ウラン争奪戦の現在地――世界を代表する2大企業KazatompromとCameco

原子力を支える「ウラン」――世界の供給を担う2社に注目

原子力発電の燃料として欠かせない「ウラン」。発電時に二酸化炭素の排出が少ない原子力は、脱炭素化やエネルギー安全保障を背景に、世界各国で改めて注目されています。2026年に公表されたOECD・NEAとIAEAの「Uranium 2026」でも、ウランは現在稼働するすべての核分裂炉を支える主要な原料と位置付けられています。

一方、ウランの生産は特定の国・企業に集中しています。特にカザフスタンは2025年に約2万5,839トンUを生産し、世界生産の約40%を占める最大のウラン生産国です。

こうしたウラン市場を理解するうえで重要な2社として、カザフスタンのKazatompromとカナダのCamecoを取り上げます。両社は世界有数のウラン生産企業ですが、生産地域や事業構造には違いがあります。ウランの基礎から世界の需給動向、原子力を取り巻く環境までを見ながら、2社の特徴を探ります。

順位会社国・地域2024年ウラン生産量世界シェア上場状況証券コード・市場
1Kazatompromカザフスタン12,463 tU20.7%上場KZAP・KASE/KAP・LSE
2Camecoカナダ10,193 tU16.9%上場CCO・TSX/CCJ・NYSE
3Oranoフランス6,815 tU11.3%非上場―
4Uranium Oneロシア系5,829 tU9.7%非上場―
5CGN中国5,761 tU9.6%親会社は非上場―

核開発でよく聞く「ウラン」って何? 軍事利用から原子力発電まで、その正体と最新動向

核開発や原子力発電のニュースで頻繁に登場する「ウラン」。核兵器をめぐる報道では軍事的な意味が強調される一方、実際にはウランは世界各国の原子力発電所で電力を生み出すためにも使われている。つまりウランは、軍事と民生という大きく異なる二つの側面を持つ資源だ。

ウランは、原子番号92の元素で、天然に存在する放射性元素である。地球上の岩石などに広く分布しており、決して極端に希少な金属というわけではない。特徴的なのは、ウランの原子核が分裂する「核分裂」を起こすことだ。核分裂では大きなエネルギーが放出され、その熱を利用して発電するのが原子力発電の基本的な仕組みである。世界原子力協会によると、現在、世界では約440基の原子炉が運転され、原子力は世界の発電量の約9%を担っている。

天然ウランの中で重要なのが「ウラン235(U-235)」だ。天然ウランには主にウラン238とウラン235が含まれているが、U-235の割合は約0.7%にすぎない。一方、現在一般的な原子力発電所では、核分裂を効率よく持続させるため、U-235の割合を高めた低濃縮ウランが燃料として利用される。一般的な軽水炉では、おおむね3.5~5%程度の濃縮度の燃料が使われている。

ここで重要になるのが「採掘→転換→濃縮→燃料加工→原子炉」という核燃料サイクルだ。鉱山から採掘されたウランは、まずイエローケーキと呼ばれるウラン精鉱などに加工され、その後、濃縮などの工程を経て原子力発電所で使用できる燃料になる。米国エネルギー情報局(EIA)によると、ウラン精鉱であるU3O8の生産は核燃料製造プロセスの最初の段階で、その後に転換、濃縮、燃料ペレットや燃料集合体の製造へと進む。

民生利用で最も大きな用途は、もちろん原子力発電だ。原子炉ではウラン燃料の核分裂によって熱を発生させ、その熱で水を蒸気に変え、タービンを回して電気をつくる。火力発電のように燃料を燃焼させるのではなく、核分裂によって大量のエネルギーを取り出せることが特徴である。そのため、少量の核燃料から非常に大きなエネルギーを得られる。

また、ウランは研究用原子炉や医療・産業分野を支える原子力技術とも関係している。原子炉は発電だけでなく、放射性同位元素の製造や研究、教育などにも利用されている。さらに近年注目されているのが、SMR(小型モジュール炉)や次世代原子炉だ。特に一部の先進炉では、通常の軽水炉より高い濃縮度の燃料「HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)」が必要になるとされる。IAEAは2026年、HALEUについて5~20%の濃縮度の燃料として、SMRや高速炉、高温ガス炉、溶融塩炉など次世代原子炉への利用が重要になっていると説明している。

