「上場ゴール」では終わらない!2025年IPO後に伸びる企業3社を厳選

2025年IPO組に注目!上場後も成長を続ける3社

2025年にIPOを果たした企業のなかには、上場をゴールとせず、わずか1年あまりで業績を大きく伸ばしている企業がある。今回は、そのなかからムービン・ストラテジック・キャリア、TENTIAL、ブッキングリゾートの3社に注目した。ムービン・ストラテジック・キャリアは2025年12月期に売上高が59.1%増、営業利益が104.6%増となり、2026年12月期も大幅な増収増益を見込む。 TENTIALも主力のリカバリーウェア「BAKUNE」を中心に販売が拡大し、2026年8月期の業績予想を上方修正している。 一方、ブッキングリゾートはグランピングやヴィラなど体験型宿泊市場を成長領域としており、観光需要やインバウンド需要を取り込む企業として存在感を高めている。IPO直後の成長企業は将来への期待が株価に織り込まれやすい一方、業績拡大が続けば企業価値がさらに高まる可能性もある。3社それぞれの成長の源泉と今後の可能性を探っていきたい。

会社名証券コード市場IPO時期主な事業業績のポイント
ムービン・ストラテジック・キャリア421A東証グロース2025年6月ハイクラス人材紹介2025年12月期は売上高37.99億円、営業利益17.63億円。2026年12月期も大幅増収増益を見込む
TENTIAL325A東証グロース2025年2月リカバリーウェア・コンディショニング「BAKUNE」を軸に急成長。2026年8月期は売上高330.81億円、営業利益38.04億円を予想
ブッキングリゾート324A東証グロース2025年2月グランピング・宿泊施設の予約・運営支援2026年4月期は売上高17.19億円、営業利益5.09億円。高収益型の成長企業として注目

ムービン・ストラテジック・キャリア――IPO後に営業利益2倍超、ハイエンド人材市場を攻略する成長企業

2025年6月、東証グロース市場に上場したムービン・ストラテジック・キャリア(421A)は、コンサルティング業界を中心としたハイエンド人材紹介を手掛ける企業だ。人材紹介会社というと、幅広い業種・職種を扱う総合型のビジネスをイメージしやすい。しかし同社は、経営・戦略コンサルタントやITコンサルタント、金融、事業会社の経営人材など、専門性や市場価値の高い人材にターゲットを絞っている点が特徴である。

同社が注目される最大の理由は、IPO後の業績成長だ。2025年12月期の売上高は37億9900万円、営業利益は17億6300万円となり、売上高は前期比59.1%増、営業利益は104.6%増と大幅な増収増益を達成した。売上高の伸び以上に利益が伸びていることからも、事業規模の拡大と収益性向上が同時に進んでいることが分かる。

人材紹介事業の収益構造は、企業が採用を決めた際に成功報酬を受け取るモデルが基本となる。そのため、採用企業から高い評価を受ける人材をどれだけ確保し、適切なポジションへ紹介できるかが業績を左右する。特にハイエンド人材の場合、1件当たりの紹介手数料が一般的な人材紹介より高額になりやすい。この点が同社の高い利益率につながる重要なポイントだ。

また、コンサルティング業界を取り巻く人材需要の強さも追い風となっている。企業がデジタルトランスフォーメーションやAI活用、M&A、新規事業、事業再編などを進めるなか、専門的な知識を持つコンサルタントへの需要は拡大してきた。コンサルティング会社側も案件の増加に対応するため人材採用を積極化しており、その採用ニーズを同社が取り込む余地は大きい。

さらに、コンサルタント経験者が次のキャリアを求める動きも同社にとって重要な市場となる。コンサルティング業界では、一定期間経験を積んだ後に事業会社へ転職したり、別のコンサルティングファームへ移ったり、スタートアップの経営幹部を目指したりする人材が少なくない。専門性の高い人材ほど転職先の選択肢が多いため、求人企業と求職者の双方を深く理解したマッチングが求められる。

ムービン・ストラテジック・キャリアは、こうしたハイエンド人材の転職支援に長年取り組んできたことが強みとなっている。単純に求人情報を紹介するだけではなく、候補者のキャリアや専門性を把握したうえで、どの企業・ポジションが適しているのかを提案することが重要になる。人材紹介業では、データベースの規模だけでなく、キャリアアドバイザーの専門知識や企業との関係性が競争力を左右する。

