レアアース争奪戦の最前線 三菱商事・三菱マテリアル・東邦亜鉛に見る“資源覇権”の行方

電気自動車(EV)、人工知能(AI)、半導体、再生可能エネルギー――。次世代産業の成長が加速する中で、「レアアース(希土類)」の重要性が世界的に高まっている。ネオジムやジスプロシウムなどに代表されるレアアースは、高性能モーターや電子機器に欠かせない戦略資源であり、“ハイテク時代の石油”とも呼ばれる存在だ。しかし、その供給網は China への依存度が高く、米中対立や経済安全保障問題を背景に、各国で「脱中国依存」の動きが加速している。そうした中、日本企業では 三菱商事三菱マテリアル東邦亜鉛 など、資源調達やリサイクル、精製技術を持つ企業への注目が高まっている。レアアースを巡る争いは、単なる資源ビジネスではなく、“未来産業の主導権争い”そのものになりつつあるのだ。

レアアースって何? ハイテク時代を支える“見えない資源”の正体

スマートフォン、電気自動車(EV)、半導体、風力発電、人工知能(AI)関連機器――。現代社会を支える最先端技術の裏側には、「レアアース(希土類)」と呼ばれる特殊な資源が存在している。ニュースでは「中国の輸出規制」「経済安全保障」「米中対立」といった言葉とセットで語られることが多いが、そもそもレアアースとは何なのかを詳しく理解している人は少ないかもしれない。実はこのレアアース、現代のハイテク産業を支える“見えない主役”とも呼べる存在であり、今後の世界経済や産業構造を左右する重要資源なのである。

レアアースとは、日本語で「希土類元素」と呼ばれる17種類の元素の総称だ。代表的なものにはネオジム、ジスプロシウム、セリウム、ランタン、テルビウムなどがある。「レア(希少)」という名前が付いているため、「地球上にほとんど存在しない物質」というイメージを持たれがちだが、実際には必ずしもそうではない。地中には比較的広く存在しているものの、単独で高濃度に存在するケースが少なく、採掘や分離精製が難しいため“希少”とされているのである。

さらに厄介なのは、レアアースの精製工程だ。複数の元素が混ざり合って存在しているため、それを分離するには高度な技術と大規模な設備が必要になる。加えて、精製時には環境負荷の高い化学処理を伴うことも多く、土壌汚染や水質汚染の問題も指摘されている。そのため、環境規制の厳しい先進国では生産コストが高騰しやすく、多くの企業が事業から撤退した歴史がある。

では、なぜそんな扱いの難しい資源が世界中から注目されているのか。その最大の理由は、「少量で製品性能を劇的に向上させる能力」を持っているからだ。例えばネオジムは、非常に強力な磁石を作る材料として利用される。このネオジム磁石は、小型でありながら強い磁力を持つため、電気自動車のモーターや風力発電設備、ロボット、ドローン、ハードディスクなど幅広い分野に使われている。特にEV市場の拡大によって需要は急増しており、レアアース価格が世界経済に与える影響も大きくなっている。

さらにジスプロシウムは、高温環境でも磁力を維持できる特徴を持つ。そのため、高性能モーターや軍事関連機器などに欠かせない素材となっている。ユウロピウムは液晶ディスプレイやLED、テルビウムはスマホや医療機器などに利用される。つまり、レアアースは現代のデジタル社会を支える基盤材料なのである。

特に注目されているのがEVとの関係だ。たとえば Tesla の電気自動車には高性能モーターが搭載されており、その内部にはネオジム磁石が使用されているケースが多い。EV1台あたりに使われるレアアース量はガソリン車よりも大幅に多く、世界的なEVシフトが進めば進むほど、レアアース需要も増加する構造になっている。再生可能エネルギー分野でも同様で、風力発電設備の大型モーターには大量のレアアースが必要となる。つまり、「脱炭素社会」と「レアアース需要拡大」は表裏一体なのだ。