一方、ウランが「核開発」という言葉と結び付く最大の理由が軍事利用だ。核兵器では、核分裂によって極めて大きなエネルギーを短時間に放出する仕組みが利用される。ここでもU-235は重要な核分裂性物質の一つとなる。ただし、原子力発電用燃料と核兵器では、求められる条件や目的が大きく異なる。

重要なのは、「ウランを持っている=核兵器を持っている」という単純な話ではないという点だ。天然ウランそのものは、U-235の割合が低いため、そのままでは一般的な原子炉燃料としても使いにくい。核燃料として利用するには濃縮などの工程が必要になる。そして濃縮度が高くなるほど、核不拡散上の重要性が増す。そのため、核物質や核燃料サイクルをめぐっては、IAEA(国際原子力機関)による保障措置など、核物質が平和目的から逸脱していないかを確認する国際的な仕組みが設けられている。

現在、ウランをめぐる世界の注目度は再び高まっている。背景にあるのは、原子力発電の見直しだ。脱炭素と電力需要の増加を背景に、原子力を一定の役割として位置付ける国が増えている。2026年9月に公表されたOECD原子力機関(NEA)とIAEAの「Uranium 2026」では、2025年1月時点で、1kg当たり260ドル以下のコストで回収可能とされる確認済み資源などが世界で810万トン超に達したとされる。一方、資源が存在することと、それを実際に鉱山として開発して供給できることは別問題であり、新規鉱山への投資や長期契約などが重要だと指摘されている。

生産量を見ると、2024年の世界のウラン鉱山生産量は約6万2,000トンに達した。主要な生産国はカザフスタン、カナダ、ナミビア、オーストラリアなどで、特にカザフスタンは世界最大の生産国となっている。世界原子力協会によれば、2024年のカザフスタンの生産量は23,270トン、カナダは14,309トン、ナミビアは7,333トンだった。

さらに、ウランの供給網そのものも重要なテーマになっている。2025年に米国の民間原子力発電事業者が受け取ったウラン供給では、カナダが32%、カザフスタンが28%、オーストラリアが15%を占めたとされる。原子力発電所を持っていても、燃料となるウランを安定して確保できなければ発電を続けることはできない。そのため、鉱山だけでなく、転換、濃縮、燃料加工まで含めた「核燃料サプライチェーン」の確保が重要になっている。

ウランをめぐる市場では、KazatompromやCamecoといった大手ウラン企業も注目されている。さらに、原子力発電の拡大が進めば、単純に鉱山での生産量だけでなく、濃縮能力やHALEUの供給能力など、核燃料サイクル全体の重要性が高まる可能性がある。

ウランは「核兵器の材料」というイメージが先行しがちだが、その実態はもっと幅広い。原子力発電を支えるエネルギー資源であると同時に、核不拡散や国際安全保障とも密接に関係する特殊な資源なのである。

今後のポイントは、世界の原子力発電容量がどこまで拡大するか、そしてその増加分を支えるウランと核燃料を安定的に確保できるかだ。IAEAによると、世界の原子力発電容量拡大やSMRの普及を背景に、2050年には年間の原子炉向けウラン需要が9万~14万2,000トン程度に達する可能性が示されている。

ウランは、過去の核兵器開発を象徴する存在であると同時に、現在のエネルギー政策や将来の脱炭素社会を考えるうえでも欠かせない資源となっている。「軍事か民生か」という二つの側面だけではなく、採掘、濃縮、燃料製造、発電、核不拡散という幅広い視点から見ることで、ウランをめぐる世界の動きがより理解しやすくなるだろう。

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世界最大のウラン企業、Kazatompromとは? 原子力復権で注目されるカザフスタンの国策企業

核開発や原子力発電のニュースで頻繁に登場する「ウラン」。そのウランを語るうえで欠かせない企業が、カザフスタンの国営企業Kazatomprom(カザトムプロム)だ。カザフスタンは2009年以降、世界最大のウラン生産国であり続けており、同国のウラン産業を代表する存在がKazatompromである。世界の原子力発電所で使われる燃料の上流部分を支える企業として、原子力発電の再評価が進む現在、その存在感は一段と高まっている。

Kazatompromは1997年に設立されたカザフスタンの国営原子力企業で、同国におけるウランの探鉱・採掘だけでなく、核物質の輸出入などでも重要な役割を担っている。現在、同社は世界最大の天然ウラン生産企業と位置付けられている。2025年にはKazatompromの帰属ベースのウラン生産量が13,519トンとなり、世界の一次ウラン供給のおよそ20%を占めた。さらに、Kazatompromの持分を含めたカザフスタン全体の生産量は25,839トンで、世界生産の約39~40%に達している。

