「投資の利回りって何?」
「投資の利回りっていったいどれくらいなの?」
投資を始めようという場合、実際のところどのくらいの利回りが見込めるのか、また利回りとは具体的に何のことを指すのか、気になりますよね。
投資の利回りとは、「投資から得られる利益」を「投資した金額」で割った割合のことです。
具体的な指標としては、主に「投資信託の利回り」のことを指していい、株式投資における「配当利回り」を指していうこともあります。
投資の利回りとは |
---|
「投資から得られる利益」を「投資した金額」で割った割合のこと。 主に「投資信託の平均利回り」あるいは「株式の配当利回り」を指す 投資の利回り = 投資から得られる利益 ÷ 投資した金額 × 100(%) |
この記事では、具体的な投資の利回りの指標についての意味や知っておくべき基礎知識を紹介します。
また、投資の利回りが実際にどのくらいなのかといった利回りの相場や具体的な商品例も紹介しますので、どれくらいの利回りで運用していくか判断するための参考にしてください。
この記事では、具体的な投資の利回りの指標についての意味や知っておくべき基礎知識を紹介します。
また、投資の利回りが実際にどのくらいなのかといった利回りの相場や具体的な商品例も紹介しますので、どれくらいの利回りで運用していくか判断するための参考にしてください。
▼この記事でわかること
- 投資初心者が必ず押さえておくべき投資の利回りの基礎知識
- 投資利回りの相場は2~10%
- 投資利回り3%で運用した場合の資産形成シミュレーション
- 投資利回り3%~10%の商品例
- 投資は利回りだけで判断すると危ない理由3つ
最後まで読むことで、平均的な投資利回りで運用した場合の資産形成のシミュレーションが確認できます。また、投資の利回りを使う際の注意点も紹介しますので、投資判断を誤らないためにもぜひ最後まで目を通して見てください。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
1. 投資初心者が必ず押さえておくべき投資の利回りの基礎知識
まず初めに、投資を始める際に必ず理解しておくべき「投資の利回りの基礎知識」について紹介します。
冒頭でも触れましたが、投資の利回りとは、投資から得られる利益を投資金額で割った割合のことです。一般的には一年当たりの割合、つまり年間利回りのことを指します。
【投資利回りの算出イメージ】
|
投資の利回りは、「投資金額に対してどのくらいの利益が期待できるか」がわかるため、「どの金融商品に投資するか」という投資判断をするために利用されます。
特に、長期投資をする際に重視される指標で、具体的には「投資信託の利回り」を指すケースがほとんどです。ただし、株式投資においては「配当利回り」のことを指す場合もあります。
ここではこの
- 投資信託の平均利回り
- 株式投資の配当利回り
について具体的に紹介します。
また、「利回り」とよく混同される「利率」や「騰落率」「パフォーマンス」との違いについても紹介しますので、利回りを正確に把握するために、これらとの違いも確認するようにしてください。
それでは具体的に見ていきましょう。
1-1. 投資信託の場合の利回りとは1年間の平均利回りを指す
投資信託の場合、利回りとは「投資信託の平均利回り」のことを指します。
投資信託の平均利回りとは、投資信託の取得金額に対して、運用期間1年あたり、どのくらいの利益を上げたかを示す割合のことです。
投資信託の平均利回りとは |
---|
投資信託の取得金額に対して、運用期間1年あたり、どのくらいの利益を上げたかを示す割合。 投資信託の平均利回り(%) = (投資信託の譲渡損益 + 分配金) ÷ 運用年数 ÷ 投資信託の取得金額 × 100 ※単利の場合の計算式 |
例えば、100万円で購入した投資信託を、1年後に105万円で売却して分配金1万円を受け取った場合、「投資信託の平均利回り」は6%となります。
投資信託の運用成績を表すものともいえるため、投資する投資信託を選ぶ際に注目される指標です。
投資信託の場合、一口に利益といっても、
