ホテル予約はどこでする?「旅行会社・OTA・公式サイト」最新の宿泊予約事情

ホテル予約は「旅行会社」から多様なオンラインサービスへ

ホテルや旅館の予約方法は、ここ数年で大きく変わりました。かつては旅行会社の店舗や電話で相談しながら宿泊先を決める方法が一般的でしたが、現在はスマートフォンからOTA(オンライン旅行予約サイト)やホテルの公式サイトを検索し、料金や口コミ、立地、プランなどを比較して予約するスタイルが定着しています。さらに、生成AIやSNSなど、旅行情報を探す入口も広がっています。

こうした宿泊予約市場を支える企業にもさまざまなタイプがあります。旅行商品を比較するオープンドア、航空券やホテルをオンラインで予約できるエアトリ、ホテル・旅館側の予約管理を支援する手間いらずなどです。それぞれ立ち位置は異なりますが、旅行のオンライン化、宿泊施設のDX、インバウンド、人手不足といった共通のテーマでつながっています。旅行者が「どうやってホテルを探し、予約しているのか」という視点から、変化する宿泊予約市場と関連企業を見ていきます。

企業証券コード主なサービス・事業主な特徴注目テーマ
手間いらず2477TEMAIRAZU、宿泊施設向け予約管理ホテル・旅館の予約、在庫、料金などを一元管理宿泊DX、インバウンド、人手不足、AI・自動化
オープンドア3926トラベルコ、Travelko複数の旅行サイトを横断して航空券・ホテルなどを比較旅行比較、AI検索、海外旅行、インバウンド
エアトリ6191エアトリ、旅行事業、IT、投資航空券・ホテル予約を中心に幅広い事業を展開オンライン旅行、インバウンド、IT、投資事業

ホテル予約は「旅行会社」から「ネット・公式サイト」へ――2026年、宿泊予約の主役はどう変わった?

ホテルや旅館に泊まるとき、いまはどのように予約する人が多いのでしょうか。かつては旅行会社の店舗を訪れ、パンフレットを見ながら宿泊先や交通手段をまとめて手配するスタイルが一般的でした。しかし、スマートフォンの普及によって状況は大きく変化しました。現在は「じゃらんnet」「楽天トラベル」「一休.com」「Booking.com」などのオンライン旅行予約サイト、いわゆるOTA(Online Travel Agent)を使って宿泊先を探す方法が広く定着しています。

さらに2026年に入ると、予約の選択肢はOTAだけではなくなっています。ホテルや旅館の公式サイトから直接予約する人も増えており、生成AIを使って旅行情報を探す動きも広がっています。つまり、現在のホテル予約は「旅行会社かネットか」という二択ではなく、OTA、宿泊施設の公式サイト、旅行会社、検索エンジン、SNS、生成AIなどを使い分ける時代になっているといえます。

2026年6月に公表されたアイリッジの国内旅行調査では、宿泊予約サービスについて「OTA独占」が崩れ、宿泊施設の公式サイト利用が前回調査から3倍に伸びたとされています。調査対象は20~69歳の男女2,139人で、旅行者の予約行動が変化していることを示すデータです。OTAは依然として重要な予約チャネルですが、「まずOTAで検索して、そのまま予約」という行動だけではなく、ホテルの公式サイトも比較対象にする旅行者が増えていることがうかがえます。(株式会社アイリッジ)

公式サイトが注目される理由の一つが、価格や特典です。ホテルによっては「公式サイト限定プラン」「最低価格保証」「公式予約限定のポイント・特典」などを用意しています。OTAでホテルを見つけた後、宿泊施設の公式サイトを確認してから予約するという流れも考えられます。旅行者にとっては、予約先を一つに決めるのではなく、複数のサイトを比較して条件のよい予約方法を探すことが当たり前になりつつあります。

一方、OTAの利便性も非常に大きなものがあります。複数のホテルを一つのサイトで検索でき、価格や立地、口コミ、設備などを比較できます。ホテルだけでなく、航空券やレンタカーなども一緒に検索できるサービスもあります。特に初めて訪れる地域では、宿泊施設を一軒ずつ調べるよりも、OTAで条件を絞り込んだほうが効率的です。

