東京23区のタワーマンションは、なぜ“億ション”だらけになったのか

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

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東京23区で進む高額マンション化の現状と背景、そして今後のリスクまで徹底解説

はじめに

いま東京23区のマンション市場では、「高い」という言葉では足りないほどの価格上昇が起きています。特に都心や湾岸を中心としたタワーマンションでは、1戸1億円を超える、いわゆる**「億ション」が珍しい存在ではなくなってきました。実際、不動産経済研究所によると、2025年の東京23区の新築分譲マンション価格の中央値は1億1,380万円で、前年から27.3%上昇し、初めて1億円を超えました。平均価格も1億3,613万円**で、最高値を大幅更新しています。 

さらに、2025年上半期の東京23区では、発売戸数2,964戸のうち1,640戸、55.3%が億ションだったと不動産経済研究所は説明しています。つまり、東京23区では「一部の超高級物件だけが高い」のではなく、市場の真ん中そのものがすでに1億円を超え始めているのです。これは、以前の“億ションは特別な富裕層向け商品”という感覚とはかなり違います。 

しかも、この高額化は新築だけの話ではありません。東京カンテイによる中古マンション70㎡換算価格では、東京23区は2026年4月に1億2,724万円となり、24カ月連続で上昇しています。2026年3月でも1億2,425万円で、都心部周辺には在庫増加などの“渋さ”も見え始めている一方、価格水準そのものは依然として非常に高いままです。つまり、23区のマンション市場は、新築も中古も高いという状態に入っています。 

こうなると、多くの人は「なぜここまで上がるのか」「本当にまだ買われるのか」「タワマンは今後も強いのか」と気になるはずです。結論を先に言うと、東京23区のタワーマンション高騰は、単なるバブル的な熱狂だけでは説明できません。建築コスト上昇、再開発、都心回帰、投資マネー、賃料上昇、供給制約が同時に進んでいるからです。一方で、価格が高いからこそ、今後は「どの物件でも強い」時代ではなくなり、エリア・築年数・管理状態・眺望・流動性で明暗が分かれる可能性も高まっています。 

この記事では、東京23区のタワーマンションを中心とした“億ション化”について、
いま何が起きているのか
なぜ高額マンションが増えているのか
どのような買い手が市場を支えているのか
今後も上がるのか、それとも危うさがあるのか
を、できるだけわかりやすく、かつ包括的に整理していきます。 


第1章 まず、東京23区のマンション価格はどこまで上がっているのか

数字から入ると、現状の異常さがかなり見えやすいです。不動産経済研究所の2025年まとめでは、首都圏の新築分譲マンション平均価格は9,182万円で最高値を更新しましたが、東京23区に限ると平均価格は1億3,000万円台まで上昇しました。さらに都心6区、つまり千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷では、平均価格は1億9,503万円とされています。都心6区だけ見ると、もはや“普通のマンション価格”ではなく、高級住宅市場に近い価格帯です。 

しかも、平均価格だけでは「一部の超高額住戸が平均を押し上げているだけでは」と思う人もいるかもしれません。そこで重要なのが中央値です。不動産経済研究所は、2025年の東京23区新築マンションの中央値が1億1,380万円になったと発表しています。中央値は極端な高額住戸の影響を受けにくい指標なので、これが1億円を超えたということは、23区の新築市場そのものが“億ション前提”に近づいていることを意味します。 

中古も同じ方向です。東京カンテイの70㎡換算価格では、東京23区は2026年1月に1億2,123万円、2月に1億2,349万円、3月に1億2,425万円、4月に1億2,724万円と上昇が続きました。新築の価格高騰だけでなく、中古も“後追い”ではなく、むしろかなり高い水準で推移していることがわかります。これは、買い手が「高い新築の代わりに中古へ流れている」だけではなく、東京23区そのものの居住価値・投資価値が強く評価されていることを示しています。 

さらにアットホームの調査でも、2026年3月の東京23区中古マンション1戸あたり平均価格は、20カ月連続で最高額更新とされています。東京カンテイとアットホームで統計の取り方は異なりますが、どちらも「23区中古マンション価格は継続的に上がっている」という方向で一致しています。つまり、“億ション化”は話題先行ではなく、複数の市場データが確認している現象です。 


