
東洋経済の最新版「ESG企業ランキング」から、投資家目線で本当に見たい銘柄を選び、期待と懸念を丁寧に整理する
はじめに
ESGという言葉は、いまや投資の世界で完全に定着しました。
環境、社会、ガバナンス。
こう聞くと、どこか“きれいごと”や“理想論”のように見えるかもしれません。
しかし実際には、ESG評価が高い企業は、単に社会的に良く見えるだけではありません。
人材を引きつけやすい、不祥事のリスクを抑えやすい、資本市場からの信頼を得やすい、中長期の戦略投資を続けやすいという面で、財務にもじわじわ効いてきます。
だからESGランキングは、短期売買の材料というより、長く持てる会社を探すためのフィルターとして意味があります。
今回ベースにする東洋経済のランキングは、正確には「CSR企業ランキング」ですが、その評価項目はかなり広く、実質的にESGの考え方と強く重なっています。
東洋経済新報社の説明によると、対象は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)(ESG編)』2026年版掲載の1656社で、調査は2025年6月~10月に実施されました。
評価は、人材活用100点、環境100点、企業統治+社会性100点のCSR領域計300点に、財務300点を加えた総合600点満点です。
つまりこのランキングは、「ESGだけ高い会社」ではなく、**ESGと財務の両面から見た“持続的に信頼される会社”**を探す仕組みになっています。
この方法論は投資家にとってかなり重要です。
なぜなら、ESGランキングだけを見ると、どうしても「立派なことを言っている会社が上に来るのでは」と疑いたくなるからです。
しかし東洋経済の方式では、財務も同じ300点で組み込まれています。
つまり、社会性や環境対応が高いだけでは上位に来にくく、一定以上の収益性・安全性・規模も必要です。
少なくとも、「理想だけで評価されたランキング」ではありません。
もっとも、ここで投資家が気をつけたいのは、ランキング上位=株価上昇が約束されるわけではないということです。
ESGが強くても、成長が鈍化していれば株価は伸びにくいですし、逆に成長が強くても、すでに期待が織り込み済みなら投資妙味は薄くなります。
だから、ランキングはあくまで入口です。
そこから先は、成長ドライバーは何か、利益率はどう改善しているか、これから数年の投資回収は見込めるか、どんなリスクがあるかを見なければいけません。
今回の記事では、まさにその部分を掘り下げます。
なお、公開情報で確認できる最新版上位企業としては、1位デンソー、2位JT、3位富士通が確認できます。
また、総合ランキングとは別に、金融機関ランキングでは三井住友フィナンシャルグループが4年連続1位とされていますが、東洋経済の説明では、銀行・証券・保険など金融機関は総合ランキングの対象外です。
今回はユーザーのご要望に合わせて、総合ランキング上位で、かつ成長・期待の観点から投資家が比較しやすい銘柄を中心に厳選していきます。
先に私の整理を言うと、
富士通は「ESGが成長戦略にかなりつながっている銘柄」、
デンソーは「ESG上位かつ中長期の産業変化を取り込める期待銘柄」、
JTは「高成長株ではないが、高収益・高還元・ESG評価の組み合わせが独特な期待銘柄」
です。
この3社は性格がかなり違うので、投資家タイプによって見え方も変わります。
ここから先は、まずランキングの読み方、そのあとに各社を詳しく見ていきます。
第1章 ESGランキングを投資に使うときに、まず押さえるべきこと
最初に大前提を整理します。
ESGランキングは便利ですが、それだけで投資判断はできません。
むしろ、投資家として重要なのは、ESGの高さが企業価値にどう変換されるかです。
東洋経済のランキングで見ているのは、人材活用、環境、企業統治+社会性、そして財務です。
たとえば人材活用では、女性管理職比率、有給取得率、テレワーク、副業、ハラスメント防止、人権デューデリジェンス、教育研修費用、満足度調査など、かなり広い項目が含まれています。
環境では、温室効果ガス排出量削減、再生可能エネルギー利用、シナリオ分析、生物多様性保全などがあり、企業統治+社会性では、内部通報、リスクマネジメント、サステナブル調達、ESG情報開示、社会課題解決ビジネスなどが対象です。
つまりこのランキングは、単なる“環境配慮ランキング”ではなく、企業経営の総合的な持続力を測ろうとしているものです。
投資家にとって、こうした評価が意味を持つのは、ESGの高さが実際に事業の競争力へつながる場合です。
たとえば、人材活用が強い会社は、エンジニアや営業人材を採りやすく、離職率も抑えやすい。
