
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
紙の出版市場の不振とネット書店・電子書籍の伸長を踏まえ、将来性や期待値を投資家目線でわかりやすく解説
はじめに
「全国の書店が1万店を割った」。
このニュースは、単なる業界の小さな話ではありません。日本の読書環境、出版流通、地方の文化インフラ、そして関連企業の収益構造が、かなり大きく変わっていることを示す出来事です。出版科学研究所のコラムによると、2025年度末時点の登録書店数は9,993店で、前年から424店減。ついに1万店を下回りました。しかも、最盛期の1998年度から見ると、約1万4千もの売り場が消えたとされています。
この変化の背景には、紙の出版市場の縮小があります。BUNKA NEWSが引用する出版科学研究所のデータでは、2024年の出版市場規模は紙と電子を合わせて1兆5,716億円で前年比1.5%減でした。うち、紙の出版物は1兆56億円で前年比5.2%減。書籍は5,937億円で4.2%減、雑誌は4,119億円で6.8%減です。しかも、1996年のピーク約2兆6,564億円と比べると市場全体で約4割減、紙の出版物だけなら約6割減とされており、かなり大きな構造変化が進んでいます。
一方で、話は「出版業界はもう終わりだ」で片づけられません。
同じ記事では、電子出版は調査開始の2014年以降、基本的に成長を続けてきたと整理されていますし、KADOKAWAの2025年3月期通期決算でも、電子書籍と海外紙書籍が成長し、2026年3月期の見通しでも出版・IP創出分野で国内紙書籍の回復まで見込んでいます。つまり、書店が減り、紙市場が縮んでいるのは事実でも、読書や出版そのものの価値が消えているわけではありません。収益の取り方、流通の形、勝つ企業のタイプが変わっているのです。
投資家目線で重要なのは、ここです。
今後の出版関連株を見るとき、
「紙が厳しいから全部ダメ」
でも
「電子が伸びるから全部明るい」
でもありません。
むしろ、
リアル書店をどう再定義できる会社か
電子流通で強いポジションを持つ会社か
IPを起点に紙・電子・アニメ・海外まで広げられる会社か
によって、将来性はかなり分かれます。
この記事では、
なぜ書店が1万店を割ったのか
紙の出版市場はどこまで厳しいのか
リアル書店にまだ可能性はあるのか
どの関連企業に将来性や期待値があるのか
を、投資家目線で整理していきます。
結論を先に言うと、これから強いのは、
「本を売る会社」そのものよりも、「本を核にして流通・データ・IP・コミュニティ・電子へ展開できる会社」
です。
つまり、出版関連で見るべきなのは、縮む紙市場の中でのシェア争いだけではなく、紙の外側にどれだけ伸びしろを作れているかです。
第1章 まず、何が起きているのか
書店数1万店割れの意味
書店が1万店を割ったことは、象徴的な数字以上の意味を持っています。出版科学研究所のコラムでは、2025年度末の登録書店数が9,993店となり、前年より424店減、1998年度から見ると約1万4千店減だとされています。これは、単に店舗が少し減ったという話ではなく、日本の本の売り場インフラが大きく崩れてきたということです。
この数字が重いのは、紙の出版物の売上と書店数がかなり連動しているからです。出版科学研究所のコラムでは、書店数の推移が同研究所の紙の推定販売金額とほぼ同様の推移を示しているとされています。つまり、紙の出版不振は「本が売れない」だけでなく、売る場所が減る → 売上が減る → さらに書店が減るという循環も抱えています。
さらにBUNKA NEWSの記事では、日本の出版流通システムが長らく雑誌に依存してきたことが説明されています。雑誌の大量配送があったからこそ、全国規模で合理的な配送網が成り立っていた。しかし雑誌の低迷、物流費高騰、2024年問題の影響で、その配送網の採算が崩れつつあります。これは書店減少の背景が、単に「ネットに負けた」だけではなく、物流と流通の仕組みそのものの弱体化にもあることを示しています。
つまり、書店1万店割れは、単なる小売店舗数の減少ではありません。