Kazatompromの大きな特徴は、一般的な鉱山会社とは異なる「ISR(In-Situ Recovery)」と呼ばれる採掘方法を中心にしていることだ。これは地下の鉱床に薬液を注入し、ウランを溶液として回収する方法で、地表を大きく掘り返す露天掘りや坑内掘りとは異なる。カザフスタンでは現在、ウラン生産のほぼすべてがこの方法によって行われている。Kazatompromによれば、2025年に世界でISRによって生産されたウランの約68%が同社グループのカザフスタンの鉱山から生産された。

同社はカザフスタン国内で14の鉱山資産と27のウラン鉱床・鉱区を運営している。すべての鉱山がISR方式を採用していることも特徴だ。単独で保有する鉱山だけではなく、CamecoやOrano、Uranium Oneなど海外企業との合弁事業も展開しており、世界の主要なウラン企業がカザフスタンの鉱山開発に関わっていることが分かる。実際、2024年の世界の主要ウラン鉱山ランキングを見ると、Inkai、Karatau、Akdala、South Inkai、Moinkum、Tortkudukなどカザフスタンの鉱山が上位に並んでいる。

2025年の生産量を見ると、Kazatompromの存在感はさらに明確になる。同年のグループ全体の生産量は25,839トンUで、2024年から10~11%増加した。増産の背景には、Budenovskoye合弁会社の生産拡大などがある。一方、Kazatompromは単純に生産量を最大化する戦略を採っているわけではない。「Value over Volume(量より価値)」という方針を掲げ、市場の需給バランスや契約状況を見ながら生産量を調整している。

2026年については、100%ベースの生産量を27,500~29,000トンUと見込んでいる。2025年の25,839トンを上回るレンジだが、これは単純な供給拡大というより、鉱山計画や地下資源契約に沿った生産増が中心となる。同社は2026年の生産計画について、硫酸の供給状況が前提条件になるとしている。硫酸はISR方式によるウラン回収に必要な重要資材であり、ウラン企業にとって資源そのものだけでなく、採掘に必要な資材の安定確保も重要な経営課題となる。

では、なぜKazatompromがこれほど注目されるのか。その背景には世界的な原子力発電の見直しがある。脱炭素化や電力需要の増加、AIやデータセンターによる電力需要拡大などを背景に、原子力発電を再評価する動きが各国で進んでいる。原子力発電所が稼働するためには核燃料が必要であり、その上流に位置するウランの安定供給は重要性を増している。

ウランは鉱山から採掘された段階で、そのまま原子炉に投入されるわけではない。採掘後には精製、転換、濃縮、燃料加工といった工程を経て、最終的に原子炉で使用できる燃料になる。Kazatompromはこのサプライチェーンの中でも特に上流の「天然ウラン」の供給を担う企業だ。つまり、原子力発電への投資を考える場合、発電所や原子炉メーカーだけでなく、燃料となるウランの生産企業も重要な存在になる。

さらにカザフスタン自身も原子力政策を進めている。2024年10月に行われた国民投票では、原子力発電所建設への賛成が約70%となった。2025年には原発建設候補地が選定され、ロシア、中国、韓国、フランスなどの原子炉技術が検討対象となった。自国が世界最大のウラン生産国であることを考えると、カザフスタンにとって原子力は資源輸出だけでなく、国内エネルギー政策とも結びつくテーマになっている。

また、Kazatompromは単に鉱石を採掘するだけの企業から、より付加価値の高い核燃料関連事業へ展開する方向性も示している。カザフスタンでは2021年に燃料ペレット工場が開設され、2024年には年間200トンUの設計能力に到達した。2025年の燃料ペレット販売は257.3トンだった。ウラン採掘から燃料関連製品へと事業領域を広げることは、資源国としての競争力を高める取り組みといえる。

一方で、Kazatompromをめぐるリスクも無視できない。ウラン価格は需給によって大きく変動するうえ、原子力産業は政府政策や国際情勢の影響を受けやすい。また、カザフスタンは内陸国であるため、鉱山で生産したウランを海外へ輸送する際の物流ルートも重要になる。さらにISR方式で生産する同社にとって、硫酸などの資材を安定的に確保できるかどうかも生産量を左右する。2026年の生産ガイダンスにも硫酸供給が条件として明記されている。