環境対応が進んでいる会社は、顧客企業の調達要件に応えやすく、サプライチェーンから外されにくい。
ガバナンスが強い会社は、不祥事による毀損が起きにくく、資本コストも下げやすい。
つまり、ESGはきれいな理念ではなく、将来キャッシュフローの安定性に効く要素として見たほうがよいです。
ただし、ESGの高さには落とし穴もあります。
一つは、ESGのための投資が先に出て、利益の回収が遅れることです。
もう一つは、ESG評価が高くても、事業自体が成熟していて株価成長余地が限られるケースがあることです。
さらに、業種によってはESG評価が高くても、そもそも一部の投資家からは除外されやすい場合もあります。
今回取り上げるJTはその典型で、東洋経済のランキングでは非常に高位でも、たばこという事業特性から、ESGファンドの中には除外するところも少なくありません。
つまり、ランキングの高さと資金流入のしやすさは必ずしも一致しません。
だからこそ、今回の厳選では、単に順位が高いだけでなく、
足元の業績がどうか
来期の見通しがどうか
中長期の成長テーマがあるか
懸念点は何か
をセットで見ます。
これをやらないと、ESGランキングを“道徳テスト”のように使ってしまい、投資としては弱くなります。
第2章 今回の厳選の考え方──「成長」と「期待」を分けて考える
今回の厳選では、あえて「成長銘柄」と「期待銘柄」を分けて考えます。
この二つは似ているようで違います。
成長銘柄とは、売上や利益が実際に強く伸びていて、その伸びが中期でも続く可能性が高い会社です。
一方、期待銘柄とは、足元の成長だけではなく、業界構造の変化や大型投資、戦略転換によって、数年単位で評価が切り上がる余地がある会社です。
たとえば、富士通はかなり成長銘柄の色が強い。
デンソーは足元の利益予想はやや慎重ですが、産業変化を取り込める期待銘柄の色が強い。
JTは高成長株ではないものの、高収益・高還元・価格決定力の強さから、期待銘柄として独特の魅力があります。
この整理はかなり大事です。
なぜなら、ESGランキング上位企業には、ハイグロース株だけでなく、安定高収益株や成熟企業も多く含まれるからです。
「ESG上位だから全部グロース」という見方は間違いです。
投資家としては、自分が求めるのが値上がりの勢いなのか、持続的な質の高い利益なのか、再評価の余地なのかを先に決めたほうがよいです。
この前提を置いたうえで、今回の3銘柄を整理すると、
富士通=最もわかりやすい成長候補
デンソー=構造変化を取り込む中長期期待候補
JT=高収益・高還元型の期待候補
という並びになります。
以下、この順番で見ていきます。
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第3章 成長銘柄の本命候補:富士通をどう見るか
まず、今回の中で最もわかりやすい成長候補は富士通です。
東洋経済の2026年版ランキングでは、富士通は総合3位でした。
上位3社の中でも、投資家目線で最も「ESGと成長戦略がつながっている」と見やすいのが富士通です。
富士通の2025年度通期決算はかなり強かったです。
公式資料によると、売上収益は3兆5,029億円、調整後営業利益は3,905億円で前年比27.1%増、調整後営業利益率は11.2%でした。
さらに、主力のService Solutionsでは売上が2兆3,469億円で4.5%増、調整後営業利益は3,614億円で24.7%増、利益率は**15.4%**まで高まっています。
同社はこれを「Achieved Record High Profit」と明確に表現しています。
この成長の中身も良いです。
特に注目したいのは、富士通が中計で重点領域としているUvanceとmodernizationです。
公式資料では、Uvance売上は7,093億円で前年比47%増、modernization売上は2,497億円で24%増でした。
しかも両方とも中計目標を上回ったと説明されています。
つまり、会社が「伸ばしたい」と言っていた領域が、本当に伸びているのです。
投資家としては、この整合性は非常に高く評価しやすいです。
さらに、2026年度予想も悪くありません。
富士通はFY2026の調整後売上収益を3兆5,100億円、調整後営業利益を4,250億円と見込んでいます。
これは前期比で売上ほぼ横ばいですが、利益は8.8%増です。
Service Solutionsだけを見ると、売上2兆4,700億円で5.2%増、調整後営業利益4,300億円で19%増、利益率は**17.4%**まで高める計画です。
つまり富士通は、売上を無理に膨らませるより、収益性の高い事業構成へ寄せて利益率を上げる成長を目指しています。