それは、
紙の本を全国へ届ける仕組みが細くなっている
ことを意味します。
この構造問題を理解しないと、関連企業の将来性も見誤りやすくなります。
第2章 紙の出版市場はどこまで厳しいのか
ただの不況ではなく、長期構造変化
紙の出版市場の厳しさは、一時的な不況ではなく、かなり長い構造変化です。BUNKA NEWSが引用する出版科学研究所データでは、2024年の紙の出版物は1兆56億円、前年比5.2%減でした。書籍は5,937億円、雑誌は4,119億円で、いずれも減少しています。さらに1996年ピーク比で紙市場は約6割減とされており、これは短期的な景気循環では説明しにくい落ち込みです。
特に雑誌の低迷は深刻です。同記事では、2016年に書籍と雑誌の売上が逆転し、約40年続いた「雑高書低」の時代が終わったと整理されています。日本の出版流通は、雑誌の大量発行・大量配送を土台に築かれてきました。その雑誌が細ることで、雑誌だけでなく書籍流通まで苦しくなる構図が起きています。つまり、紙市場の問題は需要だけでなく、採算が取れる流通モデルが崩れていることにもあります。
では、紙は完全にダメなのかというと、そこも少し違います。BUNKA NEWSの記事では、厳しい数字の一方で、既存店では書籍の店頭売上が前年を上回るなど回復傾向もみられるとしています。つまり、すべての紙書籍需要が消えているわけではなく、売れる店では売れる、しかし売り場全体が減っているという状況です。ここが投資家にとっては重要です。需要がゼロになる市場ではなく、売れる場所と売れない場所がはっきり分かれる市場になっているのです。
このため、出版関連企業を見るときには、単に「紙市場が縮んでいる」だけで弱気になるのではなく、
どの分野の紙が残りやすいか
どの企業がその残る需要を押さえられるか
を見たほうがよいです。
専門書、児童書、IP連動の書籍、イベント性のある売り場などは、総崩れではありません。紙の市場が縮んでも、全部が同じように厳しいわけではないのです。
第3章 ネット書店と電子書籍は何を変えたのか
リアル書店の減少を語るとき、ネット書店と電子書籍は外せません。
ただし、この二つは似ているようでかなり違います。
ネット書店は、紙の本の買い方を変えた存在です。書店へ行かなくても買える、在庫の幅が広い、レビューが見られる、配送される。この利便性は非常に大きく、紙の本の売上が「店頭からネットへ移る」流れを作りました。これはリアル書店にとっては明確な逆風です。
一方で電子書籍は、紙の本そのものを別のフォーマットへ置き換えた存在です。BUNKA NEWSの記事では、電子出版は2014年以降成長を続け、2019年には電子を含めた出版市場が増加に転じた時期もあったとされています。つまり電子は、紙の落ち込みを一部補完し、出版コンテンツ全体の消費を支えてきました。
この変化で最も恩恵を受けやすいのは、実は「本を作る企業」と「電子流通を握る企業」です。
たとえばKADOKAWAは、2026年3月期見通しで出版・IP創出分野について、電子書籍、海外紙書籍の成長に加え、サイバー攻撃影響のあった国内紙書籍の回復を見込んでいます。つまり同社は、紙だけにも電子だけにも依存せず、両方を使いながらIP価値を最大化するモデルに入っています。
また、メディアドゥは電子書籍流通事業で、2026年2月期に売上高1,085.3億円、営業利益24.5億円を計上し、売上は4年ぶりに過去最高だったとしています。会社はその背景として、電子書籍流通事業の既存・新規両商流の成長を挙げています。これは、紙の売り場が減る一方で、電子流通という“別の流通インフラ”が拡大していることを示しています。
つまり、ネット書店と電子書籍の伸長は、単に書店を弱らせたのではありません。
本の流通と収益の重心を、リアル店舗からデジタル流通とIP側へ移したのです。
投資家としては、この“重心移動”をどう読むかが大切です。
書店の減少を悲観するだけではなく、どこへ利益が移っているのかを見る必要があります。
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第4章 リアル書店に将来性はあるのか