第2章 なぜタワーマンション中心に高額化が進んでいるのか

では、なぜここまで高額化しているのでしょうか。
最も大きな理由の一つは、供給される物件の中心が、都心・大規模・再開発・タワー型へ寄っていることです。不動産経済研究所は、2025年の価格上昇について、東京都心での高額物件や大型タワーマンションの供給が再び活発化したことを主因の一つとして挙げています。2025年の東京23区価格上昇は、単に中古が投機的に買われたというより、新築供給そのものが高額商品へ寄っていることが大きいのです。 

二つ目は、建設コストの上昇です。不動産経済研究所は、2025年上半期の23区中央値上昇について、都心の一部物件だけでなく、人件費、用地費、資材費の上昇によって、23区内のほぼすべてのエリアで価格が上昇したと説明しています。つまり、タワマンだけが特別高いのではなく、全体のコストベースが押し上がっているため、結果として都心のタワー物件はさらに高くなりやすいという構図です。 

三つ目は、再開発プレミアムです。三井住友トラスト基礎研究所ベースの東京不動産市場レポートでは、東京都心部では大規模再開発が進行しており、2026年にもAクラスオフィスの新規供給が続くとされています。オフィス供給の話に見えて、実際には再開発は住宅価値にも強く影響します。駅・商業施設・オフィス・ホテル・公共空間が一体整備されることで、住宅としての利便性と資産性が高まるからです。タワーマンションはこうした再開発とセットで供給されやすく、その分“ただの住宅”以上の価格がつきやすくなります。 

四つ目は、供給制約です。不動産経済研究所は、2025年の首都圏新築分譲マンション発売戸数が2万1,962戸で、1973年以降の最少を更新したとしています。供給戸数が少ない一方で、都心立地の需要は強い。そのため、新規供給されるタワーマンションや大規模再開発物件に人気と価格が集中しやすくなります。要するに、東京23区の“億ション化”は、需要だけでなく、希少性の高い供給構造によっても支えられているのです。 

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第3章 “億ション”が増えているのは、誰が買っているからなのか

価格がここまで上がると、「普通の会社員にはもう無理では」と感じる人は多いはずです。実際、その感覚はかなり正しいです。2025年上半期の東京23区新築市場では、発売戸数の55.3%が億ションでしたから、もはや平均的な勤労世帯の住宅取得とはかなり距離があります。 

では誰が買っているのか。
一つは当然、高所得の実需層です。都心勤務の共働き世帯や経営者層、相続や金融資産を持つ世帯です。特に23区タワーマンションは、通勤利便、教育環境、再開発、眺望、共用施設などが強く、生活利便性そのものに高い価値を置く層には依然として魅力があります。これは市場の基礎的な需要です。 

二つ目は、資産保全・投資目的の買い手です。円建て資産の中で、東京23区の大規模・高仕様マンションは、国内外の富裕層にとって一定の保全先になりやすいです。今回の検索では外国人投資家に関する高品質な一次資料を十分に確認できませんでしたが、少なくとも市場実務では、都心再開発物件や湾岸タワーが投資・保全需要を取り込みやすいことは広く知られています。ただし、ここは出所不明の断定は避けるべきなので、確実に言える範囲では、投資適格性が高いと見なされやすい物件に資金が集まりやすいという整理にとどめるのが正確です。 

三つ目は、賃貸需要を見込む買い手です。アットホームによると、2026年3月時点で、東京23区の賃貸マンション募集家賃はシングル向きで22カ月連続、アパートでも高水準更新が続いています。さらに全13エリア・全ての面積帯で前年同月を上回るのは2015年1月の調査開始以来初とされています。つまり、23区の住宅需要は売買だけでなく賃貸でも強く、これが高額物件の投資判断を支える一因になります。 

ただし、ここで大事なのは、「誰でも投資対象として成立する」わけではないことです。高額タワマンの賃貸利回りは一般に高くなりにくく、価格上昇期待が大きい局面ほど表面利回りは低く見えやすいです。つまり買い手は、単純な賃貸収益だけでなく、資産保全・将来売却・都心立地の希少性まで含めて判断している可能性が高いです。 