この会社のESGの強さは、成長戦略とかなりつながっています。
東洋経済の紹介では、生成AIの安全な活用を支援するITガバナンスや、第三者機関を介した苦情処理メカニズムなどが評価されています。
また、サービスのサブスクリプション化や、温室効果ガスのトレーサビリティー実現サービスなど、環境とデジタルを結びつける事業も目立ちます。
つまり富士通は、ESGをコストとして抱えるのではなく、ESG関連の社会課題解決を自社のサービス売上に転換している企業と見やすいです。
では懸念点は何か。
一つ目は、海外事業の弱さです。
Service Solutionsの中で、日本はFY2026予想で10.6%増なのに対し、海外は11.3%減の計画です。
つまり富士通の成長は、現時点ではかなり国内寄りです。
国内のDX・モダナイゼーション需要が強い間は良いのですが、これがピークアウトしたときに海外成長で補えるかはまだ課題です。
二つ目は、ハードウェアとUbiquitous Solutionsの縮小です。
FY2026予想では、Hardware Solutions売上は4.9%減、Ubiquitous Solutions売上は30.4%減です。
特にUbiquitous Solutionsは、Windows 10サポート終了特需の反動と高度R&D投資増で、売上・利益の両面で下押し要因になります。
つまり富士通は、伸びる事業と縮む事業の入れ替えを進めている最中です。
この移行がうまくいけば利益率は上がりますが、もし想定より成長領域の伸びが弱ければ、株価評価は揺れやすくなります。
三つ目は、近年のキャッシュフローが資産売却要因も含んでいることです。
FY2025のフリーキャッシュフローは4,826億円と大きいですが、これにはSHINKO ELECTRIC INDUSTRIESとGENERAL Inc.の売却益などが含まれています。
FY2026予想のフリーキャッシュフローは2,100億円まで落ちます。
つまり、数字の見た目だけで「キャッシュ創出が爆発している」と判断するのは危険です。
中身を見れば、実力としてのCore FCFは伸びていますが、前期ほどのインパクトは一時要因込みでした。
それでも、今回の中で最も「ESGの強さが成長ストーリーにつながっている」銘柄としては、富士通が最有力です。
国内DX、生成AI活用、利益率改善、サービスの高付加価値化という流れが続く限り、成長銘柄として見やすいです。
ただし、海外の弱さと一部事業の縮小は、今後の評価ポイントとして注意が必要です。
第4章 中長期の期待銘柄:デンソーをどう見るか
次に、今回の中長期期待銘柄として最も面白いのがデンソーです。
東洋経済の2026年版ランキングでは、デンソーが18年ぶりに総合1位を獲得しました。
東洋経済は、財務16位に加え、人材活用53位、環境7位、企業統治+社会性7位と、CSR関連3部門すべてで前回より順位を上げたと説明しています。
つまり、デンソーは「一分野だけ突出」ではなく、ESGと財務をかなりバランス良く押し上げた結果の1位です。
業績も決して悪くありません。
デンソーの2026年3月期通期決算では、売上高は7兆5,400億円で前年比5.3%増、営業利益は5,525億円で6.5%増、親会社株主に帰属する利益は4,438億円で5.9%増でした。
地域別でも、日本は利益減ながら、北米・欧州・アジアで増益を確保しています。
とくに北米営業利益は34.9%増、欧州は221.3%増と、地理的な広がりが見えます。
デンソーの魅力は、単なる自動車部品会社ではないことです。
同社は自社サイトでも、自動運転・先進運転支援、半導体、水素、脱炭素、ソフトウェアを重点領域として打ち出しています。
ロイターも、デンソーが2030年までに売上8兆円、ROE11%以上を目指しており、そのために6.6兆円を投資すると報じています。
さらに、電動化とデータセンター向けを見据えて、パワー半導体分野の強化にも動いています。
つまり、デンソーは今後の自動車産業の変化、特にSDV(ソフトウェア定義車)・電動化・半導体需要に対してかなり前向きに張っている会社です。
ESGの観点でも、デンソーの強みは事業とつながっています。
東洋経済の説明では、同社はサプライチェーン全体でのサステナビリティ推進、生物多様性保全、定年後の再雇用制度などを評価されています。
これは単なる開示の美しさではなく、グローバル製造業としての調達・人材・環境管理の強さです。
自動車産業はサプライチェーン全体でESG要件が強まっているため、こうした取り組みは将来の受注競争力に直結しやすいです。
ただし、デンソーは「今すぐ大きく利益が伸びる成長株」というより、数年単位で見るべき期待株です。