2025年には、Kazatompromグループの販売量も約18,500トンまで増加した。同社は欧州の電力会社や日本の関西電力などとの供給契約を拡大しており、世界各地域の原子力事業者にウランを供給する役割を担っている。原子力発電所は一度建設されると長期間にわたり燃料を必要とするため、ウラン供給契約も長期的な視点で考えられるケースが多い。

Kazatompromを見るうえで重要なのは、「世界最大のウラン生産国カザフスタン」と「世界最大級のウラン企業Kazatomprom」が密接に結びついている点だ。2025年のカザフスタンのウラン生産量は約25,839トンで世界全体の約40%を占めた。世界のウラン供給において、カザフスタンの比重は極めて大きい。

原子力発電の再評価が進めば、発電所の新設だけでなく、燃料サプライチェーンへの関心も高まる。Kazatompromはその中核となる天然ウランの生産企業として、原子力を取り巻く世界的な変化を受ける立場にある。ウランという資源そのものだけでなく、鉱山開発、国際物流、長期供給契約、核燃料加工、そして各国の原子力政策までを視野に入れることで、Kazatompromが世界のエネルギー市場で果たす役割が見えてくる。今後の原子力需要とウラン需給を考えるうえで、同社は引き続き重要な企業の一つとなりそうだ。

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Camecoとウラン――原子力復権で存在感を高めるカナダの巨大企業

核開発や原子力発電をめぐるニュースで頻繁に登場する「ウラン」。その世界的な供給を支える代表的な企業の一つが、カナダのCameco(カメコ)だ。Camecoは世界有数のウラン生産会社であり、カナダ・サスカチュワン州を中心に高品位ウラン鉱山を運営している。さらに、ウラン燃料の加工サービスや原子炉関連事業にも進出しており、単なる「ウラン鉱山会社」にとどまらない点が特徴だ。

Camecoは1988年に設立されたカナダ企業で、トロント証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場している。2025年のウラン生産量は同社持ち分で2,100万ポンドとなり、世界生産のおよそ15%を占めた。同社は世界最大級のウラン供給企業として、原子力発電所で使用される核燃料の上流部分を担っている。

Camecoを代表する鉱山が、カナダ北部サスカチュワン州にあるMcArthur River(マッカーサー・リバー)とCigar Lake(シガーレイク)だ。McArthur Riverは世界最大の高品位ウラン鉱山とされ、Camecoが70%を保有して操業している。2025年の同鉱山のCameco持ち分の生産量は1,050万ポンドだった。一方、Cigar LakeはCamecoが54.547%を保有する世界有数の高品位鉱床で、2025年の同社持ち分の生産量は1,040万ポンドだった。

ここで重要なのが「高品位」という特徴である。ウラン鉱山では、鉱石にどれだけウランが含まれているかが採掘効率を左右する。McArthur RiverやCigar Lakeは非常に高い品位を持つことで知られ、比較的少ない鉱石から大量のウランを生産できる。こうした優良鉱山を保有していることが、Camecoの競争力の一つになっている。

ただし、ウランは掘り出してすぐ原子炉で使えるわけではない。鉱山で採掘されたウランは精製、転換、濃縮、燃料加工など複数の工程を経て、最終的に原子炉用の核燃料になる。Camecoはこのサプライチェーンの中で、鉱山事業だけでなく燃料サービスにも事業領域を広げている。

その代表例がオンタリオ州のPort Hope(ポートホープ)にある転換施設だ。CamecoのFuel Services部門ではUF6への転換、UO2への転換、重水炉向け燃料集合体などを手掛ける。2025年には燃料サービス部門で1,400万kgUを生産し、そのうちUF6転換量は1,120万kgUとなり、Port Hope施設で過去最高を記録した。

Camecoの事業を理解するうえでもう一つ重要なのが、カザフスタンとの関係だ。同社は世界最大のウラン生産企業Kazatompromと共同で、カザフスタンのInkaiウラン鉱山を運営している。2025年のInkai全体の生産量は840万ポンドで、Camecoの持ち分は370万ポンドだった。つまり、Camecoはカナダだけでなく、世界最大のウラン生産国であるカザフスタンにも生産基盤を持っている。

こうした生産基盤を背景に、Camecoは長期契約を重視している。2025年末時点で、同社は約2億3,000万ポンドのウランを長期契約で販売するコミットメントを抱えており、今後5年間では年間平均約2,800万ポンドを供給する契約量を確保している。ウラン市場では短期的な価格変動だけでなく、原子力発電所を長期間運転する電力会社との契約が重要な意味を持つ。

