
なぜ「消費税ゼロ」は実現しないのか?私たちが直視すべき3つの残酷な現実
「消費税ゼロ」というテーマは、現代日本の経済政策において最も情熱的な議論を巻き起こすトピックの一つです。生活者の視点では「究極の減税」であり、財政の視点では「国家運営の根幹を揺るがす挑戦」でもあります。
2026年現在、高市政権による「食料品消費税ゼロ」の時限措置などが議論の遡上に載る中、もし消費税を「完全ゼロ」にした場合、日本はどう変わるのか。問題点、実現可能性、そしてその後の景色を深掘りします。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
1. 消費税ゼロがもたらす「黄金のシナリオ」
消費税ゼロがもたらす「黄金のシナリオ」は、単なる減税の枠を超え、日本経済の構造そのものを再起動させるポテンシャルを秘めています。このシナリオが具体的にどのようなメカニズムで社会を好転させるのか、4つの視点から深掘りします。
1. 購買力の劇的向上:全世代への「実質10%の昇給」
消費税10%が消えることは、事実上の「デフレからの強制的脱却」を意味します。
即効性のある可処分所得の増加: 現在、食料品を含む消費税をゼロにした場合、一般的な世帯で年間約8.8万〜11万円の負担軽減になると試算されています(2026年大和総研等の予測)。これが全品目となれば、その効果は数倍に膨らみます。
低所得層・子育て世帯の救済: 所得に対する消費の割合が高い「低所得層」ほど、消費税負担は重くのしかかっています(逆進性)。これが解消されることで、生活必需品以外の教育やレジャーにお金が回るようになり、格差感の是正に直結します。
「我慢」から「投資」へ: これまで「税率が上がる前に買う」という駆け込み需要(=その後の反動減)に振り回されてきた消費行動が、「いつでも安く買える」という安心感に基づいた長期的な消費・投資マインドへと変化します。
2. 内需のV字回復:巨大産業への強力なブースト
特に「住宅」や「自動車」といった高額商品において、消費税ゼロは破壊的なインパクトを持ちます。
住宅・不動産市場の活性化: 4,000万円の住宅を購入する場合、400万円の消費税がゼロになります。この「浮いた400万円」は、家具の購入、リフォーム、あるいは子供の教育費に充てられ、関連産業へ次々と波及する「経済の乗数効果」を生みます。
設備投資の促進: 企業が工場を建てたり、システムを導入したりする際にかかる消費税(最終的な還付はあるにせよ、一時的なキャッシュアウト)がなくなることで、企業の投資スピードが加速します。
3. ビジネスの「足枷」からの解放:中小企業の生存率向上
日本の企業の99%を占める中小企業にとって、消費税は最も過酷な税制です。
滞納リスクの消滅: 消費税は「赤字でも払わなければならない税金」であり、法人の税金滞納の約6割が消費税です。これがなくなることで、経営難にある企業の倒産リスクが劇的に低下し、雇用の維持につながります。
インボイス制度による分断の解消: 現在、フリーランスや小規模事業者を苦しめているインボイス制度(適格請求書保存方式)は、消費税がゼロになればその存在意義を失います。事務作業に割かれていた膨大なリソースを、付加価値を生む「本業」へ集中させることが可能になります。
値決め(プライシング)の自由度: 「税込1,000円」の壁に悩まされてきた飲食店や小売店が、税を気にせず純粋なコストと利益のみで価格設定を行えるようになり、健全な利益確保が可能になります。
4. 心理的インパクト:社会に満ちる「マインドの変化」
数字以上に大きいのが、国民の心理に与える「ポジティブなショック」です。
「将来への不安」の払拭: 「増税が当たり前」という空気が支配する中で、「税がなくなる」という決断は、国が国民の生活を本気で守るという強力なメッセージになります。これが将来不安による「過度な貯蓄」を抑制し、お金が循環する社会を作ります。
日本市場の魅力再発見: 「消費にコストがかからない国」としてのブランディングは、観光客によるインバウンド消費をさらに加速させ、世界中から投資を呼び込むトリガーになり得ます。