その理由は、足元の会社予想が慎重だからです。
2027年3月期の会社予想は、売上高7兆6,700億円と増収ながら、営業利益は5,000億円で9.5%減です。
会社はその理由を、将来成長に向けた投資強化と、不透明な事業環境リスクの反映だと説明しています。
つまり今は、利益を最大化するより、次の時代の競争力に投資するフェーズにあります。
懸念点は三つあります。
一つ目は、関税・材料費・地政学リスクです。
ロイターは2026年2月、デンソーが米国輸入関税や材料費・固定費上昇の影響で通期営業利益見通しを引き下げたと報じています。
今回の通期決算では結果的に増益着地したものの、外部環境の不確実性は依然として大きいです。
特に自動車産業はサプライチェーンが長く、米中関係や中東情勢にも影響を受けやすい。
二つ目は、トヨタグループ依存です。
ロイターは、デンソー売上の約56%がトヨタグループ向けだと伝えています。
これは安定性でもありますが、一方で顧客集中リスクでもあります。
トヨタのハイブリッド需要が強いうちは恩恵が大きいですが、顧客構成の偏りは常に意識しておきたい点です。
三つ目は、投資負担の重さです。
ロイターは、デンソーがROHM買収提案を断念したと報じ、その後もパワー半導体やソフトウェア領域への戦略投資を優先する姿勢を示しています。
これは長期では前向きですが、短期的には利益率の圧迫要因です。
つまりデンソーは、いま買うなら「次の成長の種を仕込んでいる会社」として買うのであって、目先の増益だけを期待する銘柄ではありません。
それでもデンソーを期待銘柄に挙げる理由は明確です。
ESG上位であり、財務も強く、しかも自動車の次の進化に必要な技術に大きく張っているからです。
短期の利益ブレはありますが、中長期で日本の製造業・モビリティ関連の本命を1つ選ぶなら、かなり有力です。
第5章 高成長ではないが、期待銘柄として無視しにくいJTをどう見るか
JTは、今回の厳選の中では最も意見が分かれる銘柄です。
なぜなら、たばこ会社をESG銘柄として見ること自体に違和感を持つ投資家が多いからです。
しかし、東洋経済の最新版ランキングでは、JTは総合2位です。
人材活用68位、環境24位、企業統治+社会性2位、財務12位と、かなり高い水準を維持し、3年連続2位でした。
役員報酬にESG指標を反映し、葉たばこ農家支援なども継続していると紹介されています。
まず、投資家として認識すべきなのは、JTは「成長株」というより、強いキャッシュ創出力を持つ高収益株だということです。
2025年通期決算では、売上高3兆4,677億円で13.4%増、調整後営業利益は9,022億円で21.5%増、利益は4,991億円で188.9%増でした。
利益の増加にはカナダ訴訟関連の一時要因の剥落もありますが、コア収益ベースでもかなり強いです。
タバコ事業では、価格・ミックス改善とRRP(加熱式たばこ等)の伸びが効いています。
さらにFY2026予想も悪くありません。
JTは、売上高を6.6%増、調整後営業利益を7.9%増、利益を14.2%増と見込んでいます。
タバコ事業のコア収益は3兆3,710億円、調整後営業利益は1兆60億円を計画しています。
数量面では、総量は横ばい~1%減程度の見通しですが、価格改定とRRP成長で補う構図です。
つまり、JTの魅力は数量拡大ではなく、価格決定力とキャッシュフローの強さにあります。
では、なぜJTを「期待銘柄」として挙げるのか。
理由は三つあります。
一つ目は、価格転嫁力が非常に強いことです。
インフレ局面では、価格転嫁できる企業が強い。
JTは世界の多くの市場で、数量が多少落ちても価格・ミックスで利益を伸ばしてきました。
2025年決算でも、たばこ事業のコア収益は価格・ミックスとRRP関連収益成長が牽引しています。
これは、成熟業種であっても株主価値を作れる典型です。
二つ目は、RRP(Reduced-Risk Products)への移行余地です。
JTはRRP関連収益が2025年に大きく伸びており、2026年も引き続き成長を見込んでいます。
もちろん、RRPが伝統的なたばこをすぐ置き換えるわけではありません。
しかし、成熟市場での新しい収益源としては重要です。
投資家にとっては、「紙巻たばこ一本足の企業」ではないという点は評価しやすいです。
三つ目は、高い還元余地です。
資料では、FY2026の基本EPSは321.62円、配当性向は**75.2%**見込みとされています。
高成長株ではありませんが、強い利益と還元が続く限り、期待銘柄としての魅力は十分あります。
ただし、懸念点も非常にはっきりしています。
最大の懸念は、ESG投資の世界でJTが常に歓迎されるとは限らないことです。
