東証グロースの成長株4選!未来を切り拓く「個性派企業」に注目

東証グロースの個性派3社――福祉、EC、ゲーム、フィットネスで成長市場を開拓

東京証券取引所のグロース市場には、既存の大企業とは異なるビジネスモデルや成長戦略を持つ企業が数多く上場しています。今回取り上げるのは、介護・障がい者支援・保育を展開する「リビングプラットフォーム」、ネットショップ作成サービス「BASE」を運営する「BASE」、そしてゲームや広告、地域活性化など幅広い事業を手掛ける「カヤック」、さらに女性向けフィットネスを展開する「LOIVE」の4社です。いずれも東証グロース市場に属しています。

4社を並べてみると、事業内容は大きく異なるものの、「社会や消費者の変化を新しいサービスにつなげる」という共通点が見えてきます。リビングプラットフォームは高齢化や障がい福祉ニーズの拡大を背景に、介護を中心として生活支援サービスを広げています。BASEは個人や中小事業者がネットショップを開設しやすくすることでEC市場の裾野を広げ、決済や金融など周辺領域にも事業を拡大しています。カヤックはゲームや広告、地域活性化など、「面白さ」やコンテンツ制作のノウハウをさまざまな分野に展開しています。LOIVEはホットヨガやピラティスを中心に、女性向けのウェルネス市場を開拓しています。

また、4社の成長手法にも違いがあります。店舗や施設を増やしていくリビングプラットフォームやLOIVEに対して、BASEはデジタルプラットフォームの利用拡大が成長の重要な要素です。一方、カヤックはゲームなどのコンテンツヒットに加えて、M&Aやグループ会社を活用した事業ポートフォリオ型の成長を進めています。つまり、同じグロース市場でも、成長を実現するための方法は一様ではありません。

グロース市場の企業を見る際には、現在の売上や利益だけでなく、「どの市場を狙っているのか」「その市場でどのような強みを築いているのか」「成長投資が将来の収益につながるのか」といった視点が重要になります。本特集では、異なる分野で成長を目指す4社を取り上げ、それぞれのビジネスモデル、業績、成長戦略、今後の注目ポイントを整理します。

企業名証券コード上場市場主な事業成長テーマ注目ポイント
リビングプラットフォーム7091東証グロース介護・障がい者支援・保育高齢化・福祉需要、M&A介護を中心に訪問看護・調剤薬局などへ事業を拡大
BASE4477東証グロースネットショップ、決済、EC支援EC市場、デジタル化「BASE」を軸に決済・金融・EC支援へ事業領域を拡大
カヤック3904東証グロースゲーム・アニメ、広告、地域活性化コンテンツ、エンタメ、地域創生ゲームや広告を軸にM&Aも活用して多角化
LOIVE352A東証グロースホットヨガ、ピラティス、フィットネス健康・美容、ウェルネス「pilates K」を中心に女性向けスタジオを積極出店

株式会社リビングプラットフォーム――介護・障がい者支援・保育を一体展開、社会保障を支える成長企業

高齢化や共働き世帯の増加、障がい福祉サービスへの需要拡大などを背景に、介護・福祉・保育を取り巻く市場は中長期的な需要が見込まれる分野です。こうした社会課題を事業機会として取り込んでいる企業の一つが、東京証券取引所グロース市場に上場する株式会社リビングプラットフォームです。証券コードは7091。2011年に北海道札幌市で設立され、2020年3月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場、現在はグロース市場で株式を公開しています。

同社の特徴は、単純に介護施設を運営する会社ではなく、「介護」「障がい者支援」「保育」の3領域を中核に、生活に関わるサービスを幅広く展開している点です。会社側は「安心を育て、挑戦を創る」をミッションに掲げ、「持続可能な社会保障制度の構築」をビジョンとしており、これら3事業が相互に補完し合う事業モデルを目指しています。

中核となる介護事業では、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護、訪問介護、訪問看護、デイサービス、居宅介護支援など、幅広いサービスを展開しています。特に介護事業はグループの売上に占める割合が大きく、2026年3月期の連結事業構成では介護が81%、障がい者支援が9%、保育が9%、その他が1%となっています。