黄金のシナリオが描く未来図
消費税ゼロによって消費が活性化し、企業の売上が上がり、賃金が上昇する。その結果、所得税や法人税の収益が自然増し、最終的には「消費税に頼らなくても国が回る」という好循環を目指す。これが、このシナリオの究極のゴールです。
もちろん、これを実現するためには「30兆円の穴をどう埋めるか」という難問に答えを出さねばなりませんが、「経済を冷やして増税するより、経済を熱くして自然増収を目指す」という攻めの姿勢こそが、黄金のシナリオの真髄です。
2. 実現を阻む「3つの巨大な壁」
消費税ゼロという「黄金のシナリオ」を実現する前に、私たちが直視しなければならないのが、国家運営の根幹を揺るがす「3つの巨大な壁」です。これらは単なる精神論ではなく、国家予算、国際金融、そして社会構造という極めて強固な物理的障壁です。
壁①:30兆円という「代替不可能な財源」の穴
2026年度の政府予算案において、消費税収(国分)の見通しは約26.7兆円です。ここに地方消費税分を加えると、実質的な国民負担および税収総額は30兆円から31兆円規模に達します。
この「30兆円」という数字がいかに巨大か、他の税収と比較するとその絶望的なまでの差が浮き彫りになります。
所得税や法人税で補おうとした場合のシミュレーション
もし消費税ゼロによる減税分を他の主要税で補うとすると、以下のような極端な増税が必要になります。
所得税を代替にする場合:
2026年度の所得税収は約19兆円と予測されています。仮に消費税の30兆円をここに上乗せする場合、所得税率を一律2.5倍以上にする必要があります。現在、年収の約10〜20%を所得税として納めている層は、40〜50%を徴収される計算になり、労働意欲の著しい減退を招きます。
法人税を代替にする場合:
法人税収は約11兆円です。仮に30兆円を補う場合は、法人税率を現在の約30%から100%超にしなければなりません。これは企業利益をすべて没収することを意味し、企業の海外流出(資本逃避)を決定づけ、日本経済は即座に停止します。
国債(借金)で補おうとした場合の「雪だるま」
「増税せずに国債を発行すればいい」という議論もありますが、日本の公的債務はすでに1,300兆円を超えています。
年間30兆円の不足分をすべて国債で賄い続けた場合、わずか10年で300兆円の純増となり、利払い費だけで国家予算がパンクする「財政破綻への特急券」となりかねません。
壁②:社会保障制度の「即時崩壊」リスク
現在の日本において、消費税は「全額を社会保障財源(年金・医療・介護・少子化対策)に充てる」と法律で定められています。消費税をゼロにするということは、これらのセーフティネットの「支え」を明日から撤去することに等しいのです。
社会保障給付費の現実
日本の社会保障給付費は年間で130兆円から140兆円規模に達しています。このうち、税金(公費)で賄っている分は約50兆円。その半分以上を消費税が支えています。
年金給付への影響:
基礎年金の半分は税金で賄われています。消費税がなくなれば、将来の受給額が3〜4割カットされるか、あるいは支給開始年齢を75歳以上に引き上げるような過激な改革を「今すぐ」実行せざるを得ません。
医療・介護費の自己負担増:
現在、窓口負担は原則3割ですが、消費税という安定財源を失えば、これを5割、あるいはそれ以上に引き上げなければ制度を維持できません。これは「お金がない人は適切な治療を受けられない」という、国民皆保険制度の実質的な終焉を意味します。
消費税の最大の特徴は、景気に左右されにくい「安定性」です。不況時でも一定の税収が見込めるこの財源を失うことは、社会保障という巨大な船のエンジンを止めることに他なりません。
壁③:国際信用の失墜と「金利・インフレ」の暴走
経済は国内だけで完結していません。日本という国が「30兆円の安定財源を捨て、その穴を埋める合理的なプランもない」と世界に示した場合、マーケット(市場)は無慈悲な反応を示します。
「日本円」と「日本国債」の暴落
海外の投資家や格付け機関は、日本の財政規律を注視しています。
格付けの引き下げ: 日本国債の格付けが「投資不適格(ジャンク)」に近いレベルまで引き下げられれば、世界中の機関投資家が日本国債を売り払います。
