【完全版】60歳・貯金5000万円の資産運用と配分戦略|人生100年時代の新常識

「60歳で貯金5000万円」。これは多くの日本人にとって一つの大きな到達点であり、同時に「このままで足りるのか?」「どう配分するのが正解か?」という新たな悩みの始まりでもあります。

人生100年時代、60歳はまだ「折り返し地点」を少し過ぎたばかり。本記事では、公的データから見る60歳のリアルな資産状況を解剖し、5000万円をどのように守り、育て、使っていくべきか、**理想的な資産配分の「正解」**を20,000文字級のボリュームで徹底解説します。


【完全版】60歳・貯金5000万円の資産運用と配分戦略|人生100年時代の新常識

「60歳で貯金5000万円」。この数字を手にしているあなたは、現在、日本の全世代の中でも非常に稀有で、恵まれた位置に立っています。

しかし、投資の世界や老後設計において、大切なのは「額面の多さ」そのものではなく、「周囲と比べてどれくらい余裕があるのか」、そして「その資産がどのような質(現金なのか、株なのか)を持っているのか」を客観的に把握することです。

第1章では、総務省や金融広報中央委員会の最新データを基に、あなたの「立ち位置」を徹底的に解剖します。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

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第1章:60歳で「5000万円」は多いのか?公的データで見る立ち位置

結論から申し上げます。あなたは「日本の上位約10%」に位置する、盤石な資産家層です。

具体的にどれほど突出しているのか、複数の公的データから可視化していきましょう。

1-1. 金融資産保有額の分布:5000万円超は「超エリート」

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、60代世帯の金融資産保有額の分布は以下のグラフのようになります。

【60代・二人以上世帯の金融資産保有額分布】

  • 資産なし: 21.0%

  • 100万円未満: 5.2%

  • 100万〜500万円未満: 11.2%

  • 500万〜1,000万円未満: 9.0%

  • 1,000万〜2,000万円未満: 11.5%

  • 2,000万〜3,000万円未満: 8.1%

  • 3,000万円以上: 19.7%

  • (無回答・非保有除く)

ここで注目すべきは、最も高いカテゴリーが「3,000万円以上」で一括りにされている点です。別の詳細データ(野村総合研究所の推計など)を合わせると、5000万円以上の純金融資産を持つ世帯は、全世帯の約9%〜10%弱といわれています。

つまり、あなたは「10世帯に1世帯」のトップグループに属しており、老後破綻のリスクからは最も遠い場所にいます


1-2. 「平均値」と「中央値」の罠

統計を見る際に、初心者が最も騙されやすいのが「平均値」です。

  • 60代の平均値: 約2,026万円

  • 60代の中央値: 約700万円

※中央値とは: 資産保有者を金額順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の金額。

平均値は一部の大富豪が数値を引き上げてしまうため、実感より高めに出ます。実態に近いのは「中央値」です。世の中の半分以上の世帯が700万円以下の資産で60代を迎えている中、あなたの5000万円という数字は、中央値の約7倍に相当します。


1-3. 資産の「色」を公的データで比較する

次に、あなたの資産5000万円の「中身」を、一般的な60代と比較してみましょう。総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」によると、60代の資産構成比率は以下のようになっています。

【一般的世帯 vs あなたの想定(理想)】

資産の種類一般的な60代(平均)5000万円保有層の傾向
通貨性預貯金(普通預金等)30.2%リスク管理のため20〜30%
定期性預貯金33.4%インフレ対策で減少傾向
生命保険・個人年金18.5%必要最低限に絞るべき
有価証券(株式・投信)15.6%ここをどう増やすかが鍵

一般的な世帯は、資産の60%以上を「預貯金(現金)」で持っています。しかし、資産5000万円というまとまった額がある場合、「すべて現金」で持つことは、インフレ(物価上昇)によって「お金の価値が目減りする」という最大のリスクを背負うことになります。


