今日は50代からの資産形成について勉強するよ!
お父さんお母さんの世代だね!あたしには関係ないや
50代は会社での地位が上がり、平均年収は生涯で最も高くなる時期です。
プライベートでは、子育てをそろそろ終え、マイホームのローンの支払いも終わりに近づくころではないでしょうか。
このため資金にも余裕が生まれ、50代は資産形成という観点で人生で最も資産形成が加速する「貯め期」でもあります。
それまで資産形成などしなかった人が、「50代から真剣に始めた」という人も大勢います。
- 人生100年と考えたら始めるのに遅いということはない。
- でも何もしなければお金を増やせる期間は意外と短い。
50代とはそんな時期ではないでしょうか。
とはいえ、なんの知識も持たずにいきなり投資に手を染めた人が、なけなしの預貯金を失って再起不能、なんて悲しい話もときどき耳にしますよね。
そこでこの記事では、現在の50代の資産状況から説き起こし、今から真剣に資産形成を始めたい50代の人が、だまされず、失敗せず、確実に資産を増やしていくための大原則やかなり重要な注意事項を書いていきたいと思います。
年収別に、月にどれくらい、何にどう投資をしていけばいいか、それでどれくらいの資産が築けるかを以下のオススメの投資手法にのっとって提案もしています。
またNISAやiDeCoなどの投資の非課税制度について、50代はどのように利用すべきなのか、賢い使い方や最適な投資商品なども紹介しています。
50代以上の方はもちろん、小さなリスクで資産形成をしたいすべての世代の人たちにも参考になると思いますので、少し長いですが最後までお付き合いください。
だってさ
そんじゃ読んどくか!
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
第1章 50代って実際どれくらい資産があるの?(データから)
1-1 50代が保有する金融資産は800万円くらい
あなたが気になるのは、まず同世代の人がどれくらいの金融資産を持っているかではないでしょうか。
最新の調査から気になるデータをいくつか見ていくことにしましょう。
下のグラフは、2人以上世帯の世代別金融資産保有額をまとめたものです。資産の種類を問わず、全部ひっくるめた金額とお考えください。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」(2021年)より
50代の資産の平均値(オレンジ)は1,825万円。
「そんなにあるのか」とため息をつかれた方、安心してください。これは資産のある人だけを抜き出した平均です。
この中にはかなりのお金持ちも含まれるため、計算上、平均が大きくなります。
実態に近いのは「中央値(緑)」の800万円の方です。
このあたりが一番人の分布が多い金額帯となります。
どうでしょう。少し安心しましたか?
それとも予想以上に同世代の資産が多くて、不安になりましたか?
けっこうたくさん持ってるんだね!
うまい棒たくさん買える!
1-2 全体の2割強が保有資産なし!
上記で示したデータは、資産を少しでも保有している人の資産額でした。
このデータによれば、預貯金を含め何らかの資産を持つ人は50代全体の76.8%だそうです。
つまり、まったく金融資産を保有していない人が差し引き23.2%、全体の2割以上もいるということです。
一般的に、
30代 給料が上がってきて余裕も出てくる資産形成の進展期
40代 子育てとマイホームのローンに追われる資産形成の停滞期
50代 子育てを終え、再び貯蓄などの余裕が出てくる進展期
と言われており、50代は資産を増やしやすい時期にあたります。
ですが、当然子育てやローン支払いが終わっておらず、資産をつくる余裕がない世帯も多数ありますね。
下のグラフは、50代の人が年間の手取り収入のうちどれくらいの割合を貯蓄するかを示したものです。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」(2021年)より
10〜14%が最も多く、次いで5〜9%と続きます。平均すると、手取りの1割強(12%)を貯蓄しているという結果に。
注目すべきは、「貯蓄しなかった」人が23.7%いるということ。
「しなかった」のか「できなかった」のか「する必要がなかった」のかは定かではありませんが、ちょうど金融資産を保有していない人の割合と符号していますね。
このようにそれぞれの事情により、資産形成に大きな差が生まれるのが50代の特徴と言えるかもしれません。
1-3 金融資産の内訳は4割が預貯金
では50代はどのような金融資産を持っているのでしょうか。
下のグラフは、資産額平均の1825万円を種類別にした内訳です。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」(2021年)より
銀行などの「預貯金」が全体の4割強を占めます。これはだいたい想像通りでしょう。
日本人の”預貯金信仰”はとても根強いものがあります。
欧米と比較した下図をごらんください。その差は歴然。日本人は圧倒的に預貯金の割合が高いですよね。
日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較(2020年)」より
前の円グラフに戻ります。
預貯金に続いて日本人の50代の資産で多かったのが「株式投資」の16.5%。
その次が生命保険の13.2%。これは貯蓄性のある生命保険付きの商品などで、運用を保険会社に任せるものが一般的。
続いて投資信託が9.6%。これは内外の株式や債券、その組み合わせなどをファンドマネージャーに任せる商品。よく知られるインデックス投資などもこれに含まれます。
こうして見ると、実際に自分でリスクをとった投資は「株式」と「投資信託」くらいですね。この2つで全体の4分の1強というところ。
米国では平均でも投資信託・株式等が45%、欧州も26%を占めており、日本と比較して高い比率であることが分かります。
この違いがどのような結果を生むかというと、資産の増え方に大きな差が生まれます。
下図は米国人(左)と日本人(右)の平均的な資産の伸び率を示したものです。
金融庁「人生100年時代における資産形成」より
日本人の金融資産の伸びは、20年でやっと2倍というところ。
預貯金が圧倒的に多いため、金利がほぼゼロの時代が続く中、資産もなかなか増えていきません。
一方、米国人は同じ期間で資産を8倍に増やしています。
米国には個人型の「確定拠出年金」という制度があり、会社に入ると希望者はこの制度に加入します。すると、毎月の給料から一定額が天引きされ、強制的に株式などにつみたてられる仕組みです。
そこで蓄えた資産が退職時に振り込まれるため、グラフの「退職口座(紫の部分)」が高く伸びていますね。
米国では50代からこの掛け金の枠を一気に広げられることもあり、資産の伸び率が加速度的に増えていきます。
こうした日本の投資マインドの遅れを解消するために始まったのが、NISA(ニーサ)やつみたてNISA、iDeCo(イデコ)などの非課税制度です。
これについては後述しますが、50代からでもぜひ資産形成に活用すべきでしょう。
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第2章 50代が資産形成を始める前に考えるべきこととは
さて、ここまでデータを見てきて、自分の資産が50代のどのあたりに位置するのか、おぼろげながら見えてきたのではないでしょうか。
「自分は同世代の中でもきわめて資産が少ない」とお嘆きのあなた。別に必要以上に不安になる必要はありません。
「自分は平均より多い」とほっと一息のあなた。ここで安心していてはいけません。
なぜなら、この資産形成の進展期である50代をどう過ごすかで、老後の人生が大きく変わってくるからです。
この章では、50代の人がこれからどれくらいの資産が必要なのか考えます。
2-1 人生100年時代の「長生きリスク」を考える
まず最初に考えなくてはならないのは、あなたがあと何年生きるか、です。
2020年の段階で日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳。
今のあなたが55歳、妻が53歳だとして、それぞれあなたがあと26年、妻があと35年生きられる。そういう計算でいいでしょうか。
答えはNO!