金利の急騰: 国債が売られれば金利が上がります。仮に長期金利が1%上昇するだけで、数年後には政府の利払い費が数兆円単位で膨らみます。さらに、民間の住宅ローン金利や企業の借入金利も連動して跳ね上がり、減税で得たはずの恩恵は「金利支払い」によって一瞬で消し飛びます。
制御不能なインフレ(物価高)
消費税ゼロによる強力な需要刺激と、円安(円の信用低下)が同時に発生すれば、輸入コストが爆発的に上昇します。
「良いインフレ」ではなく「悪いインフレ」: 経済成長に伴う物価高ではなく、通貨価値の下落による物価高(コストプッシュ・インフレ)が日本を襲います。ガソリン代や電気代、食料品が10%の減税分を軽々と超えて20%、30%と値上がりし、国民生活はむしろ苦しくなるというパラドックスが発生します。
壁の正体は「過去のツケ」
これら3つの壁を詳しく分析すると、その正体は「これまでの借金依存体質」と「急速な少子高齢化」という、日本が長年先送りにしてきた構造的問題であることがわかります。
消費税をゼロにするという提案は、これらの巨大な壁を「爆破」して進むのか、あるいは「壁を避けつつ別の道を作る」のかという、極めてリスクの高い決断を求めています。
| 壁の種類 | 具体的なリスク数字 | 発生する社会現象 |
| 財政の壁 | 30兆円の穴 / 所得税2.5倍 | 労働意欲の減退、資本の海外逃避 |
| 社会の壁 | 社会保障費140兆円の崩壊 | 年金カット、医療費自己負担の大幅増 |
| 信用の壁 | 金利急騰 / 通貨価値の暴落 | 住宅ローン破綻、輸入物価の猛烈な上昇 |
「消費税ゼロ」という甘い響きの裏には、これほどまでに強固で、かつ具体的な数字に裏打ちされた「現実」が横たわっています。この壁を乗り越えるには、単なる「減税」という言葉以上の、国家100年の計を書き換えるほどの知略と覚悟が必要になるのです。
3. 実現可能性:現実的な「落とし所」はあるのか?
「消費税ゼロ」という理想と、「30兆円の財源喪失」という現実。この二つの猛烈な板挟みの中で、2026年現在の日本において検討されうる「現実的な落とし所」とはどこにあるのでしょうか。
単なる「全廃」か「維持」かという二元論を超えて、経済への刺激と財政の持続性を両立させるための「4つの具体的ルート」を深掘りします。
1. 「食料品ゼロ」による生活防衛に特化した落とし所
最も現実味があり、かつ政治的にも合意が得られやすいのが、対象を絞った「限定的ゼロ」です。
軽減税率の究極形
現在、食料品などには8%の軽減税率が適用されていますが、これを「0%」に引き下げます。
家計への直接効果: 消費支出に占める食料品費(エンゲル係数)は、近年物価高の影響で30%近くまで上昇しています。ここを無税にすることは、所得の低い層ほど恩恵を受ける「逆進性の解消」に直結します。
財政負担のコントロール: 全廃なら30兆円ですが、食料品のみであれば税収減を約5〜6兆円程度に抑えることができます。これは、他の予算の見直しや、後述する「防衛増税の見直し」などの範囲内で議論可能な数字です。
事務コストという新たな壁
ただし、この案には「どこまでが食料品か」という線引きの複雑化という問題が残ります。外食は10%、テイクアウトは0%といった、現在の軽減税率で不評な「複雑さ」がより先鋭化する懸念があります。
2. 「景気条項」に基づいた時限的・段階的な引き下げ
一気にゼロにするのではなく、「経済が熱を帯びるまでの期間限定」で段階的に下げるアプローチです。
「5%への回帰」というステップ
かつての税率である5%への引き下げを第一段階とし、デフレ完全脱却が確認されるまで継続します。
出口戦略の明確化: 「実質賃金がプラス1%を2年継続したら10%に戻す」といった数値目標(出口戦略)をあらかじめ設定することで、市場の不信感(財政規律の崩壊)を和らげます。
消費の「今だけ」効果: 「いずれ戻る」という期限があるからこそ、耐久消費財(家電や車)の買い替え需要を強力に前倒しさせる効果が期待できます。
3. 「法人税・金融所得課税」とのバーター(入れ替え)