介護業界では、人材確保や人件費、施設運営コストなどが収益性を左右します。そのため、施設数を増やすだけではなく、既存施設の稼働率を高め、効率的に運営できるかが重要です。リビングプラットフォームは既存施設の入居促進などによって稼働率の改善を進めており、2026年3月期には収益基盤の強化に取り組みました。また、介護事業に訪問看護サービスを組み合わせることで、医療的ケアへの対応力を高める取り組みも進めています。

同社の成長戦略を見るうえで注目したいのが、M&Aや事業承継を活用した拡大です。これまで自社で施設を新設するだけでなく、既存施設や事業を譲り受けることで事業規模を拡大してきました。2025年には介護事業で複数の事業承継・子会社化を実施。2025年7月には株式会社エムズコンサルティングを子会社化し、2026年2月には調剤薬局事業の一部を事業承継して薬局事業にも参入しました。

さらに、2024年には訪問看護を担う株式会社メディカルプラットフォームを設立。介護施設だけでなく、訪問看護や調剤薬局など医療関連サービスへの領域拡大を進めています。高齢者の生活を支えるサービスは、介護だけで完結するとは限りません。医療、看護、薬局、住まいなどを組み合わせることで、グループ内のサービス間の連携を高められる可能性があります。

障がい者支援事業では、就労継続支援B型、自立訓練、共同生活援助、福祉ホーム、居宅介護、生活介護などを展開しています。保育事業についても、認可保育所や企業主導型保育所を運営しています。つまり、同社は高齢者だけを対象とする企業ではなく、障がい者、子ども、子育て世帯まで含め、幅広いライフステージを支えるサービスを展開していることになります。

業績を見ると、2026年3月期の連結売上高は220億5700万円で、前期比14.9%増となりました。営業利益は4億6700万円で37.1%増、経常利益は5億5800万円で49.3%増、親会社株主に帰属する当期純利益は3億9600万円で8.5%増となっています。売上高の拡大だけでなく、営業利益や経常利益も増加しており、事業規模の拡大と収益性の改善が進んだ年度だったといえます。

財務面では、2026年3月末の総資産が130億7800万円、純資産が24億9600万円、自己資本比率は18.7%でした。営業活動によるキャッシュ・フローは8億7100万円のプラスとなる一方、投資活動によるキャッシュ・フローは9億8900万円のマイナスとなっています。施設取得や事業拡大など、成長のための投資を継続していることがうかがえます。

2027年3月期について会社側は、売上高241億7000万円、営業利益7億4700万円、経常利益6億1600万円、親会社株主に帰属する当期純利益4億2700万円を予想しています。売上高は前期比9.6%増、営業利益は59.8%増を見込む計画です。特に営業利益の伸びが大きく、施設の稼働率向上や事業運営の効率化がどこまで利益成長につながるかがポイントになります。

実際、2027年3月期第1四半期も売上高59億4600万円、営業利益2億1600万円、経常利益2億7400万円、親会社株主に帰属する四半期純利益1億7400万円となりました。前年同期比では売上高11.1%増、営業利益79.6%増、経常利益106.6%増、最終利益87.2%増と、利益面で大幅な伸びを見せています。

一方で、投資対象として見る場合には注意すべき点もあります。介護・福祉・保育は社会的需要が大きい一方、行政による制度や報酬体系の影響を受ける業界です。また、人材の確保や定着、賃金上昇、施設運営コスト、光熱費なども収益性を左右します。特に介護事業への売上依存度が高いことから、介護報酬制度の変更や人材コストの上昇が業績に与える影響には注意が必要でしょう。

さらに、M&Aや事業承継による成長は、対象事業をグループに取り込むことで売上規模を拡大できる一方、買収後の統合や施設運営の効率化が重要になります。施設数やサービス数が増えれば自動的に利益が増えるわけではなく、各施設の稼働率や人員配置、サービス品質を維持しながら規模を拡大できるかが中長期的な焦点になります。