世は人生100年時代です。医療技術も進歩し、今やなかなか簡単には死ねない時代になりました。
つまりあなたは100年まで生きるため、残りは45年、妻は47年生きると仮定する必要があります。
当然、伸びた分の支出は増えますし、最後の数年は医療費や介護費用がかさむことも考えられます。
これを「長生きリスク」なんて呼んだりします。
いやな言葉ですが、事実なので仕方ありません。
まずはこの事実を受け止め、死ぬまでに入ってくるお金と必要になるお金をセットで具体的に考えることが資産形成の第一歩です。
2-2 残りの人生で稼げるお金ともらえるお金を考える
まず、収入面を考えましょう。
今後何年働いて、どれくらいお金を稼げそうかをざっとシミュレーションしてみます。
あなたが55歳として、今の会社の定年が65歳とすれば、働けるのはあと10年ですね。
50代前半は人生で最も収入が高くなる時期と前に書きましたが、50代後半はその逆に、幹部クラスにでもならない限りガクッと収入が減る可能性があります。
ここはこれまでの年収の5〜7割くらいを目安に考えるのが無難でしょう。
仮に残り10年の夫婦2人の平均手取り年収を600万円(ボーナス込み)、退職金を1000万円と仮定すると、
稼ぎは全部で7000万円になります(600 × 10 + 1000)。
次に定年後の65歳からすぐに年金の支給を受けるとして、生涯どれくらいの年金が支給されるかを計算します。
これは日本年金機構が毎年送ってくる「ねんきん定期便」を見れば、将来受け取れる金額の目安が書いてあります。
総務省の家計調査によれば、65歳以上の無職夫婦の年金収入は平均およそ21万円。
これを元に計算すると、100歳まで生きた場合、残り35年間で支給される額は約8800万円となります(21万円 × 12ヶ月 × 35年)。
つまり、あなたが55歳男性の場合、残り45年の人生で入ってくるお金は、妻と合わせ、
現役時代6000万円 +退職金1000万円+退職後の年金が8800万円 =計1億5800万円
ということになります。
大企業であればこれに企業年金などの上乗せもあります。親からの遺産相続をあてにできる人もいるかもしれません。
人によって事情はかなり異なりますので、それぞれご自分のケースにあわせて見積もってみてください。
2-3 残りの人生でかかるお金を考える
次に残りの人生でかかる出費をシミュレーションしてみましょう。
計算しやすいように、もう家のローンは完済し、子供も独立して教育費がかからなくなったと仮定します。これで今、毎月どれくらい支出があるかを考えます。
衣食住にかかる費用、旅行・趣味・レジャーの費用、医療費など全部ひっくるめて、おおよそどれくらいかかるか。あるいはどれくらい必要か。
仮に夫婦2人で月30万円使っているとすると、定年までの10年で3600万円必要になる計算です(30万円×12ヶ月×10年)。
次に無職となる65歳から100歳までの35年間の支出を考えます。
ここは想像力を働かせてなるべくリアルに。何歳までにどこにどれくらい夫婦で旅行に行けるか。ゴルフなどの趣味を続けるのか。外食はどれくらいの頻度でするか。
家のリフォームの必要はないか。子供の結婚・出産費用や孫の教育費用の支援もバカになりません。
車は何歳まで乗って、あと何回買い換えるか。親類や友人の冠婚葬祭にもお金がかかりますね。
現役時代より生活レベルを落とすか否かによりますが、高齢になればなるほど生活費やレジャー費は徐々に減っていくのがふつうです。
そこで、支出を今より少なく見積もって、月25万円と考えます。
すると老後に必要なお金は、1億500万円(25万円×12ヶ月×35年)。つまり、
現役時代の出費3600万円+老後の出費1億500万円=合計1億4100万円
という計算になります。
最初に計算した残り45年の収入が1億5800万円でしたから、
残り人生の収入1億5800万円 ー 残り人生の支出1億4100万円 = 1700万円
計算通りにいけば、1700万円ほどの余裕を残したまま天国に旅立つことができそうです。
2-4 予期せぬ事態やリスクを考える
上の例では、特に資産運用などしなくても老後は安泰のように見えます。
しかし、収入も支出も机上の計算通りにいくかどうかは未知数です。
たとえば、高齢に伴って病気がちになれば、医療費などは今より増えます。高齢者の医療費の負担割合も近年上がりましたよね。
あまり考えたくないですが、突然の事故や病気で寝たきりになる可能性だってあります。そうなると自宅の介護リフォームや介護付き高齢者住宅への入居なども考えなくてはなりません。
さらに、年金の減額リスクがあります。
日本は他の先進諸国に先駆けて高齢化が進んでおり、少子化で経済成長も鈍化しているため、将来の年金が計算通りにもらえない可能性もあります。
夫婦2人で月に21万円の予定だったけど、ふたをあけたら16万円しか年金が入らないという事態になったとします。
その不足分の5万円は年間で60万円、35年で2100万円の収入減となります。
そうなると、最初の1700万円余裕が出るという見通しはもろくも崩れ去り、400万円の不足になってしまいます。
これに病気リスクや介護費用などが積み重なると、1000万円、2000万円の支出超過が生じかもしれません。これが「長生きリスク」と呼ばれるゆえんです。
老後の支出はこうした予期せぬ事態も想定して考えないといけません。
シビアな話だね!
かんべんしてくれって感じ
2-5 各人の老後事情を細部まできちんと考える
ここまで夫婦2人のモデルケースを考えてきましたが、もちろんこれにあてはまらない人の方が多いことでしょう。
たとえばマイホームを買わなかった人は、子供の買った家に同居させてもらうのでもない限り、死ぬまで家賃を払い続けて賃貸住宅に住む必要があります。
仮に10万円の賃貸マンションに住み続ける場合、年間120万円、35年で4200万円の家賃支出が上乗せされます。
もし65歳の段階で資産がまったくなく、将来的に年金も減額され、さらに病気などの長生きリスクが生じる場合、不足額は5000万円以上にはねあがります。
このほか、妻は働いていないケース、独身だけど老親の家に同居しているケース、定年後も子供の教育費やマイホームのローンが残っているケースなど、個人によって事情はバラバラです。
数千万円の不足を高齢になってから補うのは難しく、世に言う「老後破産」がひとごとではなくなってきます。
かなりの不足が予測される場合、今から生活費を切りつめ、70歳すぎまで働いて年金支給を遅らせるなどして、ライフプランを修正していく必要があります。
ちょっとおどかしすぎたかもしれませんが、甘い見通しは禁物。
少なくとも年金だけでは最低限のくらしもままならないと考え、今からしっかりお金をため、資産運用して老後に備えることが大事です。
次の章から、その資産形成のやり方について具体的に見ていきます。
第3章 50代での資産形成でやってはいけないことは何?
50代から資産形成を始めるにあたって、まずもっともやってはいけないことからお話ししましょう。
自分の資産を守るために、これだけは肝に銘じておいてほしいことです。
3-1 金融機関の窓口で相談してはダメ
自分の預貯金がある程度たまって、投資をして資産を増やしたいというとき、まずだれに何を聞きにいきますか?
おそらく身近に投資にくわしい人がいない場合、自分の預貯金の口座がある銀行の「資産運用窓口」のようなところに相談に行きたくなりませんか?
あるいは自分が契約している保険会社の「◯◯レディ」さんに、気安さからついつい資産形成について相談してしまったり。
あなたにある程度の預貯金があるとわかれば、こちらが相談に行かなくとも、向こうから
そろそろ資産運用を考えませんか?
預金していても利息はゼロに等しいので増えませんよ
と近づいてくるかもしれません。
でも気をつけて!