そして、同社の成長を考えるうえで重要なのが「人材単価」の高さだ。一般的な人材紹介では、紹介人数を増やすことが売上拡大につながる。一方、ハイエンド人材紹介では、少ない成約件数でも1件当たりの報酬が大きくなる可能性がある。したがって、優秀な人材を確保し、適切な企業へマッチングする仕組みを強化できれば、従業員数の増加以上の売上成長を実現できる。

2025年12月期に営業利益が104.6%増となったことは、このビジネスモデルの強さを示す材料といえる。人材紹介は在庫を抱える必要がなく、製造業のような大規模な設備投資も基本的には必要ない。そのため、売上規模が拡大した場合に利益へ反映されやすい。人材と企業を結び付けるネットワークやノウハウを蓄積できれば、比較的資本効率の高い成長が期待できる。

一方で、投資家が注意すべき点もある。まず、人材紹介ビジネスは景気の影響を受けやすい。企業が景気悪化を理由に採用計画を縮小すれば、求人案件が減少し、成約件数や売上高にも影響が及ぶ可能性がある。特にハイエンド人材の採用は企業にとって重要な投資である一方、景気後退局面では採用時期を先送りする判断も起こり得る。

また、同社の成長が続くほど、人材の採用・育成が重要な経営課題となる。人材紹介会社そのものが人材を必要とするからだ。優秀なキャリアアドバイザーを確保できなければ、求人案件が増えても対応しきれない。反対に、優秀なアドバイザーを増やして成約件数を拡大できれば、業績成長をさらに加速させることができる。

競争環境も無視できない。人材紹介市場には大手総合人材会社から専門特化型のエージェントまで数多くの企業が存在する。AIを活用した求人マッチングやダイレクトリクルーティングなど、新しい採用手法も普及している。企業と人材が直接つながる仕組みが拡大すれば、人材紹介会社の役割が変化する可能性もある。

ただし、ハイエンド人材市場では、単純な条件検索だけでは判断できないケースも多い。候補者のキャリア形成や企業文化との相性、経営者との相性、将来的なキャリアパスなど、定量化しにくい要素が転職判断に影響するためだ。こうした領域では、経験豊富なキャリアアドバイザーによるコンサルティング型の支援が引き続き価値を持つ可能性が高い。

今後の成長余地としては、コンサルティング業界以外への展開も注目される。経営人材、IT人材、金融人材など、専門性の高い職種へ対象を広げることができれば、同社が取り込める市場はさらに拡大する。また、企業側の採用ニーズだけでなく、転職希望者との長期的な関係を構築することで、複数回の転職を支援するビジネスにも発展できる。

さらに、AIの進化は人材紹介会社にとって脅威であると同時に武器にもなる。候補者の経歴と求人情報の分析、スカウト候補者の抽出、面談情報の整理などにAIを活用すれば、キャリアアドバイザーの生産性を高められる可能性がある。人間によるきめ細かなキャリア支援とAIによる業務効率化を組み合わせることができれば、1人のアドバイザーが担当できる候補者数や求人案件数を増やせる。

2025年にIPOした企業のなかで、ムービン・ストラテジック・キャリアは「上場したこと」そのものよりも、上場後にどこまで成長を続けられるかという点で注目したい企業である。2025年12月期は売上高が約6割増、営業利益が約2倍となり、利益成長の勢いは非常に強かった。今後もコンサルティング・IT・経営人材などへの需要が続けば、同社の専門特化型モデルには成長余地が残されている。

もっとも、急成長企業であるからこそ、今後の業績を見る際には売上高だけでなく、営業利益率、成約人数、1人当たり売上高、採用企業数、キャリアアドバイザーの生産性などにも注目する必要がある。IPO直後の成長株では、高い成長率が株価に織り込まれているケースもあるため、業績の伸びと株価の評価を分けて考えることが重要だ。

「人材」という無形資産を扱いながら、高い専門性によって高付加価値化を目指すムービン・ストラテジック・キャリア。コンサルティング業界やDX、AI、新規事業などへの企業投資が続く限り、専門人材をめぐる争奪戦も続くと考えられる。IPO後の高成長を一過性のものに終わらせず、専門領域の拡大と生産性向上によって成長を継続できるか。今後の業績発表では、その点が同社を評価するうえで重要なチェックポイントになりそうだ。

資産運用に興味がある方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 初心者向け無料講座:お金のプロが教える「毎月収入を得る投資の始め方」