- 譲渡損益(売却益):投資信託を売却・解約するときに得られる利益
- 分配金:投資信託の運用成果次第で決算ごとに投資家に分配されるもの
の2つがあります。
「投資信託の平均利回り」は、通常は「譲渡損益」と「分配金」を合計した「総合利益(トータルリターン)」を利益として計算した利回りのことをいいます。このため、「投資信託の平均利回り」は、証券会社のホームページの投資信託の商品説明で「トータルリターン(%)」と書かれている場合もあるため注意しましょう。
投資信託の平均利回りとは?|基礎知識から商品まで徹底解説の記事で、国内株式、海外株式など商品カテゴリー別の利回りランキングを紹介しているので、さらに詳しく知りたい方は合わせてお読みください。
1-2. 株式投資の場合の利回りとは配当利回りを指す
株式投資の場合、「利回り」といえば株式投資の配当利回りのことをいいます。
株式の配当利回りとは、株価に対する1株当たりの年間配当金の割合を示したものことです。
株式の配当利回りとは |
---|
1株当たりの年間配当金の株価に対する割合。 株式の配当利回り(%) = 一株当たりの年間配当金 ÷ 株価 × 100 |
例えば現在株価が100万円で配当金が年1万円であれば、配当利回りは1%となります。
株式配当利回りは、銘柄によって金額がバラバラの配当金について、どれがお得かを一目で判断するための指標です。
例えば、
- 配当金が1万円で株価が100万円の株式A
- 配当金が5000円で株価が10万円の株式B
だとどちらの方が配当のいい株かすぐに判断できません。そうした場合、配当利回りに換算すると、
- 配当利回りが1%の株式A
- 配当利回りが5%の株式B
となり、株式Bの方が配当がよいとわかります。
実際の投資判断に使う場合は、年間配当金がいくらになるかを予想した上で配当利回りを計算し、投資判断の材料とします。
1-3. 投資利回りとよく混同される用語4つ
「利回り」とよく混同される用語に「利率」「騰落率」「パフォーマンス」「分配金利回り」といったものがあります。
これらは投資信託の商品解説などにもよく記載されているため、「利回り」と間違えることが少なくありません。しかし、これらは投資の利回りとは全く別の用語のため、混同しないように注意しましょう。
用語 | 内容 |
---|---|
利回り | 投資元本に対する投資から得られる利益の割合 |
利率 | 債権への投資金額(あるいは預貯金額)に対する利息の割合のこと。 |
騰落率 | 一定期間内にどれくらい基準価格が上下したか程度を表す数値のこと。 |
パフォーマンス | 運用成績などをベンチマークと比較して良いか悪いかを判断するもの。 |
分配金利回り | 投資元本に対する分配金の割合 |
それぞれの用語について詳しくは下記の通りです。
■投資利回りと利率との違い
利率とは、債券や預金などの利息に対する債券購入額あるいは預貯金額の割合のことです。
【利率の算出方法】
利率 = 利息(利子) ÷ 債券購入額/預貯金額 × 100 |
例えば、額面100万円の債券を購入し、1年後に利息1万円を受け取るのであれば利率は1%となります。
利率は、利回りとは異なり、債券や預貯金に投資した際に得られる収益率を示し、投資信託や株式に使われることはありません。
■投資利回りと騰落率との違い
騰落率とは、一定期間内にどれくらい基準価格が上がったか下がったかという程度を表す数値です。
【騰落率の算出方法】
騰落率 = (期末の価格 - 期初の価格) ÷ 期初の価格 × 100 |
例えば、価格が100万円の運用商品が105万円になれば騰落率+5%、95万円になれば騰落率-5%となります。
投資信託や株式の評価で使用される指標ですが、利回りとは異なり、金融商品の価格の上下変動を見るための指標です。
■投資利回りとパフォーマンスとの違い
パフォーマンスとは、金融商品の運用成績が、運用の基準とする「ベンチマーク」に比べて良いか悪いかを示す指標です。
投資信託の場合、例えば日経平均株価やTOPIXなどの指標をベンチマークとして、それよりも収益率が良いとパフォーマンスが良い、悪いとパフォーマンスが悪いと判断するケースなどが見られます。
