
VRの現在地――MetaとSonyから見る仮想現実の次のステージ
VR(Virtual Reality=仮想現実)は、一時期の「メタバース」ブームを経て、現在はより現実的な用途を模索する段階に入っている。2026年の市場では、ゲームを中心としたVRヘッドセットに加え、AR(拡張現実)やMR(複合現実)、AIグラスなどを含むXR(Extended Reality)へと領域が拡大している。Counterpoint Researchによると、2026年第2四半期の世界VRヘッドセット出荷は前年同期比18%減少した一方、ARデバイスは138%増加しており、市場の関心が軽量なメガネ型デバイスへ移りつつあることがうかがえる。
こうした変化のなかで注目されるのが、Meta PlatformsとSony Group Corporationだ。Metaは「Quest」シリーズを中心にVR市場を開拓しながら、AIグラスやXRへ事業領域を広げている。一方のSonyは「PlayStation VR2」を軸に、ゲームやエンターテインメントにおけるVR体験を追求している。同じVR分野でも、Metaは次世代コンピューティング、Sonyはゲーム・コンテンツという異なる方向から市場を開拓している点が特徴だ。
変化するVR市場の現在地を確認するとともに、MetaとSonyの取り組みを通じて、VRが今後どのような形で私たちの生活やエンターテインメントに入り込んでいくのかを考えていく。
| 順位 | 会社 | 国・地域 | VR関連の主な製品・事業 | VR市場シェア(2025年推計) | 上場 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Meta Platforms | 米国 | Meta Quest、Reality Labs | 9.88% | NASDAQ |
| 2 | Sony Group Corporation | 日本 | PlayStation VR2 | 8.11% | 東証プライム |
| 3 | Apple Inc. | 米国 | Apple Vision Pro | 5.87% | NASDAQ |
| 4 | Samsung Electronics | 韓国 | VR・XR関連デバイス、ディスプレー | 5.06% | 韓国取引所 |
| 5 | Lenovo Group | 中国・香港 | VR/XRデバイス、ThinkReality | 4.98% | 香港取引所 |
VRは今どうなっている? 2026年、仮想現実からXR・AIグラスへ
「VR元年」と呼ばれた時期から数年が経過し、VR(Virtual Reality=仮想現実)を取り巻く環境は大きく変わっている。かつては「メタバース」という言葉とともに、VR空間そのものが次世代のインターネットになるとの期待が膨らんだ。しかし2026年現在、VR市場は当時の熱狂とは少し違う方向へ進んでいる。
現在のポイントは、VRがなくなったのではなく、「VRだけ」で市場を拡大する段階から、ARやMR(複合現実)、AIを組み合わせた「XR」へと領域が広がっていることだ。
実際、2026年Q2の世界XRヘッドセット市場では、Metaが54%の出荷シェアを占め、Sonyが7%、RayNeo、Pico、VITUREがそれぞれ6%となっている。VRヘッドセット全体の出荷は前年同期比18%減少した一方、ARデバイスの出荷は138%増加した。つまり、頭部に装着するデバイス市場全体が縮小しているというより、従来型のVRヘッドセットから、より軽量で日常生活に入り込みやすいデバイスへ需要が移りつつあると見ることができる。
その中心にいる企業の一つがMetaだ。Metaは「Quest」シリーズによって一般消費者向けVR市場を開拓してきた。ゲームを中心に、動画視聴、フィットネス、ソーシャル体験など用途を広げてきたが、2026年になると戦略の重心はVRヘッドセットだけではなくなっている。
Metaが2026年9月に発表した新しいVRグラスは、その変化を象徴する存在だ。従来のQuestのような大型ヘッドセットではなく、よりメガネに近い形状を目指し、映像やゲーム、仕事などへの利用を想定している。2027年春の発売予定で、価格は1299.99ドルとされている。VRを「特別な日に装着する機器」から、より日常的なウェアラブルコンピューターへ近づけようとしていることが分かる。
