居酒屋倒産が過去最多の一方で、大手は最高益更新。今、居酒屋業界で起きている「勝ち方の変化」を投資家目線でわかりやすく解説

市場環境、顧客ニーズ、インバウンド、人件費、業態転換まで踏まえ、これから評価されやすい居酒屋企業の条件を整理する

はじめに

「居酒屋は厳しい」。
この言葉自体は、もう何年も前から言われています。
コロナ禍で打撃を受け、テレワークで会社員の飲み会が減り、二次会文化も細り、さらに原材料費や人件費、光熱費まで上がる。
こうした状況を見ると、たしかに居酒屋業界は全体として苦しいように見えます。
実際、その見方を裏付ける数字もあります。

帝国データバンクの2025年「飲食店」倒産動向によると、飲食店全体の倒産件数は900件で過去最多でした。
その中でも、業態別では**「酒場・ビヤホール」が204件**と最も多く、2023年以降3年連続で200件を超える高水準です。
帝国データバンクはその背景として、団体客の減少節約志向の高まり原料価格の上昇人手不足に伴う人件費高騰を挙げています。
つまり、居酒屋は今でも飲食業の中で最も倒産が多い業態の一つです。 

しかし、ここで話は終わりません。
同じ帝国データバンクの資料は、大手チェーンの多くが増収増益を叩き出しているとも指摘しています。
つまり、居酒屋業界ではいま、
「業界全体が悪い」
のではなく、
「勝てる企業と勝てない企業の差が急速に広がっている」
のです。
この差こそが、投資家にとって最も重要なポイントです。 

では、なぜそんなことが起きるのでしょうか。
なぜ、中小の居酒屋は倒産が増える一方で、大手は利益を伸ばせるのか。
なぜ、同じ「居酒屋」でも結果がここまで分かれるのか。
答えは単純な景気の良し悪しだけではありません。
そこには、顧客ニーズの変化人手不足の質的変化インバウンド需要の取り込み方業態の再設計DXや予約導線の強化立地と客単価の見直しといった、かなり具体的な勝ち筋の違いがあります。

観光庁のインバウンド消費動向調査では、2026年1〜3月期のデータが公表されており、訪日旅行消費は引き続き重要なテーマです。
またJNTOによると、2026年2月の訪日外客数は346万6700人で、2月として過去最高でした。
つまり外食、とくに夜の食体験を売りやすい業態には、国内需要だけではなく、訪日客需要という追い風も吹いています。
この追い風を取れる企業と、取れない企業でも明暗は分かれます。 

一方で、コスト面は確実に重くなっています。
厚生労働省の令和7年度地域別最低賃金一覧では、全国加重平均は1,121円で、前年の1,055円から66円引き上げられました。
引き上げ率は**6.3%**です。
居酒屋は夜間営業が中心で、人件費比率も高く、さらにアルバイト依存度が高い業態です。
したがって最低賃金の上昇は、そのまま収益構造に強く効きます。
つまり、今の居酒屋業界は「売上を伸ばせばよい」のではなく、売上の伸ばし方とコストの吸収方法を同時に持っている企業だけが残りやすい局面なのです。 

投資家目線では、ここが非常に面白いところです。
なぜなら、居酒屋業界はもう「回復待ち」の業界ではなく、構造転換の途中にある業界だからです。
これまでのように、会社員の宴会需要が戻ればよい、という発想では足りません。
代わりに必要なのは、
少人数・高頻度需要をどう取るか
インバウンドの夜需要をどう取るか
人手不足の中でも回るオペレーションをどう作るか
居酒屋の枠を超えた業態にどう広げるか
という視点です。

この記事では、
現在の居酒屋市場はどうなっているのか
顧客ニーズはどう変わったのか
なぜ大手は勝ちやすく、中小は苦しいのか
どんな企業が今後評価されやすいのか
を、投資家目線でかなり丁寧に整理します。

結論を先に言えば、今の居酒屋業界は、
「飲み会の復活」を待つ業界ではなく、「食事・体験・夜需要・観光需要・少人数利用」を組み合わせて再定義できる企業が勝つ業界
に変わりつつあります。
したがって投資家は、単に「居酒屋チェーン」かどうかではなく、価格戦略、業態転換力、DX、インバウンド対応、固定費吸収力まで見て判断する必要があります。
ここを順番に見ていきます。