親身になって聞いてくれたからと言って、彼らにすすめられるままの投資商品を契約したりすると、大失敗します!
株式投資などすぐに売却できる金融商品と違い、銀行や保険会社がすすめてくる投資商品は一度投資を決めてしまったら、解約が難しいものばかり。
そしてだいぶ月日がたってから、ぜんぜん資産が増えてないばかりか、かなり減っていることがわかってがく然としたりするのです。
なぜそのようなことが起こるのか。
それは、
- 窓口の人は投資のプロでもなんでもない
- 売りたいのは客のためでなく自分の営業成績、ノルマのため
- 売りたいのは銀行や保険会社に高い手数料が入る商品
だからです。
「元本保証」とか「月々配当金が支払われる」と良いことばかり聞かされて買ったら、実は元本保証は「10年たってから」だったり、「購入した海外の通貨でなら」という条件つき。
あるいは本体を取り崩して配当金を出しているだけ、なんていうこともありえます。
「話が違う!」と怒って解約しようと思ってもあとのまつり。
リスクの説明はしましたよね
いま解約すると大変不利ですよ
などと丸め込まれて、結局ずるずる続けるはめに。
結局資産はまったく増えないばかりか、大きく減ってしまい、文句を言おうにも契約したときの窓口の販売員はもう担当からはずれていなくなっています。
このように窓口で買わされた投資商品による損失トラブルは後をたちません。
万一相談に乗ってもらって納得しても、過信は禁物です。その場ですぐに申し込むようなことは絶対に避けてください。
長年コツコツためてきたお金をドブに捨てるようなことになりかねません。
いろいろな人の意見を聞いたり、ネットなどで調べてみてください。もっと安全で、手数料も安く、効率的に資産を増やせる投資商品はほかにいくらでもあると気づきます。
選択肢はいっぱいあるからね
よく探さないと
3-2 仕組みが理解できない投資商品を買ってはダメ
多くの投資家が資産形成のために買っている投資信託や株式は、いたって中身がシンプルです。そして手数料も明解で、かなり安いものです。
たとえば、後でおすすめするインデックス投資なら、世の中にある株価指数(インデックス)に連動する投資信託を買っていくだけで、100円から投資ができ、手数料は年間で0.1%以下のものばかりです。
そこへいくと、銀行や保険の相談窓口がおすすめしてくる商品は、きわめて仕組みが複雑でわかりにくいものが多いです。
どういう商品なのかを尋ねても、
高利回りの海外債券を現地通貨建てで積み立てていく商品です
最先端の金融派生商品を組み込んで高い金利と安全性を両立した商品ですよ
など、聞いてもまったく理解できないものばかり。
複雑にすることで手数料を高くし、さらに高い手数料を見えにくくするために複雑にしているのです。
理解しないまま購入すると、まず初月に販売手数料がごっそり抜かれ、続いて月々の運用手数料が引かれます。
さらに海外の通貨建ての場合、円からその通貨に替えるための為替手数料が月々上乗せされます。
また、株価や為替、先物取引に伴うマイナスなどの変動によって、がらっと条件が変わり本体価格が暴落したりする「仕組債(しくみさい)」、月々の配当を本体を削って出す「タコ足配当」などのひどい商品もあります。
こうしたシニア世代の理解不足をわざと利用して、ひどい商品を契約させるトラブルが昨今続出しています。
トラブルに巻き込まれるのは、投資の知識がまったくない50代以上の人が7割を占めるそうです。
繰り返しますが、まともな投資商品はいたってシンプルで、手数料も格安です。
年間の手数料率・経費率が投入額の2〜3%を超えるような商品は特に慎重になりましょう。
3-3 同じ商品に集中投資しては絶対ダメ(リスク分散が大事)
若い人が少ない資金を一か八かのギャンブルで1つ2つの投資商品に集中投資して失敗しても、後からやりなおしがききます。
でも50代の人が何か1つの商品、1つの株式に大金を集中投資するのは絶対避けてください。
コツコツ貯めてきたお金を一気に失い、取り返しのつかない損失になりかねません。
例えば、ネットフリックスへの株式投資。
映画やドラマの動画配信サービスとしておなじみの米国企業で、コロナ禍には「巣ごもり銘柄」の代表として大きく値上がりした株です。
2020年2月のコロナショック直後に投資をしたらかなり利益をあげることができました。
しかし、2022年にこの株は大暴落します。
ちょうどその年の正月に投資を始めようと決意した人がいたとします。
この銘柄は自分も利用しているくらいだから、将来も有望だろう
と考えて、これまで貯蓄してきた1000万円を全額投資したらどうなったでしょうか。
下はネットフリックスの2017年から2022年春までの約5年の株価チャートです。
2020年2月のコロナショックで1株290ドルまで下がった株価は、2021年10月におよそ700ドルまで急上昇しました。
実に1年半で2倍以上急騰したのです。
そして、ちょうど矢印のあたりが2022年正月。初値(その年の最初の株価)は少し下げて、およそ600ドルからのスタートでした。
「少し下がって買いごろになった」と喜んで、ここで投資をしていたら、その後の株価は崖下に真っ逆さま。
わずか5ヶ月で、コロナショック以前の水準の200ドル以下まで70%も大暴落したのです。
1000万円全部をこの株に投資していたら、わずか300万円になった計算です。こうなると悔やんでも悔やみきれませんよね。
原因はコロナが収束に向かい、人々が外出するようになって、ネットフリックスの契約者が上場来初めて減ったことが伝わり、一気に投資家が手を引いたためです。
投資初心者は1つの投資アイデア、1つの事業の成長物語に酔い、資産が一気に何倍にもなる夢を見がちです。
ですが、どんな投資にも絶対はないし、いかなる有望株も相場環境によっては大きくマイナスになることもあります。
50代の人ならなおさら、1つの投資先がダメになってもほかで補えるよう、銘柄や投資商品の種類を分散させることが大事なのです。
3-4 大きな金額をいっぺんに投入してはダメ
これは上の話でだいたいおわかりだと思います。
たとえ商品や銘柄を分散させるとしても、一度に有り金全部投資してしまうのは避けましょう。
まとまったお金がある場合も、月に1回などの頻度で定期的に買い足していくのがおすすめです。
投資先の分散とともに、「時間の分散」が必要なのです。
「10年かけてためてきたお金なら、10年かけて育てる」くらいの気持ちでのぞむのがいいでしょう。
3-5 あまり大きなリスクは負ってはダメ
投資の世界で「リスク」とは価格の振れ幅のことです。
リスク(振れ幅)が大きい投資商品は、お金が大きく増える可能性もあれば大きく失う可能性もあります。
よく「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」と言いますよね。
これは大きなリスクをとれば大きな収益となり、小さなリスクしかとらなければ収益も小さくなることを意味します。
投資の代表である株式も、代表的な「リスク商品」に数えられます。
投資先が優良企業の場合、大きく儲けられる可能性もある一方、相場環境によっては株価は大きく下落することもあります。
これは「リスクが大きい」からですね。
これとは対照的に、預金や国債は元本と利息が保証されていて減ることはないけれど、資産はなかなか増えません。
これらは「リスクが小さい」からです。
株式よりさらにリスクの大きい商品や投資方法も世の中にはたくさんあります。
元本の何倍もの取引が可能なFXや株の信用取引、未上場株や新規上場したばかりの株(IPO)への投資、その他仕組みがよくわからないまま高配当をうたう投資案件などなど。
こうしたものに一度にたくさんのお金を投じれば、一気に増えることもあるかもしれませんが、一気に資金を失う恐れもあります。
いくらでもやり直しがきく若い人なら挑んでみるのもいいかもしれません。
しかし、残りの投資期間が短い50代がこうしたものに大金を投じることは絶対やめておきましょう。
ギャンブルと同じだもんね
すかんぴんにされちゃうから
さて、ここまで50代がしてはいけない「ダメ」ばかり強調してきました。
これらはあなたの資産を一気に失うのを防ぐための大切なことなので、最初にお伝えしました。ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
ただし、投資である以上、ある程度のリスクはとらないといけません。必要以上に恐がっていてはいつまでたっても投資の一歩が踏み出せません。
地道にコツコツと時間をかければ、リスクを小さく、安全に、それでいて短期では得られない大きなリターンを将来的に得られる投資先や投資方法はたくさんあります。
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次の章から、そうした50代に最適な投資先や投資方法を具体的に見ていきましょう。
第4章 50代の資産形成に最適な投資方法と注意点は?