もう一つのポイントが事業領域の広がりです。介護、障がい者支援、保育に加え、訪問看護、調剤薬局、給食、人材、不動産など周辺分野にも事業を広げています。さらに2025年には農地所有適格法人として株式会社アグリプラットフォーム茨城を設立し、米作を中心とした農業事業にも参入しました。社会保障を軸としながら、生活インフラを幅広く支えるグループへ変化しようとしている点は、同社を見るうえで押さえておきたいところです。

株主還元では、2026年3月期に1株当たり5円の期末配当を実施し、2027年3月期も年間5円の配当を予想しています。また、2027年3月期については、2026年9月末時点で200株以上を保有する株主を対象に、1万2000円相当のデジタルギフトを贈呈する株主優待制度も設定されています。

リビングプラットフォームは、少子高齢化や福祉ニーズの増加という社会構造の変化を事業に取り込もうとしている企業です。介護を中心に障がい者支援、保育、医療、薬局などへサービスを広げながら、M&Aや事業承継も活用して成長を目指しています。今後のポイントは、施設・サービスの拡大そのものだけでなく、稼働率の改善、人材コストの吸収、M&A後の収益化などを通じて、売上成長を安定した利益成長につなげられるかという点でしょう。2027年3月期は営業利益7億4700万円を計画しているため、今後の四半期決算でこの計画に向けてどのように進捗するかが、同社を継続的に見るうえで重要な材料になりそうです。

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BASE株式会社――ネットショップから決済・金融へ、ECプラットフォームの進化に注目

インターネット上で商品を販売する「EC」は、いまや企業だけでなく、個人や小規模事業者にとっても身近な販売手段となっています。こうしたEC市場の拡大を背景に、ネットショップを簡単に開設できるサービス「BASE」を展開しているのがBASE株式会社です。証券コードは4477、東京証券取引所グロース市場に上場しています。会社設立は2012年で、代表取締役CEOを鶴岡裕太氏が務めています。

BASEの最大の特徴は、専門的なIT知識がなくてもネットショップを開設し、商品を販売できるプラットフォームを提供していることです。ネットショップ作成サービス「BASE」を中心に、購入者向けのショッピングアプリ「Pay ID」、オンライン決済サービス「PAY.JP」、ショップオーナー向けの資金調達サービス「YELL BANK」などを展開しています。さらに2025年7月にはEストアーを子会社化し、「ショップサーブ」もグループに加わりました。これによって、個人・小規模事業者向けのネットショップだけでなく、より本格的なEC事業者までカバーする事業構造へと変化しています。

同社を理解するうえで重要なのは、単なる「ネットショップ作成会社」ではなく、ECに必要な複数の機能を一つのグループ内に取り込もうとしている点です。ショップを作るだけでなく、決済、購入者との接点、資金調達、EC運営支援などを組み合わせることで、ショップ開設後も継続的に利用されるサービスを目指しています。

特に中核となるBASE事業では、ショップで発生する流通総額、いわゆるGMVの成長が重要な指標になります。GMVが増加すれば、決済などを通じてBASEが得る収益の拡大につながります。さらに2026年には「Pay ID」の有料化によるテイクレート、つまりGMVに対してどれだけ収益を得られるかという収益率の向上も成長要因として位置付けています。会社側は2026年12月期について、BASE事業の売上高・売上総利益を前年同期比10~15%程度伸ばす方針を示しています。

2025年12月期の連結業績は、売上高207億2900万円、営業利益16億8600万円、経常利益16億4400万円、親会社株主に帰属する当期純利益18億2600万円でした。売上高は前期比29.7%増、営業利益は118.2%増、経常利益は106.4%増と、利益面で大きく伸びています。2024年12月期には営業利益7億7200万円だったことを考えると、収益性が大きく改善したことが分かります。

2026年12月期は、さらに売上高283億7100万円、営業利益22億7000万円、経常利益20億2900万円を計画しています。売上高は前期比36.9%増、営業利益は34.6%増の計画です。Eストアーの連結効果に加えて、既存サービスの成長を組み合わせることで、売上と利益の双方を伸ばす計画となっています。

実際、2026年12月期第2四半期までの業績も増収増益となっています。上期の売上高は123億8800万円、営業利益は10億6800万円、経常利益は9億1900万円、親会社株主に帰属する中間純利益は8億1500万円でした。前年同期比では売上高35.5%増、営業利益87.3%増、最終利益82.3%増となっています。