第1章 いま居酒屋業界で何が起きているのかをわかりやすく解説

まず、足元の市場状況を整理します。
帝国データバンクの2025年「飲食店」倒産動向では、飲食店倒産は900件で過去最多でした。
そのうち酒場・ビヤホールは204件で最多です。
しかも2023年以降、3年連続で200件を超えています。
つまり居酒屋業態は、コロナ直後の一時的な傷から回復し切れず、今もなお最も淘汰が進みやすい業態の一つです。 

帝国データバンクが指摘している要因はかなり本質的です。
それは、
団体客の減少
節約志向の高まり
原材料高
人件費高騰
です。
この4つはそれぞれ別々に見えて、実は全部つながっています。
団体客が減ると、店は高回転・高粗利で稼ぎにくくなります。
節約志向が強まると、値上げがしにくくなります。
その一方で原材料費と人件費は上がる。
つまり、旧来型の「大人数で飲んでもらって利益を出す居酒屋モデル」は、かなり苦しくなっているのです。 

ただ、同じ資料の中には非常に重要な一文があります。
それは、大手チェーンの多くがスケールメリットやセントラルキッチン、インバウンド需要などを背景に増収増益を叩き出しているという指摘です。
ここが、今の業界の核心です。
つまり、需要が消えたわけではない。
むしろ需要の形が変わった結果、それに対応できる企業とできない企業の差が一気に広がっているのです。 

この「勝ち方の変化」は、投資家にとって非常に重要です。
業界全体が斜陽なら、基本的には避ける判断になります。
しかし、業界の中で勝者と敗者が分かれているなら、話は違います。
その場合、見るべきなのは「居酒屋業界が厳しいかどうか」ではなく、どの会社が新しい勝ち方に適応できているかです。
ここから先は、その勝ち方が何かを具体的に見ていきます。

第2章 顧客ニーズはどう変わったのかをわかりやすく解説

今の居酒屋業界を理解するには、まず顧客ニーズの変化を理解しないといけません。
昔の居酒屋は、会社の宴会、二次会、上司と部下の飲み会、団体利用などが大きな収益源でした。
もちろん今も宴会需要は存在します。
しかし、少なくともそれだけを前提に業態を作るのは危険です。

帝国データバンクが指摘する団体客の減少は、まさにその象徴です。
団体需要は完全に消えたわけではありませんが、以前のように安定して戻る前提では経営できなくなっています。
一方で、外食ニーズ自体が消えたわけでもありません。
むしろ今は、
少人数で気軽に入りたい
食事メインでも使いたい
一人でも入りやすいほうがよい
飲むだけでなく、体験や雰囲気もほしい
という方向へ移っています。
つまり、「宴会の場」から「日常使いできる夜の外食」へと、需要の中心が少しずつ動いているのです。 

この変化は、業態の見え方も変えています。
たとえば、ただ安いだけの均一価格居酒屋より、
専門性のある焼鳥
海鮮に特化した酒場
町焼肉
寿司居酒屋
食事比率が高いネオ居酒屋
のような業態のほうが支持されやすい局面があります。
顧客は「とりあえず飲む場」ではなく、「何を食べるか」「どんな体験をするか」で店を選ぶ傾向を強めています。

さらに、夜の外食は「コスパ」だけでも勝てなくなっています。
節約志向はある。
しかし同時に、外で食べるなら「失敗したくない」という心理も強い。
そのため、
予約しやすい
混雑状況がわかりやすい
料理の看板がある
SNSでイメージしやすい
といった要素が非常に重要になっています。
つまり、顧客ニーズの変化は味や価格だけでなく、選びやすさと安心感にも及んでいるのです。

投資家目線では、ここから一つ大きな示唆が出ます。
それは、今の居酒屋企業を評価するとき、単に既存店売上だけを見るのでは不十分だということです。
どの企業が、
少人数需要
食事需要
予約需要
観光客需要
SNS映えやわかりやすいブランド需要
を取り込めているかを見る必要があります。
「客が戻るか」ではなく、「客の使い方が変わった後でも選ばれるか」が重要なのです。

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第3章 なぜ中小の居酒屋は苦しく、大手は勝ちやすいのかをわかりやすく解説