2026年のオリコン顧客満足度調査でも、国内旅行予約サイトを対象にした調査が行われています。対象は過去1年以内に旅行予約サイトを経由して宿泊を伴う国内旅行商品を予約・利用した人で、5,080人が回答しています。こうした調査が成立すること自体、旅行予約サイトが国内旅行の主要な予約経路になっていることを示しています。では、旅行会社の店舗はなくなったのでしょうか。そういうわけではありません。家族旅行や団体旅行、海外旅行など、複数の交通・宿泊サービスを組み合わせる場合には、旅行会社を利用するメリットがあります。旅程全体を相談できたり、トラブル発生時のサポートを受けられたりする点は、オンライン予約とは異なる旅行会社の強みです。

特に、パッケージツアーや団体旅行、複雑な海外旅行などでは、旅行会社が持つ商品造成力やサポート機能が重要になります。ネット予約が普及したからといって、旅行会社の役割が消えたのではなく、店舗での「相談型」サービスとオンラインでの「セルフ予約」が用途によって使い分けられるようになったと考えるほうが実態に近いでしょう。

国内旅行市場そのものも大きな規模があります。リクルートの「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2026」によると、2025年度の国内宿泊旅行者数は微減となった一方、旅行費用総額は8兆3,883億円まで拡大しました。平均宿泊数の増加や現地消費の上昇などが市場を下支えしたとされています。宿泊旅行そのものの需要が大きいからこそ、旅行者をどの予約チャネルで獲得するかはホテル・旅館にとって重要な経営テーマになっています。

ホテル側から見ると、OTAは非常に便利な集客手段です。大手OTAには大量の利用者が集まっているため、知名度の低いホテルや地方の旅館でも旅行者に見つけてもらえる可能性があります。一方で、OTA経由の予約では販売手数料などのコストが発生します。そのため宿泊施設にとっては、OTAを使って新規顧客を獲得しつつ、リピーターには公式サイトから直接予約してもらうという戦略も重要になります。

ここで存在感を発揮するのが、宿泊施設向けの予約管理システムです。例えば手間いらずが提供する「TEMAIRAZU」は、複数のOTAなどに掲載する宿泊施設の予約・在庫・料金情報を一元管理するサービスです。宿泊施設が複数の販売チャネルを使うことが当たり前になればなるほど、裏側ではそれらを効率的に管理するシステムが必要になります。

また、旅行者側の情報収集方法も変化しています。2026年のアイリッジ調査では、生成AIの普及を背景に、国内旅行の情報収集方法にも変化がみられています。これまで旅行先を探すときには検索エンジンや旅行情報サイト、SNSなどが中心でしたが、今後は「おすすめのホテルを教えて」「予算10万円で2泊できる宿を探して」といった自然言語でAIに相談する旅行者が増える可能性があります。

これは旅行予約サイトにとって大きな変化です。これまでは「検索結果で上位に表示されること」が重要でしたが、AIが旅行者の質問に対して宿泊先を提案するようになれば、ホテルやOTA側には、AIが扱いやすい正確な情報を提供することも求められる可能性があります。

さらに2026年の旅行市場を考えるうえで、インバウンドも欠かせません。JNTOによると、2026年7月の訪日外客数は344万2,100人で、7月として過去最高となりました。前年同月比では0.1%増でした。

訪日外国人の予約方法は日本人とは必ずしも同じではありません。日本政府観光局などの調査ではなく、日本旅行業協会(JATA)が実施した2025年の調査では、インバウンドの予約チャネルとして日本の旅行会社・旅行サービス手配業者が49%、海外旅行会社が41%、海外OTAが24%、国内OTAが14%などとなっています。複数回答方式なので単純合計はできませんが、旅行会社とOTAの双方が利用されていることが分かります。

ホテル予約は今後、さらに「使い分け」の時代になっていくでしょう。価格や口コミを比較したいときはOTA、目当てのホテルが決まっているときは公式サイト、複雑な旅行やサポートを重視するときは旅行会社、旅行先そのものを決めていないときは検索エンジンやSNS、そして新しい選択肢として生成AI――という具合です。

宿泊施設側にとっても、特定の販売チャネルだけに依存するのではなく、OTA、公式サイト、旅行会社などを組み合わせて集客することが重要になります。さらにインバウンドの拡大によって海外OTAへの対応も必要になり、予約管理の複雑さは増しています。