このレアアース市場で圧倒的な存在感を持つのが China である。現在、中国は世界有数のレアアース生産国であり、特に精製分野では圧倒的シェアを握っている。かつて欧米や日本にもレアアース関連産業は存在したが、環境問題やコスト競争の影響で縮小していった。一方、中国は国家戦略としてレアアース産業を育成し、安価な労働力や規制面の優位性を武器に供給網を構築していったのである。

この結果、世界のハイテク産業は中国依存を強めることになった。しかし、それは同時に大きなリスクも意味する。実際、2010年には中国と日本の外交問題を背景に、中国側がレアアース輸出を事実上制限したことで、日本企業は大きな衝撃を受けた。この「レアアースショック」は、日本に資源安全保障の重要性を再認識させる出来事となった。

それ以降、日本では供給網の多角化が進められている。オーストラリアなど中国以外の調達先を開拓する動きや、リサイクル技術の開発が進展した。例えば トヨタ自動車 は、レアアース使用量を削減したモーター技術の研究を進めている。また、使用済みスマホや家電からレアアースを回収する「都市鉱山」も注目されている。日本は資源小国だが、電子機器廃棄量は非常に多く、都市鉱山は将来的な資源供給源として期待されているのだ。

最近では、レアアースは「経済安全保障」の象徴的存在ともなっている。かつて国家安全保障といえば石油や天然ガスなどエネルギー資源が中心だった。しかし現在は、半導体、AI、電池、レアアースなどハイテク分野の供給網が国家競争力を左右する時代に変わっている。特に米中対立では、半導体規制と並びレアアース問題が重要テーマとなっている。もし供給が止まれば、自動車、電子機器、防衛産業など幅広い分野が打撃を受ける可能性があるからだ。

そのためアメリカや欧州、日本では「脱中国依存」の動きが加速している。新たな鉱山開発、代替素材研究、リサイクル技術への投資が急増しているのもそのためだ。ただし、レアアース産業は簡単に構築できるものではない。新鉱山の開発には巨額投資と長期間が必要であり、精製技術の確立も容易ではない。結局のところ、中国の優位性は依然として非常に強いのである。

株式市場でもレアアース関連企業は注目テーマとなっている。採掘企業だけでなく、磁石メーカー、モーター企業、リサイクル関連企業なども「レアアース関連銘柄」として扱われる。EVやAIブームが加速する中、今後も市場拡大への期待は大きい。ただし、価格変動が激しい点には注意が必要だ。中国の政策変更や地政学リスクによって相場が急変することもあり、投資テーマとしてはハイリスク・ハイリターンの側面も持っている。

レアアースは単なる鉱物資源ではない。それは現代テクノロジーの土台であり、国家戦略そのものでもある。スマートフォン1台の中にも、世界の地政学や産業競争、環境問題、資源安全保障が詰め込まれている。AI時代、EV時代、脱炭素時代が進めば進むほど、レアアースの重要性はさらに高まっていくだろう。今後の世界経済を読み解くうえで、「レアアースを制する者が次世代産業を制する」と言っても決して大げさではないのである。

資産運用に興味がある方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 初心者向け無料講座:お金のプロが教える「毎月収入を得る投資の始め方」

三菱商事 とレアアース 資源覇権時代に総合商社が担う重要な役割

電気自動車(EV)、人工知能(AI)、半導体、再生可能エネルギー――。世界経済の主役が「デジタル化」と「脱炭素」に移行する中で、存在感を急速に高めているのがレアアース(希土類)である。ネオジムやジスプロシウムなどに代表されるレアアースは、EVモーターや風力発電設備、高性能電子機器などに欠かせない戦略資源であり、現代産業を支える“ハイテク時代の石油”とも呼ばれている。

その一方で、レアアース市場は特定国への依存度が極めて高い。特に China は採掘だけでなく精製分野でも圧倒的シェアを握っており、世界経済は中国の供給網に大きく依存している。米中対立や経済安全保障問題が激化する中で、各国は「脱中国依存」を重要課題として掲げ始めた。