では、なぜここまで差が開くのでしょうか。
私は理由を、コスト構造値上げ力集客導線業態転換力の4つに整理すると理解しやすいと思います。

まずコスト構造です。
帝国データバンクは、大手チェーンがセントラルキッチン方式スケールメリットを生かしていると指摘しています。
これは非常に大きいです。
大手は、食材調達をまとめて行い、加工や仕込みの一部を集中化し、店舗オペレーションを簡素化できます。
さらに、家賃交渉や仕入れ条件、物流網でも有利です。
つまり、原材料高や人件費高騰があっても、大手のほうが耐えやすい。
一方で中小は、仕入れコストや人件費上昇をそのまま受けやすく、固定費吸収も難しいです。 

次に値上げ力です。
どの企業も値上げしたい。
しかし、簡単にはできません。
ブランド力が弱い店ほど、値上げすると客離れが起きやすい。
一方で大手や専門性のあるチェーンは、
品質の安定
ブランドの安心感
アプリや会員制度
などで、値上げを比較的受け入れてもらいやすいです。
値上げ力の差は、インフレ局面では非常に大きな差になります。

三つ目は集客導線です。
大手は自社アプリ、予約サイト連携、SNS、会員データ、ポイント施策を使って、集客を効率化できます。
たとえばエターナルホスピタリティグループは、2026年3月のDX戦略説明会資料で、**売上1%のDX投資で売上+10%**を目指し、予約強化やレコメンド最適化などの顧客接点施策を進めるとしています。
これは単なるIT化ではありません。
少人数・日常利用・リピート需要を確実に取るための仕組みづくりです。
こうした投資は、中小にはなかなか真似しにくいです。 

四つ目は業態転換力です。
大手は、既存の「総合居酒屋」一本にこだわらず、焼鳥、海鮮、焼肉、寿司、食堂、酒場などへ柔軟に広げられます。
ワタミの2025年3月期決算説明資料でも、国内外食事業について、居酒屋業態の売上回復に加えて、インバウンド需要による焼肉業態・すし業態の増収が示されています。
つまり、勝っている企業は「居酒屋企業」である前に、需要の変化に合わせて夜需要を再設計できる外食企業なのです。 

投資家がこの業界を見るときは、ここをかなり重視すべきです。
今後の勝者は、単に店舗数が多い企業ではありません。
スケールを活かして変化に対応できる企業が強いのです。
ここが、中小の淘汰が進む一方で、大手に利益が集まりやすい構造の本質です。

第4章 インバウンドは居酒屋業界にどこまで追い風なのかをわかりやすく解説

ここ数年の外食株を見るうえで、インバウンドは非常に重要です。
そして居酒屋業界にとっても、これは無視できないテーマです。

JNTOによると、2026年2月の訪日外客数は346万6700人で、2月として過去最高でした。
韓国、台湾、米国など18市場で2月として過去最高を記録しています。
これは、飲食業にとってシンプルに来店機会が増えることを意味します。
特に夜の食体験、和食体験、酒体験は、訪日客にとって魅力が高い領域です。 

観光庁のインバウンド消費動向調査でも、2026年1〜3月期の調査結果が公表されており、訪日旅行消費の中で「飲食費」は重要な項目です。
つまり、訪日客の財布の中で外食はかなり大きい位置を占めています。
寿司、焼肉、ラーメン、居酒屋、和食、地酒体験など、日本でしか得られない夜の消費は、今後も外食業にとって大きな需要源です。 

ただし、インバウンドがあるから居酒屋全体が救われるわけではありません。
ここでも差が出ます。
インバウンド需要を取り込みやすいのは、
駅前・観光地立地
多言語対応
注文導線がわかりやすい
写真やメニューが明快
少人数でも入りやすい
クレジット・キャッシュレス対応が整っている
といった条件を満たす店です。
逆に、ローカルな宴会依存型で、外国人が使いにくい店には、この追い風は届きにくいです。

投資家目線では、インバウンドを「ある・ない」で見るより、
どの業態がインバウンドを客数増だけでなく客単価増にもつなげられるか
を見る必要があります。
ワタミの決算資料が、居酒屋業態そのものよりも、焼肉業態やすし業態でインバウンド需要の増収を示しているのは象徴的です。
つまり、訪日客は「何でもいいから居酒屋」ではなく、わかりやすく日本らしい業態にお金を払いやすいのです。 