こうした環境では、旅行者から直接見える「ホテル予約サイト」だけでなく、その裏側で複数の予約チャネルをつなぐシステムにもビジネス機会があります。オープンドアの「トラベルコ」は旅行商品を横断比較する立場、エアトリはオンライン旅行予約の立場、手間いらずは宿泊施設側の予約管理を支える立場にあります。三社を並べて見ると、ホテル予約市場が単純な「旅行会社対ネット予約」という構図ではなく、比較、予約、宿泊施設の管理という複数のサービスで成り立っていることが分かります。

ホテル予約の世界は、店舗型旅行会社からOTAへ、そして現在はOTAと公式サイト、旅行会社、SNS、検索、生成AIが併存する段階へと進んでいます。2026年の旅行市場では、国内宿泊需要に加えてインバウンドも大きな存在感を持っています。旅行者にとっては選択肢が増え、ホテル側にとっては販売チャネルが複雑になる時代です。これからの宿泊予約は、「どのホテルを選ぶか」だけでなく、「どこから予約するか」まで比較する時代になっていきそうです。

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手間いらず――宿泊業界の「手間」を減らす予約管理サービスで成長

旅行やホテル予約のオンライン化が進むなか、宿泊施設の裏側では予約管理や料金調整、在庫管理など、さまざまな業務が発生しています。複数の宿泊予約サイトを利用するホテルや旅館にとって、それぞれのサイトを個別に管理する作業は大きな負担になりかねません。こうした宿泊施設の業務効率化を支援しているのが、東証スタンダード市場に上場する手間いらずです。

手間いらずは2003年設立のIT企業で、証券コードは2477です。現在の主力事業は、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズを中心とするアプリケーションサービス事業です。会社名にも表れているように、宿泊施設のさまざまな「手間」を減らし、業務を効率化することが事業の大きなテーマとなっています。

「TEMAIRAZU」は、宿泊施設が複数のオンライン旅行予約サイト(OTA)などに掲載している客室の予約・在庫・料金情報を一元的に管理するためのシステムです。たとえば、あるホテルが国内の予約サイトだけでなく、海外OTAや自社予約システムなど複数の販売チャネルを利用している場合、それぞれを個別に操作するのではなく、システムを通じて効率的に管理できます。

宿泊業界では、人手不足が長期的な課題となっています。フロント業務や清掃、予約管理など、多くの仕事を抱える宿泊施設にとって、ITを活用してバックオフィス業務を効率化することは重要です。手間いらずはこうした環境を背景に、予約サイトとの連携を増やしながらサービスの利便性を高めてきました。

同社のサービスは、単純に予約情報を管理するだけではありません。近年は「手間いらず 自動」の機能強化にも取り組んでいます。これは季節や曜日、予約状況などに応じて販売価格を設定するレベニューマネジメントや、日々の報告業務などを自動化するサービスです。宿泊施設にとっては、価格設定を効率化しながら収益機会を高めることが期待できます。

さらに2026年8月には、「手間いらず 自動」に高度な分析機能「BA+」を追加しました。予約状況などを「見える化」し、データに基づくレベニューマネジメントを支援する機能です。単なる予約管理システムから、宿泊施設の経営判断を支えるサービスへと機能を広げようとしている点が、最近の同社の動きとして注目されます。

システム連携の拡大も続いています。2026年には、Shiji Groupの「Shiji Cambridge PMS」、統合型宿泊プラットフォームのBookLogic、ホテル・航空券・レンタカーの一括比較予約サイト「Jcation」、クラウド型宿泊管理システム「Smart Order PMS」などとの連携を発表しました。国内外の予約サイトや宿泊管理システムなどと接続することで、宿泊施設が利用できる販売・管理ネットワークを広げています。

業績面でも、これまで増収増益基調が続いています。2026年6月期の売上高は24億1,408万円で、前期比10.5%増となりました。営業利益は17億4,746万円で同8.6%増、経常利益は17億7,374万円で同9.4%増、当期純利益は11億7,219万円で同9.8%増となっています。売上高だけでなく利益も伸びており、主力のアプリケーションサービス事業が業績を支えています。

特に目を引くのが利益率の高さです。2026年6月期の営業利益17億円強に対して売上高は24億円強であり、営業利益率は約72%という水準です。ソフトウエア・クラウド型サービスを中心とする事業モデルであることに加え、宿泊施設向けのシステムを継続利用してもらうことで、積み上げ型の収益を確保しやすい点が特徴といえます。2025年6月期も営業利益率は73.6%でした。