第4章 東京23区のタワーマンション市場は、まだ強いのか

ここはかなり重要です。
価格が上がり続けているからといって、どの物件でも売れるわけではありません。むしろ、2026年に入ってからは“高値圏の強さ”と同時に、“選別の始まり”も見えています。東京カンテイは2026年3月のレポートで、東京23区価格は23カ月連続上昇としつつ、都心部周辺では在庫増加などの“渋さ”が出始めると表現しています。また2月時点のレポートでも、都心部の価格改定シェアが高まりつつあるとしています。これはつまり、相場全体は高いままでも、売り手の値付けが常に強気で通るわけではなくなってきているということです。 

新築でも似た兆候があります。不動産経済研究所の2025年12月レポートでは、首都圏の初月契約率は**63.1%で、好不調の目安とされる70%を下回っています。超高層物件の契約率も64.5%**でした。価格自体は上昇していても、売れ行きは以前ほど絶対的な強さではない。つまり市場は、高値でも吸収できるが、買い手はより慎重になっている局面に入りつつあります。 

これは投資家・購入検討者にとって大事な変化です。
上昇相場の初期や中盤では、「23区」「タワマン」というだけで一律に評価されやすいですが、高値圏では違います。
駅距離
再開発との接続
眺望・階数
管理体制
修繕積立金の健全性
住戸面積
賃貸需要の厚さ
などの差が、価格維持力にそのまま出やすくなります。つまり今後は、“東京23区のタワマンだから安心”というより、
同じ23区タワマンでも中身の差がそのまま資産価値の差になる可能性が高いです。 

したがって、現状を一言で言うなら、東京23区タワーマンション市場はまだ高値圏で強いものの、すでに全面高の時代から選別相場へ移り始めていると見るのが自然です。これは暴落のサインというより、過熱した市場が次の段階へ入るときによく見られる動きです。 

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第5章 “億ション化”の裏側で見落とされやすいリスク

価格が高いこと自体は、売る側や保有者から見れば魅力です。
しかし、東京23区の高額タワーマンションには、上昇期待だけでなく明確なリスクもあります。

まず一つ目は、金利上昇リスクです。これまでの高額マンション市場は、超低金利の住宅ローン環境にも支えられてきました。ところが2026年時点では、住宅ローン金利の上昇懸念が高まっています。銀行の解説資料ベースでも、変動金利・固定金利ともに水準上昇が意識されており、借入額が大きい高額マンションほど影響は無視しにくくなります。特に実需層の購入余力には確実に効きます。 

二つ目は、維持費上昇リスクです。タワーマンションは一般に管理費・修繕積立金が高めで、将来増額も起こりやすい傾向があります。国土交通省は2024年に修繕積立金ガイドラインを改定し、段階増額積立方式では将来的な大幅引き上げが起きやすく、十分な積立が難しくなる場合があると警告しました。高額マンションほど本体価格に目が行きがちですが、管理費・修繕積立金・固定資産税を含めた保有コストは無視できません。 

三つ目は、賃貸利回りの低下です。売買価格が先に上がり続けると、賃料上昇があっても利回りは圧縮されやすくなります。東京23区の賃料は上がっていますが、それでも売買価格の上昇ペースがそれを上回れば、投資妙味は薄れます。つまり、“高くても借り手がいる”ことと、“投資として十分うまい”ことは別です。価格が上がり続ける前提で買う投資は、相場が鈍った瞬間に難しくなります。 

四つ目は、再開発プレミアムの剥落リスクです。再開発エリアは人気ですが、供給が集中する局面では競争も起こります。築浅・新築の大型物件が次々に出ると、少し古い物件の相対価値が落ちることがあります。特に湾岸や再開発集中エリアでは、将来の新規供給を見ないと、「いま人気だから安心」とは言いにくいです。 


第6章 それでも東京23区のタワーマンションに期待が残る理由

ここまでリスクを書きましたが、だからといって東京23区タワーマンション市場がすぐ崩れるという話ではありません。期待が残る理由もはっきりあります。

第一に、東京23区そのものの住宅需要の厚さです。売買だけでなく賃貸でも家賃上昇が続いており、23区の住宅需要は依然として強いです。アットホームの調査で、23区の賃貸家賃が広い面積帯で最高値圏にあることは、都心居住ニーズがなお根強いことを示しています。賃貸が強いということは、売買市場の底堅さにもつながりやすいです。 