減ることと、なくなることは違う
ここで多くの人が気になるのが、「リアル書店に未来はあるのか」という問いだと思います。
私は、数は減っても、役割はむしろ濃くなる可能性があると思います。
出版科学研究所のコラムでも、三省堂書店神田神保町本店のリニューアルや、紀伊國屋書店新宿本店のイベント、独立系書店の新しい試みなどが紹介されています。例えば三省堂神田神保町本店はリニューアル開業日に約800人が並んだとされ、紀伊國屋書店新宿本店のイベントも告知後すぐ完売したとあります。これらは、単に本を売るだけの売り場ではなく、イベント、体験、IP、コミュニティの場としての書店に強い需要があることを示しています。
つまり、リアル書店の価値は「棚に本があること」だけではなくなっています。
むしろ今後は、
発見の場
イベントの場
地域コミュニティの場
IPやグッズと連動する場
としての役割が強くなる可能性があります。
この変化は投資家にも重要です。
なぜなら、リアル書店の将来性は、単なる冊数販売ではなく、どれだけ体験価値をつくれるかに移っているからです。
本だけを売る店は減るかもしれませんが、本を核にして人を集める店は、生き残る余地があります。
もちろん、すべての書店がそれを実現できるわけではありません。
規模、立地、企画力、出版社やIPとの連携力が必要です。
だから、リアル書店の未来は「業界全体が回復する」というより、できる書店だけが強くなる方向に近いと思ったほうがよいです。
これは厳しい話ですが、投資家としては現実的に見たほうがいいです。
第5章 関連企業① 丸善CHIホールディングス
「書店の会社」から、知のインフラ会社へ変われるか
リアル書店関連の上場企業として、まず見たいのが丸善CHIホールディングスです。
この会社は、丸善ジュンク堂書店だけでなく、図書館流通センター、学術情報、空間づくり、教育・保育支援などを抱える企業群です。つまり、単なる「本屋の会社」ではなく、知と学びの周辺インフラを広く持つ会社です。丸善雄松堂の事業紹介でも、「まなびの場の企画・運営」「まなびのコンテンツ」「まなびの空間づくり」を展開するとされています。
2026年1月期通期決算では、丸善CHI全体の営業利益は6.34億円で前年比33.7%増でした。決算短信では、総合保育サービスや丸善リサーチ事業が堅調で、原価・販管費削減も進めた結果だと説明されています。さらに出版事業では、発売書・電子書籍・動画配信が増収となり、売上高は36.96億円、営業損失は1.05億円まで縮小しました。つまりこの会社は、書店単体では厳しくても、図書館、学術、電子、教育関連を組み合わせることで下支えしている構図です。
投資家目線で見ると、丸善CHIの魅力は「紙書店の復活」そのものではありません。
むしろ、
書店+図書館+学術データ+教育関連
という組み合わせにあります。
もし今後、リアル書店が“本を売る場所”から“知の拠点”へ変わるなら、丸善CHIはその変化に最も近い会社の一つです。
ただし、弱点もあります。
収益力はまだ強くなく、出版事業はなお赤字です。
つまり「将来性はあるが、すでに強い高収益企業ではない」。
したがって、丸善CHIは再成長を待つ構造転換株として見るのがよさそうです。
第6章 関連企業② KADOKAWA
紙の不振を超えやすい、本命の出版・IP企業
関連企業の中で、最も「紙の不振を超える力」が強いのはKADOKAWAだと思います。
理由はシンプルで、KADOKAWAは本を売る会社というより、IPを作って世界へ広げる会社だからです。
2025年3月期通期決算発表では、会社は2026年3月期見通しについて、出版・IP創出分野で電子書籍、海外紙書籍の成長に加え、2025年3月期にサイバー攻撃の影響があった国内紙書籍の回復も見込むと説明しています。さらに全体でも増収増益計画です。
ここで大事なのは、KADOKAWAが紙の本だけを見ていないことです。
同社は出版、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育などを持ち、公式にも「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略を掲げています。