ここから投資家が学べるのは、今後の居酒屋業界の成長は、
純粋な飲酒需要の回復
よりも、
食体験としての魅力を高められるか
に左右されやすいということです。
つまり、インバウンド時代の居酒屋は「酒場」である前に、「夜の日本食体験の場」としての価値を持てるかが問われています。

第5章 人件費高騰と人手不足は、どのくらい深刻なのかをわかりやすく解説

外食株、とくに居酒屋株を見るときに絶対に外せないのが人件費です。
飲食業は、売上に対する人件費比率が高い業態です。
そのため、人件費の上昇は収益に非常に大きく響きます。

厚生労働省の令和7年度地域別最低賃金一覧では、全国加重平均は1,121円で、前年の1,055円から66円引き上げられました。
上昇率は**6.3%**です。
しかも地域によっては、それ以上に高い伸びが出ています。
これは外食現場にとってかなり重いです。
アルバイト中心の夜間業態では、単純に時給が上がるだけでなく、採用競争の中でさらに上乗せが必要になることもあります。 

帝国データバンクも、倒産増加の背景として人手不足による人件費高騰を明確に挙げています。
つまり今の居酒屋業界は、「客が戻るか」以前に、「その客をさばく人を確保できるか」が大きな課題になっています。
この構造は、中小ほど重いです。
なぜなら、採用力、教育体制、シフト最適化、業務標準化の面で不利だからです。 

ここで勝ちやすいのは、やはり大手です。
大手は、
セントラルキッチンで仕込みを減らす
メニューを標準化する
タブレット注文やセルフ決済を入れる
シフトを複数店舗で調整する
など、人件費上昇に対して打てる手が多いです。
さらに、DXで予約導線を整備すれば、ピーク時間の予測精度も上がります。
つまり、今の居酒屋業界では、人手不足は全社に共通の問題ではあるものの、それを吸収できる企業だけが利益を残せる構造になっています。

投資家目線でここが重要なのは、人手不足が一時的な問題ではなさそうなことです。
最低賃金は今後も上がる可能性が高く、少子化で採用競争も厳しい。
この前提では、「人が集まれば改善する」は楽観的すぎます。
むしろ、
少ない人でも回る店づくり
教育コストの低いオペレーション
高時給を払っても利益が出る客単価設計
を持つ企業のほうが評価されやすいです。

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第6章 「勝ち方の変化」とは、具体的に何が変わったことなのかをわかりやすく解説

ここで、今回のテーマの核心である「勝ち方の変化」を整理します。
私は、今の居酒屋業界で起きている勝ち方の変化を、次の5つに分けて考えるとわかりやすいと思います。

1. 宴会依存から、少人数高頻度利用へ

まず大きいのはここです。
以前のように大宴会で一気に稼ぐモデルから、2〜4人の少人数で何度も来てもらうモデルへ重心が移っています。
この変化に対応するには、席の作り方、メニュー構成、回転率、予約導線の全部を見直す必要があります。

2. “飲む場所”から、“食べに行く夜業態”へ

今はアルコールそのものより、何を食べられるかで店を選ぶ傾向が強いです。
だから焼鳥、海鮮、焼肉、寿司、もつ鍋、町酒場などの専門性が重要になります。
総合居酒屋が弱くなりやすい一方で、専門性のある酒場が支持されやすいのはこのためです。

3. 国内宴会需要だけでなく、観光・インバウンド需要を取り込む

外食の夜需要は、もう国内の会社員だけで回る時代ではありません。
訪日客や観光客を取り込めるかどうかで、売上の質はかなり変わります。
特に都市部・観光地立地では、この差が大きいです。 

4. DX・予約・顧客接点が収益に直結する

アプリ、会員制度、予約導線、レコメンド、CRM。
以前は飲食業でここまで重視されなかった部分が、今は売上にかなり効きます。
エターナルホスピタリティグループが「売上1%のDX投資で売上+10%」を掲げているのは、その象徴です。 

5. 居酒屋チェーンというより、“夜の外食ポートフォリオ企業”になる

大手が強いのは、居酒屋一本ではないからです。
焼肉、寿司、酒場、食堂、海外展開、昼需要まで含めたポートフォリオで、需要変化に対応しています。
つまり、今の勝者は「居酒屋チェーン」というより、夜の外食需要を複数の業態で取りにいく企業です。