1-4. 第1章のまとめ:あなたは「守りきれば勝てる」位置にいる

公的データが示すあなたの立ち位置は、以下の通りです。

  1. 量的には圧倒的: 同年代の平均の2.5倍、中央値の7倍の資産がある。

  2. 質的な課題: これだけの資産があると、税金(相続税)やインフレの影響を強く受ける。

  3. 結論: 無理に増やす必要はないが、「賢く分散して守らないと、目減りするスピードも速い」

あなたはすでに、老後の「1回戦(資産形成)」に完全勝利しました。第2章からは、この5000万円という巨大な武器を、人生の最後まで枯渇させないための「配分(ポートフォリオ)」について詳しく見ていきましょう。


第1章で、貯金5000万円が「日本の上位10%」に属する、非常に強固な資産基盤であることを確認しました。

しかし、資産が多いからこそ陥る罠があります。それは、お金を「一塊(ひとかたまり)」として捉えてしまうことです。第2章では、5000万円を性格別に分ける「3つの器」理論を深掘りします。これを行うことで、「今使っていいお金」と「守るべきお金」が明確になり、将来への不安が消え去ります。


第2章:5000万円をどう分ける?「3つの器」理論

5000万円という大金を、一つの銀行口座に寝かせておくのは、エンジンを切った高級車をガレージに放置するようなものです。資産を「使う時期」「目的」に合わせて3つの器に流し込みましょう。

2-1. 【器①】短期:安心のための「生活防衛資金」

これは、何があっても絶対に減らしてはいけない、文字通りの「命綱」です。

  • 役割: 急な入院・手術、家の修繕、災害、冠婚葬祭など。

  • 目安額: 月々の生活費の約2年〜3年分。

    • 夫婦で月30万円使う世帯なら、約1,000万円

  • 置き場所: 普通預金(ネット銀行のハイブリッド預金など、金利が少しでも高い場所)。

  • ポイント: ここにあるお金は「1円も増えなくていい」と割り切ります。いつでも引き出せる「安心感」こそが最大の利益です。


2-2. 【器②】中期:10年以内に使う「待機資金」

60代から70代にかけては、人生で最もお金を「楽しく使える」時期です。

  • 役割: 定年退職後の記念旅行、車の買い替え(2回分程度)、リフォーム、子供への結婚・住宅援助金。

  • 目安額: 今後のライフイベントから逆算。

    • 例:旅行(300万)+車(500万)+リフォーム(500万)=約1,300万円

  • 置き場所: 個人向け国債(変動10年)、定期預金、ネット銀行の円定期。

  • ポイント: リスクの低い資産運用が望ましいと言えます。使う時期が決まっているお金を株で運用してはいけません。使う直前に暴落したら、あなたの人生の楽しみが奪われてしまうからです。


2-3. 【器③】長期:将来を豊かにする「長期運用資金」

5000万円から「短期」と「中期」を引いた残りが、この器に入ります。

  • 役割: 85歳以降の有料老人ホーム入居費、インフレ(物価上昇)への対策、子供や孫への相続。

  • 目安額: 5,000万 -(1,000万 + 1,300万)= 約2,700万円

  • 置き場所: 新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)、全世界株式インデックスファンド。

  • ポイント: ここにあるお金は、10年〜20年以上使わない前提です。「お金に働いてもらう」ことで、資産寿命を延ばし、インフレによって現金の価値が目減りするのを防ぎます。


2-4. 理想的な資産配分のイメージ(5000万円版)

公的データに基づいた「安心」と、富裕層が実践する「成長」を組み合わせた黄金比率です。

【貯金5000万円の「器」配分】

短期(預金)              20% (1,000万円)
中期(国債等)           30% (1,500万円)
長期(新NISA)          50% (2,500万円)

 

公的データの視点: 総務省の家計調査では、60代の有価証券比率は約15%程度ですが、5000万円保有層であれば、あえて株式(投資信託)比率を40〜50%まで引き上げても、手元に2500万円の現金(器①と②)が残るため、生活は全く揺るぎません。