財務面でも特徴があります。2026年6月末時点の現金及び現金同等物は約64億円で、同社は金融機関からの借入がない無借金経営を続けています。純資産は約66億6,000万円となっており、財務基盤の安定性も同社の特徴の一つです。

一方、手間いらずを取り巻く環境には注意点もあります。宿泊需要が好調であっても、旅行市場は景気、為替、自然災害、国際情勢などの影響を受けます。また、宿泊施設側の設備投資やIT投資の動向も事業環境を左右します。さらに、宿泊管理システムやレベニューマネジメントの分野では、国内外のIT企業との競争が続いています。

そのため、今後のポイントの一つは「TEMAIRAZU」をどこまで宿泊施設の業務基盤として定着させられるかでしょう。予約サイトとの連携だけでなく、PMSなどの宿泊管理システム、価格最適化、分析、決済など周辺領域との連携が進めば、1施設あたりの利用価値を高める余地があります。

もう一つのテーマがインバウンドです。訪日外国人旅行者が増えると、宿泊施設にとって海外OTAなどへの販路拡大が重要になります。手間いらずは国内外の予約サイトとの連携を積極的に進めており、宿泊施設が複数の販売チャネルを効率的に管理するニーズを取り込むことが成長機会となります。

また、宿泊業界の人手不足も同社にとって重要なテーマです。人材を増やすだけでなく、システムによって予約管理や料金設定などの作業を自動化できれば、限られた人員でも施設を運営しやすくなります。「手間いらず 自動」や分析機能「BA+」の強化は、こうした業界ニーズを意識したものといえます。

手間いらずは、旅行者が直接目にするホテルや予約サイトを運営する企業とは異なり、宿泊業界の「裏側」を支える企業です。しかし、宿泊予約のオンライン化が進み、販売チャネルが多様化するほど、各チャネルを効率的につなぐ仕組みの重要性は高まります。

2026年6月期は増収増益を確保し、2026年には予約管理、システム連携、価格最適化、データ分析などの領域でサービス拡充を進めています。今後は、インバウンド需要、人手不足、宿泊施設のDXという複数のテーマを追い風に、TEMAIRAZUがどこまで宿泊業界の業務インフラとして存在感を高められるかが注目されます。

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オープンドア――「トラベルコ」で旅行情報を横断比較、AI時代を見据えた新展開にも注目

旅行の予約方法が大きく変化しています。かつては旅行会社の店舗や電話で航空券やホテルを手配するケースが一般的でしたが、現在ではスマートフォンやパソコンから複数の旅行サイトを比較し、自分に合った商品を選ぶスタイルが定着しています。こうした「旅行商品の比較」を事業の中心に据えているのが、東証スタンダード市場に上場するオープンドアです。証券コードは3926。主力サービス「トラベルコ」を通じて、国内外の旅行商品を横断的に検索できる環境を提供しています。

オープンドアが運営するトラベルコは、1,500以上の旅行サイトを一括検索できる旅行比較サイトです。海外・国内ツアー、航空券、ホテル、ダイナミックパッケージ、オプショナルツアーなど幅広い商品を取り扱っており、利用者は希望する条件を入力して複数の旅行商品を比較できます。旅行先の観光情報なども掲載されており、単なる価格比較だけではなく、旅行先を探す段階から利用できるサービスとなっています。

このビジネスモデルで重要になるのが、旅行商品の品ぞろえと比較の利便性です。利用者にとって選択肢が多いほどサービスを使うメリットが大きくなります。一方、旅行会社や予約サイトにとっても、トラベルコを経由して自社の商品を利用者に知ってもらえる機会があります。オープンドアはこうした旅行者と旅行事業者をつなぐ「比較プラットフォーム」として事業を展開しています。

同社には多言語の旅行比較サイト「Travelko」もあります。50以上の旅行サイトが販売する商品を掲載し、航空券やホテルなどを英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語で検索・比較できる仕組みです。日本国内の旅行需要だけでなく、海外利用者や訪日旅行市場も視野に入れたサービスといえます。

近年のトラベルコでは、旅行予約サイトとの連携拡大が続いています。2026年2月には海外航空券でAgodaとの連携を開始し、2026年9月には海外ツアーでskyticketとの連携を開始しました。旅行者が比較できる予約サイトや商品を増やすことで、サービスの選択肢を広げています。