東洋経済のランキングでは高位でも、たばこ事業そのものを投資対象から除外するESGファンドは少なくありません。
つまり、ESG評価の高さがそのまま資金流入につながらない業種です。
この点は、デンソーや富士通と決定的に違います。
また、規制リスクや訴訟リスク、たばこ需要の長期減少も無視できません。
会社は価格改定とRRPで対応していますが、長期トレンドとしては逆風がある業種です。
したがってJTは、「ESG上位の成長株」というより、高収益・高還元・価格転嫁力で評価する銘柄だと割り切るほうがわかりやすいです。
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第6章 この3銘柄を比較すると、どんな投資家に向いているのか
ここまでの3社を並べると、かなり個性が違います。
この違いを整理すると、投資家は自分に合う銘柄を選びやすくなります。
富士通は、
業績の伸びが比較的きれいで、
ESGがそのままサービス成長や利益率改善に乗っている銘柄です。
だから、ESGを重視しつつ、成長性も求めたい投資家に向きます。
ただし、海外事業の弱さや一部事業縮小をどう見るかがポイントです。
デンソーは、
今すぐの急成長より、
自動車産業の大転換を中長期で取り込めるかが鍵の銘柄です。
SDV、半導体、電動化、ソフトウェアという長期テーマを評価する投資家に向いています。
短期的には利益のブレもあるので、我慢できる人向きです。
JTは、
安定したキャッシュフローと還元を重視する投資家向きです。
高成長を狙うより、価格決定力と利益の強さを評価する銘柄です。
ただし、業種そのものに倫理的・ESG的な賛否が出やすい点は理解しておくべきです。
このように、ESG上位だからといって「どれも同じ」ではありません。
富士通=成長
デンソー=中長期期待
JT=高収益期待
と、かなり役割が違います。
これを分けて考えるのが大切です。
第7章 逆に、ESGランキング上位でも慎重に見たほうがよい理由
ここで、あえて慎重な視点も整理します。
ESGランキング上位銘柄には魅力がありますが、同時に注意点もあります。
まず、ESG評価は過去から現在の取り組みの蓄積をかなり反映します。
一方で株価は未来を買うものです。
だから、ESG評価が高いからといって、今後3年の利益成長まで保証されるわけではありません。
特に成熟企業では、ESGの高さがすでに株価に織り込まれていることもあります。
次に、ESG投資が必ずしも高リターンを約束するわけでもありません。
環境投資、人材投資、サプライチェーン管理は必要ですが、それが短期的には利益率を押し下げることもあります。
デンソーのように、将来の競争力のための投資が足元利益を圧迫するケースもその一例です。
さらに、ランキング手法そのものにも限界があります。
東洋経済の評価は非常に丁寧ですが、CSR・ESGの多くは開示やアンケートに依存します。
実際の企業文化や意思決定の質まで完全に数値化できるわけではありません。
だからランキングは優れたスクリーニングですが、最後はやはりIR資料や事業戦略の中身を読む必要があります。
第8章 今回の結論──ESG上位銘柄をどう使うべきか
では、今回の結論です。
ESGランキングは、銘柄選びの入口としてかなり有効です。
特に東洋経済のランキングは、CSR・ESGと財務を合わせて見ているため、単なるイメージ評価ではありません。
そのうえで、投資家が本当に見るべきは、ESGの質がどのように事業成長や利益率、競争優位につながるかです。
今回の厳選で言えば、
最もわかりやすい成長候補は富士通です。
Uvanceとモダナイゼーションが伸び、利益率改善もはっきりしており、ESGと成長戦略の接続が見えやすいからです。
中長期で最も期待しやすいのはデンソーです。
自動車産業の変化を取り込むための投資が重いぶん、短期では利益予想が慎重ですが、SDV・半導体・電動化という長期テーマに張れている会社として魅力があります。
独特な期待銘柄はJTです。
成長株ではないものの、価格決定力、RRP成長、高い還元余地という点では、ESG上位銘柄の中でもかなり異色の存在です。
ただし、たばこ事業ゆえに、ESG投資の文脈では評価が割れやすい点は理解しておくべきです。
一言でまとめると、
ESGランキングは“安心して調べ始められる候補群”を示してくれるが、買う理由は別に必要です。
その「買う理由」が最も明快なのは富士通、
数年単位で面白いのはデンソー、
高収益期待で見るならJT、
というのが今回の私の整理です。
【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長