第二に、再開発によるエリア価値上昇です。東京の都心部では、大規模再開発が継続しており、オフィス、商業、交通、公共空間が更新されています。こうした街全体のアップデートは、単なる一棟のマンション価値ではなく、エリア全体の居住価値を押し上げます。再開発と直結するタワーマンションが強いのは、この構造があるからです。 

第三に、供給の少なさです。新築マンション全体の供給は少なく、都心の用地取得も簡単ではありません。不動産経済研究所も、2026年以降は都心での用地取得が難しくなるため、平均値の上昇はやや緩む一方、建設コスト高が続くため中央値は高止まりしやすいとしています。つまり、価格が下がりにくい理由の一つは、単純に“数が出ない”ことです。 

第四に、都心の高額住宅がもはや特殊商品ではなくなっていることです。23区新築の中央値が1億円を超え、億ション比率が5割超まで上がると、高額物件は一部の超富裕層向けだけではなく、市場の標準の一部になります。もちろん一般的な家計には厳しいですが、市場参加者の層が変わることで、高価格帯が“新しい普通”として定着していく可能性があります。 


第7章 これから東京23区のマンション市場はどう見るべきか

今後の見方として最も重要なのは、「上がるか下がるか」の二択で考えすぎないことです。
今の東京23区タワーマンション市場は、
全面高の継続
より、
高値圏での選別強化
として見るほうが実態に近いです。

つまり、都心・駅直結・再開発一体・管理良好・賃貸需要厚い・ランドマーク性の高い物件は引き続き強く、そうでない物件は高値圏でも伸びにくくなる可能性があります。特に今後は、中古市場での在庫増や価格改定の動きがどこまで広がるかが重要です。東京カンテイが指摘する“渋さ”は、その初期兆候として見ることができます。 

また、購入検討者にとっては、「都心だから安心」「タワマンだから安心」という見方は危険です。
むしろ、
買ったあとに賃貸で回るか
管理費・修繕積立金は将来どうなるか
築10年後、15年後に競争力が残るか
近隣に再開発や新規供給がどれだけあるか
まで見たほうがいいです。
高額物件ほど、“なんとなくの人気”ではなく、出口戦略まで含めた目線が必要です。 

投資家目線では、東京23区のマンション市場はまだ強いですが、今後は「東京のマンション」という一括りではなく、個別エリア・個別物件・個別スペックの分析がより重要になる市場だと考えるべきです。これは市場が崩れるという意味ではなく、成熟してくるときの自然な変化です。


おわりに

東京23区のタワーマンションを中心とした“億ション化”は、もはや一時的な話題ではありません。
2025年の新築23区中央値は1億1,380万円、平均価格は1億3,613万円、2025年上半期には発売戸数の55.3%が億ションでした。中古も2026年4月に70㎡換算で1億2,724万円まで上昇しています。つまり東京23区では、「1億円超え」が特別ではなくなりつつあります。 

この背景には、都心大規模タワー供給、建設コスト高、再開発、賃貸需要の強さ、供給制約があり、単なる投機だけでは説明できません。一方で、高値圏だからこそ、金利、維持費、利回り、将来供給、在庫増などのリスクも無視できません。東京カンテイが示すように、すでに都心周辺では“渋さ”も見え始めています。 

今回の結論を一言でまとめると、
東京23区のタワーマンションが“億ション”だらけになっているのは、都心再開発・建設コスト高・供給制約・賃貸需要の厚さが重なった結果であり、市場はまだ強い。ただし、これからは“23区タワマンなら何でも上がる”時代ではなく、立地・管理・再開発との接続・出口戦略で明暗が分かれる選別市場に入っていく可能性が高い
ということです。

だから今この市場を見るときは、
「高いから危ない」
でも
「都心だから安心」
でもなく、
“なぜその物件は高いのか”と“その高さを将来も支えられるのか”
を一段深く考えることが大切です。

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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