【TOPIXをベンチマークとした場合のパフォーマンスの例】
<ケース1> 投資信託が20%値上がりし、ベンチマークのTOPIXが30%値上りしている場合 ⇒ ベンチマークよりパフォーマンスが悪い <ケース2> 投資信託が20%値下がりし、ベンチマークのTOPIXが30%値下がりしている場合 ⇒ ベンチマークよりパフォーマンスは良い |
パフォーマンスは、利回りとは異なり、ファンドマネージャーの運用技量を評価するためによく利用される指標です。
■投資利回りと分配金利回りとの違い
なお投資信託については、「分配金」のみに着目した「投資信託の分配金利回り」という指標もあります。分配金利回りとは、投資信託の元本に対する分配金の割合のことです。
【分配金利回りの算出方法】
投資信託の平均利回り(%) = 投資信託の分配金(1年当たり) ÷ 投資信託の取得金額 × 100 |
「投資信託の平均利回り」を計算する際の利益には「譲渡損益」と「分配金」の双方を含みますが、「分配金利回り」を計算する際には「分配金」のみを利益として計算します。
通常、「分配金利回りは」は「投資信託の平均利回り」とは区別して「分配金利回り」と明記されます。定義が異なるため、混同しないように気を付けましょう。
2. 投資利回りの相場は2~10%
投資の利回りについて定義をお伝えしました。
利回りの意味が理解できたものの「利回りって実際どれくらいなの?」と相場も気になりますよね。
そこで、次に投資利回りの相場について紹介します。
- 投資信託の平均利回りの相場
- 株式投資の配当利回りの相場
詳しく見ていきましょう。
2-1. 投資信託の平均利回りの相場は3~10%
投資信託の平均利回りの相場は、3~10%といわれています。
例えば、2022年11月15日現在の実際の投資信託の平均利回りを見てみると下記のようになります。
【カテゴリー別:投資信託の平均利回り】
分類・カテゴリー | 平均利回り% (3年リターン) |
---|---|
国内株式型(大型グロース) | 8.90 |
海外株式型(グローバル・除く日本) | 15.77 |
国内債券型(中長期債) | -1.68 |
海外債券型(グローバル・除く日本) | 3.68 |
国内REIT型 | 0.41 |
海外REIT型(グローバル・除く日本) | 5.91 |
参考:ウエルスアドバイザー「カテゴリー別のリスクリターングラフから探す」
投資信託は組み入れる金融商品の種類によって上記のようなカテゴリーに分けられ、カテゴリーごとに「投資信託の平均利回り」の水準が異なります。
上記表は2022年11月15日時点の投資信託の価格に基づいて算出されているため、幅が-1.68%~15.77%と広くなっていますが、一般的に
- 「国内債券型」や「海外債券型」「国内REIT型」の投資信託の平均利回りの水準は低く3%前後
- 「海外株式型」や「国内株式型」の投資信託の平均利回りの水準は高く10%前後
といわれています。
日々の基準額によって変動はありますが、カテゴリーごとに利回りの相場が異なるため、相場には数%~10%強と広がりがある点に注意しましょう。
2-2. 株式配当利回りの相場は2%前後
株式投資の配当利回りの相場は2%前後といわれています。
例えば、東証プライム市場と東証スタンダード市場に上場する銘柄の株式配当利回りの平均は下記の通りです。
【株式の配当利回り】
東証プライム市場(%) | 東証スタンダード市場(%) | |
---|---|---|
2022年6月 | 2.33 | 2.30 |
2022年7月 | 2.30 | 2.24 |
2022年8月 | 2.21 | 2.21 |
2022年9月 | 2.26 | 2.22 |
2022年10月 | 2.23 | 2.26 |
上記の数値を見てみても、株式配当利回りは大体2%の水準で推移しています。株式投資は、株式そのものの価格変動が大きいものの株式配当利回りの相場は2%前後で比較的安定しています。
3. 投資利回り3%で運用した場合の資産形成額はどれくらい?