つまり本は、収益源であると同時にIPの入口です。
一つの作品が、紙、電子、アニメ、実写、グッズ、海外展開へ広がれば、リアル書店の減少がそのまま致命傷にはなりにくいのです。
投資家にとってのKADOKAWAの魅力はここです。
出版市場全体が縮んでも、
強い作品IPを持つ会社は別の場所で稼げる。
しかもKADOKAWAは電子でも海外紙でも伸びる余地を示しているため、書店減少局面でも比較的強い立場にいます。
もちろん、サイバー攻撃のような個別リスクや作品ヒット依存はあります。
ただ、出版関連で最も将来性が見えやすいのは、
リアル書店そのもの
ではなく、
IPを多面展開できる企業
です。
その意味でKADOKAWAは、今回のテーマではかなり本命に近いと思います。
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第7章 関連企業③ メディアドゥ
書店減少の裏側で伸びる「電子流通インフラ」
メディアドゥは、今回のテーマで非常にわかりやすい受益企業です。
なぜなら、リアル書店の減少や紙市場縮小の裏側で、電子書籍流通そのものを担っている会社だからです。
2026年2月期通期決算では、売上高は1,085.3億円で前年比6.5%増、営業利益は24.5億円でした。会社は、売上高が4年ぶりに過去最高を記録したと説明しており、その背景を「電子書籍流通事業の既存・新規両商流の想定を上回る成長」としています。さらに2027年2月期の売上高見通しは1,180億円で、引き続き成長を見込んでいます。
これは非常にわかりやすいです。
紙の本の売り場が減るほど、読者が電子へ移れば、その流通インフラ企業には追い風が吹きやすい。
もちろん、メディアドゥも利益率はそこまで高くなく、戦略投資負担もあるため、何もかも順風満帆ではありません。会社自身も、2027年2月期は投資継続で営業利益は微減見通しとしています。ですが、売上成長の方向は明確です。
投資家目線では、メディアドゥは
「読書のデジタル化」という大きな流れに乗るインフラ株
として見るとわかりやすいです。
本を売る会社ではなく、本が電子で流れる仕組みを支える会社。
このポジションは、リアル書店減少のニュースが出るたびに改めて注目されやすいです。
つまり、出版関連株の中でも、メディアドゥは「紙の逆風」が比較的そのまま追い風へ変わりやすいタイプです。
書店減少を悲観する記事が増えるほど、逆にこの会社の立ち位置は説明しやすくなる。そこが強みです。
第8章 関連企業④ TOPPANホールディングスとBookLive
“紙の会社”がデジタル読書にも足場を持つ意味
TOPPANホールディングスは、出版関連の本命株として見るには少し大きすぎる会社です。
連結売上高は1兆7,179.6億円、営業利益は840.86億円で、事業領域は情報ソリューション、生活・産業、エレクトロニクスまで広く、本そのものの影響だけで株価が大きく動く会社ではありません。
ただし、今回のテーマでTOPPANを見る意味はあります。
それは、同社グループが電子書籍ストアBookLiveを持っているからです。BookLiveの公式サイトでは、グループ会社として「ブックライブ」をはじめとした電子書籍ストアを運営し、国内トップの品ぞろえを掲げています。また、ブックライブ本体サイトでは100万冊以上配信と明記されています。つまりTOPPANは、紙と印刷の会社でありながら、電子読書側にも足場を築いているのです。
投資家目線で言えば、TOPPANは「書店減少で業績がどうこう」という銘柄ではありません。
しかし、日本の出版・印刷・流通の変化に対して、
紙だけにとどまらずデジタル側へも布石を打っている大企業
として見ることはできます。
つまり、このテーマでのTOPPANは、直接的な純粋銘柄ではなく、
“構造変化に適応できるかを見る補助線”
として面白い存在です。