ただし、すべての事業が同じペースで成長しているわけではありません。2026年上期について会社側は、BASE事業やEストアーショップサーブ事業が堅調だった一方、YELL BANKの成長ペースが鈍化し、want.jp事業も想定を下回ったと説明しています。特にwant.jpでは、越境EC機能「かんたん海外販売」の進捗などが課題となりました。

こうした点は、BASEを投資対象として見るうえで重要です。複数事業を持つことは収益源の分散につながる一方、事業が増えれば、それぞれのサービスを成長させるための投資や人材、マーケティング費用も必要になります。今後は、単純に事業数を増やすだけでなく、各サービスがどれだけ利益に貢献できるかが注目されます。

同社が力を入れているテーマの一つがAIです。2026年にはショップオーナー向けの「BASE AI」を限定的に提供し、AIを活用したサービス開発を進めています。ネットショップ運営では、商品説明文の作成や販売促進、問い合わせ対応など、事業者の負担となる作業が数多くあります。こうした領域にAIを組み込むことができれば、ショップ運営の効率化だけでなく、BASEのサービス価値を高める可能性があります。

また、同社はM&Aによる事業規模の拡大にも積極的です。2025年7月にEストアーを子会社化したことで、「ショップサーブ」がグループに加わりました。さらに2026年にはPort株式会社の子会社化も発表しており、既存事業の成長に加えて、M&Aを通じた非連続的な成長を目指しています。会社側も中期方針としてM&Aや提携を推進し、グループ全体でのシナジー創出を掲げています。

一方、投資家が注意したいのは、EC市場そのものの競争が激しいことです。ネットショップ作成サービスには国内外に複数の競合サービスが存在し、価格や機能、デザイン、集客力などを巡る競争が続いています。BASEがショップ開設数だけを追うのではなく、GMVや決済利用、Pay IDの利用などにつなげ、1店舗あたりの収益性を高められるかが重要になります。

さらに、広告宣伝やマーケティングへの投資も業績を左右します。2026年上期にはBASE事業で全国的なマスマーケティングを実施したことで販管費が増加しました。一方で、人件費やプロモーション費用が計画を下回ったことから、営業利益は計画を上回ったと会社側は説明しています。今後、顧客獲得のためのマーケティング費用と、それによって得られるGMV・売上高のバランスがポイントになります。

株主還元にも変化が見られます。2025年12月期には1株当たり5円の配当を実施し、2026年12月期も5円配当を予定しています。また、2026年12月期には自己株式取得枠として10億円を設定するなど、成長投資だけでなく株主還元にも取り組む方針を示しています。

BASE株式会社は、ネットショップを簡単に作れるサービスから出発し、決済、ショッピング、資金調達、EC運営支援へと事業領域を広げてきました。2025年12月期には大幅な増益を実現し、2026年12月期も増収増益を計画しています。さらにEストアーなどのM&A、AIの導入、越境ECへの対応など、新たな成長機会を取り込もうとしています。

今後の焦点は、「BASE」のGMVを継続的に伸ばせるか、Pay IDなど周辺サービスの収益性を高められるか、そしてEストアーなど買収した事業とのシナジーをどこまで実現できるかという点でしょう。EC市場の拡大だけでなく、EC事業者を取り巻く決済・金融・マーケティングまで含めた経済圏をどのように構築していくのか。BASEは、ネットショップの「入口」を提供する企業から、ECビジネス全体を支えるプラットフォーム企業へと変化できるかが注目される段階に入っています。

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株式会社カヤック――「面白い」を事業に変える、ゲーム・広告・地域創生の独自企業

「面白法人」というユニークな企業文化で知られる株式会社カヤック。鎌倉を拠点に、ゲームやWebサービス、広告、地域活性化、メタバースなど、従来の業界区分に収まりにくい多彩な事業を展開しています。証券コードは3904で、東京証券取引所グロース市場に上場しています。同社を投資対象として見る際に興味深いのは、単一の事業に依存するのではなく、「面白いコンテンツや体験を生み出す」という強みを軸に、新しい市場へ次々と進出している点です。