50代は何にどのように投資をしていったらいいのか。
第3章でNG事項を書いてきましたが、これの反対をしていけばいいのです。
すなわち、
投資先と投資時間を細かく分散させて過度なリスクを取らないこと。
これが大原則です。
それでは、この原則に最も合う投資方法はなんでしょうか。
それはずばり「コアな投資先への定期的な積み立て」です。
コアとは「核」という意味。
資産運用は、保守的な投資であるコアをメインに置きながら、そのまわりを取り巻く衛星(サテライト)のように、少しリスクをとった攻めの商品を買ったり、まったく種類の異なる商品に少しずつ分散投資していく必要があります。
これを「コア・サテライト運用」と呼びます。
イメージはこんな感じ(マネックス証券ホームページより)。
50代はこの中心となるコアとなる保守的な投資により重きを置き、攻めの投資であるサテライトを少なくして資産を守ることが必要です。
変動が激しいリスクの大きな投資商品はなるべく選ばず、堅実な株や投資信託を選んで投資するのがコア投資。
そして、このコアも、一度に大金を投じるのではなく、コツコツと定期的につみたてていくのがベストです。
すでにまとまった資産を持っている人もこれは同じです。
「これが一番リターンが大きそうだから」と、長年ためてきたお金を一気に同じ商品に投資するのは危険なので絶対にやめましょう。
これを念頭に、ここからは50代の資産形成に最適な投資先としてどんな投資商品があるのか、投資方法もあわせて考えながら見ていくことにしましょう。
4-1 株式投資ーーなるべく有名な大型の銘柄中心に分散させる
資産として最も増やすことが期待できるのが株式投資です。企業の成長と配当に期待してお金を投じる、最もポピュラーな投資の王道ですね。
証券会社に口座を開くのにひと手間かかりますが、口座さえ開けばあとは自分で自由に取引ができます。
ただ先に書いた通り、株式は「リスク商品」でもあり、いきなりここに一気に全資産を投じるのはおすすめできません。
特に「グロース株」と呼ばれる成長期待の小型株は、大きなリターンが期待できる半面、株式の中でも特にリスクが大きく、ここに投資をしすぎると大きな損失をこうむることがあります。
まずコアの投資先として選ぶなら、毎年きちんと利益をあげ、配当を出し、今後も事業を伸ばしていける優良な企業です。
日本には約3700社の上場企業がありますが、この中でも東証の区分で最上位の「プライム市場」に上場する銘柄が約1800あります。
さらにその中でも「日経平均」という株価指数に採用されている225社に絞って銘柄を探すといいでしょう。
これらは日本を代表する企業であり、厳格な基準で選ばれた銘柄ですので、リスクは相対的に小さく、ゆっくり大きく資産形成するのに最適です。
知名度も高く、新聞やテレビニュースなどメディアでも取り上げられやすいため、保有していて退屈ということはなく、また何かあった時には売買しやすいというメリットもあります。
こうした優良企業に分散投資した上で、さらに余裕があるようなら、全体の1割か2割程度を自分で勉強して小型成長株に投資してみるのもいいでしょう。
成長株市場には「東証グロース」という区分があり、460社ほど上場しています。
東証の区分は2022年4月から再編され、現在下図のようになっています。
朝日新聞デジタルより
また、証券口座を開く際、海外投資もできるようにすれば、安定して高い成長が見込めるアメリカ株にも投資ができます。
米国市場には大小6000社以上の銘柄が上場していますが、中でもダウ工業株30種平均の30銘柄、S&P500(えすあんどぴー500)の500銘柄の株価指数に採用されている会社は、世界を相手に商売しているグローバル企業が多数あり、知名度もありながら成長度も大きい企業が多いです。
アップル、マイクロソフト、マクドナルド、ナイキ、P&G、スターバックス、ディズニー、コストコなどは、日本でも有名ですよね。
日本株は基本的に100株単位でしか取引できないのに対し、米国株は1株から買えるので、売買や資金コントロールもしやすいというメリットがあります。
日本株と米国株を半分ずつ買っていくなど、投資先の国を分散させることもおすすめですので、投資を始めたらぜひ挑戦してみることをおすすめします。
4-2 債券投資ーー米国の長期国債を安全資産として買う
債券とは国や会社が必要とする資金を調達するために発行するもので、投資家はそこに一定期間お金を貸し、元金に利息を上乗せした金額を返済してもらいます(償還という)。
早い話が、国や企業の借金の証文みたいなものです。
安全な国や企業の債券は、利息はかなり低いものの、預貯金の次に安全な資産と言われます。
なので、50代の人でリスクを極力避けたい人、ある程度資金に余裕のある人は、安全資産として保有してもいいと思います。
その場合、購入に最もおすすめなのは米国の長期債です。
債権には国の借金である「国債」、企業の借金である「社債」と大きく分けて2つあります。
また、投資家がお金を貸す期間によって、2年債、5年債、10年債、30年債のように分かれています。
このほか、条件つきで企業が新しく発行する株と交換できる「転換社債」というのもあります。
利息は国や企業の政情・財政、企業の信用度などに応じて、変わってきます。
政情や財政が不安定な国の債券は格付けが低く、デフォルト(返済できなくなること)のリスクが高くなる分、利息も高くなります。
また、期間は長期であるほど利息が高くなります。
おすすめしている米国の長期債は、
- 国債の中でも最も安全(デフォルト=債務不履行の心配なし)
- 利息が年3%前後つく(2022年6月現在)
- ドル建てで購入できる
というメリットがあります。
国債は「債権価格×利息」が常に一定に保たれており(利息が上がると価格は下がり、利息が下がると価格が上がる)、元本以上の償還が常に保証されています。
このため、国債の金利をもっともリスクのない投資利回り「リスクフリーレート(無リスク金利)」と呼びます。
日本円で買う商品なら日本の国債、ドル資産なら米国債の金利がこのリスクフリーレートにあたります。
日本も米国も自国で通貨を発行している国なので、デフォルト(債務不履行)の心配はなく、国債は安心して購入できます。
ただし日本は長くゼロ金利政策を続けているため、日本国債は長期債でも預貯金よりはマシという程度の利息しかつきません。
なので、資産があまりない人は日本の国債につぎ込んでも仕方ありません。
少子高齢化によって国際競争力が低下し続け、長くデフレが続いてきたため、ひとたびインフレになった際、円の価値が大きく低下する可能性もあります。
これに対し米国は、移民によって人口も増えており、経済は極めて順調で、ドルは世界で最も力のある通貨となっています。
なので50代上の人が安全資産として保有するなら、ドル建ての米国債で、かつ利息が3%前後つく長期債がおすすめなのです。
株式相場がなにかの理由で暴落する時、債券は投資マネーの避難先として逆に買われ、価格が上がる逆相関の関係にあります。
その意味でも、株式投資のリスクヘッジとして債券を持つことは有効です。
4-3 不動産投資ーー余裕資金で投資すれば安定収入が見込める
不動産投資は、投資用のマンションやアパートを購入することで、借主から家賃収入を得る投資です。
株や債券より初期に大きな資金力が必要ですが、資産価値の目減りを上回る収入があれば、大きな資産形成も可能です。
メリットとしては、定期的な安定収入が見込めるということ。