一方、Metaの決算を見ると、VR・AR事業が巨大な収益源になっているわけではない。Reality Labsの2026年上期売上高は8億3300万ドルだったのに対し、営業損失は86億4700万ドルに達している。Reality LabsにはVR・AR関連のハードウェアだけでなく、ソフトウェアやコンテンツなども含まれるため、単純にVR事業だけの採算を示す数字ではない。それでも、Metaが将来のコンピューティング基盤を見据えて大規模な投資を続けていることを示す数字だ。
AppleもVR市場に別のアプローチを取っている。Apple Vision Proは「VRゴーグル」というより「空間コンピューター」として位置付けられ、映画やゲームだけでなく、Macのディスプレー拡張、3Dコンテンツ、業務用途などを重視している。2026年9月に公開されたvisionOS 27では、Apple Intelligenceを活用した機能や新しい空間体験、Macの3Dモデルを現実空間で確認する機能などが追加された。VRを単なる娯楽機器ではなく、コンピューターの新しい形として定着させようとしている。
ゲーム分野ではSonyのPlayStation VR2も重要な存在だ。PS5と組み合わせることで、4K HDR、有機ELディスプレー、視線トラッキング、ハプティックフィードバックなどを利用したゲーム体験を提供している。2026年も新作タイトルが投入されており、VRゲーム市場そのものが消えたわけではない。むしろ、VRはゲームという明確な用途を持つ市場として一定の存在感を維持している。
では、今後VRが普及する可能性はどう考えればいいのか。大きなカギになるのが、企業向け市場だ。製造業では工場や設備のデジタルツイン、教育では仮想訓練、医療ではシミュレーション、建設では完成前の建物確認、ロボット分野では遠隔操作など、VR・XRを使うことで現実世界のコストや時間を削減できる用途が増えている。
特に企業向け市場では、個人が数時間ゲームをするためにヘッドセットを購入する場合と違い、「導入することで業務効率を高められるか」という明確な投資判断ができる。そのため、一般消費者向け市場が伸び悩んでも、産業用途がVR・XR市場を支える可能性がある。
さらに注目したいのがAIとの融合だ。AIが映像や3D空間を生成し、VRやARの中にリアルタイムで情報を表示するようになれば、VRの用途はゲームから大きく広がる。例えば、現場作業員が装着したデバイスに設備の情報を表示したり、目の前にある製品についてAIに質問したり、現実の空間を認識して必要な情報だけを表示したりする使い方が考えられる。
この流れでは、重いVRヘッドセットよりも、軽量なARグラスやAIグラスが重要になる可能性がある。市場調査会社Omdiaも、2026年以降はXRヘッドセットからメガネ型デバイスへ業界の関心が移ると分析している。
つまり、2026年のVR市場を「ブームが終わった」とだけ捉えるのは適切ではない。確かに従来型VRヘッドセットの出荷には減速が見られる。しかし、その一方でAR、MR、AIグラス、企業向けXR、ロボット遠隔操作など、新しい市場が生まれている。
VRは消えたのではなく、姿を変えようとしている。大型ヘッドセットを装着して仮想空間に入るという従来型のVRから、現実空間にデジタル情報を重ね、AIと連携しながら仕事や生活を支援するXRへ。この変化が進めば、VR市場の成長を測る尺度そのものが変わっていくかもしれない。
投資という観点から見ても、今後は「VRヘッドセットを何台売ったか」だけではなく、半導体、ディスプレー、センサー、AI、クラウド、ゲーム、3Dコンテンツ、ロボットなど、XRを構成する幅広い産業を見る必要がある。2026年のVRは、完成した市場ではない。むしろ、VRという言葉だけでは捉えきれない次世代コンピューティング市場へ、転換期を迎えていると言えるだろう。
Meta PlatformsとVR――「Quest」からAI・空間コンピューティングへ、VR戦略は次の段階に
VR(Virtual Reality=仮想現実)市場を語るうえで、Meta Platformsは欠かせない企業の一つだ。旧Facebook時代からVRへの投資を続け、2021年には社名をMeta Platformsへ変更。「メタバース」を次世代事業の柱として掲げてきた。現在では、VRヘッドセット「Meta Quest」だけでなく、AIグラスや空間コンピューティングへと事業領域を広げている。