カヤックは2002年に設立され、創業以来「面白法人」を掲げてきました。広告制作やWebサービスからスタートし、その後ゲーム、地域活性化、eスポーツ、メタバースなどへ事業領域を拡大。現在ではグループ会社を含めた「面白法人グループ」として、複数の事業を展開しています。2026年12月期からは、従来の単一セグメントから、「ブランド&マーケティング」「ゲーム・アニメ」「ちいき資本主義」「その他」の4つに分けて業績を開示する体制へ変更しました。事業規模の拡大や内容の高度化を踏まえ、各事業の成長性や収益性を見えやすくする狙いがあります。

2025年12月期の連結売上高は200億円となり、前年比20.1%増で過去最高を更新しました。営業利益は10億7000万円で、前年比199.2%増と大幅な増益となっています。主力のハイパーカジュアルゲーム事業が好調に推移したことなどが業績を押し上げました。売上高200億円という規模に到達したことに加え、利益面でも大きな改善を見せたことは、近年のカヤックを考えるうえで重要なポイントです。

特に注目されるのがゲーム事業です。カヤックはスマートフォン向けのハイパーカジュアルゲームを中心に、世界市場を対象としたゲーム開発を行っています。ハイパーカジュアルゲームは比較的シンプルなルールで短時間でも遊べるゲームが多く、世界中のユーザーにアプリを配信できることが特徴です。カヤックは2025年の世界アプリダウンロード数において日本企業として1位となり、これで5年連続の首位を獲得したと発表しています。国内市場だけでなく、海外のユーザーを取り込めるゲーム事業は、同社の成長を考えるうえで重要な存在です。

2026年12月期第2四半期累計では、売上高102億800万円、営業利益4億900万円となりました。前年同期比で売上高は15.7%増、営業利益は40.7%増となり、上半期として過去最高の売上高を更新しています。主力のハイパーカジュアルゲーム事業が引き続き業績をけん引しており、「Pistol Duel」は2026年4月にGoogle Playの無料アクションゲームランキングで米国1位を獲得しました。新作ゲームも複数投入されており、既存タイトルだけに頼らない作品開発が続いています。

ただし、ゲーム事業には投資負担もあります。カヤックは大型IPとの共同ゲーム開発を進めており、2026年12月期には同社負担分として約3億3000万円の先行投資を計画しています。そのため、ゲーム・アニメ事業の2026年上期営業利益は前年同期を下回りました。一方、会社側はこの投資を2028年以降に年間10億~30億円規模の利益創出を目指すための中期的な戦略投資と位置付けています。つまり、足元の利益だけを見るのではなく、新たなIPビジネスが将来的にどの程度の収益を生み出すかが焦点となります。

もう一つの柱が「ブランド&マーケティング」です。企業の広告やプロモーション、デジタルマーケティングなどを手掛けるほか、グループ会社のカヤックボンドではDX関連の受託事業も展開しています。2026年12月期上期の売上高は31億3000万円、営業利益は2億3000万円となり、前年同期比で売上高が54.3%増加しました。ゲームのようなヒット依存型のビジネスだけではなく、企業向けの受託・マーケティング事業を組み合わせることで、グループ全体の収益基盤を支えている点が特徴です。

カヤックらしさが色濃く表れているのが、地域活性化に関わる事業です。「ちいき資本主義」を掲げ、地域と人をつなぐサービスや移住関連事業などを展開しています。代表的なサービスの一つが、地域と移住希望者をつなぐ「SMOUT」です。人口減少や地方の担い手不足という社会課題を背景に、自治体や地域事業者とデジタルサービスを組み合わせ、新しい地域経済の形を模索しています。

また、同社はエンターテインメント施設などリアルな体験ビジネスにも進出しています。代表例が「うんこミュージアム」です。2026年7月には横浜ワールドポーターズに「うんこミュージアム YOKOHAMA BAY」がオープンし、東京、名古屋、沖縄に続く常設4店舗目となりました。デジタルコンテンツだけではなく、実際の空間やイベントを通じて「面白い体験」を提供する事業へ広がっていることが分かります。