借主はたとえ不景気になっても簡単には引っ越ししませんから、ある程度の収入が計算に入れられます。
また、すでに持っている不動産を担保に、新たにローンを組んで別の不動産を購入することも可能です。
デメリットとしては、購入に際し大きな資金が必要になること。
信用力のある会社員であれば金融機関から資金を借りられますが、審査は年々厳しくなっています。もちろん、長期でローンを抱えるため、さまざまな返済のリスクも伴います。
また、投資物件によっては、人気のない土地で思ったように借り手がつかないことも。いきなり事故物件となって資産価値が大きく目減りするなんてことも考えられます。
資金の乏しい人は、現物の不動産を買う代わりに「REIT(リート)」という不動産投資商品を買うという手もあります。
これは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、賃貸マンションなど複数の不動産を購入して運用することで家賃収入を得たり不動産の売買益を得て投資家に分配するもので、その証券は株式と同じように上場していて、証券口座を通して売買が可能です。
メリットは現物を持つことで生じるリスクやわずらわしさがなく、株式のようにだれでも少額で投資できるのがメリットです。
デメリットは、現物の不動産投資にくらべて収入や配当が低くなってしまうこと。そして、株式と同様に売買しやすい分、大きく売られて急落するリスクも現物より高くなることです。
50代の人は、このあたりのメリット・デメリットやリスクを念頭に置き、自分の資産状況や返済能力を考えて投資することが大事です。
4-4 貴金属投資ーー分散の1つとして金を買う
金や銀、プラチナ(白金)などの貴金属は、債券同様に安全度の高い資産として知られています。
特に金は長い歴史を通して希少性が裏付けられている人類共通の財産であり、価格が下がりにくいのが保有する大きなメリットです。
戦争や紛争などの不安が高まり、株式相場が大きく下落するときなどに、投資マネーの逃避先となります。
また極端なインフレ(物価高)で貨幣の価値が相対的に下落するような時期や、政情不安の国・地域の人々が、自国の通貨や株式の代わりに購入したりします。
たとえ国が滅んでも、金の価値がなくなることはありませんから、昔から富裕層は一定の割合で金を保有していると言いますね。
一方のプラチナはレアメタルの中でも特に希少な貴金属の1つであり、装飾品の材料などとしても金に次いで人気があります。
また銀は、工業製品の材料にも使われることから、好景気で品薄になると価格が高騰することもあります。
デメリットとしては、株式にくらべて長期で見ると相対的に値上がりしにくく、資産を増やす手段としてはメインにできない点。
また装飾品や工業製品の材料のため、価格が景気に左右されやすいという性質もあります。
ですので、50代の人が長期で持つなら、金が最も適当と思われます。
ただし、企業活動を背景に富を生み出す株式と異なり、金それ自体が価値を高めていくものではないため、資産を大きく増やすのには向きません。
あくまで貯金感覚でコツコツ増やし、資産の分散の1つとして保有するのがいいでしょう。
金は専門の販売業者で売買できるほか、証券会社などでも手軽に取引できます。
定量を定期購入するサービスなどもありますので、興味がある方は調べてみてはいかがでしょう。
4-5 投資信託(ファンド)ーーインデックスファンドを積み立てる
最後に「投資信託(ファンド)」を紹介します。
実はこの投資信託こそ、50代以上の人が資産形成を始めるにあたって、最もおすすめできる投資商品です。
中でもおすすめなのは、手数料も格安で積立にも適する「インデックスファンド」です。
投資信託とは、投資家から集めたお金で大きな資金をつくり、それを元手にさまざまなテーマや種類の投資商品を組み合わせ、これを運用して売却益や配当を投資家に分配する投資商品です。
中身の構成や運用をプロのファンドマネージャーが行うことから、文字通り投資家が「投資資金を信じて託す」商品ということです。
投資信託には、
- 日本株や外国株だけのもの
- 債券だけのもの
- 株と債券を組み合わせたもの
- 内外のREITを組み合わせたもの
等々、これまで上で紹介してきた様々な投資商品を対象に、実にいろいろな組み合わせのものがそろっています。
なぜこの投資信託が、これから資産形成を始める50代に最もおすすめかというと、投資初心者には難しい個別株の取捨選択やその最適な組み合わせ、運用などをすべてプロに任せられるからです。
また、さまざまな投資対象が1つに混在していることから、最初から分散がきいており、値動きもゆるやかなのがシニア世代にぴったりです。
中でも「インデックスファンド」は、有名な平均株価指数に連動するよう、指数と同じだけの数の銘柄に広く分散した投資信託で、各種手数料も超格安です。
株価指数は、日本でいえば日経平均やTOPIX、米国ならダウ平均やS&P500などが知られており、たとえば日経平均なら日本を代表する225銘柄、S&P500なら世界的規模の500社の銘柄を買うのと同じ意味があります。
これらの指数は経済成長していくかぎり上昇していくため、これに連動するファンドも長期で見ればかならず上昇することが見込めます。
個別株に比べてリスクが小さく、安定的に資産を増やしていけるため、50代に限らずつみたて投資のコアに設定している人が多いのもううなずけます。
第5章 50代の年収別投資可能額と最適な投資手法
ここでは前の章の投資先を参考に、何にどれくらいの投資をしたらいいかを年収別に考えてみましょう。
この通りでなくてももちろんかまいませんが、自分の今の年収をベースに、何歳までにいくらの資産を築きたいかをシミュレーションする目安にしてもらえたらと思います。
5-1 50代年収別の投資可能額
投資先を考える前に、まずはざっくりと、自分が年間どれくらいの金額を投資したらいいか考えましょう。
下の表は、年収別に、おおよその手取り年収とその10%、15%、20%、30%がそれぞれいくらになるかをまとめた表です。
お金のかかる40代をのりこえた50代は、会社でもそこそこの地位につき、おおむねサラリーマン生活の収入のピークも迎えますから、資産も拡大期に入ります。
ただ、事情や投資に対するリスク許容度は個人でまちまちでしょうから、あなたがどれだけ投資できるかはわかりません。
もしこれまででまともに資産形成をしてこず、預貯金もあまりないという人は、お金がかからなくなったからといってぜいたくに走っていてはいけません。ここからがんばって資産を増やす努力をしていかないと後がないという認識を持った方がいいでしょう。
40代の記事でも書きましたが、年収の低い50代の人も、投資をしてこなかった人も、最低限、現行NISAのつみたて投資枠である年間40万円を埋める投資はすぐ始めるべきと思います。
月額に直すと約3万3000円程度。年収300万円の人なら手取りの20%弱、500万~600万なら10%前後ですね。このつみたてをコアとして続け、あとは投資金額を少しずつ上げていきます。
定年退職までの最後の10年~15年はラストスパートの期間と考え、真剣に資産形成と向き合いましょう。
5-2 50代年収別の投資手法
続いて、年収別にどこにどれくらい投資するとどれくらいの資産ができるのかシミュレーションしていくことにします。
以下の表は毎月手取りの20%を投資にあてたときの金額とオススメの投資手法の提案です。
これも基本は40代の資産形成と同じです。
筆者の提案は、最低でも投資額月5万円ぐらいまでの人はインデックス投資の積立に全力で取り組み、コアの資産を積み立てていくことを目指すというもの。