消費税という「消費にかかる罰金」を廃止する代わりに、他の場所から税を取る「税体系の組み替え」です。
資産課税と高所得者へのシフト
金融所得課税の強化: 現在、一律約20%となっている株の利益や配当への課税を、累進課税化(最大30%程度など)することで、1〜2兆円規模の財源を捻出する案です。
内部留保への課税議論: 企業が貯め込んでいる内部留保(500兆円以上)に対し、投資に回さない分に微課税を行うことで、消費税減税分の穴埋めと「賃上げ・投資」の促進を同時に狙います。
この案の懸念点
しかし、これは「富裕層の国外脱出」や「株価の下落」を招くリスクがあり、消費税の安定性と比較すると、景気変動に弱すぎる(景気が悪くなると一気に税収が減る)という弱点があります。
4. 「通貨発行権」を活用したマクロ経済スライド(MMT的解決)
2020年代に注目を集めた現代貨幣理論(MMT)の考え方を取り入れ、「財源は税金である必要はない」と割り切る道です。
国債発行を前提とした減税
インフレ率を「ブレーキ」にする: 政府が国債を発行して消費税分を補填しても、インフレ率が目標(例えば2%)を超えない範囲であれば問題ないという理屈です。
「減税」という公共事業: 道路を作る代わりに「国民の消費コストを下げる」という名目で、新規マネーを市場に供給します。
現実的なハードル
2026年現在、日本はすでに一定のインフレに直面しており、この手法をとればインフレを加速させ、国民を「物価高」で苦しめる諸刃の剣となります。日銀が利上げに転じる中、この「落とし所」は極めて政治的に難しくなっています。
現実的な「着地点」のグランドデザイン
これらを踏まえると、最も実現可能性が高い、あるいは議論の土台になりうる「落とし所」は、以下のハイブリッド型になると予想されます。
| 施策の組み合わせ | 期待される効果 | 財源の考え方 |
| 食料品の消費税0%化 | 生活コストの劇的低下 | 予備費の活用・無駄な予算の削減 |
| 標準税率を一時的に8%へ | 消費マインドの刺激 | デフレ脱却までの時限国債 |
| インボイス制度の簡素化 | 中小企業の負担軽減 | 制度運用の見直し |
「完全ゼロ」は可能なのか?
正直に申し上げれば、現在の日本社会の構造(高齢化率・債務残高)を維持したままの「完全ゼロ」は、奇跡的な経済成長(実質3%超の継続など)がない限り、極めて困難です。
しかし、「ゼロ」という旗印を掲げることで、これまで「聖域」とされてきた社会保障費の無駄や、非効率な税金の使い道をあぶり出す効果はあります。
現実的な落とし所とは、単なる数字の妥協ではなく、「消費税をどこまで下げ、その代わりに何を削るか(あるいはどこから取るか)」という苦渋の選択を、国民が合意できる範囲でパッケージ化することに他なりません。2026年以降、私たちは「10%の維持」という現状維持か、「痛みを伴う変革」かの二択を迫られることになるでしょう。
4. もしも消費税ゼロが実現した「その後の日本」
「消費税ゼロ」という決断を下した後の日本。それは、私たちが30年以上慣れ親しんできた「消費に罰金がかかる社会」からの決別であり、国家のあり方を根本から作り変える実験場の始まりでもあります。
もしもこれが実現された場合、直後から数年後にかけて、日本社会にどのような「地殻変動」が起きるのか。4つのフェーズで深掘りします。
1. 直後の狂乱:日本中が「10%引き」のセール会場に
消費税が撤廃された初日、日本経済はかつてない活況を呈します。
「1億総買い替え」の発生: 家電、自動車、高級家具、そして住宅。これまで10%の重圧で二の足を踏んでいた層が一斉に動きます。特に3,000万円の住宅なら300万円、500万円の車なら50%万円が「浮く」計算になり、耐久消費財の在庫が全国で払底するほどの爆発的需要が生まれます。
価格表示の革命: 「本体価格+税」という煩わしい計算が消え、店頭にはスッキリとした数字が並びます。値札の張り替え作業に追われる小売店の一時的な混乱はありますが、それを補って余りある客数が押し寄せます。