この戦略の背景には、世界的な原子力発電の再評価がある。脱炭素化や電力需要の拡大に加え、AIやデータセンターの普及によって大量の安定した電力を必要とする産業が増えている。原子力発電は天候に左右されにくい電源として再び注目されており、既存原発の長期運転や新設計画を進める国もある。こうした動きは、長期的には核燃料の需要にも影響する。

Camecoはこの変化を捉え、ウランだけでなく原子力発電設備・技術にも事業を広げている。その中心がWestinghouse Electricだ。CamecoはBrookfield Asset ManagementなどとともにWestinghouseの株式を取得し、原子炉技術、燃料、保守など原子力発電の下流領域にも関与している。2025年にはWestinghouseの業績もCamecoの連結業績に大きく寄与した。

この「ウラン採掘+燃料サービス+原子炉関連」という事業構造は、Camecoの大きな特徴だ。ウラン価格が上昇すれば鉱山部門への追い風となる一方、原子力発電所の新設・長期運転が進めば燃料サービスやWestinghouse関連事業にもビジネス機会が生まれる。原子力産業全体のサプライチェーンに幅広く関与することで、Camecoは原子力市場の変化を複数の事業から取り込める構造になっている。

一方で、ウラン事業にはリスクもある。鉱山の生産は地下環境、設備、人員、輸送などの影響を受ける。実際、2025年にはMcArthur Riverで新たな採掘区域への移行に伴う開発遅延が発生し、Camecoは年間生産見通しを引き下げた。その後、Cigar Lakeの好調な生産などによって一部を補った。2026年にも北部サスカチュワン州の洪水によって輸送路が影響を受け、McArthur RiverとKey Lakeでは一時的に操業が縮小したが、5月には通常の生産活動へ復帰している。

2026年について、Camecoはウラン部門の持ち分ベース生産量を1,950万~2,150万ポンドと見込んでいる。第2四半期時点でもこの年間見通しを維持しており、カナダの主要鉱山とInkaiからの供給を組み合わせる体制を取っている。

ウラン市場を見る場合、Camecoは単なる「ウラン価格連動銘柄」として考えるだけでは不十分だ。高品位鉱山という強力な資産を持ち、カザフスタンにも生産拠点を持つ一方、燃料サービスやWestinghouseを通じて原子力産業の幅広い領域に関与しているからだ。

原子力をめぐっては、軍事利用と民生利用を区別して考える必要もある。Camecoの主要事業は民生用原子力発電を支える核燃料サイクルであり、ウラン鉱山で生産された天然ウランがそのまま核兵器になるわけではない。原子力発電用燃料に至るまでには、転換や濃縮、燃料加工など複数の工程が存在する。

2026年現在、世界のエネルギー政策では原子力の位置付けが改めて注目されている。Camecoはその中で、ウランの採掘から燃料サービス、原子炉技術までをカバーする企業へと変化してきた。原子力発電の長期的な需要がどう推移するのか、そして世界各国が核燃料の安定確保をどのように進めるのか。Camecoは、こうした世界のエネルギー政策とウラン需給の変化を考えるうえで、重要な企業の一つといえる。

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まとめ:ウラン市場の拡大を左右する「需要」と「安定供給」

ウランは、原子力発電を支える重要な資源であり、その需要は世界の原子力政策や電力需要と密接に結び付いています。IEAは、現在の政策が続くシナリオでも世界の原子力発電設備容量が2050年に向けて増加すると見通しており、原子力への投資拡大が見込まれています。

しかし、原子力発電所を建設すればすぐにウランが増産できるわけではありません。鉱山開発には長い時間がかかり、生産国の政策、地政学、輸送、燃料加工などさまざまな要因が供給を左右します。実際、ウラン生産はカザフスタンをはじめとする少数の国に集中しており、供給網の多様化が課題となっています。

Kazatompromは世界最大のウラン生産国カザフスタンを代表する企業として、Camecoはカナダの高品位鉱山に加えて燃料サービスなどを手掛ける企業として、それぞれ異なる強みを持っています。また、Camecoによれば、2025年には電力会社によるウランの長期契約が約1億1,600万ポンドに達しており、燃料の安定確保を重視する動きが強まっています。

今後ウラン市場を見る際には、単純な価格変動だけでなく、原子力発電の設備容量、長期契約、生産国の動向、地政学、燃料サイクル全体の供給能力などを総合的に捉えることが重要です。ウランをめぐる世界の需給構造が変化するなか、KazatompromとCamecoは、その動きを理解するための代表的な企業といえるでしょう。

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