こうした状況下で注目されているのが、日本の総合商社の存在である。中でも 三菱商事 は、資源、エネルギー、金属、次世代産業への投資を通じて、レアアースを含む戦略資源分野で大きな役割を果たしている企業の一つだ。

三菱商事というと、一般的には「巨大商社」というイメージが強い。しかし、その事業内容は単なる“モノの売買”ではない。鉱山開発、エネルギー事業、インフラ、食品、化学、自動車、金融など幅広い分野に投資を行い、世界中のサプライチェーンを構築する“事業投資会社”としての側面を持っている。

レアアース問題において総合商社が重要視される理由は、単に鉱石を輸入するだけではなく、「供給網全体」を動かす力を持っているからだ。レアアースは採掘から精製、輸送、加工、製品化まで複雑な工程を必要とする。しかも産出地域が偏在しているため、資源外交や長期契約、現地政府との関係構築も欠かせない。こうした分野は、世界中にネットワークを持つ総合商社の得意領域なのである。

実際、日本は2010年に“レアアースショック”を経験している。当時、中国との外交問題を背景に、中国側が対日レアアース輸出を事実上制限したことで、日本のハイテク産業は大きな衝撃を受けた。自動車メーカーや電子部品メーカーは供給不安に直面し、日本全体が「資源安全保障」の脆弱性を痛感したのである。

この出来事以降、日本企業は調達先の多角化を急速に進めた。オーストラリアや東南アジア、アフリカなど、中国以外の資源供給網構築が重要テーマとなった。その中で、三菱商事のような総合商社は、海外資源案件への投資や物流網構築を通じて重要な役割を担ってきた。

近年では、EV市場の急成長がレアアース需要をさらに押し上げている。たとえば Tesla をはじめとするEVメーカーは、高性能モーターにネオジム磁石を利用しているケースが多い。さらに風力発電設備でも大量のレアアースが必要となるため、「脱炭素社会」の進展はそのままレアアース需要増加につながる構造になっている。

つまり、レアアースは単なる鉱物ではなく、「次世代産業の基盤資源」へと変貌しているのである。

三菱商事にとっても、これは大きなビジネスチャンスだ。同社は従来から資源分野に強みを持ち、鉄鉱石、LNG(液化天然ガス)、銅、ニッケルなど幅広い資源投資を展開してきた。特に近年は、脱炭素関連素材や次世代エネルギー分野への投資を積極化している。

レアアースそのものへの直接投資だけでなく、関連する電池材料、モーター部品、リサイクル分野などを含めたサプライチェーン全体で存在感を高める可能性がある。総合商社は単一事業ではなく、「複数の産業をつなぐ」ことができるため、レアアース関連でも強みを発揮しやすい。

また、日本国内では「都市鉱山」も注目されている。これは使用済みスマートフォンや家電製品などからレアアースや貴金属を回収する取り組みだ。日本は天然資源こそ乏しいが、大量の電子機器を保有しているため、リサイクル資源が豊富に存在する。環境負荷低減と資源確保を両立できる分野として期待されている。

今後、三菱商事のような企業には単なる資源確保だけではなく、「持続可能な供給網」を構築する役割も求められるだろう。レアアース採掘には環境問題も伴うため、ESG投資や脱炭素の観点からも責任ある資源開発が必要となる。

一方で、レアアース市場にはリスクも存在する。価格変動が激しく、中国の政策変更によって相場が急変することも珍しくない。また、技術革新によって「レアアース不要」のモーター開発が進む可能性もある。そのため、単純な資源ビジネスだけではなく、技術動向や地政学リスクを含めた総合的な戦略が重要になる。

それでも、AI、EV、再生可能エネルギーが拡大する限り、レアアース需要そのものは中長期的に増加するとの見方が強い。世界は今、「資源を持つ国」だけでなく、「資源供給網を構築できる企業」を求めている。