2026年9月時点で、MetaのVR戦略は大きな転換点を迎えている。象徴的なのが、2026年9月に発表された「Meta VR Glasses」だ。2027年春の発売を予定するこの製品は、従来のVRヘッドセットとは異なり、約100gのグラス型デバイスとなっている。Meta Quest 3の約5分の1の重量とされ、VRをより長時間、日常的に利用できる形へ近づけようとしている。
Metaがこれまで展開してきたQuestシリーズは、VRを一般消費者に普及させる役割を担ってきた。ゲームを中心に、動画、フィットネス、ソーシャルコミュニケーションなど、さまざまな用途に対応している。特にMetaはハードウェアだけではなく、VR向けのソフトウェアやコンテンツのエコシステムを形成することで、VRを単なるゲーム機とは異なるプラットフォームにしようとしてきた。
しかし、VR事業には課題もある。Metaの決算では、VR・AR関連のハードウェア、ソフトウェア、コンテンツを含む「Reality Labs」を独立した報告セグメントとして開示している。2026年上期のReality Labs売上高は8億3300万ドルだった一方、営業損失は86億4700万ドルに達した。前年同期と比較して営業損失はやや縮小したものの、巨額の研究開発・事業投資が続いていることが分かる。
ここで重要なのは、Reality Labsの赤字だけを見てMetaのVR戦略を判断しないことだ。Metaの2026年上期の全社売上高は1171億1100万ドルで、そのうちFamily of Appsが1162億7800万ドルを占める。Facebook、Instagram、Messenger、WhatsAppなどの広告・サービス事業が現在の収益基盤であり、Reality Labsは将来のコンピューティングプラットフォームを育てるための投資色が強い事業と位置付けられる。
その意味で、2026年9月のMeta VR Glasses発表は注目される。新製品は約100gという軽量性に加えて、micro-OLEDによる5K Infinite Display、視線追跡、ハンドジェスチャー、Meta AIなどを搭載する。バッテリーや演算処理などを外部の「パック」に分離することで、本体を軽量化する設計も採用された。価格は1299.99ドルで、2027年春に発売予定となっている。
さらに面白いのが、Meta VR Glassesを「VRゲーム専用機」として位置付けていない点だ。映画やスポーツ観戦、ゲームに加えて、仕事用のマルチスクリーン環境としても利用できる。仮想ディスプレーを複数表示したり、平面をキーボードやタッチパッドとして利用したりする機能を備え、PCやスマートフォンとは異なるコンピューティング環境を目指している。
ここにはMetaが考えるVRの将来像が表れている。これまでのVRは「ヘッドセットを装着して仮想世界に入る」という使い方が中心だった。しかし、Metaが目指しているのは、現実世界を見ながらデジタル情報を利用するスタイルだ。つまり、VR、AR、MRといった技術を一体化した「XR」へ事業領域を広げている。
その変化をさらに加速させているのがAIだ。Metaは2026年、AIエージェント「Muse」を発表し、AIグラスとの連携も進めている。Meta Connect 2026では、Ray-Ban、Oakley、Meta GlassesなどAIグラスのラインアップを拡大し、2026年末までに100種類以上のスタイルを展開する計画も示した。
日本でもこの流れは始まっている。Metaは2026年5月に「Ray-Ban Meta」「Oakley Meta」を発売し、8月には「Meta Glasses」の販売も開始した。Meta Glassesは26種類のスタイルを用意し、価格は5万600円からとなっている。VRヘッドセットよりも日常生活に取り入れやすいAIグラスを普及させることで、Metaはウェアラブル市場での存在感を高めようとしている。
Metaにとって、これは単なるVR事業の拡大ではない。スマートフォンやPCに代わる次世代コンピューティングの入り口を、自社のプラットフォームにするという長期的な戦略と見ることができる。現在のMetaの売上を支えるのは広告事業だが、将来的にはAIアシスタント、AIグラス、VR、AR、コンテンツなどを組み合わせた新しいエコシステムを構築することが狙いとなる。
もちろん、課題も残る。VRヘッドセットはスマートフォンほど手軽ではなく、価格や重量、装着感、バッテリー持続時間、コンテンツ不足などが普及の壁になりやすい。Meta自身もReality Labsで巨額の投資を続けているため、いつ事業が大きな利益を生むのかは明確ではない。