個別株や債券、不動産などは、これ以外に預貯金がある人やボーナスなどまとまった臨時収入のある人が手を広げていくイメージです。
資産がそこそこある人も、知識もないうちから個別株のようなハイリスク・ハイリターンの投資に一気に挑むのは危険です。やり直しのきく若い時代ならともかく、50代はやり直しがなかなかきかず、失敗して大きな損失を出したときのダメージが大きいからです。
定年までに老後が安心できる資産を持つために、50代のうちに2000万円以上の資産を築くことを目標に置きましょう。
今現在、預貯金ゼロの人が10年で2,000万円の資産を築くには、月々どれくらいのつみたてが必要になってくるでしょう。
以下はリターンの年平均実績が9%の米国S&P500インデックス投信のつみたてを想定したシミュレーションです。
月10万円超のつみたてはけっこうきついですが、収入の増える50代なら、ボーナスも含めた総額ならいけるかもしれません。
また、夫婦共働きなら、資産形成の口座で合算してつみたてていくといいでしょう。額が大きくなればなるほど複利の力が大きく働くため、別々に資産をつくるより効率的です。
この「つみたてファースト」の原則に基づき、年収別にもう少し細かく投資先を考えていきましょう。
年収300~400万円台の人ーー月5万円のインデックスつみたて全力、不足分は副業で補う
年収が300、400万円台の人が仮に手取り収入の20%を投資に回しても、月3.7~5万円ですから、上記のように月々10万円超もねん出するのは難しいと思います。
この収入でもし資産もない場合は、まず月5万円を10年続ける覚悟で1,000万円を目指しましょう。
シミュレーションは以下のとおりです。
1000万円を5年でつくろうと思うと、やはり月々13万円超のつみたてが必要で、とても厳しくなります(下記シミュレーション)。
そもそも米国株インデックスの年平均9%リターンはあくまで50年以上の長期の実績値ですから、期間が短いと誤差が生じ、マイナスになってしまう可能性もありますから、これ以下の期間でシミュレーションしてもあまり意味はありません。
ですので、まずは月に5万円、年60万円、10年で1000万円を目標に投資に取り組みましょう。
50代で転職はなかなか難しいかもしれませんが、少しでも年収を上げる努力も必要です。休日などを使って副業をする、あるいは配偶者が仕事をしていない場合はパートなどをしてもらうようにして、コツコツつみたてていく必要があります。
これまで預貯金も投資も何も考えずにきたツケがまわってきたと思って、真剣に取り組んでください。何もしないと、待っているのは人生の後悔と老後破綻だと肝に銘じて。
いまの段階でマイホームがある、500万円以上の預貯金があるという人も、まずは最低5万円を目標に積立投資をして、1000万円以上の資産を50代でつくるよう努めましょう。
資産形成は50代でストップするわけではなく、60代になっても、定年退職してからも続けられます。50代で1000万円の資産が作れれば、「老後が安心」とはいかないまでも、少し余裕が出てきて60代の資産形成にはずみがつくはずです。
年収500~700万円の人ーー月5万インデックスつみたて+余裕資金を個別株投資へ
この年収の範囲の人は手取り20%を投資に回すと月7万円前後になります。
なので月7万円の積み立てをまずは目標にして、がんばって10万円の投資に挑戦してみてください。
月7万円を年平均9%リターンのインデックスに10年つみたてた場合のシミュレーションがこちら。
月10万円だとこうなります。
これで目標の2000万円にぐっと近づきます。
この年収の人も、まったく資産がないならまずはコアとなるインデックスつみたてに全力を注ぎましょう。
その上で、このつみたてのベース作りができている人は、余力で個別株投資に挑戦するといいでしょう。
個別株投資とは、株式を上場している企業の業績などを調べた上で、将来的に上がると思う株に長期で投資をしていくことです。
インデックス投資というのは、市場全体の成長を見込んだ投資であるのに対し、個別株投資はその企業の成長に賭ける投資です。
ここが肝心なところですが、個別株投資をするなら当然、インデックス投資のパフォーマンスを上回る銘柄に投資する必要があります。それでなければわざわざ業績を分析したり銘柄を比較研究したりする意味がありません。
よく配当狙いで利回りの高い株に投資しようとする人がいますが、安定的に高い配当を出せる企業は成熟企業が多く、配当を再投資に回しても米国インデックス投信のパフォーマンスには及ばない銘柄ばかりです。もちろん投資期間や地合いのよさで上回ることもあるでしょうが、長期で見れば成熟した企業より市場全体の成長の方が上昇率が高かったりします。
インデックス投信が年平均9%のリターンなら、個別銘柄への投資は最低10%以上、できたら20~50%(1.5倍)のリターンを目標にしたいところ。
イメージとしては、株価1000円の銘柄に投資して1年後に最低1200円~1500円に上昇している株です。
仮に月10万円を投資に回すとして、そのうちの3万円を年平均20%上昇する個別銘柄に毎月投資し続けることができれば、10年後の資産はこうなります。
月5~7万円のインデックスつみたてで作る1000万円超と合わせると2000万円を超える資産が築けることになります。
さらに年平均50%のリターンを追究したら資産は10年後、どうなっているでしょうか。
インデックス投資とあわせて1億円超える資産になります。これは長期で資産が大きくなればなるほど、複利の力が働くためです。
年50%ものリターンがある銘柄を選んでうまく乗り継いでいくのはかなり難しいですが、不可能ではありません。数年で株価が10倍になるような銘柄が実はゴロゴロあるからです。
投資で成功して大きな資産を築く人は、このように優れた銘柄を探す努力をしているのです。
800万円以上の人ーーインデックスつみたて+個別株投資+資産防衛の配当株・不動産・債券投資
このクラスの人はすでにある程度の預貯金があってしかるべきですが、高収入だからと言って必ずしも資産が多いわけではないようです。
それは生活レベルを収入に応じて上げてしまうため、ふだん購入するものや外食、旅行などの支出が少しずつぜいたくになったりして、結局お金がたまらないという悪循環に陥るからです。
そういう人たちにまずアドバイスしたいのは、一刻も早く生活レベルを落としましょう!ということ。
たくわえもなくぜいたくしていると、いずれ収入が落ちたりなくなったりしたときにつらい人生が待っています。カードの分割払い(リボ払い・定額払い含む)という借金がたまりがちな人も同様です。支出が収入を上回る収支マイナスが常態化している人は、かなり危険な状態だという認識を持つべきです。
資産がまったくない人は、まずは基本のインデックスつみたてでコアの資産を築く努力をしましょう。
支出をできるだけ落とし、投資に回すお金をどんどん増やせば、もともと収入が多いだけに資産の増加も早くなります。
先に示した投資可能額の表で、年収800万円以上の人なら手取りの20%は月10万円(年間120)。最低でもこの金額のインデックス積立で、50代の目標である2000万円の資産つみあげはほぼ達成できます。
すでにある程度の資産を築いている人は、コアのインデックス積立は維持しながら、余裕資金で個別株投資に挑戦し、資産増を加速させるのがオススメ。