投資家にとっては、この5つをどれだけ持っているかが評価軸になります。
「居酒屋業界が復活するか」より、「この会社は新しい勝ち方を何個持っているか」を見たほうが、ずっと実践的です。

第7章 投資家は今の居酒屋企業をどう見るべきかをわかりやすく解説

では、投資家は今の居酒屋企業をどう見るべきでしょうか。
私は、少なくとも次の4つの観点で見るべきだと思います。

一つ目は、既存店売上の質です。
既存店売上が伸びているとき、それが客数増なのか、客単価増なのか、値上げ効果なのかを見ないといけません。
インフレ下では、値上げだけで売上は増えます。
でも本当に強いのは、値上げしながら客数も維持できる企業です。

二つ目は、人件費と販管費の吸収力です。
最低賃金が上がる中で、売上が伸びても利益が削られる企業は少なくありません。
だから、営業利益率や店舗オペレーション効率を見る必要があります。
単なる増収企業より、増収増益を継続できる企業が重要です。

三つ目は、業態転換と新業態開発力です。
古いフォーマットの居酒屋だけを守っている企業より、需要変化に合わせて酒場、焼肉、寿司、食堂などへ広げられる企業のほうが有利です。
ここは今後かなり大きな分岐になります。

四つ目は、インバウンド・観光需要を取れるかです。
訪日客は今後も夜需要の重要な支えです。
ただし、「外国人が増えた」だけでは足りません。
本当に重要なのは、外国人が入りやすく、頼みやすく、満足しやすい設計になっているかです。
これがある企業は、今後かなり強い可能性があります。 

第8章 今後、どんな居酒屋企業が評価されやすいのかをわかりやすく解説

最後に、今後評価されやすい企業像をかなり具体的に整理します。
私は、今後の居酒屋関連株で評価されやすいのは、次のような特徴を持つ企業だと考えます。

まず、専門業態を複数持ち、総合居酒屋一本依存ではない企業です。
焼鳥、海鮮、焼肉、寿司、食堂系など、顧客ニーズに応じて複数の勝ち筋を持つ企業は強いです。

次に、固定費の吸収がうまい企業です。
セントラルキッチン、仕入れ力、標準化されたオペレーション、DXによる省人化がある企業は、人件費上昇局面でも利益を守りやすいです。

さらに、インバウンドや夜の観光消費を取れる立地・導線・ブランドを持つ企業です。
これからの外食株は、国内需要だけでなく、訪日需要を取れるかどうかで差がつきます。

そして、単に売上が戻った会社ではなく、構造的に“勝ち方を変えた”会社です。
たとえば、アプリや会員制度を持つ。
予約導線が強い。
少人数での利用が多い。
業態転換が速い。
これらは、今後の評価に直結しやすいです。

言い換えれば、投資家はもう「宴会が戻れば儲かる会社」を探すべきではありません。
探すべきなのは、宴会が完全には戻らなくても勝てる会社です。
これが、今の居酒屋投資の本質です。

おわりに

居酒屋倒産が過去最多というニュースは、業界の厳しさを確かに示しています。
帝国データバンクのデータでも、酒場・ビヤホールの倒産は高水準で続いています。
背景には、団体需要の減少、節約志向、原材料高、人件費高騰があります。 

しかしその一方で、大手チェーンは増収増益を出している。
この一見矛盾した現象は、居酒屋業界で「勝ち方」が変わったことを示しています。
昔ながらの宴会依存モデルでは苦しい。
でも、少人数利用、食事需要、専門業態、インバウンド、DX、省人化を取り込める企業は、むしろ強くなれる。
つまり今の居酒屋業界は、衰退業界というより、再編と選別が進む業界です。 

今回の結論を一言でまとめると、
今の居酒屋業界で投資家が見るべきなのは、「業界が厳しいかどうか」ではなく、「顧客ニーズの変化に合わせて新しい勝ち方を作れているかどうか」
ということです。
そして、その勝ち方とは、
少人数需要、食事需要、インバウンド、DX、省人化、業態転換
を組み合わせられることです。
この視点で見られるようになると、居酒屋関連株もかなり立体的に見えるようになります。

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

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