それでも、MetaのVR戦略は「メタバース」という言葉だけで捉えると実態を見誤る可能性がある。現在の同社が進めているのは、VR、AR、AI、ウェアラブルデバイスを組み合わせた新しいコンピューティング環境の構築だ。
2026年のMetaを見ると、「QuestでVR市場を開拓する」という段階から、「AIを搭載したグラスを日常生活に浸透させ、その先にVR・ARを含む次世代プラットフォームを構築する」という方向へ進んでいる。Meta VR Glassesの2027年発売は、その戦略を象徴する製品となりそうだ。
投資という観点では、現在のReality Labsの収益だけを見るのではなく、MetaがAI、VR、AR、AIグラスをどのように一つのエコシステムへ統合していくのかを見ることが重要になる。VR市場の成長を占ううえで、Metaは今後も主要企業の一つであり続けるだろう。
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Sony Group CorporationとVR――PlayStation VR2が切り開く没入型エンタメの現在地
VR(Virtual Reality=仮想現実)市場を語るうえで、Sony Group Corporationは重要な位置を占める企業の一つだ。ソニーはゲーム機「PlayStation」を中心としたエンターテインメント事業を世界規模で展開しており、そのVR戦略を担ってきたのが「PlayStation VR」シリーズである。現在は「PlayStation VR2」を軸に、ゲームを中心とした没入型エンターテインメントの可能性を追求している。
ソニーがVRに取り組んできた歴史は長い。初代PlayStation VRは2016年に発売され、PlayStation 4と組み合わせることで、家庭用ゲーム機で本格的なVR体験を楽しめる環境を提供した。その後継機として2023年2月に発売されたのがPlayStation VR2(PS VR2)だ。発売時の希望小売価格は7万4,980円で、PS5と組み合わせることで高精細な映像と立体的なゲーム体験を楽しめるVRシステムとして登場した。
PS VR2の特徴は、単に画面を目の前に表示するだけではない点にある。片目あたり2000×2040ピクセルのOLEDディスプレー、約110度の視野角、最大120Hzのリフレッシュレートに加え、視線トラッキングやヘッドセットの振動、PS VR2 Senseコントローラーによるハプティックフィードバックなどを搭載する。プレイヤーの視線や手の動き、コントローラーへの触覚的な反応までゲームに取り込むことで、従来のディスプレーゲームとは異なる没入感を目指した製品だ。
ソニーにとってVRは、単なるゲーム周辺機器という意味だけではない。PlayStationが持つゲームIPやユーザー基盤とVRを組み合わせることで、映像や音楽とは異なる新しいエンターテインメント体験を作り出すことができるからだ。ソニーグループは2026年5月に発表した経営方針で、エンターテインメント、IP、コンテンツクリエーション、リアルタイム・クリエーション技術を重視している。PlayStationを含むエンターテインメント事業が連結売上高の67%を占めるまでに拡大していることも示している。
この観点から見ると、VRはソニーのゲーム事業だけでなく、グループ全体が保有する映像・音楽・アニメなどのIPを新しい形で体験させる技術としても注目できる。例えば、ゲームの世界に入り込むだけでなく、映画やアニメの世界をVR空間で体験したり、ライブやスポーツを立体的に楽しんだりする可能性もある。ソニーはカメラやイメージセンサー、映像・音響技術なども幅広く手掛けているため、コンテンツ制作から再生環境まで多様な技術をグループ内に持っている。
2026年に入ってもPS VR2向けのコンテンツは続いている。例えば2026年3月には「Microsoft Flight Simulator 2024」のPS VR2対応が発表され、航空機の操縦をVRで体験できるようになった。飛行機のコックピットを立体的に確認しながら操縦する体験は、VRが得意とする「現実では体験しにくい世界を仮想空間で再現する」用途の一例だ。