三菱商事のような総合商社は、その中心的存在になり得る。かつて石油や鉄鉱石が世界経済を動かしたように、これからの時代はレアアースや次世代素材が国家競争力を左右する可能性が高い。レアアースを巡る争いは、単なる資源ビジネスではなく、“未来産業の主導権争い”そのものなのである。

資産運用で失敗したくない方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 無料講座:お金のプロが教える「初心者が毎月収入を得る投資の始め方」

三菱マテリアル とレアアース “都市鉱山”時代に存在感を高める素材企業の戦略

電気自動車(EV)、人工知能(AI)、半導体、風力発電――。世界経済が「脱炭素」と「デジタル化」に向かう中で、レアアース(希土類)の重要性が急速に高まっている。ネオジム、ジスプロシウム、テルビウムなどに代表されるレアアースは、高性能モーターや電子機器、再生可能エネルギー設備などに不可欠な素材であり、“ハイテク時代の戦略資源”とも呼ばれている。

しかし、レアアース市場には大きな問題がある。それは供給網が特定国に偏っていることだ。特に China は採掘だけでなく精製分野でも圧倒的シェアを握っており、世界のハイテク産業は中国依存を強めている。米中対立や経済安全保障問題が深刻化する中で、日本や欧米では「脱中国依存」が重要課題となっている。

そうした中で注目されているのが、リサイクル技術や高機能素材分野を持つ日本企業だ。その代表格の一つが 三菱マテリアル である。

三菱マテリアルというと、一般投資家には「非鉄金属メーカー」というイメージが強いかもしれない。しかし実際には、銅、セメント、電子材料、加工事業、リサイクルなど幅広い事業を展開する総合素材メーカーであり、特に資源循環分野で高い技術力を持っている。

レアアース問題において、三菱マテリアルが注目される理由の一つが「都市鉱山」だ。都市鉱山とは、使用済みのスマートフォンやパソコン、家電製品などに含まれる金属資源を回収・再利用する取り組みを指す。現代の電子機器には金、銀、銅だけでなく、レアアースやレアメタルも大量に含まれている。つまり、都市そのものが巨大な“鉱山”として機能するという考え方である。

日本は天然資源に乏しい一方、電子機器消費量が非常に多い。そのため、使用済み製品の中には膨大な資源が眠っている。三菱マテリアルは、こうした都市鉱山ビジネスに早くから取り組み、リサイクル技術を強化してきた。

特に同社の強みは、単なる回収ではなく「高度な分離・精製技術」にある。レアアースは種類ごとに化学的性質が似ているため、分離精製が非常に難しい。しかも、採掘から精製までには環境負荷も伴う。そのため、使用済み製品から効率的にレアアースを回収できれば、資源安全保障と環境対策を同時に進めることが可能になる。

近年、EV市場の急拡大によってレアアース需要は急増している。たとえば Tesla をはじめとするEVメーカーでは、高性能モーターにネオジム磁石が利用されるケースが多い。風力発電設備でも同様で、大型モーターには大量のレアアースが必要になる。

つまり、「脱炭素社会」が進めば進むほど、レアアース需要も増加する構造になっているのである。

だが、ここで問題になるのが供給不安だ。レアアース市場は中国依存度が高く、政治的な対立が供給停止リスクにつながる可能性がある。実際、日本は2010年に中国との外交問題を背景とした“レアアースショック”を経験している。この時、日本企業は供給不安に直面し、「資源を持たない国」の脆弱性を痛感した。

その後、日本政府や企業は供給網の多角化を進めると同時に、リサイクル技術の強化にも力を入れてきた。三菱マテリアルは、まさにその中心的存在の一つと言える。

同社は非鉄金属精錬で培った技術を活用し、電子基板や廃電子機器から金属資源を回収する事業を展開している。金や銅だけでなく、希少金属の再利用にも取り組んでおり、「資源循環型社会」の実現を目指している。