さらに2026年6月には、公共領域のコンテンツ制作や語学出版などを手掛けるブレイングループの全株式取得を決定しました。ブレイングループは公共分野で約30年の実績を持ち、50言語の教育コンテンツ資産などを有しています。カヤックはAIとクリエイティブを組み合わせ、新たな事業成長につなげる考えを示しています。M&Aによって自社だけでは持っていなかった顧客基盤やコンテンツ、ノウハウを取り込む戦略が、今後どのように業績へ反映されるか注目されます。

2026年12月期について会社側は、売上高230億円、営業利益10億円を予想しています。売上高は2025年12月期から14.5%増加する計画ですが、営業利益は6.6%減少する見込みです。これは大型IPとのゲーム開発などへの先行投資が主な要因です。売上高が過去最高を更新する一方、利益が一時的に伸び悩む計画となっていることから、2026年は「成長投資をどこまで将来の収益につなげられるか」を見る年度ともいえます。

株主還元にも変化があります。2026年12月期から配当性向20%を目安とする新たな配当方針を導入し、期末配当予想を1株当たり7円77銭へ引き上げました。従来予想の3円90銭からの増配であり、利益成長だけでなく株主への還元も意識した経営へと変化しています。

一方で、カヤックを投資対象として見る場合には、事業の多様性そのものが注意点になる可能性があります。ゲーム、広告、DX、地域活性化、出版、エンターテインメントなど、事業領域が広いため、各事業の成長性や収益性を把握するにはセグメントごとの確認が欠かせません。また、ゲームはヒット作品の有無によって業績が変動する可能性があり、新作開発への投資が必ずしも成功するとは限りません。M&Aについても、買収先とのシナジーや統合効果を継続的に確認する必要があります。

カヤックは、一般的なゲーム会社や広告会社とは異なり、「面白いものを生み出す力」をさまざまな事業へ展開している企業です。2025年12月期には売上高200億円を突破し、2026年上期も増収増益を確保しました。一方で、大型IPへの先行投資やM&Aなど、将来に向けた投資も積極化しています。今後の焦点は、ハイパーカジュアルゲームで培った世界展開力を大型IPやアニメ領域へ広げられるか、ブランド&マーケティングや地域事業を安定収益として成長させられるか、そしてM&Aによる新たな事業をどのようにグループ成長へ結びつけるかという点でしょう。「面白い」という抽象的な価値を、ゲーム、広告、地域、教育、エンターテインメントなどの具体的なビジネスへ変換してきたカヤック。その独自の企業文化が、今後どこまで企業価値の成長につながるのかが注目されます。

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株式会社LOIVE――ホットヨガからピラティスへ、女性向けウェルネス市場を開拓する成長企業

健康や美容への関心が高まるなか、フィットネス市場では大規模な総合型ジムだけでなく、特定の運動や目的に特化した「ブティック型フィットネス」が存在感を高めています。女性専用ホットヨガ「loIve(ロイブ)」やマシンピラティス専門スタジオ「pilates K」を展開する株式会社LOIVEは、こうした市場の変化を取り込んで成長している企業の一つです。証券コードは352A。2025年4月24日に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。

同社は2008年4月に設立され、もともとは株式会社LIFE CREATEの社名で事業を展開していました。2026年3月期の有価証券報告書では、旧会社名として株式会社LIFE CREATEが記載されています。現在は「自分を愛し、輝く女性を創る。」をミッションに掲げ、女性の心身のウェルビーイングを支えるフィットネスサービスを提供しています。

LOIVEの特徴は、単一ブランドだけでなく、女性向けの複数のブティック型フィットネスブランドを展開していることです。主力のloIveは女性専用ホットヨガスタジオで、ほかにもサーフエクササイズの「Surf Fit」、マシンピラティス専門の「pilates K」、グループマシン筋トレスタジオ「REDY’S GYM」、ストレッチと筋トレを組み合わせた「NOBEE STRETCH」などを展開しています。2026年6月時点では店舗数が236店舗、会員数は8万2000人に達しています。

なかでも現在の成長ドライバーとして注目されるのが、マシンピラティスです。ピラティスは姿勢改善や体幹強化などを目的とした運動として幅広い世代に浸透し、専用スタジオも増加しています。LOIVEは「pilates K」を全国展開し、2026年7月末時点では169店舗を運営しています。さらに、より小規模な30分マシン専門店「pilates K_smart」も展開しており、立地や利用者のニーズに応じて業態を広げています。