また、PS VR2はゲームだけでなくPCにも利用できる。専用PCアダプターを利用することで、PC向けVRコンテンツへの対応範囲を広げることができる。PlayStationという閉じたゲーム機だけを対象とするのではなく、PC側のVRコンテンツも取り込むことで、ヘッドセットの利用機会を増やす方向性が見える。ソニー公式サポートでも、PS VR2がPS5に対応することに加えて、PCアダプターに関する情報が案内されている。
一方、VR市場全体を見ると課題もある。VRヘッドセットはスマートフォンやテレビなどと比べて装着に手間がかかり、価格も高くなりやすい。また、VRならではの魅力的なコンテンツを継続的に提供できるかどうかも重要になる。ゲーム市場ではユーザーがすでに大量のタイトルを楽しめる一方、VRでは専用コンテンツの開発コストや市場規模とのバランスが課題になりやすい。
ソニーにとっても、VRを単独のハードウェア事業として大きく拡大するだけではなく、PlayStation全体の価値を高める役割として捉えることが重要になる。PS5を中心とするゲーム市場にVRを組み合わせ、さらに映画、アニメ、音楽、スポーツなどソニーグループが持つコンテンツとの接点を増やすことができれば、VRの用途はゲーム以外にも広がっていく。
さらに、2026年のソニーはAIにも力を入れている。ソニーグループは、AIによる創造性の拡張を成長機会の一つとして掲げており、映画制作などのワークフローへのAI活用や、生成AIと音響、映像処理、空間・CG技術を組み合わせる取り組みも進めている。
これはVRとの相性も良い。AIによってキャラクターや背景、音声などのコンテンツ制作を効率化できれば、VR空間に提供できるコンテンツの種類を増やせる可能性がある。また、ユーザーの行動に応じてAIがリアルタイムに反応するゲームや、仮想空間内のキャラクターと自然に会話できるサービスなど、AIとVRを組み合わせた新しい体験も考えられる。
現在のソニーにおいて、VR事業そのものがグループの収益を支える中心事業というわけではない。しかし、PlayStationという巨大なゲームプラットフォーム、世界的なIP、映像・音楽・アニメ、そしてイメージセンサーや映像・音響技術を持つことは、VR市場を見るうえで重要なポイントになる。
2026年のVR市場は、MetaのようにAIグラスやXRへ領域を広げる企業もあれば、ソニーのようにゲームを軸としてVRを進化させる企業もある。ソニーの場合、PS VR2はVRそのものを目的とするのではなく、PlayStationのゲーム体験を拡張する装置という側面が強い。
今後の注目点は、PS VR2でどれだけ魅力的なコンテンツを継続的に提供できるか、そしてソニーが保有するゲーム・映画・アニメ・音楽などのIPをVRや空間コンピューティングにどのようにつなげていくかだろう。VR市場が「仮想空間に入る」だけの段階から、AIや3D、リアルタイム技術を組み合わせた新しいエンターテインメントへ進むなかで、Sony Group CorporationのVR戦略もまた、PlayStationを起点に変化していくことになりそうだ。
まとめ:VRはどこへ向かうのか――ゲームからAI・XRへ広がる可能性
VR市場は、かつて期待された「VRヘッドセットを装着して仮想空間に入る」というスタイルだけでは語れなくなっている。2026年は、VRにAR、MR、AIを組み合わせたXRへの展開が進み、特に軽量なスマートグラスへの注目が高まっている。VRヘッドセット市場には減速が見られる一方、企業向けのデジタルツインや空間コンピューティング、ロボットの遠隔操作など、実用面での活用も広がっている。
Metaは2026年9月、約100gの軽量設計を採用した「Meta VR Glasses」を発表し、2027年春の発売を予定している。VRをより日常的なデバイスへ近づけると同時に、AIグラスを含めたウェアラブルコンピューティングへ軸足を広げている。 一方、SonyはPlayStation VR2によってゲームを中心とした没入型体験を提供しており、「バイオハザード RE:4 VRモード」など、既存の強力なゲームIPとの組み合わせを進めている。
この2社の動きを見ると、VRの将来は一つの方向に決まっているわけではないことが分かる。仮想空間そのものを楽しむゲーム・エンターテインメントとしてのVRがある一方、AIや現実空間との融合によって、仕事やコミュニケーションを支援するデバイスへ発展する可能性もある。今後は「VRヘッドセットがどれだけ売れるか」だけでなく、XR、AI、ゲーム、コンテンツ、半導体など周辺産業を含めた広い視点から市場を見ることが重要になりそうだ。