また、レアアース問題は単なる資源確保だけでは終わらない。近年はESG投資や環境規制の強化によって、「どこで、どのように採掘された資源なのか」が重要視されるようになっている。レアアース採掘は土壌汚染や水質汚染を伴うケースもあり、環境負荷が大きいとされる。そのため、リサイクルによる供給比率を高めることは、環境面でも大きな意味を持つ。

三菱マテリアルのような素材企業は、こうした流れの中で重要性を増している。単に資源を加工するだけでなく、「限りある資源を循環させる技術」を持つ企業が、次世代産業では優位性を持つ可能性が高いからだ。

株式市場でも、レアアース関連やリサイクル関連銘柄は注目テーマになっている。特にAI、EV、半導体、再生可能エネルギー市場が拡大する中で、素材企業への期待は高まりやすい。一方で、資源価格は景気や地政学リスクによって大きく変動するため、収益も市況影響を受けやすい特徴がある。

また、技術革新によって「レアアース使用量を減らす動き」も進んでいる。たとえば自動車メーカー各社では、レアアースを削減したモーター開発も進行中だ。そのため、単純に「需要増=永遠の成長」とは言い切れない面もある。

それでも、AI時代やEV時代が本格化する限り、高機能素材への需要そのものは拡大が続く可能性が高い。レアアースは現代社会の“見えないインフラ”であり、その供給網を支える企業の重要性は今後さらに高まるだろう。

三菱マテリアルは、採掘企業ではない。しかし、資源循環、精製、リサイクルという分野で、日本のレアアース戦略を支える重要企業の一つとなっている。資源を「掘る時代」から「循環させる時代」へ――。その変化の中心で、同社の役割は今後ますます大きくなっていくのかもしれない。

資産運用で失敗したくない方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 無料講座:お金のプロが教える「初心者が毎月収入を得る投資の始め方」

東邦亜鉛 とレアアース 資源安全保障時代に注目される非鉄金属企業の可能性

電気自動車(EV)、人工知能(AI)、半導体、再生可能エネルギー――。世界経済が「脱炭素」と「デジタル化」を軸に大きく変化する中で、レアアース(希土類)の重要性が急速に高まっている。ネオジムやジスプロシウムなどに代表されるレアアースは、高性能モーターや電子部品、風力発電設備などに欠かせない素材であり、“次世代産業の血液”とも呼ばれる戦略資源だ。

一方で、レアアース市場は供給リスクという大きな問題を抱えている。現在、採掘や精製の多くを China が握っており、世界のハイテク産業は中国依存を強めている。米中対立や経済安全保障問題が深刻化する中で、日本や欧米では「脱中国依存」が重要テーマとなり、資源確保やリサイクル技術への注目が集まっている。

そうした中で、市場の関心を集めることがあるのが 東邦亜鉛 のような非鉄金属企業だ。

東邦亜鉛は、その名の通り亜鉛製錬を主力とする非鉄金属メーカーであり、鉛や銀などの金属事業でも知られている。一般的にはレアアース専業企業というイメージは薄いが、実は近年の「資源安全保障」や「レアメタル戦略」という文脈では、非鉄金属企業全体への注目度が高まりやすい環境にある。

その理由は、レアアース問題が単に“特定の鉱物”の話ではなく、「資源供給網全体」の問題へ変化しているからだ。

現代のハイテク産業では、レアアースだけでなく、亜鉛、銅、ニッケル、リチウム、コバルトなど多種多様な金属資源が必要になる。EV1台を製造するにも、大量の非鉄金属や希少金属が必要だ。つまり、脱炭素社会やAI時代の進展によって、非鉄金属業界そのものが重要性を増しているのである。

東邦亜鉛のような企業は、長年にわたり培ってきた製錬技術や資源リサイクル技術を持っている。こうした技術は、レアアースやレアメタル分野とも相性が良い。実際、レアアースの課題の一つは「採掘」よりも「分離・精製」にある。レアアースは種類ごとの性質が似ており、高度な化学処理や精製技術が必要となるためだ。