インバウンドの「爆買い」加速: もともと免税手続きをしていた外国人観光客にとっても、手続き不要でどこでも10%安いという状況は、日本を「世界最強のショッピング天国」へと変貌させます。
2. 産業構造の変化:事務コスト消滅による「本業回帰」
数ヶ月が経過すると、企業の生産性に劇的な変化が現れます。
インボイス制度の「埋葬」: 複雑極まりない適格請求書の保存、免税事業者との取引制限、そして膨大な税務申告作業。これらがすべて不要になります。特にフリーランスや中小企業の経営者は、年間数百時間に及んでいた事務作業から解放され、そのリソースを「新しいサービスの開発」や「スキルの研鑽」という付加価値創造に振り向けられるようになります。
赤字企業の延命と再起: 消費税は「赤字でも納税義務がある」ため、資金繰りの最大の敵でした。これがなくなることで、一時的な業績不振に陥った中小企業の生存率が劇的に高まり、雇用が維持されます。
3. 負の連鎖:社会保障の「選別」と「自己責任」の加速
一方で、半年から1年が経過する頃、当初の熱狂は「冷酷な現実」へと姿を変え始めます。30兆円の財源を失った政府は、社会保障の「大ナタ」を振るわざるを得なくなります。
医療・介護の「応能負担」への完全移行: 「お金がない人は適切な医療を受けられない」という現実が忍び寄ります。窓口負担が5割、あるいはそれ以上に引き上げられ、高額療養費制度などのセーフティネットも縮小。民間の医療保険への加入が「必須」となり、公助から自助への強制的なシフトが起きます。
年金支給額の「実質削減」: 物価スライドなどによる調整が厳格化され、受給額は購買力の維持が困難なレベルまで抑制される可能性があります。「消費税ゼロで生活費は下がったが、それ以上に年金が減った」という高齢者層の不満が噴出します。
4. 長期的な風景:資産家への「直接包囲網」
消費税という「薄く広く」集める手段を捨てた国は、生き残るために「持てる者」から集中的に徴収する体制を構築します。
「出口」を塞ぐ資産課税: 消費税がない代わりに、「金融所得課税の累進課税化(20%→最大30〜40%)」や、一定以上の純資産を持つ個人に対する「富裕税」が導入されます。また、固定資産税の増税や、相続税のさらなる強化も避けられません。
「格差」の固定化か、再分配の強化か: 消費をする分には天国ですが、資産を形成しようとすると高い壁が立ちはだかる社会になります。若者が「今を楽しむ」ことには有利ですが、老後のために資産を積み上げようとすると、かつてない高税率に苦しむという皮肉な構造が生まれます。
消費税ゼロ後の「日本の顔」
消費税ゼロが定着した後の日本は、現在の「中福祉・中負担」の国から、「低公助・自己責任・高直接税」の国へと変貌を遂げているでしょう。
ポジティブな側面: 経済の流動性が極限まで高まり、商売がしやすく、若者や現役世代が「今」を謳歌できる、ダイナミックな資本主義国家。
ネガティブな側面: 万が一の際のセーフティネットが薄く、老後や病気への不安を自力で解決しなければならない、サバイバル要素の強い社会。
「消費税ゼロ」は単なる数字の変更ではありません。それは、日本人が「自分の人生の責任をどこまで国に預け、どこまで自分で背負うのか」という人生観の再定義を完了した後の世界なのです。
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「消費税ゼロ」という甘美な響きに期待しすぎるのは、現代を生き抜く戦略としては少々リスクが高すぎます。2026年現在、政治的な議論は進んでいるものの、30兆円の財源という「物理的な壁」が消えない限り、劇的な減税が明日訪れる保証はありません。
むしろ、「消費税は下がらない、あるいは形を変えて負担は増え続ける」という前提に立ち、個人がいかに賢く立ち回るべきか。そのサバイバル術を3つの視点で書き足します。
5. 「消費税ゼロ」を待たずに個人が生き抜く3つの生存戦略
「消費税ゼロ」という政治の奇跡を待つことは、止まった時計が動くのを眺めているようなものです。2026年現在、物価高と増税の足音が響く中、賢明な個人が取るべき道は「国家の施策」に依存しない「個人の経済圏の確立」です。