資金が十分にあるからといって、FXや仮想通貨、デイトレードなどに手を出してはいけません。これは投資ではなく投機と呼ばれる行為であり、投資素人ほど手を出して失敗しがちです。
きちんと企業業績や業界を調べて、長期でインデックスのパフォーマンスを上回る成長株を探して投資しましょう。
また、まとまった預金を一度にひとつの銘柄に投資するのは絶対やめてください。銘柄、業界を分散させ、さらに少しずつ時間をかけて購入していく時間分散を心掛けるべきです。
この年代で準富裕層と呼ばれる5000万円以上の金融資産がある場合、逆にローリスクの投資で資産防衛していくことを考えていったほうがいいと思います。
筆者のオススメは、資産の少ない順に、
①好配当企業の株を分散保有する。
②投資用不動産やREITで定期収入を確保する。
③長期の米国債、安定企業の社債、債券の投信やETFを買う。
④金を購入する。
という感じでしょうか。
債券は安定的な利息収入が見込めるほか、景気後退で株価が急落するときには安全資産として買われるため、資産価値が株と逆相関で増えます。また最後の金投資は、資産増こそあまり期待できませんが、戦争や世界恐慌などのときでも価値が失われない資産です。
現金はどれくらい必要でしょうか。生活防衛資金といって、失業や病気で働けなくなっても3か月~半年は生活できる現金は用意しておく必要はあります。
でも全部を預貯金のまま置いておくのは絶対にNGです。金額ベースで減ることはありませんが、インフレリスクといって、物価上昇とともにお金の価値(購買力)はどんどん落ちていくものだからです。
第6章 50代からの投資に向かない商品とは
6-1 預金性保険ーー資産増加が期待できない
投資の世界では、「保険は保険、投資は投資で分ける」のが王道とされます。
その点、保険会社が資産運用としてすすめてくる「預金性保険」などの商品は、保険と投資の両方を組み合わせているものがメインなので、おすすめできません。
「投資運用でまとまった資産もでき、しかもいざというときには保険の機能もつくからお得で安心」という保険営業マンのセールストークに押されて契約すると、長期にわたって大きな資金を無駄にしてしまう可能性があります。
なぜなら、預金性の保険は最初に多くの販売手数料や保険料が抜かれ、大きなマイナスからスタートするからです。
そのため、契約からしばらくの間はずっと元金を大きく割り込んでおり、早期に解約すると元金からかなり目減りした額しか残っていなくてびっくりすることになります。
しかも、高い手数料をとるわりには、資金の運用先は個人がだれでも簡単に積み立てできるような投資信託を買い付けるだけだったりします。
がん特約や入院費など想像すると色々お金がかかりそうと思ってこうした貯蓄性保険を契約する人が多いですが、医療費はあなたが入っている各種健康保険でかなりの部分を代用できます。個人が負担する月々の上限額も決まっており、必要以上に心配する必要はありません。
また、マイホームをローンで購入した人は「団体信用保険」にも加入しているはずで、これがいざというときの生命保険の働きをします。
家族や子供などのために持っておきたいと思う最低限の保険だけ掛け捨てで加入し、投資は別にしていけば、無駄な手数料や保険料を払わずに済み、その分、マイナススタートの商品を買うよりずっと早く、ずっと多くのリターンが期待できます。
いざというときの治療費・入院費も十分そこからまかなうことができるはずです。
6-2 仮想通貨(暗号資産)ーー変動幅が大きく、資産になるかも未知数
ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨(暗号資産)は、通貨の発行量の限度が決まっているため、その「希少性」が価値の裏づけとなります。
海外への送金などに便利なほか、実際の商品・サービスの支払いに代用できる機会も増えることで、その利便性も注目され、実際に価値が一気に高騰したという例もあります。
ただし、金のようなモノとしての価値はなく、企業の成長によって価値が高まる株式とも違い、今の価値が高いのか安いのかがわからないきわめて不安定な資産といえます。
数多くの仮想通貨が次々と生まれており、コイン同士の競争も激しくなっていますね。
各国の金融当局は、自国でコントロール不可能な仮想通貨を法定通貨としては絶対に認めません。マイニングには莫大な電力を消費することから、温暖化防止・エネルギー保護の観点からも好ましくありません。インドや中国など売買を禁止する国も出ています。
米国では仮想通貨を買い付ける投資信託さえ認可していません。当局のお墨付きを与えるのを避けるためです。
エルサルバドルなど、政情不安があり、自国通貨がハイパーインフレによって紙くずになってしまいそうな国が、ビットコインを法定通貨にしたなどの事例はありますが、例外と思った方がいいでしょう。
また、仮想通貨を売買する取引所から何百億円分もの仮想通貨がサイバーセキュリティをくぐり抜けて盗まれたり、なんらかの事故で売買ができなくなったりするたびに暴落することも多く、ドルと等価交換ができるというのが売りの「ステーブルコイン」が一気に売りこまれてその価値がゼロになったりする事件も起きています。
こうした理由から、仮想通貨にはかなりの高いリスクが伴なうため、50代の資産形成には向かないと考えるべきでしょう。もし買うにしても、余裕資金のごく一部を回す程度にしておきましょう。
第7章 50代からでもNISA・つみたてNISA・iDeCoはやるべき?
日本人の投資を増やす目的で金融庁がつくったのが、NISA(ニーサ)、つみたてNISA、iDeCo(イデコ)です。
ひとことで説明するなら、投資利益に対するすべての税金を免除してくれるお得な制度ですね。
株や投資信託は、そのものの価格が上昇するか、あるいは定期的な配当を得ることで利益が出ます。
これらの確定した利益に対しては、おおよそ20%の税金がかかります(米国株ならさらに10%上乗せ)。
その利益分の税金を免除してやろうというのがNISAなどの制度です。
2024年からは制度が新しくなり、年360万円まで、合計1800万円までの免税枠に投資ができるようになります(下記)。
くわしい制度の解説はここではしませんが、結論を言うと、50代からでもNISAやiDeCoは大いに利用すべきです。
iDeCoは60歳まで運用してつくる自分年金で、50代の人には期間が短いと思われがちですが、途中解約できないため強制的にまとまった年金がつくれるのがミソ。
この制度は途中の運用益に対する税が免除されるだけでなく、毎月の掛け金と受け取る時に「所得控除」が受けられ、税負担が軽減されます。
こうして積み立てた自分年金を、「一括」「分割」またはその併用の形で60歳から受け取れるため、通常の年金支給開始(65歳)までの空白期間を埋めてくれます。
また、つみたてNISAは投資信託を使って現行制度で年40万円の枠を20年間(計800万円)利用でき、新制度では年360万円(計1800万円)を半永久的に利用可能です(成長投資枠もつみたてに使ってかまわないため)。
継続すれば、複利効果でかなりの利益も期待できるため、節税効果は相当大きいと言えるでしょう。こちらは途中解約も自由ですが、枠をフルに利用して何があっても保有し続けるという覚悟で使いましょう。
投資信託の定期買い付けと相性がいいこれらの制度を組み合わせ、安全かつ自動的(強制的に)に資産を築いていくようにしましょう。
次の章でNISAやiDeCoに最適な投資商品を紹介していきます。
第8章 NISAやiDeCoのつみたてにふさわしい投資商品は?