TENTIAL――「BAKUNE」が生んだ急成長、IPO後も拡大するコンディショニング市場の本命

2025年2月、東証グロース市場に上場したTENTIAL(325A)は、リカバリーウェアを中心としたコンディショニングブランド「TENTIAL」を展開する企業だ。なかでも、睡眠時に着用するリカバリーウェア「BAKUNE」が同社を代表するヒット商品へと成長しており、IPO後も高い売上成長を続けている。従来の衣料品メーカーとは異なり、「健康」「睡眠」「運動」「コンディショニング」を日常生活に取り込むことを事業領域としている点が大きな特徴だ。

同社の成長を象徴するのが業績の急拡大である。2025年1月期の売上高は128億3700万円、営業利益は14億5200万円となり、売上高は前年同期比2倍超に拡大した。さらに、決算期変更に伴い2025年8月期は7カ月の変則決算となったが、2026年8月期は大幅な成長が続いている。2026年8月期第2四半期累計では売上高164億7100万円、営業利益21億8900万円を計上した。

そして注目されるのが、会社側による業績予想の上方修正だ。2026年8月期の売上高予想は330億8100万円、営業利益は38億400万円、純利益は25億5100万円へと引き上げられた。従来予想は売上高280億4600万円、営業利益30億200万円だったため、わずか数カ月で大幅な上方修正となった。会社側は、リカバリーウェアへの関心の高まりやブランド認知度の拡大に加え、「BAKUNE」の販売が想定を上回っていることなどを理由として挙げている。

TENTIALの最大の強みは、単なるスポーツウェアブランドではなく、「コンディショニング」という明確な市場を狙っていることにある。同社は「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションを掲げ、「コンディショニングを実装する」ことをビジョンとしている。2019年にインソールからブランドをスタートし、現在ではウェア、寝具、サンダル、ソックスなど100点を超える商品を展開している。

そのなかでも圧倒的な存在感を持つのが「BAKUNE」だ。リカバリーウェアという新しいカテゴリーを一般消費者に広く認知させたことで、同社のブランド価値を大きく押し上げた。健康や睡眠への関心が高まるなか、「何か特別なことをしなければならない」のではなく、普段着るウェアを変えるだけでコンディショニングにつなげるという発想は分かりやすい。こうした分かりやすさが、ECを中心とした販売との相性の良さにもつながっていると考えられる。

また、リカバリーウェアはギフト需要との相性が良い点も重要だ。健康を意識する人だけでなく、家族や友人へのプレゼントとして購入することができるからだ。同社自身も既存顧客からのギフト需要が一定割合を占めると説明しており、クリスマスなど需要が高まる時期には売上が拡大しやすい構造を持つ。

この「自分用」と「ギフト用」の両方を取り込めることは、ブランドの成長にとって大きなメリットだ。自分自身の睡眠や疲労回復を目的に購入した消費者が、商品を気に入れば家族や知人にも薦める可能性がある。さらに、プレゼントとして受け取った人が新たな顧客になるという循環も期待できる。広告だけに依存せず、利用者を通じてブランドが広がっていけば、顧客基盤の拡大にもつながる。

TENTIALが面白いのは、「BAKUNE」だけで成長を終わらせようとしていない点だ。コンディショニングというブランドコンセプトのもとで商品ラインアップを広げれば、一人の顧客が複数の商品を購入する可能性が生まれる。例えば、リカバリーウェアを購入した顧客が、インソールやサンダル、寝具などにも関心を持てば、顧客1人当たりの売上を引き上げることができる。

これはアパレル企業の「単品ヒット」とは異なる成長戦略である。ヒット商品だけに依存すると、その商品のブームが終わった際に業績が落ち込むリスクがある。しかし、ブランドそのものへの支持を高め、複数の商品カテゴリーを育てることができれば、単一商品の人気に左右されにくい事業構造へ進化できる。

さらに、健康市場そのものの拡大も追い風となる。日本では高齢化が進む一方、働く世代でも睡眠、疲労、運動不足などへの関心が高まっている。健康を「病気になってから対処するもの」ではなく、「日常的にコンディションを整えるもの」と捉える消費者が増えれば、TENTIALが狙う市場はさらに広がる可能性がある。