2026年の旅行市場を見るうえでは、国内旅行と海外旅行の動向が重要です。オープンドアは2026年6月、シルバーウイークの旅行検索について、国内が前年同期比約168%、海外が約144%となったと発表しました。また、燃油代や出国税の値上げを見据え、費用を抑えるための早期予約傾向がみられるとしています。こうした旅行者の価格意識の高まりは、複数の商品を比較できるサービスとの親和性が高いと考えられます。

一方で、オープンドアの業績は旅行市場の回復だけを見ればよいわけではありません。2026年3月期の売上高は24億5,300万円で前期比約2%増となった一方、営業損益は4,500万円の赤字でした。最終損益も11億3,100万円の赤字となっています。特別損失などの影響もあり、売上高の動きと最終利益の動きを分けて見る必要があります。

その後、2027年3月期第1四半期では売上高5億7,800万円と前年同期比1.7%増、営業損失1,600万円と赤字幅を縮小しました。経常損失は1,500万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は2,900万円となっています。まだ利益面では課題が残るものの、営業損益については前年同期から改善しています。

会社側は2027年3月期の業績予想について、現時点では「未定」としています。日本人のレジャー旅行市場は円安などのマクロ要因による変動が大きく、精度の高い予測が難しいことが理由です。その一方で、AIを活用したシステム開発などによって業務効率を高め、事業成長とコスト削減を両立させる方針を示しています。

今後の注目テーマの一つが、AIと旅行検索の融合です。旅行者が検索エンジンや旅行サイトに条件を入力して商品を探す従来型の方法に加え、生成AIなどを使って「家族4人で予算20万円、3泊4日で温泉に行きたい」といった自然言語から旅行プランを探すスタイルが広がる可能性があります。

オープンドアは、今後の成長施策としてトラベルコへのAI検索導入を予定しています。さらに企業向けAIサービスの提供開始も掲げており、旅行比較サイトだけにとどまらないAI関連事業への展開も視野に入れています。旅行情報を大量に扱ってきた同社が、そのデータや検索技術をAI時代にどう活用するかは、中長期的なポイントになりそうです。また、新しい旅行カテゴリーの開拓も進めています。会社資料では、トラベルコの新メニューとしてクルーズなどを予定しています。旅行市場では航空券やホテルだけでなく、クルーズ、アクティビティ、現地ツアーなど選択肢が広がっています。比較対象となる旅行商品を増やすことは、利用者の接点を広げることにもつながります。

旅行会社向けの事業にも取り組んでいます。グループ会社のホテルスキップを通じた業務渡航システムの導入加速や、旅行会社向けのフライト・ホテルオンライン予約システムの開発・導入拡大を進めています。一般消費者向けの「トラベルコ」に加えて、旅行会社の業務効率化を支援する領域にも事業を広げようとしています。

さらに、旅行とは異なる分野として、伝統工芸にも取り組んでいます。「GALLERY JAPAN」は、人間国宝を含む工芸作家の作品を紹介するサイトで、日本語と英語で情報を発信しています。今後は「KOGEI JAPAN」において、越境を含むECマーケットプレイス事業を開始する予定です。旅行比較を中心に成長してきた企業が、インターネットを活用した新たな市場にも挑戦している点は特徴的です。

旅行比較サイトを取り巻く競争環境も変化しています。検索エンジン、OTA、ホテル予約サイト、航空会社の公式サイトなど、旅行者が商品を探す場所は増えています。さらにAIによる検索や旅行提案が普及すれば、「比較サイト」というサービスそのものの役割も変わる可能性があります。

そのため、オープンドアにとっては、単に旅行商品の掲載数を増やすだけでなく、検索の使いやすさや比較精度、情報の質を高めることが重要になります。同社は2026年3月、トラベルコがオリコン顧客満足度調査のホテル比較サイト部門で3年連続の総合1位を獲得したと発表しています。こうした利用者からの評価を、今後のサービス改善や利用者獲得につなげられるかがポイントになります。

2026年3月末時点の従業員数は194人で、設立は1997年です。東京証券取引所では2026年3月にプライム市場からスタンダード市場への市場区分変更が承認されました。主力事業はあくまで旅行関連ですが、AI、旅行会社向けシステム、伝統工芸ECなどへ事業領域を広げています。