株式の投資信託には、株価指数に連動するようその指数とまったく同じ割合で株式を構成している「インデックスファンド」があり、50代にはこれがおすすめだと前々章で解説しました。
インデックスファンドは、経済が成長する限り上昇が見込める一方、それ自体で数百、数千の銘柄に投資をしているため、かなりの分散がきいているということも説明しましたね。
購入時期によっては、景気の悪化などで下落してしまい、一時含み損になってしまうこともありますが、それは気にせずに定期的に積み立てていくことが大事です。
定期つみたての場合、ずっと右肩上がりで価格が上昇するより、下落してくれるほうがその都度安くたくさん買えるため、長期間つみたてる場合、下落を繰り返すほうが最終的なリターンは大きくなるのです。
この章ではさらに、経費率(投資資金に対して年間にかかる手数料)が安く、規模も数千億円と大きいファンドをいくつか選抜しました。
株価の成長力が高い順に中身を説明すると、
①米国株指数に連動 | 米国を代表する大型株500種のS&P500指数 |
②先進国株の指数に連動 | 米国を中心とする先進国の株式数千銘柄の指数に連動 |
③世界株式の指数に連動 | 欧米中心に中国などの新興国も含む数千銘柄の指数に連動 |
この3つはいずれも時価総額の大きい米国株が大きな比率を占めており、その比率が高いほど成長力が大きいと言えるでしょう。
ただし、値動きにそれほど大きな差はありませんので、あとは米国オンリーでいくか、欧米にするか、新興国も含めるか、お好みの投資信託を選びましょう。
以下、主なおすすめ投資信託とその概要をまとめました。一番最後に、日本株のインデックス(日経平均)に連動する投資信託も1つ掲載しておきます。
*純資産総額などは2022年3月末現在の数字です。
*目論見書(もくろみしょ)とは、各投資信託ごとの狙いや商品内容、経費率などを記した説明書きです。購入時には必ず読むようにしましょう。
8-1 eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
内容 | 日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざす。ベンチマークは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産総額 | 4,923億円 |
信託報酬率 | 0.1144%以内 |
8-2 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
内容 | 日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指す。ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
純資産総額 | 1,729億円 |
信託報酬率 | 0.212%程度 |
8-3 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
内容 | 日本を除く先進国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざす。ベンチマークはMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産総額 | 3,297億円 |
信託報酬率 | 0.1023%以内 |
8-4 〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ外国株式インデックスファンド
内容 | 日本を除く先進国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざす。ベンチマークはMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
運用会社 | ニッセイアセットマネジメント |
純資産総額 | 3,885億円 |
信託報酬率 | 0.1023% |
8-5 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
内容 | 米国の大型株500銘柄の株価指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざす。ベンチマークはS&P500種指数。 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産総額 | 1兆1,650億円 |
信託報酬率 | 0.0968%以内 |
8-6 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
内容 | 米国の大型株500銘柄の株価指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざす。ベンチマークはS&P500種指数。 |
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
純資産総額 | 5,431億円 |
信託報酬率 | 0.0938% |
8-7 ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド
内容 | 日本を代表する225銘柄の株価指数の動きに連動する成果をめざす。ベンチマークは日経平均株価 |
運用会社 | ニッセイアセットマネジメント |
純資産総額 | 2,010億円 |
信託報酬率 | 0.275% |
50代の資産形成に関するQ&A
ここでは50代の資産形成に関する疑問についてお答えします。
- 50代で毎月いくら新NISAを積めばいいですか?
- 50歳でリタイアするにはいくら必要ですか?
50代で毎月いくら新NISAを積めばいいですか?
50代で新NISA(少額投資非課税制度)を利用して毎月いくら積み立てるべきかは、以下の要因に基づいて判断する必要があります:
目標金額: 退職後の生活資金や特定の目標(例えば、住宅ローンの返済、旅行、子供の教育資金など)。
現時点での資産状況: 現在の貯金、投資、年金の見込み額など。
リスク許容度: 投資に対するリスクの許容度(高リスク高リターンを望むか、低リスク低リターンを望むか)。
投資期間: 投資を始める時点から引退するまでの期間(一般的には5〜15年)。
予想されるリターン: 過去の実績や予測に基づく投資リターン(年率3〜7%など)。
積み立てのシミュレーションなどがあるので、自分の目標金額を決めてシミュレーションをしてみると、毎月いくら積み立てれば良いか確認できます。
この記事の5章にもシミュレーションの記載があるので、読んでみてください。
50歳でリタイアするにはいくら必要ですか?
50歳でリタイアするために必要な金額は、個人の生活スタイル、健康状態、期待する生活水準、リタイア後の活動計画、インフレ率、投資のリターンなどによって大きく異なります。以下に考慮すべき主要な要因を説明します。
1. 年間生活費の見積もり
まず、リタイア後の年間生活費を見積もる必要があります。これには、以下の費用が含まれます
住居費(住宅ローンの返済や賃貸料、維持費)
・食費
・医療費
・公共料金(電気、水道、ガス)
・保険料
・交通費
・娯楽・旅行費
・その他の生活費(衣類、趣味など)
2. リタイア後の期間
次に、リタイア後の期間を見積もります。例えば、50歳でリタイアして90歳まで生きると仮定すると、リタイア後の期間は40年です。
3. インフレ率の考慮
インフレ率を考慮して、将来の生活費がどれだけ増加するかを見積もります。例えば、年間インフレ率を2%と仮定します。
4. 投資のリターン
投資から得られるリターンも考慮します。例えば、年間リターンを5%と仮定します。
5. 必要な総資金の計算
年間生活費、インフレ率、投資のリターンを基に、リタイア後に必要な総資金を計算します。
例えば上記を加味して自分はいくら必要なのか計算してみると、明確な金額がわかるでしょう。
第9章 まとめ
さて、50代から始める資産形成、いかがだったでしょうか。
ここで簡単におさらいしておきましょう。
- 50代の資産は800万円ほど
- 資産ゼロの人も2割いる
- 4割の人の資産が現金か預貯金
- 人生100年の長生きリスクを念頭に
- 残り人生の収入と支出をきちんと考える
- 金融機関の窓口に資産運用の相談してはダメ
- しくみが理解できない投資商品は買ってはダメ
- 1つの投資商品への集中投資はとにかく避ける
- 大きなリスクのある投資も避ける
- 買っていいのは株式・債券・不動産・貴金属
- インデックス投資信託は最強のつみたてアイテム
- 50代で2000万円の資産形成を目標に
- 預金性保険と仮想通貨は50代資産形成に向かない
- 50代からでもNISAやiDeCoはするべき
- 50代のつみたてに向く投資信託をコアにつみたてる
すでにある程度の資産がある人も、これから資産形成を始める人も、50代がわきまえるべき投資の大原則は、
投資先と時間の分散投資
でした。
これまで稼いでためたお金を一気に吐き出さないよう、投資先を慎重に分け、定期つみたてなど時間も十分に分けて、投資していくこと。これに尽きます。
無理したり欲張ったりすると、不思議とお金は逃げていくものです。これまで長い時間かけて築いてきた資産をいっぺんに失うのは、50代にとっては大変辛いものです。
一方で、人生100年と考えたら、50代でもあと20年、30年、なんなら死ぬまで投資は続けられますから、「定年前に何がなんでも2000万!」なんて焦る必要もありません。
かの世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏も、1,000億ドル(約13兆円)もある巨大資産の99%を50代以降につくったのです。
なので、50代だからといってあせることなく、時間をかけて資産形成を続けていけばいいと思います。
50代からでも臆(おく)することなく、ここから投資人生の第一歩を踏み出しましょう!
50代からでもぜんぜん遅くないよ!
始めないと手遅れになるけどね!
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