スポーツ選手やアスリートだけを対象とするのではなく、会社員、子育て世代、高齢者など幅広い層に商品を提供できることもポイントだ。特に睡眠はほぼすべての人に関係するテーマである。ここに「リカバリー」という分かりやすい価値を結び付けられれば、スポーツ市場を超えた巨大な消費市場へ成長する余地がある。

一方で、投資家が注意しておきたいリスクもある。最大のポイントは、「BAKUNE」の人気が今後も継続するかという点だ。急成長した企業ほど、投資家からは高い成長率の維持を期待される。売上高が大きくなるほど、前年を上回る成長率を維持するハードルも上がっていく。

また、リカバリーウェア市場そのものの競争激化にも注意が必要だ。市場が拡大すれば、既存のスポーツ用品メーカーやアパレルメーカー、健康関連企業などが参入する可能性がある。TENTIALが先行者として築いたブランド力を維持できるか、商品開発やマーケティングによって差別化を継続できるかが重要になる。

加えて、消費者の健康志向には流行の側面もある。現在は睡眠やウェルビーイングへの関心が高まっているものの、消費者の関心が別のカテゴリーへ移れば、成長が鈍化する可能性もある。そのため、TENTIALには「リカバリーウェアの会社」から「日常のコンディショニングブランド」へと認識を広げることが求められる。

その意味では、今後の新商品や店舗展開、ブランド戦略が重要になる。オンライン販売で顧客を獲得しながら、実際に商品を体験できる場所を増やすことで、ブランドへの信頼感を高めることもできる。ウェアは実際の着心地が購入判断に影響するため、ECとリアル店舗を組み合わせた販売戦略には一定の意味がある。

さらに、TENTIALの成長を見るうえでは、売上高だけではなく利益率にも注目したい。2026年8月期の営業利益予想は38億400万円で、売上高330億8100万円に対する営業利益率は約11.5%となる。高い売上成長を続けながら、一定の利益率を確保できれば、ブランド力と事業規模の拡大が企業価値に結び付きやすくなる。

2025年にIPOした企業のなかでも、TENTIALは「身近な商品」がそのまま成長エンジンになっている点が特徴的だ。AIや半導体のような最先端技術とは異なり、リカバリーウェアは消費者が実際に手に取って使う商品である。そのため、ブランド認知の広がりが売上に直結しやすい。一方で、消費者から選ばれ続けるためには、商品の品質だけでなく、ブランドそのものへの信頼を積み重ねる必要がある。

2026年8月期については、会社側が売上高330億8100万円、営業利益38億400万円を見込むなど、IPO後も強い成長が続いている。今後の焦点は、「BAKUNE」のヒットを一時的なブームで終わらせず、TENTIALというブランド全体の成長につなげられるかどうかだろう。

健康、睡眠、スポーツ、ウェルビーイングという複数の市場を横断するTENTIAL。リカバリーウェアという新しいカテゴリーを切り開いた同社が、次のヒット商品を生み出しながら「コンディショニング」という市場そのものを拡大できれば、IPO後の成長ストーリーはさらに長く続く可能性がある。急成長の裏側にあるブランド力と市場拡大の余地を見極めることが、今後の投資判断における重要なポイントとなりそうだ。

資産運用で失敗したくない方へ
私たちGFSでは、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。
≫ 無料講座:お金のプロが教える「初心者が毎月収入を得る投資の始め方」

ブッキングリゾート――急成長する「体験型宿泊」の裏側で稼ぐ、IPO後注目の成長企業

2025年2月、東証グロース市場に上場したブッキングリゾート(324A)は、宿泊施設の予約サイト運営と、宿泊施設の開発・運営支援を手掛ける企業だ。ホテルや旅館そのものを大量に保有するのではなく、宿泊施設の集客や予約、マーケティングなどを支援することで、旅行・レジャー需要を取り込むビジネスモデルが特徴となっている。訪日外国人観光客の増加や国内旅行需要の回復、さらに「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが進むなか、同社が事業を展開する市場には大きな成長余地がある。

ブッキングリゾートの事業を理解するうえで重要なのが、同社が単なる宿泊予約サイトではないという点だ。自社で宿泊施設を運営するだけでなく、施設の開発や集客、予約管理などを支援し、宿泊施設側の収益向上をサポートしている。特に、グランピングやヴィラ、リゾート施設など、従来型のホテルとは異なる「体験型宿泊施設」に強みを持つことが特徴だ。