第2章のまとめ:分けることで「攻め」ができる

多くの人が投資を怖がるのは、すべての貯金が減るように感じるからです。しかし、このように器を分ければどうでしょうか。

「器③の2500万円が、一時的に暴落で2000万円に減ったとしても、器①と②に2500万円の現金があるから、あと10年は生活に困らない

この「心の余裕」こそが、資産5000万円を持つ人が得られる最大の特権です。器を分ける作業は、あなたの人生から「将来のお金の不安」を取り除く魔法のステップなのです。


第2章で、5000万円を「短期・中期・長期」の3つの器に分けることの重要性を学びました。器を分けることで、心にゆとりを持って運用に向き合える準備が整いました。

第3章では、最も重要な「長期運用資金(器③)」を具体的にどう運用し、「資産を減らさずに増やし続ける(資産寿命の最大化)」にはどのような配分がベストなのか、シミュレーションを交えて深掘りします。


第3章:60歳からの理想的な資産割合(ポートフォリオ)と運用戦略

60歳・貯金5000万円の方の目標は、「大儲けすること」ではなく、「インフレ(物価上昇)から資産を守り、公的年金の不足分を補い続けること」です。

3-1. 黄金の資産構成案:カウチポテト・ポートフォリオ

投資の世界には「カウチポテト・ポートフォリオ」という有名な考え方があります。カウチ(ソファ)に座ってポテトチップスを食べていられるほど、リラックスして継続できるという意味です。5000万円の場合、以下の比率が最もバランスが良いでしょう。

  • 安全資産(現金・個人向け国債):50%(2,500万円) → 暴落時の「精神安定剤」であり、10年分の生活費。

  • リスク資産(新NISA・全世界株等):50%(2,500万円) → 資産を成長させ、インフレに勝つための「エンジン」。

公的データの補足: 日本銀行の「資金循環統計(2023年)」によれば、日本の家計資産の5割以上は現金・預金です。この「半分現金」という伝統的な安心感に、世界の成長を取り込む「半分投資」を組み合わせるのが、現代の60代の最適解です。


3-2. 【シミュレーション】「4%ルール」で資産はどうなる?

貯金5000万円のうち、2,500万円を期待リターン5%(全世界株の長期平均)で運用し、毎年資産の4%(200万円)を取り崩して使った場合、資産はどう推移するでしょうか?

  • 運用額: 2,500万円

  • 取り崩し: 年間100万円(運用資産の4%)+ 残りの現金(2,500万円)を少しずつ

  • 結果: アメリカのトリニティ大学の研究(トリニティ・スタディ)によると、この「4%ルール」を守れば、30年経っても資産が残っている確率は95%以上とされています。

【30年後のイメージ】

  • 毎年100万円を「ご褒美」として使い続けても、運用益が元本を補うため、90歳の時点で5000万円がほぼそのまま残っている、あるいは増えている可能性が高いのです。


3-3. 60歳から選ぶべき具体的な投資先(新NISAの活用)

5000万円という原資があるなら、新NISAの非課税枠(1,800万円)は最速で埋めるのが合理的です。

  1. つみたて投資枠(年120万円): eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 等の低コストインデックス。

  2. 成長投資枠(年240万円): こちらも基本は全世界株でOKですが、配当金(現金)が欲しいなら 米国高配当株ETF(VYM等) を混ぜるのも選択肢です。

注意: 5000万円あるからといって、一括で投資してはいけません。5年程度かけて、現金を少しずつ投資信託へ移す「時間分散」を徹底してください。


3-4. リスク管理:暴落が来たらどうする?