非鉄金属メーカーは、こうした精製プロセスに関するノウハウを持っているケースが多い。そのため、直接的にレアアースを扱っていなくても、「資源循環」や「希少金属回収」という分野で存在感を発揮する可能性がある。

また、近年は「都市鉱山」という考え方も注目されている。これは使用済みスマートフォンやパソコン、家電製品などから希少金属を回収する取り組みだ。日本は天然資源こそ乏しいが、電子機器の消費量は非常に多く、廃電子機器には大量の金属資源が眠っている。

特にEVや再生可能エネルギー関連市場が拡大すると、将来的には使用済み電池や電子機器からの金属回収需要も増加する可能性が高い。非鉄金属企業にとって、これは新たな成長分野となり得る。

レアアース需要を押し上げている最大要因の一つがEV市場だ。たとえば Tesla をはじめとするEVメーカーは、高性能モーターにネオジム磁石を利用するケースが多い。また、風力発電設備でも大量のレアアースが必要とされる。

つまり、「脱炭素」が進めば進むほど、レアアースや非鉄金属の需要も拡大しやすい構造になっている。

ただし、こうした資源ビジネスにはリスクもある。最大の特徴は、市況変動の激しさだ。金属価格は景気動向や中国経済、地政学リスクの影響を大きく受ける。需要が急増すれば価格は高騰する一方、景気減速局面では急落することも珍しくない。

東邦亜鉛も例外ではなく、金属価格変動やエネルギーコストの影響を受けやすい企業である。製錬業は大量の電力を必要とするため、資源価格だけでなく電力価格上昇も収益に影響を与える。

さらに、レアアース分野では技術革新も進んでいる。自動車メーカー各社では「レアアース使用量削減」や「レアアース不要モーター」の研究も進行中だ。そのため、単純な需要増加シナリオだけでは語れない難しさもある。

それでも、中長期的にはAI、EV、再生可能エネルギー、半導体といった成長分野が拡大する限り、非鉄金属や希少資源の重要性は高まり続ける可能性が高い。

かつて世界経済は石油を巡って動いていた。しかし現在は、レアアースやレアメタル、非鉄金属を巡る競争が激化している。資源を持つ国だけでなく、精製技術やリサイクル技術を持つ企業にも注目が集まる時代になった。

東邦亜鉛のような非鉄金属企業は、単なる素材メーカーではない。現代産業を支える“資源供給網の一角”として、今後さらに重要性を増していく可能性がある。レアアース問題は、特定鉱物だけの話ではなく、日本の製造業や経済安全保障そのものに直結するテーマなのである。

まとめ

レアアースは単なる鉱物資源ではなく、EV、AI、半導体、再生可能エネルギーといった次世代産業を支える「戦略物資」となっている。そして、その供給網を巡る競争は、企業業績だけでなく国家安全保障にも直結する時代へ突入した。三菱商事 はグローバルな資源ネットワーク構築で、三菱マテリアル はリサイクルや都市鉱山分野で、東邦亜鉛 は非鉄金属精製技術で、それぞれ存在感を発揮している。今後、世界が脱炭素とデジタル化へ進むほど、資源を「持つ企業」だけでなく、「循環させる技術を持つ企業」の価値もさらに高まっていくだろう。

プロの知識が無料で学べます

「投資の勉強を何からやっていいかわからない」「投資で資産を作りたい、収入を増やしたい」

そんな時は無料で視聴できるオンライン講座「GFS監修 投資の達人講座」をまずはお試ししてください。

投資の達人になる投資講座は、生徒数50,000人を超え講義数日本一の投資スクールGFSが提供する無料オンライン講座です。プロの投資家である講師が、未経験者や苦手意識がある人でも分かるように、投資の仕組みや全体像、ルールを基礎から図解を交えて解説します。

投資の勉強をなるべく効率よく始めたい人は、ぜひ一度ご視聴ください。

≫初心者でも資産形成を学習できる無料オンラインセミナーはこちら

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年5月時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

記事一覧はこちら
月1万円から資産6,000万円を目指す方法
無料で視聴する