過度な期待は禁物ですが、紙から電子への移行を真正面から受ける企業群の中で、TOPPANのように両側に足場を持つ会社は、安定感という意味では一定の魅力があります。
第9章 関連企業⑤ BOOKOFF
書店減少時代の“本の再流通”という別の勝ち筋
もう一つ、間接的ですが面白いのがBOOKOFFです。
BOOKOFFは新刊書店ではありませんが、本の流通が変わる時代に、再流通の受け皿として独自の立場があります。公式サイトでは国内外で800店舗を展開するとされ、さらに2026年には無書店地域の課題解決に向けた「ふるさとブックオフ」も展開しています。青森県深浦町の事例では、長年書店がない自治体で中古本販売サービスを通じたコミュニティスペースを提供すると説明されています。
これはかなり示唆的です。
新刊書店が減る一方で、地方では「本を買う場」「本に触れる場」そのものが失われています。BOOKOFFは新刊流通の代わりにはなりませんが、中古本とリユースを通じて“本との接点”を残す存在になり得ます。
投資家としては、BOOKOFFを出版株として見るのは少しズレます。
ただ、読書環境の変化や地方の無書店化に対して、
再流通・中古本・地域接点
という別の答えを持っている会社として、テーマ上はかなり面白いです。
紙の本の一次流通が縮小しても、二次流通や地域接点のニーズがなくなるわけではないからです。
第10章 これから本当に期待できるのは、どんな企業か
ここまでを踏まえると、今後期待値が高いのは、単に「本を売る会社」ではありません。
私は、大きく三つのタイプだと思います。
一つ目は、IPを持つ会社です。
KADOKAWAのように、本が入口であっても、最終的にはアニメ、映像、ゲーム、海外展開へ広げられる会社は強いです。紙の売り場が減っても、作品価値そのものは別ルートで回収できます。
二つ目は、電子流通を握る会社です。
メディアドゥのように、読書のデジタル化そのものを取り込める会社は、構造変化の追い風を受けやすいです。書店減少というネガティブニュースが出るほど、相対的に立場が説明しやすくなります。
三つ目は、リアル書店を“本を売る場”以上に再定義できる会社です。
丸善CHIのように、書店、図書館、学術情報、空間づくりを束ねる会社は、本屋が減る時代でも「知の拠点」として再評価される余地があります。ただし、これは将来性はあるが、今すぐ高収益というわけではないので、時間はかかります。
逆に厳しいのは、
紙の冊数販売だけに依存するモデル
です。
既存店で回復傾向があっても、流通網そのものが細っている以上、構造的な逆風は避けにくいです。
だから今後の出版関連投資では、
紙を守れるか
より
紙の外側にどう伸びるか
のほうが重要になります。
おわりに
全国の書店が1万店を割ったことは、日本の出版業界にとって象徴的な出来事です。
登録書店数は2025年度末で9,993店、最盛期からは約1万4千店減。紙の出版市場も2024年に1兆56億円まで縮小し、ピーク比では約6割減という厳しい状況です。これは単に本が売れなくなっただけではなく、流通と売り場の仕組みそのものが変わっていることを示しています。
しかし同時に、出版・読書の世界がなくなるわけではありません。
電子出版は成長を続け、KADOKAWAは電子書籍や海外紙書籍の成長を見込み、メディアドゥは電子流通で過去最高売上を更新しました。つまり、読書やコンテンツ消費の重心は、紙の店頭から、電子・IP・コミュニティ・データへ動いています。
今回の結論を一言でまとめると、
書店1万店割れは、紙の本の終わりではなく、“本の売り方・届け方・稼ぎ方の重心移動”を意味している。投資家が期待すべきなのは、紙市場の縮小をただ耐える企業ではなく、電子流通、IP展開、学びの場づくり、再流通など、本の価値を別の形で広げられる企業だ
ということです。
リアル書店は減るかもしれません。
でも、本の価値がゼロになるわけではありません。
変わっているのは、
どこで売れるか
どう利益になるか
です。
これを見誤らなければ、出版関連でもまだ十分に投資の見どころはあります。
【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長