近年、旅行者の宿泊先選びは大きく変化している。従来は駅から近いホテルや旅館、価格の安い宿泊施設が選ばれるケースも多かったが、現在では「その場所で何ができるか」という体験価値が重要になっている。自然の中で過ごすグランピング、プライベート感の高い一棟貸しヴィラ、温泉やサウナ、アウトドアアクティビティなど、宿泊そのものを旅行の目的にする消費者が増えている。ブッキングリゾートは、この市場の変化を事業機会として捉えている。

同社の業績も、この市場環境を反映して拡大している。2026年4月期の売上高は17億1900万円、営業利益は5億900万円となった。売上規模そのものは大手ホテル会社などと比較すれば小さいものの、営業利益率が高い点は注目される。宿泊施設を大量に保有するビジネスとは異なり、施設運営に伴う巨額の設備投資や固定費を抑えながら、予約・集客支援によって収益を得ることができるためだ。

また、2027年4月期についても増収を見込んでおり、IPO後の成長継続が期待されている。小規模ながら高い成長率と利益率を両立できれば、グロース市場の企業として投資家から評価される可能性がある。

ブッキングリゾートの強みの一つは、宿泊施設と旅行者の双方を理解している点にある。宿泊施設側から見れば、施設を開業しただけでは十分な集客ができない。特にグランピングやヴィラなど新しいタイプの施設では、どのような顧客をターゲットにし、どのような価格設定を行い、どの媒体で集客するかが重要になる。同社が持つ予約データやマーケティングノウハウは、こうした施設運営者にとって価値のある資産となる。

一方、旅行者にとっては「どの宿に泊まるか」を探しやすいことが重要だ。宿泊施設が増えれば選択肢は広がるが、その分、消費者は自分に合った施設を見つけにくくなる。そこで、テーマや地域、設備、体験内容などから宿泊施設を探せる予約サービスには一定の価値がある。

この両者をつなぐことが、同社のビジネスモデルのポイントだ。施設側から見れば集客チャネル、旅行者側から見れば魅力的な宿泊施設を探すプラットフォームとなる。掲載施設や予約件数が増えれば、サービスの利便性がさらに高まり、新たな施設が集まるという好循環も期待できる。

さらに注目したいのが、グランピング市場の広がりだ。グランピングはキャンプ初心者でも楽しみやすく、テント設営や調理器具などを自分で用意する必要がないため、アウトドア市場の裾野を広げてきた。女性グループやファミリー、カップルなど、従来のキャンプとは異なる客層を取り込めることも特徴である。

コロナ禍をきっかけに、密集を避けながら旅行を楽しむスタイルへの関心が高まったことも、グランピングや一棟貸し施設に追い風となった。その後、海外旅行や都市部への旅行が戻ってきても、自然の中で過ごす体験やプライベート空間への需要が完全に消えたわけではない。むしろ旅行の選択肢の一つとして定着する可能性がある。

訪日外国人観光客の増加も中長期的な追い風になる。日本を訪れる外国人にとって、東京や大阪、京都などの大都市だけでなく、地方の自然や文化を体験することも旅行目的になっている。地方にあるグランピング施設やヴィラ、リゾート施設を外国人旅行者へ届けることができれば、新たな需要を取り込める。

そのため、今後はインバウンド対応も成長のポイントになりそうだ。多言語対応や海外OTAとの連携、外国人向けのマーケティングなどを強化すれば、国内旅行者だけに依存しない集客基盤を構築できる可能性がある。

一方で、投資家として注意しておきたいリスクもある。第一に、旅行需要は景気や社会情勢の影響を受けやすい。景気が悪化すれば旅行支出が抑制される可能性があるほか、自然災害、感染症、地政学的リスクなどによって宿泊需要が急減するケースも考えられる。

また、競争激化も大きなテーマになる。宿泊予約市場には、国内外の大手旅行予約サイトやホテル予約サービスが存在する。さらに、SNSを活用した施設の直接集客も広がっている。宿泊施設側が自社サイトやSNSから直接予約を獲得できるようになれば、予約プラットフォームに支払う手数料を抑える動きも出てくる。

グランピングやヴィラ市場そのものの競争も無視できない。人気の高い地域には新規施設が次々と参入する可能性があり、施設数が増えすぎれば価格競争が起こるリスクもある。単純に掲載施設数を増やすだけではなく、魅力の高い施設をどれだけ確保できるかが重要になる。