同社のビジネスモデルを理解するうえで重要なのが「グループレッスン形式」と「全店直営」です。会社側によれば、店舗は65~80坪程度の比較的小規模なスタジオで、初期投資を抑えやすく、出店物件の選択肢も多いことが特徴です。また、1人のインストラクターが平均20~30人の会員に同時にレッスンを提供できるため、人件費を効率化しやすい構造となっています。2026年3月末時点で全国200店舗を展開しており、このモデルを多店舗展開につなげています。

2026年3月期の業績を見ると、売上高は114億2100万円となり、前期比34.5%増となりました。一方、営業利益は7億2200万円で28.1%減、経常利益は6億4200万円で31.0%減、当期純利益は3億4300万円で31.4%減となっています。売上高が大きく伸びた一方で、利益は減少しており、売上規模の拡大と利益率の改善をどのように両立するかが今後の重要なテーマとなっています。

利益減少の背景には、ピラティス市場でのシェア拡大を目的とした戦略的投資があります。会社側は2026年3月期について、市場寡占化を加速するための投資を実行したと説明しています。新規出店を積極的に進めれば、開業時の設備投資や人材採用、広告宣伝などの費用が先行します。そのため、店舗数が増えても、開業直後からすべての店舗が十分な利益を生み出すとは限りません。今後は新規店舗の増加だけでなく、既存店の会員数や稼働率、収益性を見る必要があります。

2027年3月期については、売上高145億7000万円、営業利益2億7000万円、経常利益1億5000万円、当期純利益4000万円を予想しています。売上高は前期比27.6%増と引き続き大幅な成長を見込む一方、営業利益は62.6%減となる計画です。会社側は成長投資を継続する方針であり、2027年3月期は店舗拡大を優先する段階と見ることもできます。

さらに、2027年3月期第1四半期は売上高31億9100万円で前年同期比32.0%増となりました。ただし営業損益は2億2500万円の赤字となっています。売上高の成長そのものは続いているものの、新規出店や人材などへの投資負担が利益を圧迫している状況です。今後の決算では、出店数の増加がどのタイミングで既存店の利益成長につながるのかが焦点になりそうです。

LOIVEのもう一つの強みは、特定の運動ジャンルに依存しないブランドポートフォリオです。ホットヨガのloIveを利用する人と、ピラティスのpilates Kを利用する人では目的や運動習慣が異なる可能性があります。複数ブランドを持つことで、健康や美容への関心が高まるなかで変化する顧客ニーズに対応しやすくなります。また、ホットヨガからピラティス、筋トレ、ストレッチへとサービスを広げることで、一人の顧客がライフスタイルの変化に応じて別のサービスを利用する機会も生まれます。

こうした多ブランド戦略を支えるのが、女性に特化した事業領域です。同社の従業員に占める女性比率は2026年4月時点で99.9%とされ、女性自身の視点をサービス開発に生かしていることを特徴として打ち出しています。女性のライフステージや身体の変化を意識したプログラム開発も進めており、2026年6月には骨盤底筋に焦点を当てたフェムケアレッスンを全国導入しました。

一方で、フィットネス事業にはいくつかの課題もあります。第一に、店舗数の拡大に伴って、インストラクターなどの人材を確保し続ける必要があります。店舗が増えるほど採用・育成・マネジメントの重要性は高まります。また、人気エリアでは競合店舗との顧客獲得競争も強まる可能性があります。さらに、ブティック型フィットネスはトレンドの影響を受ける面もあるため、ピラティス人気が今後どのように推移するのかも重要なポイントです。

財務面では、2026年3月末の総資産が91億6400万円、純資産が23億4500万円、自己資本比率は25.6%でした。営業活動によるキャッシュ・フローは8億4800万円のプラスでしたが、投資活動によるキャッシュ・フローは17億5300万円のマイナスとなっています。店舗拡大を進めるなかで投資負担が大きくなっていることが分かります。