投資の利回りの相場についてお伝えしました。
投資の利回りの相場を把握できたものの、実際にその相場で運用した場合、どれくらい資産が増えるのかイメージするのは難しいですよね。
そこでここでは、投資の利回りの数値に基づく資産形成のシミュレーションを紹介します。
投資の教科書などでは、投資の初心者の場合、大体3~5%を利回りの目標とすることがすすめられているため、ここでは、3%で資産運用をした場合のシミュレーションを中心に紹介します。
具体的には下記のようなケースで見ていきます。
- 利回り3%で毎月の積立金3万円あるいは6万円で運用した場合の資産形成シミュレーション
- 利回り3%・利回り5%・利回り10%など利回りを変化させた場合の資産形成シミュレーション
それでは具体的に見ていきましょう。
3-1. 利回り3%で運用した場合の収益シミュレーション
利回り3%で運用した場合の収益シミュレーションを紹介します。
例えば、利回り3%で、毎月の積立金を3万円あるいは6万円にした場合のシミュレーションは下記の通りです。
【利回り3%で運用した場合のシミュレーション結果】
毎月積立3万円で運用 | 毎月積立6万円で運用 | |
---|---|---|
10年後 | 元本合計:360万円 運用収益:59.2万円 資産合計:419.2万円 | 元本合計:720万円 運用収益:118.4万円 資産合計:838.4万円 |
20年後 | 元本合計:720万円 運用収益:264.9万円 資産合計:984.9万円 | 元本合計:1440万円 運用収益:529.8万円 資産合計:1969.8万円 |
毎月決まった金額を積み立て、得られた運用収益はそのまま次の運用に回す形での運用を想定しています。
毎月3万円ずつでも、6万円ずつでも、10年後には元本の1.2倍、20年後には元本の1.4倍の資産形成が可能です。
利回り3%で「老後2000万円問題」に備えて2000万円ほど貯めたい場合は、毎月6万円を積み立てし20年運用すると1969.8万円を貯められるため、毎月6万円ずつ積立運用することがおすすめといえます。
3-2. 利回り3%・利回り5%・利回り10%を比較した場合
次に同じ積立額で利回りの水準を変えた場合のシミュレーション結果を紹介します。
毎月3万円ずつ積み立てると仮定した場合、利回りを変化させることで資産形成できる額がどの程度変わるかをイメージを掴んでみてください。
【毎月3万円を利回り3%・5%・10%で運用した場合のシミュレーション結果】
利回り3%で運用 | 利回り5%で運用 | 利回り10%で運用 | |
---|---|---|---|
毎月の積立金 | 3万円 | 3万円 | 3万円 |
10年後 | 元本合計:360万円 運用収益:59.2万円 資産合計:419.2万円 | 元本合計:360万円 運用収益:105.8万円 資産合計:465.8万円 | 元本合計:360万円 運用収益:254.5万円 資産合計:614.5万円 |
20年後 | 元本合計:720万円 運用収益:264.9万円 資産合計:984.9万円 | 元本合計:720万円 運用収益:513.1万円 資産合計:1233.1万円 | 元本合計:720万円 運用収益:1558.1万円 資産合計:2278.1万円 |
例えば毎月3万円ずつ積み立てた場合、
- 利回り3%で運用すると10年後には元本の1.16倍の420万円、20年後には元本の1.37倍の985万円
- 利回り5%で運用すると10年後には元本の1.29倍の466万円、20年後には1.71倍の1233万円
- 利回り10%で運用すると10年後には元本の1.7倍の615万円、20年後には元本の3.16倍の2278万円
の資産形成できます。20年の長期で運用することで、利回り3%でも資産を1.4倍に、利回り10%の場合は資産を3倍以上にも増やすことが可能となります。
4. 投資利回り3%~5%で運用する場合の投資商品の例
利回りの高さによる運用収益のイメージがつかめたのではないでしょうか。