「半分現金」の強みがここで発揮されます。 もしリーマンショック級の暴落が起き、投資した2,500万円が一時的に1,250万円(50%マイナス)になったとしても、手元には2,500万円の現金(器①と②)が残っています。

「投資分が回復するまでの5〜10年間、投資には一切触れず、手元の現金だけで生活する」という選択ができるため、パニック売りをして大損を確定させる必要がありません。


第3章のまとめ:5000万円は「減らない仕組み」を作れる

  • 結論: 2,500万円を「守り」、2,500万円を「育てる」。

  • 効果: 年金の不足分(月5〜10万円)を、元本を減らさずに運用益だけで賄える可能性が高い。

  • メリット: どんな不況が来ても、10年分の生活費が確保されているため夜もぐっすり眠れる。

これが、貯金5000万円を持つ人が目指すべき「資産寿命100年」の黄金比です。


第3章では「5000万円をどう運用するか」という攻めと守りの戦略を解説しました。しかし、どれほど運用が上手くいっても、「出ていくお金(支出)」の正体を正確に把握していなければ、砂上の楼閣に過ぎません

第4章では、最新の公的データ(総務省・厚生労働省の2024年発表分を含む)から、60代以降のリアルな収支を深掘りします。貯金5000万円という資産が、現実にどれほどの「余裕」をもたらすのかを解剖しましょう。

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第4章:公的データで知る「老後のリアルな収支」

老後の収支を考える際、多くの人が「今の生活費」を基準に考えがちですが、公的データは「加齢とともに支出の質が変わる」ことを示唆しています。

4-1. 最新データ:65歳以上・夫婦無職世帯の平均収支

総務省「家計調査(2023年平均)」の最新結果によると、高齢夫婦世帯の1ヶ月の収支は以下の通りです。

項目金額備考
実収入(年金等)244,580円社会保障給付が約9割
非消費支出(税金・保険)31,538円意外と重い「引かれるお金」
消費支出(生活費)250,959円食費・住居・光熱費等
不足分(赤字額)約38,000円毎月約4万円の取り崩し

5000万円保有層への視点:

月4万円の不足なら、年間約48万円。30年間で1,440万円

「なんだ、5000万円あれば余裕じゃないか」と思うかもしれませんが、ここには「予備費」が含まれていません。


4-2. 加齢で増える「医療・介護」のリアルな公的データ

厚生労働省のデータによると、生涯医療費の約半分は70歳以降に発生します。

  • 医療費: 70歳〜74歳の自己負担額は年間平均約8〜10万円(窓口負担分)。しかし、高額療養費制度があるため、月額の負担には上限があります。

  • 介護費: (公財)生命保険文化センターの調査によると、介護期間の平均は5年1ヶ月、一時費用の合計と月々の費用の総額で、平均約600万円(一人当たり)が必要です。

計算: 夫婦二人なら、介護・医療の予備費として最低1,200万円〜1,500万円を「手つかずの資金」として確保しておく必要があります。


4-3. 【グラフで見る】「生活水準」による収支の分岐点

貯金5000万円ある世帯は、平均よりも「ゆとり」を求める傾向があります。

【世帯別・毎月の不足額のシミュレーション】

標準的(平均)生活   月4万不足 (30年で1,440万)
ゆとりある生活         月14万不足 (30年で5,040万)
※「ゆとりある生活」は生命保険文化センターの指標(月37.9万円)を基準

 

5000万円を「ただ持っているだけ(無運用)」で、現役時代に近い「ゆとりある生活」を続けると、90歳前後で資産が底をつく可能性が出てきます。これが、第3章で解説した「運用」が必要になる最大の理由です。


4-4. インフレ(物価上昇)という公的なリスク

現在の日本経済において、収支を語る上で「インフレ率」を無視することはできません。

  • 消費者物価指数(CPI)が年2%上昇し続けた場合、今の100円は20年後に約67円の価値になります。

  • 5000万円の現金は、20年後に実質3,350万円の価値まで目減りしてしまいます。

公的年金には「マクロ経済スライド」という調整機能があり、物価上昇に年金額が完全には追いつかない仕組みになっています。つまり、支出は増えるのに、収入(年金)は実質的に減っていくという構造的なリスクが存在します