その意味で、ブッキングリゾートにとって重要なのは「量」だけではなく「質」だ。旅行者が「このサイトで探せば面白い宿が見つかる」と認識するようになれば、ブランド価値は高まる。施設側にとっても「ここに掲載すれば集客できる」という評価が定着すれば、より多くの施設が集まる可能性がある。

また、同社が今後どこまで宿泊施設の開発支援領域を拡大できるかも注目したい。予約サイト運営だけでなく、施設の企画段階から関わることができれば、単なる送客手数料に依存しない収益機会が生まれる。地域の特性に合わせた施設開発や、空き地・遊休不動産を活用した宿泊施設のプロデュースなどにも成長余地がある。

日本では人口減少が進む一方、観光産業は地方創生の重要な柱として位置付けられている。都市部ではなく地方に観光客を呼び込むためには、「そこへ行く理由」が必要だ。自然、食、温泉、文化、アクティビティなどを宿泊体験と組み合わせることで、地域そのものを観光資源として磨き上げることができる。ブッキングリゾートの事業は、こうした地方観光の活性化とも相性が良い。

2025年にIPOした企業を見渡すと、AIや半導体、人材などの成長テーマが目立つ一方、ブッキングリゾートは「観光×体験」という身近な市場をターゲットとしている点が面白い。旅行者の価値観が変化し、宿泊施設そのものが旅行目的になっている現在、体験型宿泊市場にはまだ開拓余地が残されている。

もちろん、同社はまだ企業規模が小さく、今後の成長期待が株価に織り込まれやすい点には注意が必要だ。売上高や営業利益の伸びだけでなく、予約件数、掲載施設数、顧客単価、施設当たりの収益性、リピート率などを継続的に確認することが重要になる。

ブッキングリゾートは、ホテルを大量に所有して成長する会社ではない。宿泊施設の魅力を発掘し、旅行者へ届け、予約につなげることで成長する企業である。だからこそ、国内旅行需要、インバウンド、グランピング、ヴィラ、地方創生といった複数のテーマを同時に取り込める可能性がある。

今後の焦点は、IPO後の高成長をどこまで持続できるかだ。体験型宿泊市場が拡大するなかで、魅力的な施設を集め、旅行者を呼び込み、施設側の収益も高める好循環を構築できれば、同社の企業価値はさらに拡大する可能性がある。旅行の「宿泊先」を探すサービスから、「ここへ行きたい」と思わせる体験を生み出すプラットフォームへ――。ブッキングリゾートの今後を考えるうえでは、この進化を実現できるかどうかが大きなポイントになりそうだ。

まとめ|IPO後の成長をどこまで続けられるかが焦点

今回取り上げた3社は、それぞれ異なる市場で成長を目指している。ムービン・ストラテジック・キャリアは専門性の高い人材紹介、TENTIALは「BAKUNE」を軸としたコンディショニング、ブッキングリゾートはグランピングやヴィラなどの体験型宿泊と、事業領域は大きく異なる。しかし共通しているのは、既存市場のなかに新しい需要を見いだし、専門性やブランド力を武器に事業を拡大している点だ。特にムービンは2026年12月期上期も売上高76.2%増、営業利益63.0%増と高い成長を続けている。 TENTIALも2026年8月期3Q累計で売上高245億6600万円、営業利益26億9100万円まで拡大している。 今後は売上高の伸びだけでなく、利益率や新規顧客の獲得、既存事業からの横展開などを確認しながら、IPO後の成長が一時的なものなのか、それとも長期的な企業価値の向上につながるのかを見極めることが重要になりそうだ。

プロの知識が無料で学べます

「投資の勉強を何からやっていいかわからない」「投資で資産を作りたい、収入を増やしたい」

そんな時は無料で視聴できるオンライン講座「GFS監修 投資の達人講座」をまずはお試ししてください。

投資の達人になる投資講座は、生徒数50,000人を超え講義数日本一の投資スクールGFSが提供する無料オンライン講座です。プロの投資家である講師が、未経験者や苦手意識がある人でも分かるように、投資の仕組みや全体像、ルールを基礎から図解を交えて解説します。

投資の勉強をなるべく効率よく始めたい人は、ぜひ一度ご視聴ください。

≫初心者でも資産形成を学習できる無料オンラインセミナーはこちら

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年10月時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

(記事一覧はこちら)
月1万円から資産6,000万円を目指す方法
無料で視聴する