ここでは、仮に例えば3%で運用してみたいと思った場合、実際にどんな商品を利用すべきなのか見てみましょう。
具体的に
- 利回り3%前後で運用したい場合の商品例
- 利回り5%前後で運用したい場合の商品例
について紹介します
4-1. 利回り3%前後で運用したい場合の商品例
投資信託の利回りで3%前後を目標とする場合は、思い通りに運用収益が伸びない場合もあるため、少し高めの平均利回り4~5%の水準の商品を検討することがおすすめです。
平均利回り4~5%の商品としては、例えば海外債券型・海外REIT型などのカテゴリーの投資信託があります。
下記は海外債券型・海外REIT型の2022年11月15日時点の各カテゴリーにおける平均的な利回りの銘柄です。
【海外債券型】
順位 | ファンド名 | 平均利回り% (3年) |
---|---|---|
1 | 4.51 | |
2 | 4.51 | |
3 | 4.52 | |
4 | 4.52 | |
5 | 4.52 |
参考:ウエルスアドバイザー「ファンドランキング‐リターン 」
「海外債券型」は全215ファンドあり、その中でも平均的な利回りのものは上記のような4.5%前後の銘柄です。海外債券型の場合、国の信用度や為替変動がリスクとなります。一般的に、信用度が高い国の債券は金利が低く、新興国やハイイールド債券など信用度が低い場合は高い金利となる傾向です。
【海外REIT型】
順位 | ファンド名 | 平均利回り% (3年) |
---|---|---|
1 | 6.52 | |
2 | 6.55 | |
3 | 6.59 | |
4 | 6.51 | |
5 | 6.56 |
参考:ウエルスアドバイザー「ファンドランキング‐リターン 」
「海外REIT型」については全54ファンドあるうちの平均的な利回りは上記5銘柄のように6.5%前後の水準です。
海外REIT型投資信託は、海外の不動産投資信託に分散投資できる商品です。対象となる国や地域によってリスクも変動します。国内REIT型と比べて利回りは高いものの、国の信用度や為替変動に左右されるためリスクも国内REIT型より高い傾向です。
4-2. 利回り5%前後で運用したい場合の商品例
投資信託の利回りで5%前後を目標とする場合も、少し高めの平均利回り6~7%の水準の商品を検討することがおすすめです。
平均利回り6~7%の水準であれば、例えば海外REIT型、国内株式型などの投資信託があります。
下記は海外REIT型・国内株式型の2022年11月15日時点の各カテゴリーにおける平均的な利回り水準の銘柄です。
【海外REIT型】
順位 | ファンド名 | 平均利回り% (3年) |
---|---|---|
1 | 6.52 | |
2 | 6.55 | |
3 | 6.59 | |
4 | 6.51 | |
5 | 6.56 |
参考:ウエルスアドバイザー「ファンドランキング‐リターン 」
海外REIT型は、上記「4-1. 利回り3%前後で運用したい場合の商品例」で紹介したものと同じものです。海外REIT型の平均的な利回りの商品には、上記のように先進国型のインデックスファンド(※)が多く見られます。
※インデックスファンドとは株価指数などの特定の指標に連動した運用を目指す投資信託のことです。
【国内株式型(大型グロース)】
順位 | ファンド名 | 平均利回り% (3年) |
---|---|---|
1 | 8.08 | |
2 | 8.11 | |
3 | 8.03 | |
4 | 7.98 | |
5 | 8.18 |
参考:ウエルスアドバイザー「ファンドランキング‐リターン 」
「国内株式型」の投資信託は237ファンドあり、平均的な利回りの商品では大体8%の利回りとなっています。株式型の投資信託は債券型やRIET型などと比べて利回りが大きい傾向にありますが、価格変動リスクも一般的に大きいといえます。
5. 投資初心者は利回りだけを追い求めて投資するのは危険!