オープンドアは、ホテルや航空会社のように旅行商品そのものを提供する会社ではありません。旅行者が多くの選択肢のなかから商品を探し、比較し、予約するまでの「入口」を提供する企業です。旅行市場がオンライン化するほど比較サービスの役割は大きくなる一方、AIの普及によって旅行検索の方法自体が変わる可能性もあります。

今後は、トラベルコの利用者基盤を生かしながら、予約サイトとの連携拡大、AI検索、新たな旅行カテゴリー、旅行会社向けシステムなどをどこまで収益につなげられるかが焦点となります。旅行需要の変化だけでなく、「旅行をどう探すのか」という消費者行動の変化を捉えられるか。オープンドアは、旅行業界のデジタル化を考えるうえで注目される上場企業の一つといえるでしょう。

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エアトリ――航空券予約から投資・ITまで、多角化を進めるオンライン旅行企業

スマートフォンから航空券やホテルを検索し、そのまま予約する旅行スタイルが定着するなか、オンライン旅行市場は大きく変化しています。そうした市場で存在感を高めてきたのが、東証プライム市場に上場するエアトリです。証券コードは6191。航空券予約を中心とした旅行事業を成長させる一方、ITサービスや投資事業などにも領域を広げ、独自の事業ポートフォリオを構築している点が特徴です。

エアトリのルーツは、インターネットを活用した航空券販売にあります。現在の主力となっている「エアトリ」は、国内外の航空券やホテル、ツアーなどをオンラインで検索・予約できる総合旅行サービスです。店舗型の旅行会社とは異なり、インターネットを通じて旅行商品を提供することで、利用者が時間や場所を選ばず予約できることが大きな特徴です。

旅行予約では「できるだけ安く」「自分に合った条件で」という需要が強く、複数の商品を比較してから購入する利用者も少なくありません。エアトリは航空券を中心に多様な旅行商品を扱うことで、こうしたオンライン旅行需要を取り込んできました。航空会社の公式サイト、旅行会社、OTAなど、予約経路が多様化するなかで、旅行者にとって予約を一つの窓口に集約できる利便性は重要です。

同社の事業を考えるうえで特徴的なのが、旅行事業だけに依存しないビジネスモデルです。エアトリグループは、旅行事業のほかにITオフショア開発事業、訪日旅行事業、投資事業などを展開しています。旅行サービスを成長の中心としながら、ITや投資を組み合わせていることが同社の大きな特徴といえるでしょう。

なかでも注目されるのが投資事業です。エアトリはスタートアップなどへの投資を行っており、投資先企業の成長によって投資事業の収益が変動する可能性があります。旅行事業のようなストック型の安定収益だけではなく、投資先の企業価値向上や株式売却などによって収益を得る機会を持つことになります。一方で、投資先の業績や市場環境によって評価損益などが発生する可能性もあり、一般的な旅行会社とは異なる業績変動要因を持っています。

ITオフショア開発事業も、エアトリの事業ポートフォリオを理解するうえで重要です。企業のデジタル化が進むなか、Webサービスやアプリケーションなどの開発需要は幅広い業界で存在します。旅行事業で培ったインターネットサービスのノウハウと、IT開発の機能を組み合わせることで、旅行以外の領域でも収益機会を確保する狙いがあります。

訪日外国人旅行者の増加も、エアトリにとって重要なテーマです。日本へのインバウンド需要が拡大すれば、航空券やホテルだけでなく、国内交通、観光、アクティビティなど旅行関連サービス全体の需要が増える可能性があります。オンライン予約に慣れた海外旅行者を取り込むためには、多言語対応や海外向けマーケティング、国内旅行商品の充実などが重要になります。

一方、旅行業界は景気や為替、国際情勢、自然災害などの影響を受けやすい業界でもあります。海外旅行では円安が旅行費用を押し上げるため、日本人の海外旅行需要に影響する可能性があります。航空運賃や燃油価格、ホテル料金などの変動も利用者の旅行計画を左右します。そのため、旅行市場が拡大している局面でも、すべての旅行関連企業が同じように恩恵を受けるとは限りません。

また、オンライン旅行市場では競争が激しくなっています。国内外の大手OTA、航空会社やホテルの公式予約サイト、比較サイトなど、旅行者が商品を探す選択肢は数多くあります。価格だけで差別化することが難しくなるなか、予約のしやすさ、商品ラインアップ、サポート体制、ポイントやキャンペーンなど、総合的な利便性が競争力を左右します。