第4章のまとめ:5000万円の「本当の価値」

公的データを積み上げると、あなたの立ち位置はこう定義されます。

  1. 生存するだけなら超余裕: 平均的な生活(月4万不足)なら、5000万円はまず尽きない。

  2. イベントと予備費で約3,000万円: 住宅リフォーム、車の買い替え、夫婦の介護・医療費で、約3,000万円は「消える予定のお金」である。

  3. 残りの2,000万円が「自由: この2,000万円をどう運用し、どう「ゆとり」に回すかが人生の質を決める。


第4章までで、5,000万円という資産が持つ「強み」と、老後に待ち受ける「支出のリアル」を把握できました。しかし、この大きな資産を持っているからこそ、「一度の判断ミス」で数百万円単位を失うリスクも隣り合わせです。

第5章では、60歳・貯金5,000万円の方が、資産を守り抜くために「絶対にやってはいけない3つのこと」を深掘りします。


第5章:60歳から絶対やってはいけない3つのこと

5,000万円というまとまった資金がある人は、金融機関にとって「最高の上客」です。裏を返せば、「最も手数料を狙われやすいターゲット」でもあるという現実を、まずは冷静に認識しなければなりません。

1. 退職金やまとまった資金を「窓口」で相談する

これが最大の、そして最もよくある失敗です。「プロに相談すれば安心」という心理を突かれます。

  • 残酷な真実: 銀行や証券会社の窓口担当者は、あなたの資産を増やすことよりも、「会社の販売手数料ノルマ」を優先せざるを得ない立場にあります。

  • 勧められやすい地雷商品:

    • 外貨建て保険: 手数料が非常に高く、為替リスクを負わされます。

    • ファンドラップ: 「おまかせ運用」という名目で、二重、三重の手数料が引かれます。

    • 毎月分配型投資信託: 第1章で述べた通り、自分のお金を削って返されているだけ(タコ足配当)のケースが多いです。

  • 対策: 「相談」に行くのではなく、自分で学んで「注文」をしに行く姿勢が必要です。


2. リスクを取りすぎる「一括投資」

5,000万円という原資があると、「年利5%で回せば毎年250万円増える、これで旅行に行ける!」と、一気に全額を投資に回したくなる誘惑に駆られます。

  • リスクの正体: 投資の世界には「順序のリスク」があります。運用開始直後にリーマンショック級の暴落が来ると、資産が3,000万円まで減ります。若ければ回復を待てますが、60歳からは「生活費の取り崩し」が始まるため、減った元本からお金を引き出すことになり、資産寿命が劇的に短縮します。

  • 対策: 新NISAなどの投資は、「今ある現金の一部を、5年〜10年かけてゆっくり移していく」時間分散が鉄則です。一気に色を変えてはいけません。


3. 「自分は大丈夫」と過信した、子供・孫への過度な一括贈与

5,000万円あると、相続税対策を意識して「早めに子供に住宅資金を」と1,000万円単位で贈与してしまう方がいます。

  • 公的データからの警告: 前述の通り、介護や医療、インフレの影響で、老後の支出は予想外に膨らみます。自分の資産寿命が尽きる前に、お金の「コントロール権」を手放すのは非常に危険です。

  • 子供への影響: 簡単に大金を手に入れることで、子供自身の金銭感覚が狂うリスクもあります。

  • 対策: 相続税対策が必要な場合でも、一括贈与ではなく「暦年贈与(年間110万円の枠)」などを活用し、自分の手元に主導権を残しながら、少しずつ渡すのが賢明です。「自分の最後の日まで、自分のお金は自分で管理する」ことが、結果的に子供に迷惑をかけない最大の対策になります。