利回り別の投資信託の例を紹介しました。
利回りは投資判断には大切な要素ですが、利回りの高さだけで商品を選ぶことは危険です。
ここでは、危険をおかさないために注意すべき点について解説します。
<投資の危険をおかさないために注意したい点>
- 高利回りは高リスクであることに注意
- コストなど利回り以外の条件も考慮する
- 複数商品に投資することでリスクを分散させることが大切
具体的に見ていきましょう。
5-1. 高利回りは高リスクであることに注意
投資利回りの高いハイリターンのものは、リスクも高いことに注意しましょう。
例えば、「2-1. 投資信託の平均利回りの相場は3~10%」で紹介した「投資信託のカテゴリー別の平均利回り」について、リスクと合わせて見てみましょう。
【投資信託のカテゴリー別リターンとリスク比較表】
国内債券 | 海外債券 | 国内REIT | 海外REIT | 国内株式 | 海外株式 | |
---|---|---|---|---|---|---|
リターン (平均利回り) | -1.68 | 0.41 | 3.68 | 5.91 | 8.9 | 15.77 |
リスク (標準偏差) | 1.79 | 19.01 | 7.1 | 24.24 | 17.98 | 21.07 |
参考:ウエルスアドバイザー「カテゴリー別のリスクリターングラフから探す」
表の「リターン」は平均利回りの数値で、「リスク」には価格の振れ幅(リスク)を示す標準偏差の値を使用しています。
リターンの高いものはリスクも高い傾向であることがわかります。
例えば、最も利回りの高い「海外株式」は、15.77%の大きな利回り(リターン)が期待できる一方で、リスクも21.07と大きい傾向です。これは、価格変動リスクや為替変動リスク、カントリーリスクなどといった大きなリスクを抱えているためです。
2番目に利回りの高い「国内株式」も、為替リスクなどはありませんが、株式は債券よりも価格変動リスクが高いため、リスクは高い傾向です。
一方で、「国内債券型」はリターンが低く、価格変動リスクや為替変動リスクなどもなくリスクも低い傾向です。
一般的に、
- 為替変動リスクやカントリーリスクの高い「海外型」
- 価格変動リスクの高い「株式型」
はハイリターンである一方で、ハイリスクであるといわれてます。
ハイリスクのものを選んでしまうとそれだけギャンブル性が高まり、大きな損を抱えてしまう可能性が高まります。
中長期で安定した収益を得るためにも、利回りの高さだけで投資信託を選ぶのではなく、リターンとリスクのバランスを考えて選ぶようにしましょう。
5-2. コストなど利回り以外の条件も考慮する
投資する商品を選ぶ場合には、利回りだけでなくコストなどの条件も考慮するようにしましょう。
投資信託の利回りは、証券会社のサイトや投資情報サイトで確認できますが、ほとんどの場合、手数料や税金の値は反映されていません。
実際の利回りを考える際には、手数料や税金を差し引く必要があるため、想定より値が小さくなることに注意しましょう。
特にハイリターンの商品は手数料も高い傾向があるため、手数料などのコストについて、あらかじめ商品の説明ページなどでしっかりと確認をするようにしましょう。
コストとして確認すべきポイントは以下の通りです。具体的な数値については、証券会社の金融商品の解説ページなどで確認できます。
投資信託にかかるコスト | |
販売手数料 | 購入時に支払う費用。購入金額の1〜3%が目安。無料の場合もある。 |
運用管理費用(信託報酬) | 運用中に毎年支払う費用。純資産総額の0.1〜2%が目安。 |
信託財産留保額 | 売却時に支払う費用。基準価格の0.1〜0.5%が目安。無料の場合もある。 |
税金 | 確定申告などで支払う。特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は利益が入金されるときに納税済み。売却益と分配金に税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかる。 |
5-3. 複数商品に投資することでリスクを分散させることが大切
投資においては、ひとつの金融商品に集中して投資するのでなく、複数の商品を組み合わせてリスクを分散させることが大切です。
投資信託はそもそも、いろいろな金融商品を組み合わせた分散投資の効果を持つものですが、さらに投資信託を組み合わせることでリスクを抑えることができます。
すでにお伝えした通り、投資信託の中でもカテゴリーによって利回りの水準が異なり、利回りの高いものはリスクも高い傾向です。リスクを分散させるためにも、タイプの異なる金融商品を組み入れるようにしましょう。
