を見る場合、「Waqooが脱毛を販売している」という視点ではなく、「美容医療市場に商品や技術を供給する企業」という視点が重要になる。医療脱毛を受ける患者は、脱毛だけを目的としてクリニックを利用するとは限らない。美容皮膚科、スキンケア、AGAなど、さまざまな美容・医療サービスに関心を持つ可能性がある。SBCのような大規模なクリニックネットワークとWaqooの事業を組み合わせることで、美容医療と商品開発の接点を増やす余地がある。

Waqooのメディカルサポート事業では、連結子会社のセルプロジャパンを通じて、血液由来加工サービスや原料販売、化粧品などを展開している。会社資料では、医療機関や美容サロン、化粧品メーカーなどを顧客として、原料販売や化粧品・OEM事業を展開する構想が示されている。脱毛そのものとは異なる分野だが、美容医療市場の拡大によって周辺商品・サービスへの需要が生まれるという点では、脱毛市場との共通項がある。

さらに、Waqooが手掛けるD2C事業も見逃せない。Waqooは「HADA NATURE」などの化粧品ブランドを展開してきた。脱毛後の肌は、自己処理による刺激や乾燥などを気にする人も多く、脱毛とスキンケアは消費者の美容行動という面で隣接する分野だ。もちろん、Waqooの化粧品事業が医療脱毛の利用者を直接ターゲットとしているという意味ではないが、美容医療とホームケアを組み合わせる市場環境の中では、両者の接点が生まれる可能性がある。

また、脱毛市場そのものにも変化が起きている。従来は女性向けの脱毛サロンが市場の中心だったが、現在は男性の美容医療利用も広がっている。ヒゲ脱毛や全身脱毛など、男性向け医療脱毛の選択肢が増え、脱毛を入り口にスキンケアやAGAなど別の美容医療へ関心を広げるケースも考えられる。SBCメディカルグループが男性向けの美容医療サービスを強化していることを考えると、WaqooにとってもSBCの顧客接点を活用した商品開発やサービス提供には一定の可能性がある。

一方で、投資家がWaqooを「脱毛株」として見る場合には注意が必要だ。Waqooの公式な事業内容に「脱毛事業」は含まれておらず、同社のメディカルサポート事業の中心も再生医療関連や血液由来加工などである。したがって、SBCメディカルグループのように脱毛クリニックを直接運営する企業と同列に扱うことはできない。Waqooはあくまで、美容・医療市場に商品や技術を提供する「周辺企業」として捉えるのが適切だ。

むしろ注目したいのは、脱毛を含む美容医療市場が「施術だけの市場」から「商品・技術・アフターケアを含む総合的な美容市場」へ広がっていることだ。医療脱毛を受ける人が増えれば、その周辺でスキンケア商品や美容医療サービスへの需要が発生する可能性がある。クリニック側から見ても、患者との接点を一度の施術で終わらせず、化粧品や美容皮膚科、再生医療などへ広げることができれば、顧客との関係を長期化できる。WaqooとSBCの提携は、こうした「医療×商品開発」の接点を広げる取り組みとして見ることができる。

Waqooの今後を考えるうえでは、SBCメディカルグループとのシナジーがどこまで具体化するかが重要になる。Waqooは2025年12月の事業計画資料で、Waqooグループが商品開発・製造・販売などの「Product」を担い、SBCメディカルグループがクリニックネットワークという「Place」を持つ構造を示している。SBC側のクリニックネットワークを販売・顧客接点として活用することで、Waqooの商品やサービスを医療現場へ展開する構想だ。

脱毛という切り口からWaqooを見ると、同社は「脱毛をする会社」ではなく、「脱毛を含む美容医療市場の周辺で事業機会を狙う会社」と整理するのが分かりやすい。SBCメディカルグループとの関係によって、全国規模の美容医療ネットワークとの接点を持つことになった点は、従来のD2C企業だったWaqooにとって大きな変化だ。今後、医療脱毛や美容皮膚科の利用者に対して、化粧品や医療関連商品、再生医療関連サービスなどをどこまで展開できるのかが、同社の成長を考えるうえで一つのポイントになる。

脱毛市場への投資を考える際には、脱毛クリニックやサロンの運営会社だけを見るのではなく、その周辺に広がる美容医療、化粧品、医療技術、保証などにも視野を広げる必要がある。Waqooはその代表例の一つだ。脱毛そのものが同社の主力事業ではないからこそ、SBCメディカルグループとの資本業務提携によって、美容医療市場全体の成長をどのように取り込んでいくのかが、今後の注目ポイントとなりそうだ。

まとめ:脱毛から美容医療・金融まで 広がる市場の次なる成長領域

今回紹介した3社から見えてくるのは、脱毛市場が単なる美容サービスから、より広い美容・医療・金融関連市場へと広がっていることだ。SBCメディカルグループホールディングスは、女性向け医療脱毛に加えて男性のヒゲ脱毛などにも展開し、美容医療全体との相乗効果を狙う。ジェイ・トラストは、脱毛サービスそのものではなく、前払い契約に対する保証という立場から市場を支える。Waqooは美容・医療関連の商品やサービスを手掛け、SBCメディカルグループとの連携を通じて、美容医療ネットワークとの接点を広げている。

今後の脱毛市場では、女性だけでなく男性の需要を取り込めるか、医療脱毛と美容脱毛をどのように差別化するか、セルフ型や家庭用機器など新たな選択肢とどう共存するかがポイントになりそうだ。また、脱毛サロンの閉店問題などを受け、料金体系の透明性や前払い契約への安心感も重要性を増している。脱毛を取り巻く環境が変化するなか、企業側には価格だけではなく、サービスの品質、利便性、信頼性まで含めた価値の提供が求められるだろう。脱毛市場を投資テーマとして見る際には、店舗やクリニックの数だけに注目するのではなく、その周辺に生まれる美容医療、商品開発、保証といったビジネスにも目を向けることが重要になっている。

プロの知識が無料で学べます

「投資の勉強を何からやっていいかわからない」「投資で資産を作りたい、収入を増やしたい」

そんな時は無料で視聴できるオンライン講座「GFS監修 投資の達人講座」をまずはお試ししてください。

投資の達人になる投資講座は、生徒数50,000人を超え講義数日本一の投資スクールGFSが提供する無料オンライン講座です。プロの投資家である講師が、未経験者や苦手意識がある人でも分かるように、投資の仕組みや全体像、ルールを基礎から図解を交えて解説します。

投資の勉強をなるべく効率よく始めたい人は、ぜひ一度ご視聴ください。

≫初心者でも資産形成を学習できる無料オンラインセミナーはこちら

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年9月時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

(記事一覧はこちら)
月1万円から資産6,000万円を目指す方法
無料で視聴する