エアトリにとっては、旅行予約の「入口」を確保することが重要です。航空券を探している利用者がホテルやツアーも同じサービス内で予約すれば、1人の顧客から得られる取扱高や収益機会を増やすことができます。航空券を起点としてホテル、ツアー、レンタカーなどへ利用範囲を広げることは、オンライン旅行サービスにおける基本的な成長戦略の一つです。

また、エアトリというブランド自体の認知度も重要になります。テレビCMやインターネット広告などを通じてサービスを知った利用者が、次回の旅行でもエアトリを利用するようになれば、広告費をかけて新規顧客を獲得するだけでなく、リピーターを増やすことができます。オンラインサービスでは、利用者数だけでなく、継続利用や1人当たりの取扱高をどう伸ばすかも重要なポイントです。

エアトリのもう一つの特徴は、M&Aや投資を活用して事業領域を拡大してきた点です。自社サービスをゼロから育てるだけでなく、外部企業との資本・事業面での連携を通じて成長機会を探ってきました。これによって旅行以外の分野にも事業基盤を広げる一方、投資判断や投資先の業績がグループ全体の収益に影響するという側面もあります。

投資家が同社を見る際には、旅行会社という一面だけで判断しないことが重要です。航空券やホテルなどを扱う旅行企業であると同時に、IT企業、投資会社としての側面も持っています。そのため、業績を確認する際には旅行取扱高だけでなく、各事業の収益性や投資事業の状況、資本政策などを合わせて見る必要があります。

オンライン旅行市場そのものには、引き続き成長余地があります。スマートフォンによる旅行検索や予約が一般化した現在でも、旅行者が求める商品をより簡単に探せるサービスへの需要は存在します。さらに生成AIの普及によって、「東京から沖縄へ3泊4日で旅行したい」といった条件を入力するだけで、航空券やホテルを組み合わせた旅行プランを提案してもらうような新しい旅行検索の形が広がる可能性もあります。

こうした環境では、旅行商品の価格や在庫、予約情報を大量に扱うオンライン旅行サービスにとって、データや検索技術をどう活用するかが重要になります。エアトリも既存の予約サービスを磨きながら、デジタル技術を活用して旅行者の利便性を高めることが今後のテーマになるでしょう。

エアトリは、旅行需要の回復やインバウンドという追い風だけを見る企業ではありません。旅行予約を核に、IT、訪日旅行、投資など複数の事業を展開することで、独自の収益構造を構築してきました。その一方で、旅行市場の変動やオンライン旅行業界の競争、投資事業に伴う収益変動など、確認すべきポイントもあります。

今後の焦点は、エアトリの旅行サービスが国内外の旅行需要をどこまで取り込めるかに加え、旅行以外の事業をどのように成長させ、グループ全体の企業価値につなげていくかです。旅行予約のデジタル化が進み、訪日需要も拡大するなか、「旅行×IT×投資」という独自の事業構成を持つエアトリがどのように事業ポートフォリオを進化させるのか、今後の動向が注目されます。

まとめ――「比較」「予約」「管理」がつながるホテル予約の新時代

現在のホテル予約は、OTAだけでも旅行会社だけでもありません。複数の予約サイトを比較してから公式サイトを確認したり、旅行会社で相談したり、SNSや検索エンジン、生成AIを活用したりと、旅行者が目的や状況に応じて予約手段を使い分ける時代になっています。

一方、ホテル・旅館側では、複数のOTAや公式サイト、海外予約サイトなどを同時に管理する必要があり、業務の複雑化が進んでいます。こうした市場では、オープンドアのような「比較」、エアトリのような「オンライン予約」、手間いらずのような「宿泊施設側の予約管理」という、それぞれ異なるサービスの重要性が高まります。

今後はインバウンド需要に加え、AIによる旅行検索や予約の進化も市場を変える可能性があります。旅行者にとっては「より安く、便利に、簡単に」、宿泊施設にとっては「より効率的に、多くの旅行者へ」というニーズが存在する限り、ホテル予約をめぐるデジタルサービスは進化を続けるでしょう。ホテル予約市場を見る際には、旅行者が目にする予約サイトだけでなく、その裏側で予約情報をつなぎ、宿泊施設の業務を支える企業にも注目することが重要です。

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