安定的に利益を上げるためには、リスクの分散が不可欠です。
6. 投資は無理なく少額から始めて学びながら進めることがおすすめ
投資を始めるに当たって、利回りにばかり注目すると失敗するリスクが高いことをお伝えしました。
投資にはリスクがつきものですが、失敗を避けるためには少額投資から始めて学びながら投資をしていくことがおすすめです。
投資は学習をすることで投資のリスクを小さくしていくことが可能です。
投資の失敗を避けるためにも、投資をする際には投資の学習をしていくようにしましょう。
6-1. 投資を成功させるには投資の学習が不可欠
投資を成功させるには、投資の勉強をして正しい知識を得ることが必要です。
投資は「勉強しなくてもプロに任せておけば安心」というものでもありません。金融庁の調べでは、銀行が勧める投資信託を購入した結果、損失を出してしまった人が46%いるといいます。
銀行や証券会社は自社の利益を上げるため必ずしも本当にお客が儲かる商品を提供するとは限りません。投資をする場合は自身で正しい知識を持って判断するようにしましょう。
6-2. 資金が小さくても正しい知識を得て運用すれば資産は築ける
投資は正しい知識を得て、真っ当な投資を時間をかけて行えば、小さな資金でもしっかりと資産形成をすることができます。
投資による資産形成は、下記のように表現できます。
- 投資による資産形成 = 「資金」 × 「利回り」 × 「時間」 × 「知識」
例えば、資金が小さくても、時間をかけることでしっかりと資産を築くことが可能です。一方、資産が大きい場合には、時間をさほどかけなくても大きな資産を作ることができます。
また、知識があれば、資産を大きく伸ばすことに役立ちます。投資の場合、正しい知識やスキルを身に付け、時間をかけることで確実に資産を増やしていくことが可能です。
6-3. 投資を学ぶには実績と信頼のあるプロから学ぶことがおすすめ
投資を学ぶには、実績と信頼のあるプロから学ぶことが早道でおすすめです。
プロから学ぶことで、初心者でも、早く実用的な知識や技術を得ることができます。
例えば、弊社の運営するグローバルファイナンシャルスクール(GFS)では、投資のプロによる「投資の達人になる投資講座」を提供しています。
具体的で実践的な方法を聞くことで、独学では学べないリアルな銘柄探しの方法や注意点などに気づくことができます。初心者でも「投資の始め方」から「実際に利益を出していく方法」まで学ぶことが可能です。
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投資の利回りに関するQ&A
ここでは投資の利回りに関する疑問についてお答えします。
- 500万円の年利5%はいくらになりますか?
- 利回り5%で何年で倍になりますか?
500万円の年利5%はいくらになりますか?
500万円を年利5%で運用すると、年間の利息は25万円になります。投資の利回りとは「投資から得られる利益」を「投資した金額」で割った割合のことです。主に「投資信託の平均利回り」あるいは「株式の配当利回り」を指します。
投資の利回り = 投資から得られる利益 ÷ 投資した金額 × 100(%)
になります。
利回り5%で何年で倍になりますか?
利回り5%で投資額が倍になるには、約14.4年かかります。これは「72の法則」と呼ばれる簡易計算法を使用して求めた結果です。
「72の法則」は、複利で運用される投資が元本を倍にするのに必要な年数を簡単に推定する方法です。この法則は、計算が単純でありながら、低い利回り(例えば、20%未満)での推定においてかなり正確な結果を提供します。
公式は
72÷金利(%)=お金が2倍になる期間
となります。
まとめ
投資の利回りについて紹介しました。
投資の利回りとは |
---|
「投資から得られる利益」を「投資した金額」で割った割合のこと。 主に「投資信託の平均利回り」あるいは「株式の配当利回り」を指す 投資の利回り = 投資から得られる利益 ÷ 投資した金額 × 100(%) |
投資の利回りの相場は2~10%です。記事内では、実際に利回り3~10%で運用した場合のシミュレーションも紹介しました。シミュレーションでは、相場の範囲内の利回りで10~20年の長期で運用することで資産を1.2倍~3.2倍にも増やせることを確認しました。
ただし、投資をするときには利回りだけに注目すると危険といえます。リスクを抑えるためにも、リスクとリターンのバランスを考えたり、分散投資を行ったりすることが大切です。
投資は学習すると効果が高まるため、投資の学習をしつつ少額から始めるようにしましょう。
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