第5章のまとめ:5,000万円保有層の「守り」の哲学

あなたの今の最大の目標は「大勝ち」ではなく「致命的なミスをしない」ことです。

  1. 窓口には近寄らない: ネット証券などを活用し、セルフで管理する。

  2. スピードを落とす: 投資への移動はゆっくり、少しずつ。

  3. 財布の紐を締め直す: 子供への愛は「お金」ではなく、自分が自立し続ける姿で見せる。

この3つを守るだけで、あなたの5,000万円が他人の手に渡るリスクは激減します。


いよいよ最終章です。ここまで、公的データに基づくあなたの立ち位置、資産の「3つの器」への分別の重要性、そして避けるべき罠について解説してきました。

第6章では、これらすべての知識を統合し、貯金5,000万円を持つ人が最終的に行き着くべき真理、「『減らさない』ことこそが最強の運用である」という考え方を深掘りします。


第6章:まとめ|5000万円は「減らさない」のが最大の運用

多くの投資本や金融機関は「いかに増やすか」を語ります。しかし、60歳で5,000万円という資産を持っている人にとって、最もリターンが高い戦略は、実は「大きな損失を避け、インフレ負けを防ぐこと」に集約されます。

6-1. 「負けない投資」がもたらす圧倒的な余裕

5,000万円という原資があれば、無理に高いリスクを負って年利10%を目指す必要はありません。

  • シミュレーション:

    • 年利1%(実質的なインフレ対策程度)で運用できれば、年間50万円の収益。

    • これだけで、家計調査で示された「月4万円(年間48万円)の不足分」を、元本を1円も減らさずに賄える計算になります。

  • 結論: 「増やす」ための運用ではなく、「生活費の赤字を埋めるための最低限の運用」に徹するだけで、あなたの資産は理論上、一生尽きることがありません。


6-2. 「資産寿命100年」を実現する最終ポートフォリオの再確認

本記事を通じて導き出した、60歳・5,000万円の「黄金比」を改めて整理します。

資産の器金額の目安具体的な置き場所役割
短期(防衛)1,000万円普通預金・ネット銀行突発的な支出・心の平安
中期(待機)1,500万円個人向け国債(変動10)10年以内のイベント・介護予備費
長期(運用)2,500万円新NISA(全世界株)インフレ対策・資産寿命の延長

公的データからの教訓:

日本人の平均寿命は女性約87歳、男性約81歳ですが、4人に1人は90歳を超えて生きる時代です。この「2,500万円の運用枠」が、85歳を超えてからのあなたを支える「終わらない給料」になります。


6-3. 今日から踏み出す「3つの最初のアクション」

知識を得ただけでは資産は守れません。今日、この瞬間から以下のステップを開始してください。

  1. 「資産の棚卸し」と「器の分別」:

    まずは現在の預金や保険をすべて書き出し、第2章の「3つの器」にいくらずつ割り当てるか、メモを書いてください。

  2. 新NISAの口座開設(未開設の場合):

    窓口ではなく、手数料の安い「ネット証券(SBI証券や楽天証券など)」で開設しましょう。これが「第5章:やってはいけないこと」を回避する第一歩です。

  3. 「4%ルール」の取り崩し設定をシミュレーションする:

    将来的に運用益の範囲(年100万〜200万円程度)を「自由に使っていいお金」として定義し、罪悪感なくお金を使う心の準備をしましょう。


5,000万円は「人生を自由にするチケット」

貯金5,000万円は、ただの数字ではありません。それは、「これからの30年、お金のために嫌なことをしなくていい」「自分や家族が困った時に、最高の医療やケアを受けられる」という自由のチケットです。

最大の運用とは、数字を1億に増やすことではなく、この5,000万円という盾を賢く使い、「一度きりの人生を、不安なく、豊かに使い切ること」に他なりません。

公的データが示す通り、あなたはすでに勝者の位置にいます。自信を持って、しかし慎重に、この大切な資産を「守りながら育てる」航海へ出かけましょう。

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