また、現時点では配当を実施しておらず、2027年3月期についても年間配当はゼロの予想です。成長段階にある企業だけに、利益を株主還元に回すよりも、店舗開発や人材など事業拡大のために活用する局面にあるといえます。株主優待制度も現在はありません。

LOIVEは、ホットヨガ企業から女性向けウェルネス企業へと事業領域を広げています。特に「pilates K」の急速な店舗展開によって、ピラティス市場における存在感を高めようとしている点が特徴です。2026年3月期は売上高が100億円を突破し、2027年3月期も売上高145億7000万円を目指しています。一方で、成長投資の負担から利益は減少する計画となっており、今後は店舗拡大を利益成長へ転換できるかが重要になります。

2025年4月の上場からまだ日が浅いLOIVEにとって、今後は「何店舗出店したか」だけでなく、「新規店舗がどの程度の期間で収益化するのか」「既存店の会員数や売上がどう伸びるのか」「ピラティス以外のブランドをどのように育てるのか」が企業価値を考えるうえで重要な材料となるでしょう。ホットヨガからピラティス、筋トレ、ストレッチへと広がる女性向けウェルネス市場のなかで、LOIVEが多店舗・多ブランド戦略をどこまで収益成長につなげられるか。今後の業績推移と店舗展開に注目したい企業です。

まとめ:成長投資と収益化――4社それぞれの次のステージに注目

今回取り上げた4社は、いずれも成長市場を事業機会としている一方、今後の企業価値を考えるうえで注目すべきポイントはそれぞれ異なります。

リビングプラットフォームでは、介護・障がい者支援・保育を軸に、訪問看護や調剤薬局など周辺領域への展開が進んでいます。2026年3月期には売上高220億円を超え、2027年3月期も事業拡大を進めています。今後は施設・サービスの拡大だけでなく、M&Aや事業承継によって取得した事業の収益化、人材コストへの対応などが重要なテーマとなります。

BASEでは、ネットショップ作成サービスを起点として、決済、ショッピング、資金調達、EC支援などへ事業領域を広げています。EC市場では競争が続く一方、オンライン販売を始めたい個人・小規模事業者を取り込める余地もあります。今後はショップ数だけでなく、流通総額や決済利用、周辺サービスの利用拡大を通じて、1店舗あたりの収益性をどこまで高められるかが焦点になります。

カヤックは、ゲーム・アニメ、ブランド&マーケティング、地域関連など、多様な事業を展開しています。東証上場企業としても独自色が強く、ゲームなどのコンテンツ事業ではヒット作品の創出が成長を左右する一方、広告・DXや地域事業などが収益基盤を支える構造です。過去の開示でも、広告やゲームで培った企画力・技術力を活用して事業領域を広げる「ポートフォリオ経営」を掲げています。

LOIVEは、ホットヨガからマシンピラティスへと成長の軸を広げ、女性向けブティック型フィットネスの多店舗展開を進めています。2025年4月に東証グロース市場へ上場した比較的新しい上場企業であり、今後は出店数の拡大だけでなく、新店舗の収益化や既存店の成長が重要になります。

このように4社には、「成長投資」という共通するテーマがあります。新しい施設や店舗を増やす、サービスを拡充する、M&Aを行う、新しいコンテンツを開発する――こうした投資は短期的には費用を押し上げる可能性がありますが、成功すれば将来の売上・利益の拡大につながります。そのため、今後の決算では売上高の伸びだけでなく、投資した資金がどのように利益へ転換されているかを見ることが重要でしょう。

東証グロース市場には、将来の成長を期待される企業が多い一方、事業拡大の過程では業績の変動も起こり得ます。今回の4社も、介護、EC、コンテンツ、フィットネスという異なる市場で、それぞれ独自の成長戦略を進めています。投資家にとっては、現在の数字だけで企業を判断するのではなく、それぞれが狙う市場の成長性、競争環境、投資負担、収益化の進捗を継続的に確認することがポイントとなります。

「社会課題」「デジタル化」「エンターテインメント」「健康・美容」という異なるテーマを持つ4社が、これからどのように事業を拡大し、成長投資を収益へ結びつけていくのか。東証グロース市場の個性派企業を知るうえでも、今後の業績推移を追っていきたい4社です。

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