政府が消費税をゼロにしない前提で、私たちがどう実効的な「自己防衛」を固めるべきか。3つの戦略をさらに深掘りし、その根底にある「武器」について解説します。
1. 「消費の構造改革」:税金を払わない経済圏へのシフト
消費税は「消費」した瞬間に課される税金です。ならば、法定通貨(円)を介した単純な買い物の頻度を減らし、価値の交換様式を変えることが最大の節税になります。
「新品・所有」の呪縛を解く: 新品を購入すれば必ず10%の税がかかります。しかし、中古市場(二次流通)での個人間取引であれば、消費税はかかりません。2026年、リセールバリュー(再販価値)の高い製品を中古で買い、価値が落ちないうちに中古で売る「循環型消費」をマスターすれば、実質的な消費税負担をゼロに近づけることが可能です。
「自給」と「スキルシェア」の拡大: 家庭菜園での食料確保、DIYによる修繕、知人間でのスキルの物々交換。これら「非貨幣経済」の領域を広げることは、課税対象となる取引を物理的に減らす行為です。1万円のサービスを受けるために1,100円の税を払うより、互いの得意を交換するコミュニティを持つ方が、現代のサバイバルにおいて圧倒的に有利です。
2. 「所得の多層化」:天引きされない防衛ラインを築く
サラリーマンの給与所得は、所得税・住民税・社会保険料を「天引き」された後の残りカスです。ここからさらに10%の消費税を払うのは、二重・三重の搾取に近い状態です。
「事業所得」という聖域を持つ: 副業を事業として成立させれば、PC代や通信費、家賃の一部を「経費」として計上できます。これは、本来払うべき所得税を合法的に圧縮し、実質的な手取りを増やす行為です。消費税分を国がまけてくれないのなら、所得税側のコントロールで取り戻すという発想への転換が必要です。
「法人」というシェルターの活用: ある程度の規模になれば、個人ではなく法人格を持つことで、税制上の優遇措置や資産形成の幅が劇的に広がります。消費税ゼロを待つよりも、自分が「税制をコントロールできる主体」になる方が、生存確率は高まります。
3. 「資産のグローバル化」:円安とインフレの波を乗りこなす
消費税が維持される最大の理由は、円の信用と財政の維持です。しかし、もし円の価値が下がり続ければ、消費税10%以上のスピードで実質的な購買力は奪われます。
「円」を「資産」に変えて避難させる: 現金を寝かせているだけでは、実質的に「目減りという税金」を払っているのと同じです。米国株、全世界株、あるいはゴールドやビットコインといった「インフレ耐性のある資産」へ資金を逃がすことで、日本国内の物価上昇や増税によるダメージを相殺、あるいはそれ以上の利益で上書きします。
「購買力の防衛」としての投資: 「投資はギャンブル」という古い認識を捨て、「増税分をマーケットから回収する」という攻めの姿勢を持つことが、2020年代後半を生き抜く標準装備となります。
最後にモノを言うのは「金融リテラシー」という名の武器
消費税ゼロが実現しない世界で、最後にあなたを守るのは、政治家でも制度でもなく、あなた自身の「金融知識(リテラシー)」です。
なぜなら、税金、金利、インフレ、投資、社会保障といった仕組みは、すべて「知っている者から、知らない者へ」とお金を移動させる装置だからです。
金融知識がない人は、10%の消費税を嘆きながら、銀行に預けた0.1%にも満たない金利で資産を腐らせます。
金融知識がある人は、税制の仕組みを理解して控除を使い倒し、複利の力を借りて増税分を軽々と超えるリターンを叩き出します。
消費税ゼロという「外からの救い」を待つ時間は、もう終わりです。 私たちが学ぶべきは、「どんな税率であっても、資産を増やし、生活の質を落とさずに生き抜くためのルール」です。知識こそが、不透明な未来において唯一、消費税10%を「誤差」に変えてくれる最強の盾となるのです。
参考データ(2026年予測値)
消費税収: 約26.7兆円(一般会計)
家計への影響: 食料品ゼロだけで世帯あたり年約8.8万円の負担軽減
GDP押し上げ: 食料品ゼロで約0.3〜0.5兆円程度の押し上げ効果が見込まれる
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